【作曲講座】伴奏(コード進行)を作る

2015年08月29日

 主旋律の次に伴奏を作成します。同時にコード進行も決まります。

 トラックを『CH02』に変更します。
 楽器は初期値だとピアノになっています。ピアノは伴奏によく使われるので、そのままでもいけないことはないです。でも、フィールドっぽくしたいならば49〜52番のStrings系かなと。とにかく、好みのものを選択してください。

オニオンスキン


 伴奏は先に作った主旋律に合わせて作るので、主旋律を見ながら作りたいところ。そこでDominoのオニオンスキン機能を使用します。

 オニオンスキンというのは、編集中以外のトラックの音符も薄く表示してくれる機能です。設定方法はこの辺を参照してください。
 http://mimikopi.nomaki.jp/midi/002/trackselect/#C05

 これで主旋律を参照しながら打ち込めるようになりました。
 伴奏は主旋律と『不協和音』をなるべく起こさないように打ち込んでいきます。とりあえず一小節をまるまる使う『全音符』で打ち込みます。理由は何も考えないのでよいので楽だから。

bansou_1.png

三和音を作る


 僕が作成中の曲を例に挙げます。最初の一小節目、主旋律は「ラド」となっていますね。
 なので、伴奏もラとドを含む『三和音』にします。『和音』にするためには『不協和音』を避ける必要があります。隣り合った音「ドとレ」「ドとシ」「ラとシ」「ラとソ」などが不協和音となります。
 ※実は四和音になると不協和音も含むようになります。しかし、複雑にしないため、及びそもそも筆者があまり詳しくないのであえて割愛します。興味ある方はググってください。

 実は不協和音にならない選択肢は「ドミラ」と「ドファラ」しかなかったりします。今回は「ドファラ」にしてみました。この組み合わせが『コード進行』そのものです。

bansou_2.png

 別に「ラドファ」でも「ファラド」でもよいです。音の組み合わせが大事なので、上下を変えてもOKです。選択肢は限られていますが、それぞれ印象は結構変わってくるので、色々と演奏しながら試してください。

 さて、問題は二小節目。主旋律が「シソラ」になってますね。シとソとラを合わせたら、どう考えても不協和音にしかなりません。しょうがないので適当にごまかします。実のところ、全く不協和音を出さないというのは不可能ですが、ちょっとぐらいなら大丈夫です。

 とりあえず、小節の出だしの音(ここではシ)は目立つので和音に含めておいたほうが無難です。「シミソ」か「シレソ」辺りでいいんでないでしょうか。もちろん「ミソシ」や「レソシ」も同じです。

bansou_3.png

 という感じで伴奏も32小節まで埋めていってください。数は多いですが、選択肢は限られていますので、半機械的にちゃっちゃとやっていきましょう。
 伴奏も主旋律と同じでコピペ技が使えます。

 こんな感じになりました。伴奏は三和音なのでそのままだと少し音が大きいです。音量(Volume)を主旋律よりも下げてます。適当に調整してみてください。
 TestField_Accompaniment_1.mid

 面倒なので後のキャプチャは貼りません。気になるなら、DominoでMIDIを読み込んで中を見てください。何気に作曲ソフトがMIDIを直接読み込めるのって、結構凄いことなんですよね。昔はそんなことができるソフトは希少でした。

刻む

 一応できました。……が、このままでは面白みがない感じです。
 試しに最初の16小節は全音符をやめてみましょうか。「4分音符→4分休符→4分音符→4分休符」の構成にしてみます。

bansou_4.png

 後ろの16小節は全音符のままのほうが雰囲気が出そうなのでそのままです。

 これでかなりそれっぽくなりました。最初の16小節と後ろの16小節で雰囲気がいい感じに変わります。
 TestField_Accompaniment_2.mid

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【作曲講座】主旋律を作る

 では、Dominoを起動して実際にRPGっぽいフィールド曲を作ってみましょう。別に何の曲でもよいのですが、フィールドが比較的楽かなあと。フィールド曲というのは戦闘曲と並んでRPGっぽさの象徴ですしね。なおかつ、戦闘曲のように激しくないので作りやすいはずです。

テンポの調整


 テンポを設定します。『Conductor』と書いてあるトラックを選択してください。「いきなりトラックとか言われても何のことやねん」とか思われたかもしれませんが、画面左のアレです。
 フィールド曲ならテンポは120〜130ぐらいが標準的かと思います。初期状態の120でとりあえずは問題ありません。後でいくらでも調整できます。

20150101_music_1.png

メロディの打ち込み


 主旋律(メインメロディ)から作成します。『CH01』とあるトラックを選択してください。『System Setup』とあるトラックは文字通りセットアップ用の処理を行うところなので、そのままにしておいてください。

 今回のところは主旋律から作ります。もっとも、作曲する際『何から作るか?』というのは自由です。ベースからでもコード進行からでもリズムからでも、何だって構いません。色んなやり方をしたほうが、曲のバリエーションも増えると思います。

 最初のところは初期化命令が入っています。なので一小節目は空けることが多いです。僕の場合、空白が大きくできるのが嫌なので『編集>拍子』のところをいじって一小節目を短縮しています。

20150101_music_2.png

 よく分かんなかったら、そのままでいいです。とにかく最初の小節は空けておいて、『2』と書いてある小節から音符を配置するようにしてください。

 楽器は好みでよいですが、最初は音がはっきりと鳴るような聞き取りやすいものがお勧め。『049のStrings』なんかよさ気です。
 楽器の変更は「挿入>プログラムチェンジ」です。最初からある『PC:〜』とある命令がそれなので、それをダブルクリックして変更しても構いません。
 初めてという方は色々と鳴らしてみて遊んでみるとよいでしょう。

20150101_music_3.png

調

 いざ主旋律! メロディを打ち込んでいきます。
 どの『調』で作るかというのがポイントになりますが、とりあえずは『イ短調』から始めることをお勧めします。
 「そもそも調って何?」という人も多いと思いますが、雑に説明します。

  • 長調:明るい。コミカル。緊張感がない。
  • 短調:暗い。カッコいい。哀愁。緊張感がある。

 学校では「長調は明るい」「短調は暗い」みたく習ったかもしれませんが、若干誤解を招く気がします。「長調は明るい」「暗い曲は短調」は確かにそうだと思います。ただ「短調は暗い」は必ずしも成り立ちません。
 上に挙げた通り、カッコいいゲーム音楽には短調の曲がとても多いのです。カッコよくてノリが良い曲が短調だったりすることはよくあります。戦闘曲なんかは大抵が短調です。

 フィールド曲については長調・短調の両方が使われますが、短調のほうが多数派です。ドラクエやFFのフィールド曲も短調が優勢です。「FF5の序盤」なんかは長調ですね。……たぶん。

 というわけで『イ短調』から始まるフィールド曲を作ってみましょう。
 なぜに『ロ短調』や『ハ短調』ではなく、『イ短調』かというと打つのが楽だからです。
 Dominoの五線譜部分を眺めてみると、白い部分と薄い青色の部分に分かれているのが確認できると思います。ピアノでいうと、白い部分が白い鍵盤です。薄い青色の部分が黒い鍵盤です。
 イ短調とはラを基準とした短調のことなので、ラの音から始めて白い部分に音符を打ち込んでいけばOKなのです。薄い青色――つまり#や♭は入らないので分かりやすいというわけです。

 一応、説明しておくと『ラ』と『イ』は同じ音を表しています。小学校で習ったはずですが、忘れたという人は以下の表をどうぞ。アメリカ式もコード進行を表す時に使ったりしますね。

フランス式ファ
アメリカ式
日本式

 なので、イ短調はフランスではラ短調、アメリカではA短調となります。
 素人目に統一しろよとツッコミたくなりますが、複数の外国から取り入れた弊害のようです。お陰様で日本の音楽教育が無駄に難しくなっていますね。

打ち込んでみる

 では、ラから始まるメロディを8小節ほど打ち込んでみてください。

 いきなり戸惑うかもしれませんが、まずはやってみることです。
 頭の中に浮かんだメロディを配置と演奏を繰り返しながら再現しましょう。思い浮かばなくとも、しょせんパターンは有限です。適当にやっていればそのうちできます。
 とにかく8小節です。8小節が無理なら、まずは4小節作ってそれをコピペして繰り返してください。ちょこっと修正すれば、8小節のメロディができあがります。
 始まりの部分なので、平坦で面白みのないメロディでも大丈夫です。返ってそのほうが後のサビとのメリハリがついてよいかもしれません。

20150101_music_4.png

 はい。僕も適当に打ち込んでみました。5分ぐらいで適当にパパッとやってます。画像が小さくて見づらいと思うのでクリックして拡大すると分かりやすいです。できれば真似しないで、自分なりのメロディを打ち込んでください。

 では、さらに後ろへ8小節を追加し16小節にします。とりあえず最初の8小節をコピペしてください。最後らへんだけ適当に変えて、一区切りついた感じにします。

20150101_music_5.png

 最後の3小節だけ変えてみました。
 そんなんでいいのかって言えばそんなんでいいです。音楽とは繰り返しです。全部の小節を一から打ち込む必要はありません。

 次にサビを作ります。また8小節追加です。

20150101_music_6.png

 盛り上がる部分なのでそれっぽくしましょう。さっきより音程が上がっています。楽器もそれまでとは変えてみるとよいかもしれません。
 後ろの4小節が前半4小節のコピペ改変だったりしますが、そんな感じで大丈夫です。音楽において繰り返しを多用するのは当たり前のことです。

 イ短調のままでもよいのですが、せっかくなので『ハ長調』に転調しています。といっても難しいことではなく、ドから始まるメロディにするだけです。イ短調と使う音階は全く同じです。イ短調とハ長調の相互の転調はよく使われます。

跳躍進行

 サビを盛り上げるコツは跳躍進行にあります。「ド→ミ」のように二音以上上がる進行を跳躍進行といいます。「ド→レ」「レ→ド」というような平坦なメロディばかりだと印象の強い曲を作ることは難しいです。
 盛り上がりに乏しいと感じたならば、大胆な跳躍を掛けてみましょう。

 どことなく明るく希望あふれるメロディになりました。これが長調に転調した効果です。

 これで最後です。サビの続きを8小節追加しましょう。こちらもコピペ改変でやってもいいですが、少し違うメロディにしてみました。

20150101_music_7.png

 これにて主旋律は終わりです。……といっても、ゲーム音楽ならループさせるのが普通なので、そこまで終わりっぽいメロディにする必要はありませんが。
 実際にループさせてみて、自然な感じになっているか確かめてください。

 ループのやり方は以下を参考にどうぞ。
 http://wikiwiki.jp/tkbsoft/?domino%2FFAQ#jf68742c

 上にも書いていましたがツクールで演奏する際に、ループさせるには『CC111(コントロールチェンジ111番)』なる命令をループの戻り位置へと挿入する必要があります。ウディタもCC111に対応してるらしいです。
 そこには書いてませんが、挿入する箇所は先頭のトラックである必要があります。『System Setup』を開いて挿入しましょう。
 また、CC111できちんとループさせるには、曲の終了位置を正しく指定している必要もあります。以下を参考にしてください。この辺の情報って意外と分かりにくいんですよね。
 http://mimikopi.nomaki.jp/midi/002/end/

 なお、ループさせた際は楽器や音量などの情報は初期化されませんので、ご注意ください。ループで戻ってきた位置より後ろにそれらの命令を挿入したほうがよいです。

 これが現段階での成果物です。まだまだ寂しい感じがしますね。次回以降で段々ゴージャスになるようにしていきますので、乞うご期待ください。
 TestField_MainMelody.mid

 あっ、忘れてましたがMIDIファイルの保存は『ファイル>SMF書き出し』で行います。
 普通に『上書き保存』や『名前を付けて保存』をした場合はdms形式で保存されます。これはDomino専用のデータファイルなので、打ち込み時の設定情報も含めて保存されます。制作時は便利ですが、他では演奏できませんので、ご注意です。

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【作曲講座】作曲の始めに

作曲の始めに


 基本的に初心者向けのことしか書きません。細かい理論は無視して、とにかく作ります。
 そもそも作者自身が素人に毛が生えたレベルで、プロの音楽家でも何でもなしです。体系的な音楽理論を学習したわけでも全くないです。ちゃんとした理論に付いて学びたいという方は、解説サイトが多数あるので調べてみるとよいかと思います。

 ただ、僕としては自分が素人上がりゆえに、初心者向けに分かりやすく伝えられる部分もあるのではないかと考えます。

※以下、いつもの通り長々と理屈をこねてますが、飛ばしてもらって『環境設定』に行ってもらっても構いません。

作曲は誰でもできる?


 さて、作曲というと、どのような印象があるでしょう? 天性の才能を持った人間のみにできる特殊技能という印象を持ってないでしょうか? ところが、実際にはそんなことはありません。作曲は誰にでもできる技能です。
 なぜ、特殊技能のように思われているかというと、単純に義務教育課程でやらないからです。絵や文章を書くことについては、学校である程度は学びますが、作曲はそうではありません。だから、「何から手を付ければいいかさっぱり」となるのも当然というもの。かといって、難しいというわけでは決してありません。

 「作曲は誰にでもできる」と僕が主張する理由の一つは、そもそも人間が好むメロディのパターンというものが、非常に限られているからです。
 ドレミファソラシの7つの音階に#(ピアノでいう黒鍵盤)が付いた音を加えて12音階。これに音符の長さが加わるから、非常に多くのパターンがあるはず!――とはなりません。実際には様々な制約があります。

 例えば、一つの調の中で使用される音階は7つが基本となります。それ以外の5つの音階は不協和音となるため、あまり使用されません。
 また、調が違うだけのメロディは、ほぼ同じメロディとして扱われます。要するに「ドレミファソラシ」も「ラシドレミファソ」も「ミファソラシドレ」も位相がずれただけの同じメロディというわけです。これは実際に「調が違うだけの曲はパクリ」と裁判でも判例があったりします。

 メロディは絵やストーリーのように無限のパターンが存在するわけではありません。理論の通りに作れば、それなりの曲はわりと簡単に作れてしまいます。
 壮大なオーケストラを作りたいというならばいざしらず、普通にゲーム音楽として恥ずかしくない程度の曲ならば、誰にだって作れるといってしまってよいでしょう。

 というわけで物は試し。「作曲には天性の才能がいる」なんて固定観念をぶち壊すべく、開始一日で、誰でもそれっぽいゲーム音楽が作れてしまう作曲術を考案してみます。本当に誰でもできるかどうかはともかく、なるべく簡単に手抜きできる方法にしてみました。

環境設定


 それでは作曲のための環境設定を行いましょう。普通のWindows環境ならば、たぶん大丈夫です。Macのことは知りません。もちろんフリーソフトだけで十分です。

 作曲ソフトを落とします。これがなければ始まりません。TAKABO SOFTさんから『Domino』という作曲ソフトを落としましょう。
 http://takabosoft.com/domino

 ちなみにこのソフトの作者たかぼー氏は、ドット絵制作の定番ソフト『EDGE』の作者でもあります。どちらも操作性のよさには定評があるソフトです。僕が個人的に尊敬してやまないプログラマーです。

 初期設定は以下のサイトなどを参考にしてください。なんという丸投げ……。でも使いやすい設定にすることは大事です。

 初心者になるための耳コピMIDI講座
 http://mimikopi.nomaki.jp/midi/000/n01/

 ひとまず『1.MIDI シーケンサ (Domino) の導入』〜『3.Domino を使いこなすための設定』辺りまでやってみてください。
 初期状態だと音も鳴りませんので、そこまでの設定は必須です。音源はとりあえず、上記のサイトにある通りWindows標準の『Microsoft GS Wavetable Synth』で設定しておけばよいと思います。しょぼくても今は我慢です。

 有用な情報の多いページなので、以降の手順も確認を――といいたいところですが、かなりたくさんあるので全部は大変です。
 当作曲講座では曲を作る楽しさを手っ取り早く覚えてもらいたいと思っています。以降の記事では曲を作りながら、最低限の操作を覚えられるように書いたつもりです。そのため、とりあえずはDomino上で音を鳴らせるまで設定ができたならば、次に行ってもらって構いません。

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posted by 砂川赳 at 06:19 | 作曲講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする