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1994年発売のスクウェア黄金期を代表するRPG。当時は11,400円(+消費税3%)と高かった・・・。それでもなお満足させるだけの完成度があったのも確か。
質量/物語
多数の仲間キャラクターが登場する物語。特定の主人公は明示されていない。FF4,5よりも更にSFよりの世界観で、魔法と機械が合わさった文明が表現されている。
物語の前半と後半でガラッと変わるストーリーやゲームデザインが特徴的。前半はストーリーテンポが良く、めまぐるしく展開が変わる。途中でパーティが3つに分割してストーリーが進む箇所があるが、基本的には一本道で前の町に引き返したりできる機会は少ない。
そして後半は一転して、離散した仲間を集めることに。集める順番は自由なので、プレイヤーによって個性が出る。他にも後半はサブイベントが盛りだくさん。モンスターに吸い込まれることで、突入するダンジョンなんてよくぞ実装したものだと感心する。
イベント演出はSFCでも最高レベル。『オペラ』をシナリオに組み込むなど、こんな派手なことをしているのは、SFCではFF6ぐらいだろう。FF9のオープニングが演劇から始まるのはセルフオマージュだろうか。
隠し要素や小ネタが豊富で、普通にプレイしているだけでは気付かないようなモノも。中には、特定のキャラクターの生死に関わるイベントも存在する。もちろん、初回プレイにおいては気付かず、筆者は約2名程を見殺しにした。
何気に町人のセリフが超簡素。これを残念というべきか、簡潔というべきか・・・。DQと比較すると何だかシュールなので軽く紹介。
「ここはサウスフィガロの町。」
男たるもの余計なことは言わない。体言止めでクールに締める。
「えらいこっちゃね!
帝国を敵にまわすとは……」
なぜか関西弁の少女。
システム/バランス/快適性
14人いる中から自由に4人を選択して編成する。実はパーティの入替えを自由にできる初のシリーズ作品だったりする。後半はパーティを2〜3に分割して、切り替えながら進むダンジョンも存在。特にラストダンジョンはFF8に並ぶ作り込みだ。
戦闘
FF5と比較すると、魔法や特技の使用などに若干の間があるので、戦闘テンポは若干低下している。それでも十分にテンポ良い部類だとは思うけれど。
各キャラクターはオリジナルコマンドを保有しており、それぞれの個性がある。格闘ゲームのようなコマンド入力で発動する『ひっさつわざ』、手に入れた道具で様々な効果を発揮する『きかい』など多種多様だ。でも『まふうけん』とか『ぬすむ』とか、キャラによって地味なのは少し悲しいかもしれない。他にも、HPが減って瀕死になった時のみ発動する隠し奥義なんてものも存在する。
魔石システムによって、仲間へ自由に魔法を覚えさせることができる。これはオリジナルコマンドとは異なり、全キャラ共通の成長システムとなる。つまり、キャラの個性化と凝った成長システムという二兎を追う構成になっているわけだが、それなりにうまくいっているように思う。
細かいところでは、FF5までは1人1つしか装備できなかったアクセサリが、2つまで装備できるようになっている。アクセサリの種類も豊富で、プレイヤーなりの個性付けが可能だ。これを複雑化したものが、FF7のマテリアと考えることもできそうだ。
難易度
難易度は序盤こそ優しいが後で難しくなる。ゲーム中盤のダンジョン『魔大陸』辺りからの難易度上昇は中々に厳しい。後半、パーティが離散してからしばらくは戦力も整わず、詰まりかけることも多いと思う。
とはいえ、味方側もどんどん強くなるので、また楽になっていく。というか、今度は楽になりすぎて、ラストバトルの頃にはヌルゲーになっている可能性もおおいにある。なんせ、ラスボス最終形態のHPはたったの60000超。ダメージ9999以上の攻撃を普通に叩き出せるこのゲームでは瞬殺されるのも仕方がない。
美術
『オペラ』イベントでの演出は上で述べた通り。『飛空艇』や『魔導アーマー』を始めとした機械類のデザインセンスもさすが。様々なオリジナルコマンドから繰り出される戦闘アニメーションは個性豊か。魔法や幻獣(この作品の召喚獣)の種類も豊富だ。
難を言えば、ドット絵が暗いのは少々嫌かもしれない。特に後半はストーリーの関係でマップチップ(特にフィールド)が暗いのなんの・・・。
音楽
作曲者は当然の植松伸夫氏なので、品質の高さは保証されている。ただ世界観の都合もあって、FF5と比べると暗い曲が多いのが悲しいところだ。しかし、そんな暗めなFF6において、後半に流れる『仲間を求めて』は希望あふれる名曲だ。暗くなりがちな後半を、この曲で大きく持ち直す。
もちろん戦闘曲、ダンジョン曲なども豊富。ラスボス戦は、美術演出と併せて何の芸術を目指しているのかと思った程だ。