【RPGレビュー】デュープリズム

2017年01月11日

発売元スクウェア
機種PS
発売日1999/10/14
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
60807070708070712015/01/04

 旧スクウェアのやや知名度が低いながら、密かな人気を誇る良作アクションRPG。今はPS3のダウンロードによって、600円強でプレイ可能。便利な世の中になったものです。

質量/物語


 二人の主人公が『遺産』を求めて冒険する。
 一緒に暮らしていた女性を助けるために遺産を探すルウ。傍若無人の振る舞いの果てに、国を追放された王女ミント。この片方を選択してプレイする。

 特にミントのキャラがハジケていて面白い。目的は世界征服。自分の欲求のままに遺産を手に入れようと、迷いなく突き進む様は爽快。世の中、優等生主人公ばかりでは面白くない。たまにはこういうキャラクターもいないと。
 その他にも個性的なキャラクターが多数登場。様々な場面で二人と関わってくる。

 冒険できる町は一つのみで、プレイ時間はそんなに長くない。二人合わせても、20時間足らずといったところ。ストーリーもダンジョンの内容も大半が被っているし、ラスボスも同じ。
 とはいえ、少しだけ展開が違うし視点の違いは面白い。真面目なルウ編に対して、ミント編はコミカルなので落差に吹き出す。両方をクリアすると、エンディングに追加シーンあり。

 どことなく、ダーククロニクルと雰囲気が似ている。少年少女のコンビな上に、デザインもやや似。もちろん、こっちのほうが先発。

システム/バランス/快適性


 基本的には走って、跳んで、殴ってのオーソドックスなアクション。RPGらしく、能力の強化手段も存在するので、苦手な人でも戦闘はどうにかなる感じ。

 ルウは魔物変身。ミントは魔法が使用できる。それぞれ、使用できる能力に応じた謎解きがある。
 ただ、もう少し戦闘においても、能力を活用する機会があれば面白かった思う。特にルウの場合はボス戦でも、変身なしで通常攻撃というのが多かったので。

 ミントの魔法はルウの変身より強く、こっちのほうが使いやすい。
 魔法の種類はたくさんあるけど選択は少し手間。○ボタンを押しながら、『色』と『効果』の組み合わせを上下左右で切り替えてから、△ボタンで発動――という手順はさすがに複雑か。

 強いボスというよりも、倒し方のよく分からないボスに苦しめられた。ラスボスはどうやってダメージを与えればよいか分からなかったので、攻略法を見てしまった。無念……。1〜2分に一回しか、ダメージチャンスがないって……。
 ザコはそんなに強くない。どちらかというと物量で押してくる。登場して5秒足らずで瞬殺されるベヒーモスとか何たるざま。

 一番気になったのがジャンプ周りの操作性。
 ジャンプアクションが多めだけど、足場の判定は結構厳しい。ちょっと意地悪に思うところがいくつかあった。
 視点も少し分かりにくく、全体的に視点が近すぎて画面が狭く感じる。カメラ操作がLRでできるけど、ダンジョン内では使用不可能。というか、使用できる場所が少ないのでカメラ操作できたことを忘れるレベル。

美術


 初代PSにしては綺麗なほうだと思うけど、ポリゴンの粗さはさすがに気になるかも。3Dのポリゴンは、次世代と比較すれば機種の差が物凄く出るから、古い作品はどれも厳しい。

 とはいえ、このゲームについてはその粗さがキャラのかわいらしさにつながっているようにも思う。キャラクターの衣装はこっていて。頭身の低さもいい味出している。
 ちなみに、このゲームはスクウェアお得意のムービーに頼っておらず、イベントシーンもポリゴンで演出されている。
 そのイベントシーンの演出力はさすがのもので、PSではかなり高い部類。キャラのジェスチャーやカメラワークなどに細かいこだわりが見られる。

音楽


 悪くないけど、強く印象に残るという感じではない。町の曲とかは結構好き。ただ曲数自体控えめで、1ループが短い曲も目立つ。

総評


 明るい世界観と可愛らしいキャラクターの楽しいアクションRPG。
 万人向け――といいたいところだけど、ジャンプアクションだけはちょっと辛いかもしれない。
posted by 砂川赳 at 10:51 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】クロノクロス

2017年01月10日

発売元スクウェア
機種PS
発売日1999/11/18
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
80808070508080742015/04/18

質量/物語


 32時間でクリア。PS3からのダウンロードで今更ながらプレイしてみた。

 クロノトリガーの続編。関連性は非常に強いので前作をプレイしていないと意味不明になる。……というか、難解なのでプレイしていても意味不明になるかも。

 クロノトリガーといえばタイムトラベル。タイムトラベルといえば密接に関わってくるのがパラレルワールド。
 クロノトリガーではパラレルワールドは扱わなかったが、クロノクロスはそのパラレルワールドに軸足を移した物語になっている。

 そして、パラレルワールドものの例に漏れずストーリーは難解。トリガーよりもずっとSF色が強い。開発者がゼノギアスともかぶっているので、ストーリー・システム共に影響が見られる。
 トリガーの続編としてはマニアック過ぎる嫌いもあるけれど、壮大で作りこまれていることは確か。

 仲間が多数登場。ただし、重要度の低いキャラもたくさんいる。……なんだか幻想水滸伝チック。
 ストーリー主導のゲームにしては、重要度が低いキャラクターのエピソードが多数あったり、『6体の竜を倒せ』といった寄り道があったりで、進行が遅いところも。そのせいもあってか、後半に怒涛の世界設定に関する説明が入る。

 ラストバトル中の行動次第で、グッドエンディングになるが、条件が難解。
 ヒントは事実上のラストダンジョンにあるけれど、クリアしたら崩れるので、再確認不可能。ネット時代ならなんてことはないけれど、当時のプレイヤーには厳しかったんじゃないだろうか。
 強くてニューゲームが存在。二週目はトリガーと同じで、いつでもラスボスを倒せる。倒すタイミングによって、マルチエンディングになるとか。※筆者は未確認ですが……。

システム/バランス/快適性


 戦闘システムが特徴的。これを説明するのはなかなか難しいが、大雑把に箇条書きすると……。

  • キャラクターはスタミナがなくなるまで複数回行動可能。
  • どのキャラクターを行動させるか、細かく変更可能。
  • 弱中強の三種類の攻撃を使い分けて、コンボ可能。
  • 攻撃を当てるとパワーレベルが上昇。エレメント(魔法)を使用可能に。
  • エレメントは赤青黄緑白黒の6属性に分かれる。仲間も属性がある。
  • エレメントはキャラクターごとに配置(装備)する。
    使用したエレメントは戦闘中に再使用できない。
  • 使用したエレメントの属性が三つまで戦闘フィールドに残る。
    場に残った属性と同じ属性の威力が高まり、その後の戦闘に影響を与える。

 場の属性はロマサガなどにあったものを、よりはっきりとしたシステムとしたようなものと考えればよさげ。後の市販&フリゲRPGにもこの種のシステムを見ることがあるけれど、派生元と言ってよいかもしれない。
 個人的にもこういう属性系のシステムはいつかやってみたいと思っていたり。

 戦闘終了後に残ったエレメントでHPを自動回復してくれる機能があって便利。実質、ザコ戦でのHP消費はほとんど気にしなくともよい。

 レベルアップのためには、ボス戦に勝つ必要があるのも大きな特徴。ザコ敵を倒しても経験値は手に入らないし、レベルアップもしない。時折、難易度が高いところがあるけれど、レベルを上げてのゴリ押しは難しい。ザコ戦でも、多少は能力上昇するものの、やはり制限があるようで期待できない。

 ともかく戦闘システムはなかなか作りこまれてる。どうエレメントを活用するかで、大きく形勢が変化するので戦術性も高い。

 ……がしかし、戦闘テンポは遅く、ロード時間は長い。加えて、ラストバトルがイベントバトル気味なので、戦闘の面白さを求めると物足りなさを感じてしまう。

  • 戦闘開始に10秒。
  • 戦闘終了は結果表示まで含めて15秒。
  • エレメントを使う度に5〜15秒。
  • こちらのコンボに敵が割り込んでくるので流れが止まる。
    というか、敵にターンが回るタイミングがよく分からず、ルールが不明瞭。
  • モーションが遅い敵だと、通常攻撃だけで5秒。
  • エレメントの配置は数が多い上に、操作性が悪いので手間。
    仲間を変更して、再配置する時はさらに手間。
  • 回避困難な戦闘が多い。進行上強制だったり、道が狭かったり。
    特に『村中の魔物を全て倒せ』というイベントは、苦行を積んでいるような気分になった。

 この時期のスクウェア作品だとFF8〜9もテンポが悪いけれど、その二作よりも一戦闘は長い。戦闘以外も全体的にとろい。1.5〜2倍速ぐらいでプレイできたらちょうどいいんじゃないかと思ってしまうほどに。
 ……と、思いきや倍速モードがあるらしい。ただし、二週目以降限定で。それは一周目から欲しかった。
 幸いシンボルエンカウントかつ、さほどエンカウント率が高いわけではない。ダンジョンもそれほど長くないので、どうにかクリアを断念せずに済んだ。

 取り逃し要素は多め。特にレナやグレンといった比較的有力な仲間を、知らなかったら取り逃す可能性大。

美術


 周知の通り、キャラデザは鳥山明ではなくなってしまった。
 マップは多彩で美しい。一部のダンジョンは下手なPS2のRPGにも負けない。
 戦闘アニメは豊富。ただし、この時期によくある「グラフィック偏重で快適性を顧みないゲーム」だと言われたら反論できないけれど。

 ボス敵の倒れ方がいちいち凝っていることに、グラフィック班のこだわりが見られる。

音楽


 何と言ってもオープニングテーマの『時の傷跡』が有名。歴代ゲーム音楽でも一番好きな曲としてしょっちゅう名前が挙がる。

 戦闘曲がやや手薄な印象。
 イベント曲をそのままボス戦で流すことが多い。実質的にボス戦曲は二つだけというのはちょっと物足りないか。

まとめ


 実はかつて体験版をプレイした当時は、かなりのスクウェア信者だったにも関わらず。『戦闘はテンポ悪いし、システムよく分からんし』と感じて購入を見送った。
 十何年と経ってから、PS3のダウンロード購入でようやくプレイした次第。
 その結果、思ったより戦闘システムは好印象。ただしテンポの悪さはかつての記憶そのまんま。
 ※実際には体験版時点より多少は改善しているらしいです。
 クロノトリガーのテンポがよかっただけに、これじゃあ受けないよなあ……と今更ながら思ってしまう。
posted by 砂川赳 at 10:21 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】英雄伝説 閃の軌跡2

2017年01月09日

発売元日本ファルコム(公式)
機種PS3
発売日2014/09/25
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
80807060709080762015/06/13

質量/物語


 ほぼ全てのクエストを終わらせて57時間でクリア。閃の軌跡1が70時間だったので、合わせて約130時間。プレイスタイル次第ではもっと増えそう。完全に続編なので、前作プレイは必須。

 前作終了後、離れ離れになってしまった学院生達が徐々につどってゆくのは嬉しい。
 ただその度にお使いイベントがあるので作業感も。前作と同じ場所を行ったり来たりするので、新鮮味が薄れるのも仕方ないところ。
 それなりに面白いのだけど、さすがに合わせて100時間も超えるとマンネリ感が拭えなくなってくる。
 それがもっとも顕著に現れるのは……

 1.ボス戦に勝利
 2.ボス「なかなかやるな。そろそろ本気出す!」
 3.味方「ぐわっ、このままではやられる!」
 4.助っ人が登場「ここは俺に任せろ!」

 みたいな展開。これを何度も繰り返す。お陰でゲームシステム上の戦闘が茶番じみてしまうのは難点。元より、こういう展開の多いシリーズであることは承知だけど、今回は「またかよ!」と笑えるレベルに達している。

 終章で本編はクリアとなるけれど、その後に外伝と後日談がある。
 外伝は零の軌跡&碧の軌跡プレイヤー向けのファンサービス。
 後日談のほうが一応のラストダンジョンのようだが、ストーリー的にはおまけ的で意味が薄め。後日談ラスボスの戦闘前セリフがまさしくそれを表現しているけれど、個人的には結構な迷言だと思う。

 閃の軌跡1からの因縁には一応の決着はついた。……が、主人公リィンの物語として見ると大きな消化不良を残したまま。空の軌跡と零&碧の軌跡は二作で完結していたけれど、こちらはそうではない模様。
 そこはまあ3に期待ということで。

 伏線は畳むのではなく、ばらまき続けるのがこのシリーズの特徴。シリーズ第一作は2004/6/24発売だったそうで。いつまで続けるつもりなんだろう。10〜20年も経ったら、いい加減ゲーム自体を卒業しちゃうプレイヤーも出てしまうんじゃないかなと、勝手に心配してみたり。

システム/バランス/快適性


 基本的なゲーム性は前作と同じで、今回は+αといったところ。
 最も大きな追加点は仲間の数が大幅増大したこと。実に二十人弱のキャラクターを使用できるので豪華。使用期間の限られたキャラクターがいるのは残念だけれど。

 前作以上に味方側の強化が著しい。連続行動ができる『オーバーライズ』が戦闘システムに搭載。技の性能向上もあって、さらに一方的に敵をボコれるように。普通にやっていてもボス敵をノーダメージ撃破できることまであった。
 ただし、それへ対抗するためか敵側も強化されている。状態異常による初見殺しのハメとか、HPを大回復する技を連発とか、なかなか嫌らしい手強さ。特に仲間が揃わない序盤のボスは苦戦した。
 上手なプレイヤーにとってはヌルいが、プレイスタイル次第では物凄く苦戦する可能性も。

 手応えが欲しい人は難易度を上げることもできるが、元々にかなりクセがあるので解決にならないかも。一方的にやられるか、一方的に勝つかのさらなる極端になりそうなので。

 前作の終盤で見せたロボゲー要素(騎神戦)が正式に入ってきた。
 このゲームは「多彩なキャラクターが華やかに戦うキャラゲー的なもの」だと認識していたので若干の違和感も。FFかと思ったらゼノギアスだったみたいな。
 もっとも、空の軌跡の頃からティータなりレンなり、機械を使うキャラはいたので兆候はあったけれど。
 イベントの締めくくりには、お約束の如く騎神が呼び出される。騎神戦は基本が一対一の地味な削り合いなので、かったるく感じることも。

美術


 マップなどの多くは前作からの流用になっている。
 前作のキャラクターの大半は衣替えしており、若干のイメチェン。
 仲間の数が増えたことによって技も多彩に。ただし、前作からいたキャラの技は大差ないので、そこはちょっと見飽きるかもしれない。

音楽


 基本的に前作からの使い回しながら、時々新曲あり。新曲では本編・後日談ともにラスダンやラスボスの曲が優れている。

 気になったところではストーリー自体が『熱い展開』の乱発なので、音楽にもメリハリが薄く感じられる点。

まとめ


 前作が面白かったので、その勢いでプレイした。
 ただ前作からの発売期間の短さ(わずか一年)もあってか、ストーリー的には息切れ感も。
 閃の軌跡3の発売が、最近になって正式発表されたようなので期待。
posted by 砂川赳 at 10:38 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする