【RPGレビュー】ペルソナ5

2017年01月05日

発売元アトラス(公式)
機種PS4
発売日2016/09/15
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
100908080609080832016/09/29

質量/物語


 難易度ノーマルでプレイして、クリアまでたぶん80時間くらい。前作に負けず劣らずの長さ。
 PS3と4の両方で同時発売。PS4でプレイしたけど、3でも大差ないはず。

 高校生と怪盗――二つの仮面を持った主人公達が活躍する話。
 ストーリー重視の作品で、序盤の5時間はオープニングイベントとチュートリアル。わずかに戦闘があるだけ。
 それでいながら、ゲーム的にもどっしり重い。ペルソナ4と同じで、ダンジョンのクリアには1つ大体5時間ぐらいかかる。
 ともかく、基本的にはストーリーとキャラクターを楽しむ作品なので、それが合わなければまず楽しめない。けれど、合えば神ゲー間違いなし。

 ストーリーにミステリー的な要素が含まれているのは、前作と同じ。衝撃的なオープニングからどのように物語を導いていくのか、興味を惹かれる。
 ブラック企業とか、社会問題をネタにしていて色々と笑える。某地方議員ネタまであったりと充実。時事ネタはすぐに古くなるのがあれですが……。

 燃える終盤の展開。どこか半端な真エンディングがあったペルソナ4と比較すれば、終わり方もよいのではないだろうか。
 欠点を挙げるとすれば、ダンジョンが長すぎたり、快適性に難があったりで、ストーリーテンポがよくないこと。若干、空気っぽい仲間キャラがいること。
 それでも、気にならない程度には熱中できた。

 ダンジョン探索の合間に、キャラクターと仲を深めていくコープ(前作のコミュに相当)も存在。おっさん連中が渋い。
 今回も恋愛要素があるが、女性なら歳上含めほとんどの相手が恋愛対象に含まれている。担任の先生まで対象に含まれている事実に苦笑。

システム/バランス/快適性


 基本的な作りは前作ペルソナ4とほぼ同じ。
 戦闘面についての最も大きな変化は悪魔会話の復活。ペルソナ1〜2よりも単純だが、手間がかからないのは利点。
 その他にも、銃の再登場、属性の増加などもあるが、全体として大きな変化・進歩はなし。

  • 弱点を突いて総攻撃
  • 全体攻撃で一掃
  • ボス戦では補助魔法で強化しながら攻撃+全体回復

 ペルソナ3時代からやることは代わり映えしない。今回は特に先手を取りやすいため、戦闘のパターン化が著しい。中盤以降、ザコ戦の多くが先制攻撃からの1ターンで瞬殺できるが、そのぶん単調に感じるところも。
 もっとも、油断するとすぐにやられる緊張感あるバランスは健在。ペルソナ3、4と同じく主人公が戦闘不能になるとゲームオーバー。

 今作では、狭い通路が多く敵シンボルの回避がやりづらい。回避できないことはないが、ノロノロと動く敵シンボルが通り過ぎるのを、ジッと待つ必要がある。うっかり敵に奇襲された時のリスクが大きいため、やはり戦いを避けるのは難しい。

 このシリーズの例に漏れず序盤が難しい。ザコの魔法で全員が一気に瀕死となるなんてことも。
 序盤については、敵の強さ、SPの不足によるダンジョンからの帰還……など、シビアなバランスできっちり調整されている。
 中盤以降は技や装備が充実していって、難易度はやや低下。このシリーズは毎度ながら、全体回復魔法に頼り切りの戦闘になっていく印象がある。

 前作ではコミュレベルを上げても、利点が乏しいことも多かった。そこは今作のコープで改善。政治家と仲良くなると、悪魔交渉がうまくなったりと、キャラクターの特徴を活かした技能が充実している。

 気になったところでは、役に立たないアイテムや要素が大量にあること。例えば、アクセサリ類では比較的序盤から手に入るSP自動回復が圧倒的に有利。それ以外のものはほとんど使わなかった。
 アクセサリは二つまで装備できるとか、何かしら工夫があってもよかったのではないかと。
 ダンジョンが長いわりに成長要素・強化要素が乏しいので、どうしてもそこは退屈感がある。

 今回は難易度調整ができるようになった。
 このシリーズ、初代の時点からライトユーザに受けがよさそうなキャラゲーだが、ゲーム的にはヘビーユーザ向けだった。そういうミスマッチの解消のためにも、難易度調整はありがたいはず。

 ダンジョン(パレス)は過去シリーズと比較すると、かなり作り込まれている。前作ではランダム生成型のダンジョンになっていたが、今作は凝ったギミックのある固定ダンジョンに。
 その代わり、後半のダンジョンは何かと面倒に感じる部分も。
 似たような謎解きを工夫なく連続で使うのも×。なんせ、1ダンジョンに5時間とか当たり前のようにかかるので……。
 ランダム生成ダンジョンとして、今回は『メメントス』が存在する。しかしながら、わりと退屈な作り。メインストーリー用のダンジョンがあるので、こっちはもう少し短くしてもと思う。

快適性

 快適性が向上した部分としては、以下の通り。

  • コープの位置が地図上から一目瞭然になった。
  • ムービーのスキップやイベントの早送り機能が搭載された。

 演出に力を入れている分、快適性を損なっている部分も。大半は前作通りで、悪化した部分も。

  • 画面切替の時間(特にベルベットルーム)
  • 日数経過の演出時間
  • 戦闘終了画面の表示に約10秒
  • 総攻撃の演出時間
  • くどいパラメータアップ演出
  • それ以外にも全体的に色んなところでウェイトが
  • リセットしたい状況でも、ソフトリセットなし。データロードできるタイミングまで待つ必要あり。
  • 飛ばせないロゴがたくさんあって、ゲームの起動に一分近くかかる。

 スキップできてもよいと思うものが多々あり。まさかPS4にそこまでのロード時間は必要ないはず。この辺の快適性は一昔前の水準に留まっている。
 この辺を改善したら、プレイ時間をあと5〜10時間は減らせると思う。

美術


 グラフィックはPS2に毛が生えたぐらいの水準。それでも、独特のセンスが至るところに発揮されている。戦闘終了画面の表示なんて、本当にオシャレ。……10秒もかかって、鬱陶しいけど。

 ダンジョン探索時および戦闘時は、怪盗姿に変身して行う。ただし、個人的には怪盗姿がちょっと微妙なキャラも……。

 今回から敵シャドウがペルソナ(悪魔)と同一になった。3〜4のようなキモい敵でなくなったのは、旧来のシリーズファンには嬉しいところ。
 ボス戦もそれぞれ個性を発揮していて見栄えがいい。

音楽


 相変わらず独特のセンスを発揮。
 前作、前前作と比較したら通常戦闘の音楽が印象に残らなかったかも。でも、ボス戦曲はそれなりにお気に入り。
 予告状出した後の決戦曲も怪盗団のテーマという感じでよい。

 気になったのはメメントスの音楽が地味&陰鬱すぎること。ダンジョンの退屈さも相まって、これは気が滅入った。3のタルタロスも似たような感じだったけれど。

まとめ


 プレイしてみての感覚はペルソナ4とほとんど変わらない。良いところも悪いところも大体そのまま。4が好きだった人にはオススメして問題なし。逆もまたしかりで、4が合わなかった人にはまず確実に刺さらない。

 丁寧に作り込まれたゲームであることは間違いない。けれど、ゲームシステムとしての進化は小さい。それこそ10年前の水準といってもよいかも。
 それでも、安心して遊べるゲームであることがありがたい。
posted by 砂川赳 at 20:02 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】ファイナルファンタジー15

2016年12月03日

発売元スクウェア・エニックス(公式)
機種PS4
発売日2016/11/29
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
807070606010080742016/12/02

質量/物語


 自分の場合、難易度はノーマルでクリアまで32時間ほど。
 それなりにサブクエストをやったり、道に迷ったり、ボス戦に苦戦したり、イベントで手間取ったりした上でのクリア時間。シリーズの過去作品と比較しても、メインストーリーは短いように思う。
 ただサブクエストは豊富に存在するので、やりこめばもっとかかるはず。逆に難易度イージーでサクサク本編を進めれば、初回でも二十時間を切りそう。

物語

 滅ぼされた王国の王子ノクティスが、三人の仲間と力を合わせ、帝国と戦うために立ち上がる。
 ノクティスは帝国と戦う力を手に入れるため、十三の武器を集め、六神(過去作の召喚獣に相当)の加護を得るために、旅をするのであった。
 ……と、これだけ書くとわりと王道なストーリー展開。FF12にも設定がよく似ている。
 特徴的なのは、ほとんどの場面で固定された男四人旅であること。女性キャラはスポット参戦のみ。
 さらには自動車で旅をするというのも特徴的。ベタなファンタジー設定との組み合わせもあって、どことなくシュール。

 FF13と同じで、進行度によって物語の印象がガラリと変わる。
 前半は数人で帝国の基地に殴り込んだり、お使いイベントをこなしたり、十三の武器を探したりと、ゆるいノリで進んでいく。
 始めて行く場所などでは、仲間達が色々と掛け合いをしてくれる。他愛ない内容も多いけれど、それがいっそう冒険感を高めてくれる。
 どちらかと言えば、サブクエスト重視のゲーム。メインストーリーそっちのけで、旅をするのが面白い。

 そこまでのオープンワールド的な雰囲気はよくできていて、ここまでは神ゲーっぽく見えなくもない。かくいう僕も「これから壮大なストーリー展開が!」と思っていました。
 ……が、途中から一気に話が収束に向かっていく。ストーリーも急に一本道へ。

  • これからヒロインが大活躍かと思ったら、そんなことはなかった。
  • 帝国の幹部と熾烈な戦いを繰り広げるのかと思ったら、そんなことはなかった。
  • 一時加入したサブキャラが、後半にまた活躍したりはしなかった。
  • 十三の武器は別に集めなくてもよかった(サブイベントで回収可)。
    じゃあ、何のために最初集めさせたの?
  • そもそも、本筋に深く関わる人物が全体で十人もいないような……。

 というように、FF13を彷彿とさせるような尻すぼみ。
 しかも、後半はストーリー的にもゲーム的にもプレイヤーのメンタルにダメージを与える展開が続く。天下のFFでよくこんなのをやったなと、良くも悪くも感心してしまう。

システム/バランス



戦闘

 今作の特徴として、アクション型の戦闘が挙げられる。
 FF12のように見た目がアクションっぽいというだけではなく、れっきとしたアクション戦闘。
 ○ボタンを押しておけば自動的に近くの敵に攻撃してくれるので、そこは簡単。
 回避や防御もしっかりと効果がある。プレイスキルの差はそれなりに出るはず。

 特徴的なのは、主人公ノクティスの特殊能力シフトブレイク。武器を投げた場所へ瞬時に移動することができる。遠方の敵へと一気に攻撃をしかけられるのは、なかなか気持ちがいい。
 今回の魔法は個数消費となった代わりに、威力も強力となった。強力な魔法を手にして、サブクエストの強敵に挑む自由度もある。

 ただし、不満点もそれなりに。
 まず、アクション戦闘特有の『何をやってるのか分からない感』があること。
 数が多い雑魚戦や、動きの派手なボス戦では、何をやっているのかわけが分からなくなりやすい。普通に戦っていると、いつの間にか攻撃を喰らってしまう。
 加えて、仲間の操作はAI任せで指定できない。敵の大技を回避しようとせず、あっさり喰らってしまうのには弱った。
 結果、たどり着いたボス戦での戦法は、遠距離からチクチク攻撃。仲間がやられるのは諦めて、回復アイテム連打でゴリ押し。
 なんせこのゲーム、回復アイテムの使用制限はかなりゆるい。金で集めた回復アイテムで粘り、ゴリ押しすればなかなか全滅しない。もちろんテンポは悪く、アクション性は台無し。
 古臭いコマンドバトルのRPGにはありがちな調整だけど、何もそんなものまで持ち込まなくても……。と、結果的にコマンドバトルの悪いところと、アクションバトルの悪いところを合わせてしまったような印象を受けた。

 難易度はノーマルでも結構高いので注意。敵の一撃がかなり重いので、適当に突っ込むとすぐにHPがなくなる。
 アクションが苦手な人や、スムーズに進みたい人は、素直にイージーを選んだほうがいいかも。
 というか、敵が強くなるほど回復アイテム連打によって作業的になってしまう。これなら、別にイージーでもよかったかなと……。

冒険

 戦闘は置いておくとして、このゲームの魅力はと聞かれれば、オープンワールド的な自由度だろう。
 序盤から様々なサブクエストをこなしたり、メインストーリーには関係のないダンジョンがあったりと盛りだくさん。
 写真や釣りなどのおまけ要素も充実している。

 ただ上述した通り、後半は一本道になってしまう。
 ※一応、『神秘の力で過去に戻る』的なシステムで、オープンワールドのマップに戻ることは可能。
 そして、この一本道が何とも窮屈。
 特に問題となるのが十三章のダンジョン。『長い』『暗い』『不自由』の三重苦。
 細い道を長々と進ませるような作りで、ストーリー的にも陰鬱。道中では数時間に渡って主人公一人で突き進まねばならない。しかも、途中までは能力制限がかかり使用できないアクションがある。
 それまでのゲーム性を否定するような作りで、楽しいとは言えなかった。これ一つで自分の中での作品評価は一段階下がってしまった。

快適性


 まず気になるのはロード時間。
 ゲーム開始時、全滅ロード時、章が進行した時などに一分程度のロードを行う。
 その代わり、シームレスなので戦闘時のロードはない。町やダンジョンとフィールドもそのまま繋がっているため、入る時でもロードがないのはスムーズでありがたい。
 また、車での移動が多いゲームだけれど、その時間がけっこう長い。大した操作はできないので、基本的には放置。一分以上放置はザラ。一度行った場所はスキップ可能だが、これもそれなりにロード時間がかかる。
 サブクエストを行う場合、上記の理由から、ロードや車の運転時間が頻繁に入ってくる。操作できない時間がたくさんあるので、気が短い人には辛いかも。

 もう一つ気になったのは、文字が小さくて見にくいこと。
 とても目が疲れる。セリフについては、ボイスを聞けばだいたい分かるが、様々な表示が小さいので困る。背景が白いと溶け込むことも。
 例えば、敵のレベル表示が小さくて見極めづらい。Lv25かと思いきやLV35だったりで、戦ってよいかどうかの判断が難しい。
 1.5mもTV画面から離れれば、視力1.5でも不自由する。ワイヤレスコントローラーでの寝転がりプレイがやり辛かった。

 他に気になったことをまとめると……。

  • 地図も表示が小さくて見づらい。特に高低差があるマップだと、どこが移動できてどこができないのかが分からない。
  • 所々に見えない壁がある嫌らしいマップ。低いフェンスを飛び越えられず、回り道をさせられることも。
  • ○ボタンに操作を集約しすぎで、誤操作が頻発した。道具を拾う、武器を振る、ダッシュなど。
  • 町やダンジョンなど場所によっては移動速度が低下する。いちいち○ボタンでダッシュするのが面倒。

美術


 このシリーズらしくグラフィクは一級。
 マップの隅々から料理までが作り込まれたグラフィック。車での移動中に風景を眺めているだけでも、わりと退屈しない。
 正直、ここまで長い開発時間をかけて作り込む必要があったのか――というツッコミは置いておいて。

 欠点を言えば、戦闘が乱戦気味で見た目にも美しくないこと。
 ダンジョンでは暗い画面が多いこと。ホラーゲームのような暗いダンジョンがいくつもあって、特に十三章は演出がもろにホラー。正直、辛かった。

音楽


 FF10や13のように強烈な印象を残すことはないけれど、地味に良曲あり。
 メインテーマ的に使われているフィールド曲や、後半通常戦闘曲が特にお気に入り。
 もっとも、フィールドや戦闘の曲は何らかの基準でコロコロ変わる。後半は怖い戦闘曲が流れまくるのでちょっと嫌。

総評


 色々と不満はあっても、前半部は十分に良ゲーだった。オープンワールド好きなら何十時間と楽しめるはず。
 しかし、後半はその好印象を一転させてしまう急転振り。
 『本編なんておまけ、メインディッシュはサブクエスト』という考え方もあるけれど、おまけと見なすにも本編後半が重苦しすぎて……。

 単体のストーリーとしては、終盤の重苦しい展開も一つの味と見なすこともできる。説明不足とはいえ、個人的にはそこまで悪いシナリオだとも思わない。
 けれど、オープンワールドとしての楽しさを殺してしまっているのも事実。どうにもゲームデザインが一貫していない印象を受けてしまった。
posted by 砂川赳 at 10:59 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】ロマンシングサガ2

2013年09月14日

発売元スクウェア
機種SFC
発売日1993/12/10
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90809080708090831993/12頃

物語


 皇帝と七英雄の戦いという流れで、話の筋がしっかり通っている。ロマサガ1・3では、何だか良く分からないうちにラスボスと戦うことになっていたけれど、それと比較して戦う目的が明確。
 そして、フリーシナリオによる自由度が高く多彩なストーリー。自由度は高いけれど、七英雄を倒すという目的がしっかりしているので、「何をすれば良いのか分からない」となって戸惑うことは少ないと思う。自由度がありながらも、放置では無く目的がしっかりしているというバランスが肝。

 『運河要塞』『カンバーランド』『地上戦艦』など、複数の展開・解決策を持ったイベントが多くある。『冥術』『皇帝コッペリア』など、隠し要素も豊富。普通に一度やっただけでは逃してしまいそうな要素の数々が魅力的。

システム/バランス/快適性


 『継承』『陣形』『閃き』など多くの新システムが登場。
 『新システム』と銘打ったものは奇抜なだけで別に面白くも何ともないというのは、ありがちな話。しかし、この作品ではそれらのシステムが確実に面白さにつながっている。特に『陣形』『閃き』などは、以降のシリーズ作品でもお馴染みの要素となった。

 ボス戦は非常に手応えがあって、特に様々な個性を持った七英雄との戦いが熱い。
「サガシリーズといえばボス戦」というイメージがあるけれど、ボス戦重視が明確に打ち出されたのは今作が初めて。その意味でも、サガシリーズのゲームデザインを決定した作品といえる。
 ただし、ラスボスが異常に強く、消費は大きいが敵の動きを止める『クイックタイム』によるハメ殺しで倒すのが定番になってしまっている。正攻法で戦うと普通のゲームの裏ボス以上の難易度になるので難しい。補助技を使いこなせば倒せるらしいが、筆者はやったことが無い。

追記(2017/9/12)

 今更ながらラスボスを正攻法で撃破したので、ひっそりと追記。
 戦法は最初の数ターンで補助術を全員にかけて、強い技で攻撃するだけ。何度か試してみたけど、回復を縛っても高確率で勝てるほど。極端なレベル上げも不要で、今までの苦労が不思議なくらいだった。

 そうして分かったのは、ロマサガ2の難易度を上げているのは隠しデータの多さと不親切さ。

  • 装備の表示性能と実態が一致していない。防御力1の装備品が高性能だったりする一方で、最強の帽子のように表示だけは優秀な罠装備まである。
  • 弓や小剣のように育てても強くならない武器がある。また、後半のボス戦で実用に耐える攻撃術は二つしかない。水、風、地の術レベルをいくら上げても攻撃役としては不足。
  • キャラクター毎に閃ける技が決まっている。剣が得意と自称しているキャラでも、線斬りや残像剣すら閃けないことがある。最後まで半端な技で挑まされる可能性も。
  • 後半は術が重要になるが、中盤まではまともな攻撃術がなく育てるのが大変。補助術は強力だが、そもそも効果に気づかない可能性も。
  • 陣形効果も秘密だらけ。例えば、一見強力なラピッドストリームだが、先制の特性を除けば能力補正は最悪。何も考えずボス戦で使うと難易度が上がる。

 さらにラスボス戦では……

  • 特定の技の見切りがほぼ必須だが、プレイスタイル次第では持っていない可能性も。
  • 術の開発や装備の量産化には、時間経過が必要。ラスボス直前になってはもう手遅れ。
  • 混乱や魅了による同士討ち対策として、全体攻撃技は封印しておく必要がある。これによりラスボス戦で実用に耐える攻撃術はクリムゾンフレアのみとなる。

 というように罠のオンパレードになっている。
 逆に言えば、仕様をある程度理解していれば、ロマサガ2はそこまで難しいゲームではない。これまで、ラスボスは強すぎるのではないか――と、思っていたのだけど、ゲームシステムの理解を前提にすれば、これぐらいが妥当と制作者が考えたのも納得できた。
 もっとも、さすがに制作者も反省したらしく、ロマサガ3ではこれらが大幅に緩和されている。

 以上、追記終わり。


 今作もシンボルエンカウントを採用しているが、前作『ロマンシングサガ』のようにうじゃうじゃと敵がいるわけでは無いので安心。シンボルエンカウントゆえの快適感を、まともに感じられるようになったのはこの作品から。

 また、戦闘終了後にHPが全回復するようになったのも、この作品から。代わりに導入されたのが『LP』。HPが0になる度にキャラが保有するLPが減り、0になるとキャラが消滅する。といっても、それほど厳しい制約では無い。実はGBの初代魔界塔士サガに似たようなハート制というものがあったので、復古という感じである。

 高めの難易度ながら、『どこでもセーブ』『Xボタンで町から脱出できる』などの親切設計も目立つ。個人的には「難しい作品ほど親切であれ」と思っているので、これはありがたい。
 なお、どこでもセーブにありがちな欠点として、ハマりが挙げられる。しかし、この作品では基本的に全滅しても『継承』によって、別のキャラに皇帝の座を引き継ぐことができる。ゲームオーバーにはならないので、ハマリの危険性は少ない。ただし、ラスボス手前でハマり(裏技的に脱出可能)があるので注意。

 気になったところでは、戦闘テンポが意外と悪いところ。いちいち技名やダメージ表示に間があるので、時間がかかる。当時、気にならなかったのは短期決戦型の戦闘バランスのお陰かもしれない。
 また、年代が進むごとにパーティーを1から再編成する必要がある。今回はどんな構成にしようかというのは楽しい悩みでもあるけれど、面倒なのも確か。
 特に術を習得する度に、メニューが閉じる仕様は時代を考えても劣悪な操作性。装備の開発を行うためには、城内までマメに戻る必要があったりと、今にしてみれば面倒なところは多い。

音楽


 伊藤賢治氏は戦闘曲に定評あり。後の作品と比較すると、戦闘曲の数は少ないが安心のクオリティ。手応えのあるボス戦を大いに盛り上げる。評価が最も高いのは七英雄戦だろうか。「このボスは今までのザコとは違う」というプレッシャーも得られて印象深い。

まとめ


 難易度はやや高めなのだが『どこでもセーブ』『シンボルエンカウント』などで快適設計がされている。なので、難易度の割りにはそれ程の疲れは感じない。ゲーム性重視のプレイヤーなら、やっておくべき作品。
posted by 砂川赳 at 06:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする