【王道長編RPG】家庭用ツクールに思いを馳せて

2014年11月29日

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 なんとなくカタツムリは自爆します。殻の中に爆薬が詰まっているようなイメージ。

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 奥義の仕様はこんな感じになりました。ボス戦で開幕奥義連発はできません。実際にやってみたら、開幕から長めのアニメーションが続くのでテンポ悪いです。レベルが想定より高めだと一気に決着がついてしまったりで、感覚的に「これはいかん」と思ったので制約をかけました。


 二周目のテストプレイ途中ですが、さすがにもう細かい調整ばかりで書くことがあまりありませんね。『お金』『魔石』『スキルポイント』といったゲーム全体を通して調節が必要なリソースの設定に苦労しています。

 ところで最近はニコ動の『他人ツクールシリーズ』を見ながら制作をしています。
 中古で買ってきたり、投稿されてきた家庭用RPGツクール作品(主に1,2)の実況動画なのですが、意外性があって面白いです。それこそ「城が消えるだけ」の作品から、そこそこの中長編作品があったりと千差万別です。

マイリスト(※注:かなりの長寿シリーズであるため超絶長いです。)
http://www.nicovideo.jp/mylist/7938167
まとめWiki
http://www14.atwiki.jp/taninrpg/pages/1.html

 それなりに完成度の高そうな作品がエターなっていたりで、まともに完成していることのありがたさがよ〜く分かります。そしてそのエターなった作品をリメイクしている人もいたりで、再生数の割にファンが多く、影響度も高いことが伺えます。

 僕もSFCの初代RPGツクールから始めた口なので、実に懐かしい気分になりました。当時はストーリーもメチャクチャな上に、ゲームバランスの取り方もつかめず変なものを量産していた覚えがあります。
 何だかんだで完成まではさせるのですが……

  • 最初のダンジョンがラストダンジョン。
  • 魔王城は予算の都合で一フロアしかない。
  • 魔王が家庭の事情で戦闘放棄。
  • 主人公の母親が突如裏切ってラスボス化。
  • ラスボスを倒した主人公が戦利品(ラスボスのブロマイド)のしょぼさに嘆いて身投げする。

 などなど、酷い締めくくり方をした記憶が多数あります。
 ただそんなのでも、無理矢理オチをつけて終わらせるということを繰り返していれば「まともに完成させるにはどうしたらいいか?」という現実も見えてくるものです。2時間の短編を完成させた経験があれば、5時間の中編を完成させる労力も何となく想像できるようになってきます。経験とは大事ですね。

 ちなみにSFC時代の作品についてはデータが残っていないのですが、PSのツクール3,4についてはメモリーカードに残っていました。酷いストーリーですがゲームとしてはわりとまともに遊べるはずです。そのうちデータだけでも公開しましょうか。

 話を戻して、動画にある作品は荒いゲームバランスの作品が多いのですが、それでも何とかなってしまうところも面白い。ボスが即死級の攻撃をしかけてくるが、蘇生アイテムで強引に押し切れたりします。
 荒いゲームバランスで思い返すのが、SFCのナイトガンダム物語。全体的にはそこまで高難易度のRPGではないのですが、ムラがあって突如難易度がインフレするゲームでした。

  • 二章のボス、サイコゴーレムが強すぎる。
  • 二章限定キャラとはいえ、なぜかネモが最強。
    こんなガンダムゲーがかつてあっただろうか。
  • 三章の序盤アムロ一人旅が難しすぎる。敵の強さが一人旅を想定していない。

 なにこれクソゲー――と言われても仕方のないバランスではあるのですが、それを試行錯誤しながら、乗り越えるのに妙な達成感があったりしました。難易度が安定しているだけがゲームバランスではない。荒さが味になることもあるのだなあと、子供心に妙に納得した記憶があります。

 制作講座には「簡単でも難しくもないことが良いゲームバランスとは限らない」的なことを書いたはずですが、それはこの辺の経験から来ています。むしろ、ゲームの進行によって、多少の難易度変動があるほうが、メリハリがあってよいのではないでしょうか。例えば、どうでもよいダンジョンは難易度を下げて、重要なダンジョンは上げる――という感じです。

 なので、どのダンジョン&ボスも入念に時間をかけて、難易度を調整するということは昔からやっていません。山場に時間をかけて、単なる繋ぎのダンジョン&ボスは適当にすることが多いです。ボスの能力や行動パターンをわざと雑にすることもよくあります。
 というのも能力・行動パターンが緻密で隙のないボスって、返って面白みがない場合も多いのですよね。様々な攻撃をしかけてくる相手には、対策が取りにくくなるわけで、そうなると結局、「回復しながら攻撃する」ぐらいしかやりようがなくなったりするわけです。
 そこで時には、一つの技しか使わないという手抜き半分の極端なボスを出してみると、意外なアクセントになったりします。見え見えの攻撃にどう対処するかというのは、結構プレイヤースキルが求められるものだったりしますので。
 でも、ラスボスが一つの技しか使わないFF3(FC)は思い切り良すぎですね。


 で、そんな経験を踏まえた上でミスタことMystic Starは何を目指すかというと、色んな要素を盛り込みながらも、バランスが崩れないということが目標です。

  • 成長システムの自由度を高めると、キャラの個性が乏しくなる。同時に誰でも様々な技が使えることから、バランスが崩れやすい。DQ6〜7の特技連発など。
  • かといって、キャラの個性を尖らせてインパクトある固有技を覚えさせても、やはりバランスが崩れやすい。キャラ間のバランスを取るのも大変。

 このようなジレンマというのは、ゲーム制作にはしょっちゅうつきまとうもの。ただゲームバランスを安定させたいなら、成長システムを制限し、キャラクターの個性も程々に抑えればよいわけですが、それで面白いかどうかは別問題です。
 「二兎を追う者は一兎をも得ず」といわれている通り、慣れないうちは方向を絞ったほうがよいかもしれません。……が、今回はあえてできる限りの両立に挑戦しています。

 無難にはせず尖った要素も取り入れる。しかしバランスも壊さないというのはなかなか難しい。市販RPGでもこれができている作品なんて、なかなかあるものではありません。
 特に戦略・戦術の自由度が高い尖った作品は、ゲーム後半になるほどバランス崩壊を起こしやすくなります。まさにFFシリーズがよくやってますよね。
 となると無難寄りの安定ゲームバランスとしてDQシリーズが挙げられます。特にDQ3(特にFC)とDQ4(特にPS)はその代表格でしょう。DQ5〜7において、様々な要素が導入されていくにつれ、バランスが崩れていくのも、まさにこのジレンマを体現しているかのようです。
 個人的にこれが現状で最も両立ができているのはサガシリーズだと思っています。「戦略性の高さ」「後半のボス戦の熱さ」と両方に定評があるのは特筆すべきことです。

 この辺、当作においては『奥義』がなかなか良い感じに機能しているように思います。一見、バランスを壊しかねないほど強力な効果であっても、使用条件を制限することで抑制できます。奥義発動のタイミングを考える必要があるため、単調なダメージの与え合いを崩すことを期待しています。


 というわけで、1440時間経過です。若干ペースが落ちてますが、どうも完成を意識しだした影響のようです。完成度を高めるにはどうしたらよいか――ということを考え、色んなことを気にしながらテストプレイをしていると、どうしても消耗は早くなるみたいです。自然、息抜きしたくなったり。
 制作途中は「完成を強く意識せず、日課を楽しむように淡々とやる」という感じだったのですが、それがうまくいっていたのでしょう。
 以前書いた持論とも符合しますが、制作序盤〜中盤から完成を意識しすぎて必死になってしまう人は消耗のために、エターなりやすいのだと思います。ご注意ください。

 思い返せば、今回に限らず過去の作品も制作終盤はそんな感じだった気がします。長編は一周するだけで大変です。その上、自分の作品は知り尽くしているため、何周もクリアしたゲームをやっているような飽きた気分になりがちです。それで「もういいや」って感じになっちゃうんですよね。
 中には自分の作品をテストプレイしてみて「思ったよりつまらないかも……」と感じて悩む人もいるかもしれません。ですが、わりとこの現象は誰にでもあることだと思うので、強く気にしないことをお勧めします。

 何はともあれ、今回は今までより慎重にいきたいので、適度に息抜きしながらやっていきたいと思っています。幸い過去の作品よりはテストプレイを楽しめている感じです。パーティ編成、装備、スキル、行き先の自由度があるので、二周目でも感覚が違うのが大きいですね。
posted by 砂川赳 at 06:00 | 開発記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする