【RPGレビュー】英雄伝説 閃の軌跡

2017年01月08日

発売元日本ファルコム(公式)
機種PS3
発売日2013/09/26
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90908070709090832015/05/23

質量/物語


 学園モノとなった軌跡シリーズ。PS3版とPSVita版が存在するが、PS3版でプレイしている。
 サブイベントをほとんどこなした上で、クリアまで約70時間。

 主人公リィンと仲間達は学園生活を送ったり、実習で遠出したりしながら様々な問題を解決していく。
 基本的にはストーリー重視のキャラゲー。ゲーム進行の仕組みなどを含めて、ペルソナ3以降に感覚が近い。
 限られた行動機会でキャラクター達と絆を深めていくことができる。……凄くペルソナっぽいです。

 イベント進行の合間に仲間と会話できるようになっており、仲間とその関連人物を追っているだけで何となく楽しい。
 舞台は学園なので、サブクエストで関わるモブキャラにも部活などの特徴ができた。クエストの内容もその分、印象に残りやすくなっている。
 モブキャラの数は減ったが、それでも十分多い。むしろ、前が多すぎた気がするので個人的にはちょうど良かった。

 終盤の展開は、ミステリー的などんでん返しもあって驚き。こういうのは個人的に好み。
 そして、過去の軌跡シリーズもそうだったけれど、話はきっちりと終わらず続編に続く。零の軌跡程度には区切りをつけて欲しかったけれど、そうはいかず。
 自分は知った上でやったから気にならなかったけど、知らずに半端なエンドを見た人は腹を立てるかも。

 過去シリーズからの既存キャラは比較的少ないので、この作品からシリーズに入るのもよさそう。ただし、零&碧の軌跡と時系列が同じで関連もある。やっぱり既プレイに越したことはなし。

システム/バランス/快適性


 PSVitaの初期バージョンはそれはもうロードの長さが酷かったらしい。
 PS3のver1.03でプレイしたが、さほどの不快感はなく、一応は快適といえるレベル。戦闘開始まで7秒。マップの切り替えに3〜5秒程度なので、そんなに気にならないはず。

 移動速度は速め。Rボタン押しっぱなしでダッシュできるがかなり速い。マップから主要な地点まで移動できることもあって、移動のストレスはかなり抑えられている。
 おなじみのクエストは面倒なものがやや減った。
 少なくとも「魔獣を倒しまくれ!」とか「クリアしたダンジョンの奥までもう一度行け!」みたいなものは減ったように思う。
 3章のノルド高原だけちょっと面倒かも。広めのマップを馬に乗って、行ったり来たりさせられる。といっても片道数分〜5分程度だけど。

 戦闘に関しては、とにかく味方が恩恵を受けられる要素が多い。装備や技が整う中盤以降は、ザコ戦で敵を一方的にボコれる。強力な広範囲技がたくさんあるので、どの敵を先に倒すかといった戦術もあまり考える必要もなし。そんな具合なので結果的に敵の印象は薄くなりやすい。
 ただし、ヌルゲーと思って油断すると落とし穴がある。どうも味方のインフレに対抗するためか、敵の攻撃もインフレ気味。2〜3発攻撃を喰らっただけで戦闘不能に陥ることも。
 後半のボスは一撃でこちらを全滅寸前に追い込むことがあるので、油断すると一気に苦戦する。

 3Dになったけれど、戦闘テンポ上の問題はないはず。技を使ってもキビキビ動く。攻撃の強さもあって、過去のシリーズ作品より改善された印象を受けた。
 戦闘アニメはカット可能。カットしても1秒程度の暗転が入るので、短い技だとあんまり意味なかったり。

 パーティメンバーはたくさんいるが、ストーリーの都合である程度までしか自由が効かない。キャラが多いので、こうでもしないと使う機会がないという考え方も。

 シリーズ当初からのシンボルエンカウント形式。
 狭い道が多いので、敵を避けるのが難しいこともあるが、そこまで敵が多いわけではないので、さほどのストレスにはならないはず。

 魔法習得のルールがグッとシンプルに。過去作では複雑さゆえに返って選択肢が狭まるところがあったので、個人的にはこれでよかったと思う。

 毎度ながら、期間限定要素を取り逃がさなかったことに報酬を与えるようなゲーム。コンプを目指すとストレスになることもあるので、どこまでやり込むかは考えておかないといけない。

美術


 PS3にしては大したことない部類とは思うけれど、個人的にはこれだけあれば十分。戦闘はキビキビ動くし、技や魔法も派手。
 キャラクターは表情なども表現されている。過去作のちびキャラを思えば、よくここまでやったなあと感心。

 背景のグラフィックな大幅に向上。世界設定が丁寧に練り込まれている作品なので、国や町毎の特色も表現されている。
 広大なノルド高原を馬で駆け抜けるのも気持ちが良い。

音楽


 安心のファルコム音楽。フィールド曲から戦闘曲まで安定している。
 オープニングのミッションで流れる曲やノルド高原で流れる曲がお気に入り。

総評


 発売当初はロード時間の長さなどで不評を浴びた作品。ただアップデートで改善されてからプレイしたため、問題は感じなかった。

 良くも悪くもストーリー偏重なので、「ダンジョンや戦闘が一時間以上ない」なんて状況は当たり前。戦闘周りの出来も決して悪くないけれど、基本はストーリーやキャラクターを楽しむゲーム。そこが楽しめない人にはハズレだと思う。
 過去作のファンからはやや不評な印象があったのだけど、戦闘もストーリーも個人的にはこのシリーズでは一番楽しめた。
 半端なところで終わるストーリーだけが問題で、続編の2になってもキリがつかないという……。
posted by 砂川赳 at 09:49 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】メタルマックス2: リローテッド

2017年01月07日

発売元角川ゲームス(公式)
機種NDS
発売日2011/12/08
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90808080708080802015/03/21

 SFCにあったメタルマックス2のDS版大幅リメイク。筆者はSFC版未プレイで、序盤をちょっと見ただけ。
 SFC時代はそこそこ有名タイトルだったと記憶しているけれど、リローデッドはその1/5程度しか売れてない模様。評判はよいし、完成度は素晴らしいのでもっと売れてもよさげ。

質量/物語


 悪の組織『バイアス・グラップラー』に母親代わりの女性を殺された主人公は復讐の旅へ出る。
 ……というのがあらすじだが、自由度は高い。
 クエスト(サブイベント)はとてつもなく豊富で、よくある無味乾燥なお使いばかりではなく、イベント内容も多岐に渡る。
 僕の場合、それなりにサブイベントもやってクリアまで42時間だった。

 全体的に行動を成約する要素が少ないのが好印象。
 本編の内容は絞られており、ごく一部のダンジョン&ボスが必須なだけ。プレイヤーの行動範囲は広く、色んな場所にどんどん行ける。
 四天王を始めとして、必須イベントのボスは個性豊かで手強い。サブイベントで強化したキャラクターや戦車の力を存分に発揮できる。

 この種のクエスト系で、まともに面白いものを久々に見たような気がする。こういう自由度の高さは個人的にも見習いたいところ。

システム/バランス/快適性


 SFC版とは別物に近いレベルで追加要素がある模様。元祖、お尋ね者システム(賞金首)を搭載したシリーズだけど、お尋ね者の数はSFC版の二倍とのこと。

 このシリーズの最大の特徴は『戦車』という一点に尽きる。人間と戦車を切り替えながら、戦っていくことになる。戦車に武器を積んだり、改造したりとカスタマイズ性は高い。
 ちなみに、戦車と書いたけれどバイクなども存在する。作中では『クルマ』として総称されている、

 戦闘はテンポよく進む。オプションでスピードを変えられるけれど、初期設定でもかなり速い。
 お尋ね者を始めとした強敵との戦いが熱い。玉砕覚悟で格上の敵を狙うか、確実に勝てそうな相手を選ぶかはプレイヤー次第。戦闘バランスは大味なところもあるのだけど、その分、ギチギチに制約されることもなく、自由度につながっているとも言えそう。

 序盤のゲームバランスは良好。ただ、中盤以降はアイテムの過剰入手が気になってくる。『敵のドロップ』『イベント報酬』『宝箱』『お店』など色んなところでアイテムが手に入るので中身が頻繁にかぶる。「この装備前も手に入れたな」「既に持ってる装備のほうが強いな」みたいなのが多くなってくる。
 同じような理由で序盤は金欠だったのだけど、中盤から意外と金が余った。賞金首を倒したり、アイテムを売ったりで儲ける手段も非常に多いため。

 強いボスも多いけれど、簡単に経験値を稼ぐ手段があるため、そんなに困らないはず。特に亀(スローウォーカー)は簡単に倒せるわりにやたら経験値が高い。はぐれメタル的なポジションだと思うけれど、こんな簡単でいいんですかね?

 システムの複雑さゆえに、操作周りは結構煩雑。致命的な部分はないのだけど、細かいところで手間がかかる。

  • 町中を移動するのに、クルマのマメな乗り降りが必要。
  • 全滅時の蘇生やクルマの回収は一人(一台)ずつ。
  • 昔のゲームのように何かと細かい確認メッセージが表示される。しかし、システムは今時のゲームのように複雑で手間がかかる。
  • クルマ改造のルールが複雑。特にシャシー改造。

 一番気になったのはクルマの重量制限。装備が重量制限を超えた場合、タイル(HPに相当)を外さなくてはならない。この調整が結構手間。
 ……と思ったら、牽引車に荷物を持たせれば重量制限は関係なくなるので解決。……って、牽引車だからって重量を無視できるというのは、理屈としておかしくないか? いえ便利なんで結構ですが。
 僕は気づいたからよかったけど、この方法に気付かない人は、結構イラつくんじゃないかなあ。

美術


 元々はSFC初期の作品で、キャラグラが寂しい感じだった。なんせ、16×16のファミコン並サイズだったので。
 そのキャラグラもリローデッドになって、随分と綺麗になった。イラストも各職業ごとに男女があってよいと思う。

 バンバン撃ち合う戦闘も爽快。敵がアニメーションをするのも良。

音楽


 SFC時代から評判だった賞金首戦が人気。
 四天王戦の曲は追加曲だそうで。
posted by 砂川赳 at 10:05 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】テイルズオブベルセリア

2017年01月06日

発売元バンダイナムコエンターテインメント(公式)
機種PS4
発売日2016/08/18
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90708080708070772016/09/08

質量/物語


 グレイセス以来久々にやったテイルズ。PS3との同時発売だけど、PS4版でプレイ。
 前作に当たるゼスティリアは未プレイ。ベルセリアのほうが過去の物語なので、さして問題はない――と思う。少なくとも、知らない話がたくさん出てきて嫌になるということはなかった。
 クリアまでそれなりにサブイベントをこなして50時間ぐらい。

 シリーズ初の女性単独主人公。
 勧善懲悪ではなく、主人公が復讐に取り憑かれた悪寄りという異質な物語。結果的に町を壊滅に追い込んだりと、やりたい放題。これはこれで新鮮さがあっていいかも。
 ただし、後半はけっこう痛々しい展開が多くてちょっと辛かった。ヴェスペリアみたいな冷静な主人公かと思いきや、どんどんヒステリックになっていくので……。終盤はなんとか持ち直してよかった。
 とはいえ、基本的にはいつものテイルズオブ。ラスボスとの対立軸といい、エンディングの展開といい、過去のシリーズ作品とどこか似通っている。

 全体的にストーリーテンポはゆったり。
 1つ1つのダンジョンがやや長め。通り過ぎるだけのマップも多め。おつかい的なイベントも意外と多い。
 そのせいか、それなりに劇的なストーリーのはずなのに、中だるみを感じてしまった。

 フィールドに相当するものはなく、基本的には地図上から行き先を選択するのみ。(街道などの屋外マップがいくらか存在する。)
 空の乗り物もなし。行き先はストーリー中のほとんどの時点で制限される。多少の寄り道はあるものの基本的には一本道+αといったところ。

 戦闘勝利時のボイスが少なめ。序盤から「もうそのセリフは聞き飽きたよ」のオンパレード。過去のシリーズ作品だと、ストーリー進行に応じて変化があったりと凝っていたはず。

システム/バランス/快適性


戦闘システム

 通常攻撃は存在せず、ボタン一つで技が発動できる。グレイセフfではボタン二つだったが、今回はボタン4つに対して術技を割り当てていく。
 簡単に術技が発動できるので、シリーズ初心者にも易しい。
 反面、ボタン連打でわりとどうにかなってしまうところも。
 主人公のベルベットは強いのだけど、ゴリ押し向きなので単調になりがち。色々とキャラを変えてみるとよいかも。

 難易度はほどよいところだが、時々手強いボスがいて苦戦することも。とはいえ、アイテムを使いながら粘っていれば、どうにでもなる程度かと思う。

強化システム

 ヴェスペリアとほぼ同様のスキル習得システム。装備を身につけて戦闘を行い、ポイントが溜まると付属したスキルが入手できる。
 6人6部位で合計36の装備を管理する必要がある。装備の頻繁な入れ替えが必要となるので、やっぱり結構面倒くさい。

 今作にはグレイセスfと同様に、素材を使用した装備強化システムが存在する。……が、上述のスキル習得システムと噛み合っていない。
 多くのスキルを習得するには、装備をコロコロ変える必要がある。……ということは、強化した装備もすぐにお役御免になってしまう可能性が高い。
 グレイセスfでは称号にスキルが紐付いていたので、この問題が発生することはなかった。ここはもうちょっと考慮があればよかった。

  • 敵を倒せばどんどん良いアイテムを落とす。どんどん術技を覚える。どんどんスキルを習得する。
  • 宝箱を開ければどんどん良いアイテムが手に入る。
  • 店に入れば良いアイテムが売っている。お金はほとんど不足しない。

 至れり尽くせりなんだけど、返ってメリハリに乏しい。見た目が派手なわりに、意外と考えることがない――というのは、このシリーズではよくあること。もうちょっと、プレイヤーの飢餓感を煽ってもいいと思うのだけど。

快適性

 道端に細かくアイテムが落ちている。宝箱以外は大した物があるわけではないのだが、個人的にはちょっと面倒だなと思った。
 今作の収拾要素である『ねこスピ』&『ねこにんボックス 』は、手間がかかるわりに報酬が乏しい。景品は衣装などの装飾品がほとんど。しかも色物系ばかり……。

 致命的なものはないけれど、こういった面倒な要素がところどころに存在する。内容的にはプレイ時間を2/3に縮めたほうがちょうどよいぐらいかも。

 序盤の移動速度は遅め。アイテムの入手に従ってある程度は高速化する。高速移動できる乗り物(レアボード)も存在するが、登場が中盤以降となる。

 サブイベントの発生場所をマップで示してくれるので親切。サブイベントを探して、町中を動き回る必要はなくなった。
 このシリーズにしては、取り逃し要素も控えめ。サブイベントのマップ表示と合わせて、攻略情報を見なくともプレイしやすいのはありがたい。

 ロード時間などの問題は皆無。恐らくPS3版でも大差ないと思う。

美術


 PS3との同時発売だけあって、PS4だからといってグラフィックが物凄く強化されているわけではない。ヴェスペリアやグレイセスFと大差なし。
 にぎやかな戦闘とかが魅力のシリーズなので、そういうところが堪能できればそれでいいんでないでしょうか。

音楽


 イベントシーンでメインテーマ的に使われる曲が良好。※PS4でゲーム起動選択時に流れている曲のこと。
 しかしながら、全体的にはかなり印象が薄かった。というのも、初期状態ではかなりBGMの音量が抑えられて、ボイスばかりが目立つようになっている。特に戦闘曲は、完全にボイスに負けてしまっていた。
 一応、BGMやボイスなどを各5段階で設定できる。が、色々と音量設定を変えてみても、バランスの悪さは拭い切れなかった。
 ボイスを3段階目にしたところ、イベントシーンでは静かすぎ。戦闘シーンではうるさすぎだと感じた。
 しっかり聞いてみれば、曲自体は悪くない……かも。

総評


 間違いなく良作なのだけど、あくまで良作止まりという印象。ストーリー的にもゲーム的にも、ヴェスペリアやジアビス程のインパクトは残らなかった。
 自分でも不思議なくらい印象に残らなかったのはなんでだろう。過去シリーズとの差別化が乏しいせいですかね。
posted by 砂川赳 at 09:01 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする