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松野泰己氏を始め、タクティクスオウガと同じ開発スタッフが集まって制作したSRPG。PSPにて、若干の追加要素を加えた移植(ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争)も存在する。
質量/物語
長く続いた対外戦争(五十年戦争)で疲弊したイヴァリース国が舞台。国を二分した『獅子戦争』を収束させた裏の英雄ラムザが主人公。その親友で表の英雄ディリータと対比の構造になっている。
タイトルに同じタクティクスを入れるだけあって、タクティクスオウガとも共通点多数。
- 全4章構成。(ただし、大きな分岐は無い。)
- 舞台は1つの国。
- 主人公の親友が活躍・暗躍する。
- 主人公の姉妹が重要な役目を果たす。
他にも、主人公の性格がどことなく似ている。どちらも一人称が『僕』で真面目寄りな性格。ラムザはサブイベントを見れば、茶目っ気ある性格である事が分かるけれど。
現実の西洋史を元にしたような設定で、色々と細部まで練られている。RPGではなく、SRPGだからこそできる架空戦記といったところか。
序盤は貴族による平民への身分差別という重めのテーマが描写される。その中で名門貴族として生まれた主人公と、その親友ながら平民育ちのディリータの葛藤なども描かれる。そんな中でとある人物によって吐かれる「家畜に神はいないッ!!」はRPG史に残る名台詞として有名。
ていうか、前半部の物語は人間同士の対立が主で、ファンタジーである必要性が皆無だったりする。逆に後半は今までのテーマ性は手薄になって、怪物との戦いに収束していく。それを不満に思う人もいるようだが、全体としての完成度は悪くない。
後半は寄り道要素が豊富。FFシリーズの某キャラが仲間になったりするのも嬉しい。
システム/バランス
タクティクスオウガと同じく立体空間での高低差がある戦闘が特徴。戦闘参加人数は半分の5人になっている。
成長システムには、FF5を正当進化させたようなジョブチェンジシステムが採用されている。SRPGとなって、空間の要素が加わった事もあり、多彩なアビリティが登場する。タクティクスオウガと比べると、ゲームバランスが大味な分、戦術要素は下がるのだが、FFアレンジされた結果、成長要素の自由度が格段に上がっている。
3章までの難易度は結構高いのだが、マップ移動時にランダムで戦闘になる事があって、ここでキャラを鍛えればグッと楽になる。その点で難易度的には初心者でも何とかなるようにはなっている。
ただし、このゲームには有名なハマリポイント(3章終盤:リオファネス城2戦目)もある。連戦マップなのに、主人公と強敵との一騎打ちを強いられて、取る手が無くて積みやすい。一騎打ちに勝った後のボスも作中最強レベルという鬼畜な追い打ち。筆者は1戦目に勝った後、上書きセーブして見事にハマった。余談だが、ここの戦闘は黒魔道士に転職して、白魔法のホーリーをブチかますのが手っ取り早いと思う。
そこまで乗り越えれば、後の難易度はグッと下がる。後半は強力な技が多くてプレイヤーの楽になる方向で、バランスが崩壊気味になる。条件さえ一致すれば、マップ上のあらゆる相手に一度に魔法を掛けられる『算術』は非常に強力。特に後半、仲間になる某キャラはSRPG界でも最強レベルと名高い。隠しキャラでも何でもなく条件なしで仲間になるのだからとんでもない。
快適性
敵味方共に攻撃が激しく、かつ5人パーティーなので、1戦闘がSRPGの割には短かく終わる部類。ロード時間はかなり長め。一部のイベント発生時はフリーズしたのかと心配になったレベル。とはいえ、回数は少ないので気になる程ではないけれど。
美術
戦闘マップはポリゴンだが、キャラクターはドット絵でかわいらしい。吉田明彦氏がデザインしたイラストに忠実な顔グラもGood。戦闘エフェクトも、長すぎず、かつ美しくできている。不動無明剣とか、何となくこのゲームのエフェクトは綺麗で印象に残る。
2D寄りのグラフィックなので、FF7のような粗いポリゴン中心の作品と比較すると、時代を経てもさほど見劣りしない。
音楽
作曲者はタクティクスオウガと同じ崎元仁氏と岩田匡治氏の2名に+2名。タイトルデモ曲は否応なく作品への期待が高まる。緊迫感と格好良さを併せ持った戦闘曲も秀逸だ。
主人公の名前を「BGMききたい」と入れるとサウンドテストに入れるのだが、曲名とその解説がシリアスな本編に似合わず非常にフリーダム。そう言えば、タクティクスオウガのサウンドテストもこんなノリだったっけ・・・。