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質量/物語
難易度ノーマルでクリアまで120時間。
サブイベントはほぼ見ているが、一部のセリフは飛ばし気味に読んでもこの時間。
閃の軌跡1〜2のレビューを見直したら、クリアまで60〜70時間と書いてあった。プレイスタイルはほぼ同じなので、これがそのまま作品規模の差のはず。
とにかく大変長かった。恐らくは軌跡シリーズで最長の作品になると思う。
ストーリー
前作の衝撃のラストから一転、序盤は主人公リィン不在のままゆったりとした展開が続く。この辺は閃の軌跡1に対する2の流れに近い。
空の軌跡1から閃の軌跡3まで八作にも及ぶ過去作品から数多くのキャラクターが登場。
個人的に嬉しかったのは、空の軌跡以来となるギルバートの再登場。元市長秘書がこんな息の長いキャラになるなんて……。
反面、キャラを回すばかりでストーリーに進展がない部分も。閃3は主人公の立ち位置を変えることで一定の新鮮さがあったけど、今回はそれもない。
序盤から既存キャラの顔見せ的なイベントがダラダラと続く。
なんせとにかくキャラが多い上に、サブキャラまでまんべんなく拾ってくるのがこの作品。敵も味方も見た顔ばっかり。
基本的に敵キャラと戦っても決着はつかないし、一部を除いて死人も出ない。
全体的に「お前達を試す」みたいなノリのボス戦が多め。「全力でやる」「本気でやる」と戦うたびに強調されるけれど、やはり戦いごっこ感が否めない。
ともあれ、閃2〜3と違って今回は終盤で決着をつけるだけマシだろうか。
色々と不満はあったのだけど、なんといっても帝国編(リィン編)の完結作。いくつかの山場は、非常に気合が入ったものになっている。
ラストも大風呂敷をかなり頑張って畳んでおり、個人的にも満足のいく出来だった。
特に今回は軌跡シリーズの根幹となる謎にも終盤で一部触れられる。もっとも、この辺は軌跡シリーズの完結まで引っ張りそうだけど。
絆イベント
今作も絆イベントによって、仲間達と仲を深めることができる。
今回の絆イベントは恋愛色が強い。恐ろしいことに、驚異のリィンハーレムに拍車がかかっている。ルートに入らなくても、大勢の女性から告白される始末。ここまで行くとちょっと怖い。
女性キャラとの恋愛色が強いけれど、個人的には旧VII男性メンバーとのイベントがわりと好きだったりする。
テキスト
相変わらず気になるのはテキストの質。ライターのクセが丸出しで、似たような表現のオンパレードである。
◆例
- あ……。
- はは、ふふ。
- 〜というか、ていうか、といいますか。(文末)
特にキャラを問わず「というか」の文末への多様は気持ち悪いレベルというか。
普通に「〜だな」とかでよい文末を「〜というか」で締めるから、凄く違和感があるというか。閃3の時にはなかったはずなのに、なんで新たなクセが増えているのというか。
根本的な問題として「伏線をたくさん張り巡らした先が気になる作風」と「寄り道要素が充実した作風」という二種類の作風の組み合わせが噛み合っていないように思う。
後者を充実させれば当然展開は遅くなるし、前者を期待するプレイヤーはイライラしてしまう。しかも、それで分作になっているのだからなおさら。
「もっとテンポよく進めたら1〜2作でまとまっただろ」
なんて批判を受けてしまうのも必然というもの。
システム/バランス/快適性
システム面は基本的に閃の軌跡3と同じ。そして、3に引き続き、ぶん投げ気味のゲームバランス。
色々とカスタマイズ性は高いのだけど、行き着く先は単調なゴリ押し。
オーダーやブレイクが若干弱体しているなど、多少の調整は入っている。……が、所詮は申し訳程度に3よりマシかなという程度。
難易度ノーマルだと序盤は少し厳しい部分もあるけれど、装備が整う中盤以降はほとんどの戦闘がノーダメージで終わる。
ボス戦でも最初の数回だけ攻撃を喰らえば、後は完封なんてこともザラ。というか、普通にやっててラスボスはほぼノーダメージでした。
黙々と一方的に敵を倒すのは、やっていて虚しいものがあった。RPGとしての面白さに疑問を感じる。
とにかく足すばかりで、引き算のないゲームデザインがどうなるかという一つの例。
バランスが壊れてるんじゃなくて、ルールが壊れているというべきか。たぶん制作者もよく分かっていない。というか、半ば諦めてるんじゃないかな。
不満点はたくさんあるけど、閃3で散々突っ込んだので割愛。基本的に3からの進歩はないと思って問題ないです。
ミニゲーム
3から引き続き登場のカードゲームVMはけっこうよくできていると思う。難しくはないけど、大味な戦闘よりはよほど頭を使うし面白い。
碧の軌跡以来(たぶん)となる落ちゲーの『ポムっと』もあるけど、こっちはやたら難しい。完全攻略しようと思うと、結構時間を食わされる。
美術
グラフィックの質は3と変わらない。相変わらずPS4にしてはイベントシーンの演出は物足りないレベル。
とはいえ、個人的にはこれだけあれば十分だと思っている。FFシリーズみたく、グラフィックに力を入れすぎて開発に時間をかけるよりも全然いい。
なんといっても、空〜碧の軌跡のキャラが現代のモデリングで見られるのは感動。今回はかなりたくさんのキャラが各作品から再登場する。
オープニングアニメは1〜3で一番微妙かも。ただエンディングの豊富な一枚絵はかなりよかった。
音楽
音楽に定評のあるファルコム。
山場のイベントは音楽でしっかり盛り上げるし、ラストダンジョンなどダンジョン曲の充実も光る。
反面、戦闘はちょっと印象が薄いかも。特に通常戦闘曲はよく思い出せない。
総評
全体的に質より量に作品が偏ってしまっている印象。
『足りない』というよりは、余計なものが多い。一作品としてもシリーズとしても長過ぎる。それによって、結果的に不満点が目立っている部分は間違いなくあるはず。
まともに調整すれば、ペルソナシリーズなどの名作級に面白くなると思っているのだけど……。実際、閃1の段階ではかなり期待していた。
- 冗長なイベントは削る。
それこそサブクエストは全廃でもいいぐらい。
- システムも単純にしてゲームバランスを取る。
- ミニゲームや料理などのやりこみ要素もバッサリ切る。
- プレイ時間は半分ぐらいまで削って品質を高める。
- そもそも分作しない。
自分が制作者ならこんな感じにするかなあ……と、妄想してみます。