【RPG制作講座】状態異常@ 問題点と有効活用

2013年04月20日

 状態異常(ステータス異常)とは、対象を不利な状態(異常)に変化させる効果である。代表的なものとして、『毒』があるが、これは大抵、時間経過と共にダメージを与える効果を持つ。掛けた時点では数値によるダメージを伴わないという点で、単なる攻撃とは異なる。

 状態異常は補助効果と同じく、戦闘を数値のやり取りだけで終わらせないためには欠かせない。……なのだが、補助効果と同じく、テクニカルかつ玄人向けで、多くのRPGにおいて、持て余し気味になっているのが現実だ。そんな状態異常に関わる主なポイントをまとめながら、有効活用する方法を考えてみたい。

 補助効果は多くの場合、味方が味方に掛けることになる。対して状態異常は、敵が味方に仕掛けてくる機会も相当に多い。そのため……

  • 敵が味方に仕掛ける状態異常
  • 味方が敵に仕掛ける状態異常

 の2つに分けて考察する。特に『味方が敵に仕掛ける状態異常』に付いては、ザコ戦とボス戦でも勝手が大きく異なるので、その点は特に詳しく掘り下げる。

敵が味方に仕掛ける状態異常


 敵が使う状態異常は一般的に、プレイヤーから見て『嫌らしい』として嫌われることも多い。

 だが、本当に嫌らしいだけならば、そもそもRPGにこのような要素は必要もないはず。それでもなお、多くのRPGで採用されるのは、作品を面白くするという観点から見て、以下のような利点があるからだと考えられる。

  • 使用する異常技によって、敵の差別化ができる。
  • 混乱や即死など、ランダム要素によるハラハラ感を演出できる。
  • 異常を受けた際に、どのように対処するかという戦術性を要求できる。
  • 耐性のある装備品を用意するという戦略性を要求できる。
  • 耐性によって、味方キャラクターの差別化ができる。

 やはり、敵の状態異常もRPGには欠かせない要素なのだ。

敵が仕掛ける状態異常のやりすぎに注意


 とはいえもちろん、敵の状態異常にも限度というものがある。これが余りにも嫌らしいと、プレイヤーがプレイを放り投げる原因にもなる。特に嫌がられる状況を次にまとめた。

治療に手間・費用が掛かる。治療手段が不足しがち

 戦闘終了時に自動完治しない状態異常に関しては、ことさら注意が必要だ。
 プレイヤーが治療手段を持たない場合は、町に引き返す必要に迫られたりする。これを何度も繰り返すようなバランスだと、プレイが停滞するので、大きなストレス要因ともなる。
 お金やMPに乏しく、魔法の種類も揃っていない序盤は、状態異常への対処が少なくこの状況に陥りやすい。

対処法が無く理不尽

 状態異常の中でも、即死や石化のような凶悪なものを使う敵に対しては、対処法がない状況にならないようにしたい。ここで言う状態異常に対する対処法とは主に二通り。

  1. 装備品などで異常を防止する。
  2. 敵が仕掛けてくる前に倒す。または状態異常で行動を封じる。

 つまり、装備品で防止できない上に、こちらよりも素早く行動して異常を放ってくる敵はタチが悪いということだ。素早くなくとも、しぶとかったり、状態異常への耐性が高かったりで、行動の妨害が難しい場合も同様に嫌らしい。

生殺し

 眠りなどの行動できなくなる状態異常をかけられ続けて、何も身動きできない状況が延々と続くことを指す。中々、全滅もしなければ、逃げられもしないので、プレイヤーは終わるのを待つか、リセットするしか手段がなくなる。
 状態異常を多用するが攻撃力には乏しい敵を、群れで出した場合に陥りやすい。これなら、さっさと全滅させられた方がマシである。

味方が敵に仕掛ける状態異常


 『敵が味方に仕掛ける状態異常』とは異なり、『味方が敵に仕掛ける状態異常』には嫌がられる要素は全くない。この点は安心できるのだが、制作者からすると中々に調整が難しい分野でもある。

 それでは、味方が敵に仕掛ける状態異常にはどのような利点があるのだろうか?

  • 成功確率におけるランダム要素によってハラハラ感を演出できる。
  • 敵に応じて、異常を使い分ける戦略性・戦術性を付加できる。
  • 使用できる異常技によって、味方キャラクターの差別化ができる。
  • 耐性によって、敵の差別化ができる。

 例えば……

  1. この敵は数が多い上に、物理攻撃が強い。
  2. しかし、敵が行動するまでに倒すのは難しい。
  3. ここは『暗闇』で、命中を下げて攻撃を受ける回数を減らすようにしよう。

 ……というように判断して戦術を駆使する。うまくハマればニンマリだ。こういう搦手による快感は、単純な攻撃と回復による力押しでは得られないものがある。

味方に状態異常を活用させるには?


 そんなわけで、状態異常をうまく使うように設定できれば、戦術の幅が大きく広がる。この場合、第一の関門となるのは、ダメージ攻撃と比較して、状態異常を活用する価値を見い出せるかどうかだ。

  • 毒でジワジワHPを削るぐらいなら、殴ってHPを減らした方が早い。
  • 眠らせて動きを止めるぐらいなら、殴って永眠させた方が早い。
  • 効くかどうかも分からない即死技を使うより、殴って倒した方が確実。

 そもそも状態異常とは、ダメージ攻撃と比較すると回りくどい手段なのだ。上記のような状況を脱しない限り、状態異常技に未来はない。せめて、なんとかする方法はないのだろうか……。
 というわけで案を挙げてみる。

MP消費は控えめに

 大抵の場合、状態異常技はMP消費を伴うことが多い。そのため、どうせ消費するなら攻撃魔法を使ったほうが良いという状況も多くありえる。更には、消費無しの通常攻撃よりも価値が無いなんてことになると目も当てられない。その点を考慮しても、状態異常技の消費MPは低めを意識しておくと良い。

効果範囲を広めに

 範囲が単体への状態異常技というのは、なかなか使いどころが難しい。やはり「たかが一体の動きを止めたいだけならば、集中的に殴って倒す方が早い」というわけだ。そんなわけで、状態異常技の範囲は全体など、複数を対象としたほうが使いやすい。

 となると、強力過ぎる複数攻撃技は状態異常技の手強いライバルとなる。「簡単に敵全体を一掃できるような技があるなら、状態異常なんていらない」となるのは当然だろう。以前、『戦闘バランス』の記事でも、全体攻撃技の問題点を書いたが、こちらの意味でも無闇に作らないようにしよう。

異常を弱点とする敵を意識して作る

  • しぶといが、即死魔法なら一撃の敵
  • しぶといが、毒でのHP減少が有効な敵
  • 怪力だが、暗闇は確実に効く敵
  • 硬くて魔法も効かないが、守備力低下が有効な敵

 というように、状態異常を弱点とする敵を明確に意識して作る。これならば、使用機会も生まれるはず。ただし、「硬くて魔法も効かないが、守備力低下が有効」というように、倒すのに手数が必要な敵は、多用しすぎて面倒臭がられないようには注意したい。

 他にも「鳥は暗闇に弱い」「獣は混乱に弱い」というように、種族などで傾向を付けてみると、プレイヤーが使用機会を測りやすい。

ダメージ攻撃の追加効果として設定する

 例えば、『ポイズンアタック』というような技を作成する。効果は通常攻撃と同等のダメージを与えた上で、50%の確率で毒を付加するというもの。これならば、毒が敵に掛からなかったとしても、攻撃のダメージは与えられるため、失敗を恐れずに使いやすい。

 ただし、複数の効果を持つということは、戦術としての狙いが絞れず中途半端になりやすいということも指摘できる。「追加の毒がかかった時には、もう敵は死んでいた」となると、普通に殴った方がMPの無駄がないだけマシだったなと思われてしまう。

ボス戦で状態異常を有効活用するには?


 『味方が使用する状態異常』の中でも、最も難しいのはボス戦での活用だろう。その点をまとめると……

  • 即死、石化などの即死級の異常は当然、ボスには無効にするしかない。
  • HPの1/4を削る毒のような異常も、強すぎるので無効にするしかない。
  • 眠り、マヒなどの動きを止める異常も、簡単に効いてはまずい。
  • かと言って、低確率で効く設定にしても、運に左右されてしまい使い辛い。
    強敵であるボス相手に運試しをしている余裕は無いはず。
  • そもそも、どの状態異常が効くかも分からないなら、
    普通にダメージを与えた方が良いと判断されがち。

 こういう難しさがあって、結局のところ、ボスには状態異常が一切効かない設定にしているRPGも多い。こうなると、異常技は役立たず。もし、異常技を中心に戦うテクニカルなキャラクターがいた場合、肝心のボス戦ではお払い箱となってしまうのも悲しい。

 そんな不憫な状態異常と、状態異常の使い手に救いの手を差し伸べるべく、ボス戦でなんとか役に立つ方法を考えたい。思いつく限りにアイデアを出してみた。

ボスにお供を付ける

 ボスのお供としてザコ敵を用意し、こちらには普通に異常が効くようにする。ボス自体には異常が効かなくとも、お供には効果があるので多少の使い道ができる。『即死』『石化』など、強力過ぎて、ボスへは無効にするしかない異常も、ここでなら日の目を見るかもしれない。

比較的、影響が少ない異常を有効に

 『即死』『石化』など、勝負を決してしまう強力な異常がボスに効いてしまうのはまずい。ならば、以下のように、比較的効果が控えめな異常に限り、ボスにも有効となるように設定する。

防御力減少

 ボスの攻撃を妨げるわけではないので、バランスが崩れにくい。後述するが、DQシリーズでも多くのボスに有効な状態異常となっている。

魔封じ

 魔法をあまり使わないボスになら、効くようにしても問題ないはず。魔法を封じた場合は物理攻撃など、魔法以外の攻撃を使うように調整すれば、これだけで極端に弱体化することもなくなる。

暴走

 FFでいういわゆるバーサク。攻撃しかできなくなるが、攻撃力が上昇するという効果もあって、掛けられた方が単純に不利になるとは限らない。

暗闇(命中率減少)

 完全に行動を封じられる眠りやマヒのような異常と比較すると、効果は小さい。物理主体のボスには有効である。

ディレイ

 ATBやCTBにおいて、行動を遅らせる状態異常のこと。ターン制ならば、1ターン丸々妨害するような技をボスに効くようにすると、ハメ殺しされかねない。だが、ATB,CTBならば微妙な調整が可能だ。0.25〜0.5ターン程度、微妙に行動を遅らせるような調整をすれば良いだろう。

確率や効果を控えめにする

 ボスに対して異常が効く確率を低くする。あるいは効いたとしても、眠りなどの効果が持続するターン数を短くなるように設定することで、バランスを崩さないようにする。ただし、消極的な方法なので、結局は状態異常自体が使われない可能性も高く、なかなか調整が難しい。

割合効果を使わない

 異常がボス相手に強力過ぎる理由の一つとして、割合効果の問題が挙げられる。割合効果とは「HPの25%を奪う毒」「攻撃力を半減する魔法」といった対象者のパラメータに対して、割合で作用をもたらす効果のことである。

 例えば、割合効果の異常がボスに効くと仮定した場合……

  • 最大HPの1/4を奪い取る毒で、どんなにHPが高いボスも4ターンでイチコロ。
  • 素早さを半減させて、ボスの2倍の手数で袋叩きに。
  • 怪力自慢のボスも、攻撃力を半減すればヘナチョコに。

 という具合に、大きくゲームバランスが狂ってしまう。

 なので『割合』を使わないように設定すればよい。例えば……

毒の例

 「毒を掛けた側の魔力」を元に毒ダメージを算出する。魔力50のキャラクターが使用した毒魔法はザコ敵だろうが、ボス敵だろうが、毎ターン50のダメージを与える効果というようになる。

攻撃力減少の例

 「魔法を掛けた側の魔力」で攻撃力減少の値を算出する。減少値が20で、味方の防御力が50とすると・・・

 ザコの攻撃力:100→ 80 に減少。
    [使用前]100−50= 50ダメージが
    [使用後]80−50 = 30ダメージに。

 ボスの攻撃力:200→180 に減少。
    [使用前]200−50=150ダメージが
    [使用後]180−50=130ダメージに。

 というように、自然と「ザコ敵には高い効果」「ボスにはそれなりの効果」となるので、ずっとバランスが取りやすくなる。

 DQやFFなど、多くのRPGがそうしているせいで「毒のダメージはHPに比例」「ステータス減少技の効果は元の値をXX%減少」というルールがなんとなくできているのだが、そんな慣習をありがたく守る必要はない。もちろん、『魔力』ではなく、状態異常の効果に影響する専用パラメータを用意しても面白い。

確率強化を取り入れる

 ボスにも状態異常を効くようにしたい。しかし、ただ単純に技を掛けただけで、異常に掛かってしまうのでは簡単すぎる。かといって、確率を低く設定しても、それはただの運ゲーになってしまう。そこで、プレイヤー側が工夫した場合のみ、状態異常がボス戦で力を発揮するという調整にしてみる。

 具体的には……

  • キャラクターや職業毎に状態異常の得意・不得意を定める。
  • 高確率で状態異常を掛けられる技は習得を厳しくする。
  • 状態異常の成功率を上昇させる装備やスキルを作る。

 といった設定を行う。

 例えば、暗闇魔法の命中率が90%とし、ボスの耐性が70%とする。計算式は単純な引き算として、成功率は20%となる。このままでは確率が低くて安定しない。
 そこで、プレイヤーが上記にあるような工夫をすることで、命中率を150%に引き上げる。成功率は80%となって、安定して戦術に組み入れられるようになるという寸法だ。

免疫を付けてみる

 これはまだ練込途中のアイデアだけど紹介。免疫という概念を設けて、一戦闘中は同じ異常が何度も効かないようにする。例えば、最初の一回は眠りが100%の確率で効くが、再度掛けた時には50%でしか効かないというようにだ。これによって、異常技の連発によるハメ殺しを禁止する。

 ただし、これだとボス戦が佳境になってから、異常をかけて、一気にやっつけるような戦法が有利になりそうな気がする。戦闘終盤のほうが緊張感がなくなる状況になりそうなのは欠点かも……。

市販RPGのボス戦はどうなっているか?


 実は意外かもしれないが、DQやFFシリーズでは、ボスにも状態異常が効く設定になっている場合が多い。プレイヤーが気付きさえすればだが、状態異常は既存の市販RPGにおけるボス戦でも案外、役に立つのだ。

 参考までに紹介してみる。

DQシリーズ

 特に有名なのはDQ3のバラモス。ラリホー(眠り)、ルカニ(守備力低下)、マホトーン(呪文封じ)、マヌーサ(命中率低下)と4つもの状態異常が有効。さすがに、即死や混乱は効かない。

 ちなみに、マホトーンで呪文を封じた場合、攻撃呪文を使わなくなるため結果的に、打撃と炎の息の頻度が上がるので、そこまでの弱体化はしなかったりする。

 また、ラスボスには守備力低下しか異常は効かない。おまけに凍てつく波動で打ち消してくるため、使い所がやや難しい。

 シリーズ全体を通して、ボス戦で状態異常を使う機会は少ない。しかし、一貫して守備力低下だけは有効な局面が多い。SFC版DQ2のラスボスに至っては守備力を下げない限り、まず勝ち目はないので、使用が前提となっているように思える。

FFシリーズ

 FF5では、数多くのボス敵に状態異常が効く。特に耐性が無い敵にも、必ず効果を与える魔法剣は強力。沈黙や石化で無力化、瞬殺できるボスも多数。極めつけは4つあるラスボスのパーツの中には、即死攻撃が有効なものまであるということ。

 他にも、『すべてをしるもの』という魔法しか使わないボスがいるのだが、これにバーサクを掛けて魔法を封じると、高威力の攻撃を仕掛けてくるという罠がある。状態異常を仕掛けても、単純に楽になるのではなく、別の展開になるというのも面白い。

まとめ


 今回は状態異常の全般的な問題と、有効活用に付いてまとめた。状態異常というのは、中々に扱いが難しいのだが、これを機能させることで、一段上の戦略・戦術性を目指したいところ。

 次回は具体的にどのような状態異常があるかを個別に洗い出し、分類していきたい。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする