【RPG制作講座】文章の記述・表示におけるルール

2013年04月06日

 物語の脚本を書く前に、文章を記述・表示するルールを決めておきたい。これを決めないままにシナリオを書いていると、統一感がなく、読み辛い文章になってしまうかもしれない。

 特に経験が浅い制作者は、スタイルがまだ固まっていないと思われるので要注意。ポイントとなる部分を以下にまとめるので、何も考えていなかったという箇所があれば、参考にして頂ければ。

セリフを表記する際のルール


 登場人物にセリフを喋らせる場合、小説でもゲームでも通常は「」(カギ括弧)を使用する。言うまでもない基本事項だけど、たまに『:』もあったりする。ゲームの場合は閉じる側の括弧『」』は省略することも。

 以下にいくつかセリフの書き方の例を挙げてみる。

話し手
「ここはXXXXの町です。
 北に行くと、塔がありますよ。

話し手「ここはXXXXの町です。
    北に行くと、塔がありますよ。

話し手「ここはXXXXの町です。
 北に行くと、塔がありますよ。

【話し手】
「ここはXXXXの町です。北に行くと、塔がありますよ。ついでに言うと、東には森がありますよ。

 話し手の名前を表示した後に、改行するかしないかは、作品によって異なる。僕としては改行する方がお勧め。その方が読みやすいし、話し手の名前が長くても文章のバランスが崩れない。セリフ中のどこに改行を入れるかも重要。メッセージウインドウの端までセリフを改行しないという手法もある。

 小説ではできない、ゲームならではの手法として、話し手の文字色を変えたりもできる。見やすいように工夫してみよう。

その他文章を表記する際のルール


 セリフを「」で表記する事は既に当然のルールとなっている。しかし、セリフ以外――例えば『ナレーション』『書物』『思考』等を表記する場合はどうすれば良いだろうか?

それには、
 ”>『({ 
等の記号を使用する方法がある。

例えば、主人公の思考は……
 >そっとしておこう
書物や看板などの読み物は……
 ”毒の沼地。危険入るな!
というように記述する。あるいは"「"が無い場合はナレーション……という様に記号を用いないこと自体を目印としてもOK。

 また、記号を使用しなくても、メッセージウインドウの形を変えるという手法もある。漫画で吹き出しの形を変えるのは一般的な手法だが、ゲームでもライブアライブ等がやっている。セリフであっても、絶叫や囁き、テレパシーなどを区別して表記することもできる。

【例】
  • ナレーション → 黒背景
  • 絶叫     → ギザギザウインドウ(下の吹き出しみたいなヤツ)
  • 思考     → モコモコウインドウ(。o O ○)

 ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
<くせ者だあッ!!    >
<            >
<            >
 ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
↑環境によってはズレてるかも……。

読点『、』の使い方


 『、』を打つタイミングについて、実は明確なルールは存在しないらしい。適度に打つことで、読みやすい文章にしていこう。
 例えば、『漢字で表記するかひらがなで表記するか』という文のように、ひらがな同士で言葉が繋がってしまう場合は区切りが分かりにくい。なので、筆者は特に意識して『、』を打って文を分けるようにしている。『漢字で表記するか、ひらがなで表記するか』という感じで。

 ゲームの場合『、』ではなく、『半角スペース』や『全角スペース』を使用することも。ちなみに僕は今のところ『半角スペース』派です。

句点『。』の使い方


 もちろん文章の最後に打つ。『、』と違って、こちらに悩むことは少ないはず。ただ意識していないとなかなか気付かないかもしれないけれど、一般小説では「」の末尾には『。』を打たないことが普通になっていたりする。セリフを右括弧で閉じる様にしているのならば、このルールに合わせた方が無難かも。

【例】
「今日はいい天気ですね。
 明日も晴れるといいですね」

三点リーダ『…』と棒ダッシュ『―』の使い方


 一般的な小説のルールでは、『…』『―』共に偶数回連続で繋げて使用する。『……』『…………』『――』『――――』というようにだ。でもゲームや漫画だと『…』単体での使用も見かけたりする。

 この2つの使い道に付いては、分かるようで分からない人も多いと思う。一部使い道が重なる部分があるのが、またややこしい。そんなわけで、使い道をまとめてみた。

『…』のみが使える

  • 語尾を濁す:「たぶん、そうだと思うけど……」
  • 弱々しく :「俺は……もう駄目……だ」
  • 沈黙   :「……」

 『―』と比較すると、使い道が分かりやすいので、特に補足はいらないと思う。

『―』のみが使える

  • 割込:先生「え〜と、何か連絡事項がある方は――」生徒「はい!」
  • 引用:「この古文書によると――玉座の後ろを調べろ――とあるね」
  • 補足:俺は村長の家――それは村中で最も立派な建物だった――に向かった。

 『割込』は唯一『―』の安定した使いどころ。
 『引用』は””や『』で囲ったほうが分かりやすいかも。

 『補足』は文章の中に文章を挟む構造になる。()と使い方が類似している。海外小説の翻訳で良く見かけるけど、これを多用した文章は読み辛い。使うぐらいなら文章構成を考え直したほうがよさそう。といっても、ゲームにはあんまり関係なさそうだけど。

『…』『―』両方で使える

  • 間を置く:「……それで、結局どうしますか?」
  • 文を繋ぐ:「神――いわゆるゴッドの思し召しなのです」

 『間を置く』の例のように文頭に間を作ることもできる。話題を転換したい場合などで有効。個人的には、何でもかんでも『ウェイト処理』で間を作るよりは、『…』や『―』で間を表現してもらった方がテンポが良くなるので好き。

 『文を繋ぐ』は『、』に近い運用方法となる。溜めを作ることで、後の文章をより強調できる効果もある。

 このパターンの場合、『…』『―』どちらでも良いのだけど、個人的な印象では『…』は弱々しく、『―』はスピーディな気がする。『…』と『―』の使い分けは明確に統一されているわけではなく、色々と曖昧。作家によっても用途に差がある。興味があるなら、プロの文章を読む時に気を付けてみるのがオススメ。

感嘆符『!』と疑問符『?』の使い方


 『…』『―』と比較して、こちらの使い道に悩む人は少ないと思うが、ついでに書いてみる。

 『!』は驚きや叫びを現す。「うわっ!」「お〜い!!」など。2つ以上重ねて強調する事もある。『?』は疑問や困惑を現す。「どなたですか?」「はあっ?」など。2つ以上重ねることは少なめ。

 『!?』というように両方を合わせる方法も多用される。「おかしいだろ!?」「マジでっ!?」というように、驚き叫びながら、困惑しているという表現になる。『?!』は余り使わないが、驚きよりも困惑を強調したいとか、独自性を出したいとか、理由があるならどうぞ。

 「図書館では静かに……!」「へっ……?」「信じられない……!?」というように『…』と組み合わせることもできる。意味合いが反対に近い『!』と『…』が共存している事に違和感を持つ人もあるかもしれないが、「声を張り上げてはいないが、強い感情を込めている」といったニュアンスだと思う。たぶん……。

漢字で書くか、書かないか?


 以下のような言葉は特に、人によって漢字で表記するか、ひらがなで表記するか意見が分かれる。なるべく方針は統一しておこう。

  • ある(有る)
  • くらい、ぐらい(位)
  • こと(事)
  • ため(為)
  • つく(付く)
  • できる(出来る)
  • ない(無い)
  • など(等)
  • なに、なん(何)
  • なる(成る)
  • よう(様)
  • よく(良く)
  • わかる(分かる)
  • わけ(訳)

 筆者は『事』や『様』の使い方によく迷う。ひらがなが続く文章の場合は漢字で、漢字が続く文章の場合はひらがなで打ちたくなる。こんな事を書いておいて何だが、統一するのは結構しんどい。いっそ、その場の雰囲気や気分で、あえて統一せずに開き直っても良いかもしれない。

難しい漢字を使うかどうか?


 例えば、『未曾有(みぞう)』『顰蹙(ひんしゅく)』『翻す(ひるがえす)』のような、難しい漢字を使用するかどうか? PCだと、簡単に漢字変換ができてしまうが、なんでもかんでも変換してしまうのは考えもの。プレイヤーの対象年齢次第では、みぞう、ヒンシュクの様に、ひらがな、カタカナで表記する事も検討しよう。ただし、「これはみぞうの事態だ」という具合に、見栄えは悪いので注意したい。

  • 未曾有 → 空前
  • 顰蹙  → 反感
  • 翻す  → 撤回する

 上記の様に、もう少し簡単な言葉に言い換える方法もある。フリガナを打てるならば、理想的なのだけれど、制作ツールの制約や手間の問題がある。

まとめ


 読みやすい文章を書くためには、ルールの策定が不可欠。ウインドウの形状や文字色など、ゲームならではの技法を活用するのも選択肢の一つ。何にせよ、自分なりのルールを決めておこう。制作の終盤で書式・文体の統一をするハメにならないように注意したい。

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【RPG制作講座】世界設定

2013年03月23日

 物語の基礎となる世界設定について考えてみる。
 実は筆者は余り真面目に考えたことはないのだが、勉強を兼ねてポイントをまとめてみた。世界設定に悩んでいるという人は各ポイントに分けて考えてみるとよいかもしれない。

時代


 物語の舞台は現代なのか? 中世や古代あるいは未来なのか? あるいはクロノトリガーのように各時代を行き来するのか?

 最もありがちなのは中世風のRPGだが、それだけに現代劇やSFで差別化を図るのも手だ。
 ただし、その場合はDQ的な『ベタなRPGのフォーマット』をそのまま適用するのが難しいことに注意しなければならない。
 例えば、現代劇において『そこら辺を歩いていたら魔物とエンカウントする』なんてフォーマットを持ち込んだら、違和感があるだろう。何らかの案を考える必要がある。(↓の『魔物/敵』を参照)

文化


 西洋風なのか中華風なのか和風なのか? はたまたアラビアンなのか? 既存の文化に属さない独自のものなのか?
 また、西洋風1つ取っても、時代も地域も幅広く、古代ローマ帝国からアメリカの西部劇まで様々に分かれる。世界中を旅するRPGならば、手間はかかるが東洋〜西洋まで地域毎に異なる文化を設けることも可能だ。

 地域が違えば、建築様式や人の容姿・服装も違うというのは当然のこと。ただし、そのレベルまでこだわり出すと、グラフィック側の作業量が半端ない。

 その地域特有の風習や祭りことを決めて、うまくストーリーに絡めれば深みが出る。かの『指輪物語』は独自の言語まで構築していたなんてのは有名な話。さすがにそこまでやる必要はないと思うけれど……。

舞台/規模


 RPGと言えば、やはり世界を舞台とした大作RPGを思い浮かべるもの。
 もちろん、それでも良いのだけどそれ以外の選択肢だって用意されている。世界全体を舞台としなければならないという決まりはない。

タクティクスオウガ

 舞台は1つの島。民族同士の争いと、周囲の大国の思惑が克明に描かれる。
 世界設定の深みはそこらの世界を舞台にしたRPGに勝るとも劣らない。

ペルソナシリーズ

 学校とその周辺が舞台。
 舞台が小さいだけに同じ人物が登場する機会も多く、深くキャラクターを掘り下げることができる。学校や町という身近なテーマを使えるのも魅力だ。


 このように舞台は小さくとも、立派な大作も存在する。
 逆にスーパーチャイニ…スターオーシャンのように世界を越えて、宇宙を舞台としたSFだってもちろん可能だ。

 とはいえ、制作に慣れない最初の内は、身の丈にあった規模の作品から作り出すのがお勧め。とりあえず、完成させてみて気力が持つようならば、そこから更に舞台や話を広げても良い。

世界


 世界のあり方そのものについても、考えてみよう。
 冒険の舞台となる世界は一体、どのような世界なのだろう?
 我々の地球のように宇宙の中にある1つの星なのか? 昔の人が考えたように世界の果てには滝があるのか? はたまた世界は夢の中なのか?

 RPGでは、2つ以上の世界が存在する作品も珍しくない。それらの世界がどのように繋がっているかも重要だ。
 例えば、現代的な現実世界とファンタジー世界を行き来するなんて設定もファンタジー小説では良く見られる。(実はRPGでは余り知らなかったり。)
 複数の世界にまたがる物語は非常な大作感があるので、RPG制作者なら、皆が夢に見るはず。

ゼルダの伝説 神々のトライフォース

 表と裏の世界が存在し、2つの世界を行き来することがゲーム進行のカギとなる。
 裏の世界から表の世界へは『マジカルミラー』によって座標を保持したままワープできる。しかし、裏の世界→表の世界へはワープポイントを見つけなくてはワープできない。
 このように世界の移動に制約を設ける事で、ゲーム進行を調整することもできる。

国家/政治


 国家という枠組みもストーリーには大きく関わってくる。
 王政、共和制といった政治形態に加えて、どのような身分制度が取られているのかもポイント。
 また、国家間の関係も重要だ。強大な帝国に対して、他の国々が同盟を組んで立ち向かうなんてのもよくある構造。

 国家については、余り舞台の規模を広げない方が濃密に描きやすい。世界中を旅するようなRPGだと1つ1つの国家に対する描写はどうしても軽くなりがち。
 普通、1つの国家は多数の町を抱えるものだが、4つも5つも国家が登場するような作品で、それぞれに多数の町を組み込むのは大変だ。

 この分野に付いて、知識を深めたいならば現実の日本史・世界史を学ぶのが良いだろう。
 別に学術的な難しい資料を読む必要はない。歴史小説マジおすすめ。Wikipedia辺りをハシゴするのもお手軽。

人種/種族


 どんな人種や種族が存在しているのか?
 ここでいう人種・種族とは……

  • 人種:黄色人種、白人、黒人といった人間という枠組みでの違い。
  • 種族:人間、魔族、エルフ、ゴブリンといった生物的に大きな違い。

 大半のRPGでは人間やそれに近い種族が物語の中心となる。それは、人間であるプレイヤーが感情移入できるのは、やはり人間的なキャラクターだからだろう。完全な動物を主人公にした場合、感情移入は少し難しくなる。

 人間以外の種族には、やはり人間とは異なる特徴が欲しいところ。
 魚のように泳ぐのが得意だったり、鳥のように空を飛べたりという具合だ。
 何百年に渡る寿命を持った種族がいるのも定番。この場合、その種族の人物が「主人公の先祖と知り合い」というような設定を付加することで、都合良くストーリーを深めることもできる。

 人種や種族による対立もこれまたRPGではよく使われるテーマ。
 ファンタジー世界なるもの人間以外の種族が1つや2つあってもよいだろう。もちろん、仲間キャラクターに異種族がいても面白い。

ブレスオブファイアシリーズ

 仲間全員が様々な種族から構成されていて、普通の人間は少ない。その割に、世界の住民はほとんど普通の人間だったりするけれど。
 特にブレスオブファイア2では、カエルが水の中を泳いだりと、各自が種族に合わせた能力を持っている。

歴史/神話


 天地創造にまつわる神話。国家の歴史。伝説の英雄と魔王の戦い。それに、主人公やその親・祖先がどのような経歴をたどってきたのかというのも、立派な歴史である。

 ここからラスボスの設定を考えていくのも1つの案。実際、RPGでは歴史や神話がラスボスに関わる率が非常に高い。

宗教/神


 国家や歴史・文化と密接に関係する。時に神が実在するファンタジー世界では、その重みは現実世界を上回るはず。でもって、RPGでの宗教は現実以上に怪しい役割が多い。

科学


 どのような科学レベルを持っているのか?
 特に交通手段(馬車→船→飛行機→宇宙船→ワープ装置)や通信手段(伝書鳩→固定電話→携帯電話→インターネット)はストーリー進行にも関わってくるので、都合がよいものを考えよう。

魔法/超能力


 魔法は当たり前に存在して、誰もが使える力なのか? それとも公には隠されていて、限られた者にしか使えない力なのか? あるいは存在しないのか?

 魔法はどのような体系を持っていて、理論的にどのような力なのか? 呪文を唱えることで発動するのか? 神や精霊の力を借りることで発動するのか? 魔石の力で発動するのか?

 また、魔法はどのように社会や科学と関わっているのかも重要だ。
 魔法がその世界の住民に取って、重要なものならば、教育機関や研究機関が造られるのも当然の話。魔法が得意な人間が尊敬を受けて、社会的に高い地位に付くだろうというのも容易に想像がつく。

生態系


 どのような生物が世界に暮らしているか? それらが人とどのように関わってくるか?
 例えば、FFシリーズではチョコボを馬の代わる乗物として扱っている。
 また、飛竜に乗って空を飛んだり、海竜に船を引かせることで風と帆の代わりとしている。

 生態系には魔物が組み込まれる事が多々あるが、それについては↓で。

魔物/敵


 大概のRPGには、ゲームシステムに戦闘が組み込まれており、敵となる存在がある。
 もちろん、敵として最もよく使われるのは『魔物』だ。これらを世界設定の中でどのような存在として位置づけるか。
 もちろん、魔物という言葉を使わずに『妖怪』など他のものを使ってもよい。その辺は世界観に合わせて考えればよいだろう。

 最も単純なのは魔物を凶暴な野生生物として設定してしまうこと。ファンタジー世界で魔物に襲われるのは、現実世界で熊や狼に襲われるのと同じというわけである。
 人間同士の戦いを、物語の主軸に置きたい場合はこの設定が便利だ。魔物はザコ敵や中ボスとして戦闘の相手にはなるが、物語には深く関わってこないという寸法である。

 次によく使われるのは、魔物が知能や意思を持って人間と対立をしているという設定だ。
 この場合、魔物を統率する魔王のような存在が登場し、主人公達の強大な宿敵として立ちはだかることが多い。

 さて、大半のRPGではザコ戦がプレイ時間の多くを占めることになる。そうしないとゲームとして間が持たないし、戦闘システムの面白さを発揮できないからだ。フィールドやダンジョンを歩いているだけで、魔物と戦闘になるというお約束もそのためにある。

 このお約束について悩むのは、現代劇などを題材としたい場合だ。
 例えば、現代日本に似た世界で、そこら辺を歩いていただけでザコ敵とエンカウントするというのは、やはり違和感がある。「そんな危険な生物がいたら、自衛隊が駆除してくれるだろ常識的に考えて……」というわけである。

 その違和感を打ち消す何らかの設定が必要となるだろう。
 例を挙げると……

  • 作風をコミカルにして押し切る。
    (その辺の野良犬が襲い掛かってくるマザーシリーズなど)
  • 主人公は妖怪に狙われやすい体質。
    一般の人間は狙われないし、妖怪が視えない。
  • 現代世界の中に魔物が住む異世界をダンジョンとして用意する。
    (ペルソナシリーズなど)
  • 既に魔物が跋扈していて町が荒廃している。(女神転生シリーズなど)

自然環境


 その世界はどのような自然環境なのか。特にこれは視覚的な効果が大きい。

  • 緑あふれる世界
  • 緑が失われた荒れ果てた世界(ワイルドアームズなど)
  • 地表のほとんどが海に覆われた世界
  • 空の上に陸が浮かぶ世界(バハムートラグーンなど)

 ……というように色々と考えられる。
 1つの世界でも、大陸毎に自然環境をゴロッと変えてしまうのも面白いと思う。もちろん、その作品独自の現実にはありえない光景や自然現象が存在してもよい。災害などの要素も考えてみよう。

まとめ/補足


 自然環境の部分でも同じようなことを述べたが、科学的・文化的に現実世界の法則に乗っ取る必要は無い。
 例えば……

  • 重力加速度が9.8m/s^2である必要は無い。
    つまり、キャラクターが現実離れした大ジャンプをしてもよい。
  • 国を越えて通訳を介さず、同じ言語で会話してもよい。
    さらには、動物が人間の言葉を話してもよい。
  • 天動説が正しくてもよい。
  • 水中で窒息死しなくたってよい。(例:FF10)
  • 物質が原子や粒子で構成されている必要はない。
  • 性別が男と女の2種類である必要もない。

 不必要にいじくると現実離れして、取っつきにくくなるリスクがあるのだが、物語やゲームシステムとして生かせるならば、世界の法則そのものに手を加えてみるのも面白い。

 世界設定は重要ではあるのだが、余りそればかり考えて作品を作れないのは困り物。ぶっちゃけ、世界設定を綿密に考えなくとも作品は作れるし、市販RPGの中にも世界設定を大雑把にしている名作はたくさんある。
 例えば、DQシリーズでは国家の歴史や国家間の関係が濃密に描かれる事は滅多にない。かくいう筆者も現状はやや適当気味。難しいと思ったなら、気楽かつ適当にすませてしまうのも手だろう。

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【RPG制作講座】序盤A 旅立ち

2013年03月09日

 オープニングによって物語が始まり、舞台の基本説明を終えたならば、いよいよ主人公が旅立つことになる。既に物語の開始時点で旅立っている作品もたまにあるが、ほとんどの作品では旅立つまでの流れを作ることになる。

 旅立たせる方法は大きく分けて2種類。

  1. 動機を与えて、自ら旅立たせる。
  2. 住む場所を追われるなどして、旅立たざるを得なくする。

 最初から主人公が明確に大きな目的を持っているならば、難しく考える必要はない。
 そうでない場合(特に2.)は、当面の旅立つきっかけを与えて、大きな目標を得るまでの繋ぎを行う必要がある。
 2.の場合も結局は1.に繋がるパターンが大半である。

 それでは主な旅立ちのパターンを挙げて行きたい。
 以下のパターンを1つないし、複数経由して旅が始まることが多い。

旅立ちのパターン


指示

 旅立つきっかけとなる指示を得る。
 王様・神様あるいは母ちゃんのような偉い人から指示を受けるという形状が最もシンプル。
 『指示』という言葉を使っているが、『頼み』なども構造はほぼ同じ。

ドラゴンクエスト1〜3

 「勇者よ。魔王を倒すのじゃ!」というように、いきなり最終目的に直結するような指示を受けるパターン。DQ3の場合は一応、父に関わる因縁が語られる。

ドラゴンクエスト5

 序盤は大きな目的もなく、父に付属する形で物語が進む。少年期の最後、父の死亡によって、ようやく目的を得る。
「お前の母さんは生きている。わしに代わって母さんを。ぬわーーっっ!!」
 という遺言によって、奴隷時代を経て母を探すことになる。このように劇的な場面で指示を与えると印象深い。

ファイナルファンタジー8

 「炎の洞窟で試験を受けろ」というような簡単なお使いイベントから開始。
 以降も、徐々に大きな課題を与えられていく中で「魔女を倒す」という大目的を得ることになる。
 こうやって、小さなイベントから徐々に話を広げていくのも定番。

決意

 主人公自身が旅立ちを決意する。「俺は勇者になって魔王を倒す!」ってな具合。
 どちらかと言うと喋る主人公向きだが、無口主人公でも他者や仲間のセリフを借りる形で可能。
 例えば、「お前、勇者を目指すんだって?」あるいは「俺達で世界を救うぞ!」と、主人公の目的を断定してしまうやり方がある。

 他のパターンを経由して、最終的に決意に至るというパターンが多い。自発的に旅をしているという時点で、大なり小なり決意しているのは当たり前だけど……。

ファイナルファンタジー4

 主人公セシルはオープニングの出来事で国王のやり方に疑問を持つ。そして、親友カインと共に最後の任務を終えて、国を出ることを決意する。
 所属組織からの離反というのも、旅立ちのきっかけとしては中々面白いと思う。

最初から目的を持っている

 物語が開始した時点で主人公は既に明確な目的を持って旅をしている。プレイヤーには後を追ってその説明を行う。

ドラゴンクエスト8

 主人公は王国の兵士。王と姫の呪いを解く事が旅の目的であり、物語開始時点で既に旅の途中である。
 呪いをかけられた経緯は序盤、回想の形で示される。

出会い

 出会った誰かが旅の動機をもたらす。
 偶然、助けた人物が逃亡中のお姫様で、それに協力する形になるだとか。
 ボーイミーツガールの定番。

ファイナルファンタジー5

 オープニングで出会った仲間の目的(クリスタルを守る)に主人公が乗っかる。
 その後、実は主人公自身もその目的に因縁があることが明かされる。

 FF6、7、9、10、12も他者に乗っかるのは同じである。

どこかに飛ばされて

 どこかに何らかの要因で飛ばされる。
 元の場所に戻るために奮闘する内に、世界の情勢を知り、何らかの目的を見つけるといった展開が多い。
 船や飛行機の事故でどこかにたどり着くというのが多い。
 タイムトラベルものや異世界ファンタジーは、大抵これが起点となる。

クロノトリガー

 祭りの催しにあった装置がヒロインの持つペンダントと反応して、タイムワープを引き起こす。
 後を追った主人公は中世の時代にたどり着く。
 やがて、未来に待ち受ける世界崩壊を知った主人公達はそれを阻止する決心を固める。

テイルズオブジアビス

 主人公が暮らす屋敷に単身乗り込んでくるヒロイン。
 ……が、主人公とヒロインの力が共鳴(超振動)してワープ。主人公は屋敷に戻る過程で、様々な人物と出会う。箱入り息子であった主人公も世界の情勢を知っていくという流れ。

 でもこれ、結構強引な導入な気がしないでもない。都合の良い超振動といい、ここだけやたら無鉄砲なヒロインといい……。

危機

 主人公や家族、仲間、住む町が危機に見舞われるパターン。
 例えば、主人公の住む国が敵軍に襲われて……というのは定番。

 そこからの繋げ方としては……

  • 主人公は国を脱出。
  • 主人公は敵に捕らわれる。
  • 主人公が覚醒して危機を脱出するが、その力を周囲から白眼視される。
  • 主人公の家族や友人が命を落としたり、さらわれたり。

 という具合によりどりみどり。

 ごく普通の日常から急激な破綻を迎えるというパターンも多用される。
 特に平穏な日常と危機のギャップが大きいほど、インパクトが強くなる。
 そこから、失ったものを取り戻すため、あるいは復讐のために戦うというように、強い動機づけになる。

ドラゴンクエスト4(5章)

 平穏な日常が急激な破綻を迎えるパターンの代表。日常部分はかなり短め。
 住んでいた村が魔族に滅ぼされ、1人生き残った主人公は旅に出ざるを得なくなる。

追放

 住んでいた町や所属していた組織から追い出されて、やはり旅に出ざるを得なくなる。
 そこからいくつかのイベントを経て、旅の目的を得るというパターンが多い。

聖剣伝説2

 主人公が聖剣を抜いたことがきっかけとなって、辺りに魔物が現れる。周りに白眼視された主人公は村を追い出される。

脱出

 開始時点で既に牢獄など、囚われた状況にある場合。そこからの脱出や逃亡が最初のイベントとなり得る。
 脱出してから何を目的とするかは追って決めても良い。
 意外と例がないのだが、導入部としては見せ場もできるし悪くないと思う。

聖剣伝説1

 奴隷剣闘士として戦いの日々を送っていた主人公は、仲間の死をきっかけに闘技場からの脱出を決意。
 モンスターの出入口から脱出に成功する。その後は滝から落ちる→ヒロインと出会う→ヒロインさらわれる……というような展開。

旅立たない

 別に旅立たなくても良いじゃないかという発想。特定の場所を拠点に発生する事件を解決していく方法が主流となる。
 受け身のストーリー進行になりやすいが、そういう作品があっても悪くはないだろう。

 序盤に限り拠点を中心に行動するが、途中から外へ旅立つアークザラッド2のようなスタイルもある。

ペルソナ4

 自宅や学校など、町を中心に物語が進行する。
 ペルソナの力を手に入れた主人公達は、次々と発生する事件を解決するために尽力していく。

英雄伝説 零の奇跡

 警察の捜査官として、町に発生する事件を解決していく中で巨大な陰謀に気づいていく、という筋書き。

まとめ


 旅立つきっかけの作り方を思いつく限りで挙げてみた。前回と今回の記事を合わせて、序盤の展開に悩んでいるという方の参考になれば幸い。

 なお、『序盤』と書いたが、別に物語中盤に使用しても問題ない展開も多い。
 あくまで大雑把なパターン分けなので、細部では様々な手法がある。色々と工夫をしてみて欲しい。

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