【RPG制作講座】世界設定

2013年03月23日

 物語の基礎となる世界設定について考えてみる。
 実は筆者は余り真面目に考えたことはないのだが、勉強を兼ねてポイントをまとめてみた。世界設定に悩んでいるという人は各ポイントに分けて考えてみるとよいかもしれない。

時代


 物語の舞台は現代なのか? 中世や古代あるいは未来なのか? あるいはクロノトリガーのように各時代を行き来するのか?

 最もありがちなのは中世風のRPGだが、それだけに現代劇やSFで差別化を図るのも手だ。
 ただし、その場合はDQ的な『ベタなRPGのフォーマット』をそのまま適用するのが難しいことに注意しなければならない。
 例えば、現代劇において『そこら辺を歩いていたら魔物とエンカウントする』なんてフォーマットを持ち込んだら、違和感があるだろう。何らかの案を考える必要がある。(↓の『魔物/敵』を参照)

文化


 西洋風なのか中華風なのか和風なのか? はたまたアラビアンなのか? 既存の文化に属さない独自のものなのか?
 また、西洋風1つ取っても、時代も地域も幅広く、古代ローマ帝国からアメリカの西部劇まで様々に分かれる。世界中を旅するRPGならば、手間はかかるが東洋〜西洋まで地域毎に異なる文化を設けることも可能だ。

 地域が違えば、建築様式や人の容姿・服装も違うというのは当然のこと。ただし、そのレベルまでこだわり出すと、グラフィック側の作業量が半端ない。

 その地域特有の風習や祭りことを決めて、うまくストーリーに絡めれば深みが出る。かの『指輪物語』は独自の言語まで構築していたなんてのは有名な話。さすがにそこまでやる必要はないと思うけれど……。

舞台/規模


 RPGと言えば、やはり世界を舞台とした大作RPGを思い浮かべるもの。
 もちろん、それでも良いのだけどそれ以外の選択肢だって用意されている。世界全体を舞台としなければならないという決まりはない。

タクティクスオウガ

 舞台は1つの島。民族同士の争いと、周囲の大国の思惑が克明に描かれる。
 世界設定の深みはそこらの世界を舞台にしたRPGに勝るとも劣らない。

ペルソナシリーズ

 学校とその周辺が舞台。
 舞台が小さいだけに同じ人物が登場する機会も多く、深くキャラクターを掘り下げることができる。学校や町という身近なテーマを使えるのも魅力だ。


 このように舞台は小さくとも、立派な大作も存在する。
 逆にスーパーチャイニ…スターオーシャンのように世界を越えて、宇宙を舞台としたSFだってもちろん可能だ。

 とはいえ、制作に慣れない最初の内は、身の丈にあった規模の作品から作り出すのがお勧め。とりあえず、完成させてみて気力が持つようならば、そこから更に舞台や話を広げても良い。

世界


 世界のあり方そのものについても、考えてみよう。
 冒険の舞台となる世界は一体、どのような世界なのだろう?
 我々の地球のように宇宙の中にある1つの星なのか? 昔の人が考えたように世界の果てには滝があるのか? はたまた世界は夢の中なのか?

 RPGでは、2つ以上の世界が存在する作品も珍しくない。それらの世界がどのように繋がっているかも重要だ。
 例えば、現代的な現実世界とファンタジー世界を行き来するなんて設定もファンタジー小説では良く見られる。(実はRPGでは余り知らなかったり。)
 複数の世界にまたがる物語は非常な大作感があるので、RPG制作者なら、皆が夢に見るはず。

ゼルダの伝説 神々のトライフォース

 表と裏の世界が存在し、2つの世界を行き来することがゲーム進行のカギとなる。
 裏の世界から表の世界へは『マジカルミラー』によって座標を保持したままワープできる。しかし、裏の世界→表の世界へはワープポイントを見つけなくてはワープできない。
 このように世界の移動に制約を設ける事で、ゲーム進行を調整することもできる。

国家/政治


 国家という枠組みもストーリーには大きく関わってくる。
 王政、共和制といった政治形態に加えて、どのような身分制度が取られているのかもポイント。
 また、国家間の関係も重要だ。強大な帝国に対して、他の国々が同盟を組んで立ち向かうなんてのもよくある構造。

 国家については、余り舞台の規模を広げない方が濃密に描きやすい。世界中を旅するようなRPGだと1つ1つの国家に対する描写はどうしても軽くなりがち。
 普通、1つの国家は多数の町を抱えるものだが、4つも5つも国家が登場するような作品で、それぞれに多数の町を組み込むのは大変だ。

 この分野に付いて、知識を深めたいならば現実の日本史・世界史を学ぶのが良いだろう。
 別に学術的な難しい資料を読む必要はない。歴史小説マジおすすめ。Wikipedia辺りをハシゴするのもお手軽。

人種/種族


 どんな人種や種族が存在しているのか?
 ここでいう人種・種族とは……

  • 人種:黄色人種、白人、黒人といった人間という枠組みでの違い。
  • 種族:人間、魔族、エルフ、ゴブリンといった生物的に大きな違い。

 大半のRPGでは人間やそれに近い種族が物語の中心となる。それは、人間であるプレイヤーが感情移入できるのは、やはり人間的なキャラクターだからだろう。完全な動物を主人公にした場合、感情移入は少し難しくなる。

 人間以外の種族には、やはり人間とは異なる特徴が欲しいところ。
 魚のように泳ぐのが得意だったり、鳥のように空を飛べたりという具合だ。
 何百年に渡る寿命を持った種族がいるのも定番。この場合、その種族の人物が「主人公の先祖と知り合い」というような設定を付加することで、都合良くストーリーを深めることもできる。

 人種や種族による対立もこれまたRPGではよく使われるテーマ。
 ファンタジー世界なるもの人間以外の種族が1つや2つあってもよいだろう。もちろん、仲間キャラクターに異種族がいても面白い。

ブレスオブファイアシリーズ

 仲間全員が様々な種族から構成されていて、普通の人間は少ない。その割に、世界の住民はほとんど普通の人間だったりするけれど。
 特にブレスオブファイア2では、カエルが水の中を泳いだりと、各自が種族に合わせた能力を持っている。

歴史/神話


 天地創造にまつわる神話。国家の歴史。伝説の英雄と魔王の戦い。それに、主人公やその親・祖先がどのような経歴をたどってきたのかというのも、立派な歴史である。

 ここからラスボスの設定を考えていくのも1つの案。実際、RPGでは歴史や神話がラスボスに関わる率が非常に高い。

宗教/神


 国家や歴史・文化と密接に関係する。時に神が実在するファンタジー世界では、その重みは現実世界を上回るはず。でもって、RPGでの宗教は現実以上に怪しい役割が多い。

科学


 どのような科学レベルを持っているのか?
 特に交通手段(馬車→船→飛行機→宇宙船→ワープ装置)や通信手段(伝書鳩→固定電話→携帯電話→インターネット)はストーリー進行にも関わってくるので、都合がよいものを考えよう。

魔法/超能力


 魔法は当たり前に存在して、誰もが使える力なのか? それとも公には隠されていて、限られた者にしか使えない力なのか? あるいは存在しないのか?

 魔法はどのような体系を持っていて、理論的にどのような力なのか? 呪文を唱えることで発動するのか? 神や精霊の力を借りることで発動するのか? 魔石の力で発動するのか?

 また、魔法はどのように社会や科学と関わっているのかも重要だ。
 魔法がその世界の住民に取って、重要なものならば、教育機関や研究機関が造られるのも当然の話。魔法が得意な人間が尊敬を受けて、社会的に高い地位に付くだろうというのも容易に想像がつく。

生態系


 どのような生物が世界に暮らしているか? それらが人とどのように関わってくるか?
 例えば、FFシリーズではチョコボを馬の代わる乗物として扱っている。
 また、飛竜に乗って空を飛んだり、海竜に船を引かせることで風と帆の代わりとしている。

 生態系には魔物が組み込まれる事が多々あるが、それについては↓で。

魔物/敵


 大概のRPGには、ゲームシステムに戦闘が組み込まれており、敵となる存在がある。
 もちろん、敵として最もよく使われるのは『魔物』だ。これらを世界設定の中でどのような存在として位置づけるか。
 もちろん、魔物という言葉を使わずに『妖怪』など他のものを使ってもよい。その辺は世界観に合わせて考えればよいだろう。

 最も単純なのは魔物を凶暴な野生生物として設定してしまうこと。ファンタジー世界で魔物に襲われるのは、現実世界で熊や狼に襲われるのと同じというわけである。
 人間同士の戦いを、物語の主軸に置きたい場合はこの設定が便利だ。魔物はザコ敵や中ボスとして戦闘の相手にはなるが、物語には深く関わってこないという寸法である。

 次によく使われるのは、魔物が知能や意思を持って人間と対立をしているという設定だ。
 この場合、魔物を統率する魔王のような存在が登場し、主人公達の強大な宿敵として立ちはだかることが多い。

 さて、大半のRPGではザコ戦がプレイ時間の多くを占めることになる。そうしないとゲームとして間が持たないし、戦闘システムの面白さを発揮できないからだ。フィールドやダンジョンを歩いているだけで、魔物と戦闘になるというお約束もそのためにある。

 このお約束について悩むのは、現代劇などを題材としたい場合だ。
 例えば、現代日本に似た世界で、そこら辺を歩いていただけでザコ敵とエンカウントするというのは、やはり違和感がある。「そんな危険な生物がいたら、自衛隊が駆除してくれるだろ常識的に考えて……」というわけである。

 その違和感を打ち消す何らかの設定が必要となるだろう。
 例を挙げると……

  • 作風をコミカルにして押し切る。
    (その辺の野良犬が襲い掛かってくるマザーシリーズなど)
  • 主人公は妖怪に狙われやすい体質。
    一般の人間は狙われないし、妖怪が視えない。
  • 現代世界の中に魔物が住む異世界をダンジョンとして用意する。
    (ペルソナシリーズなど)
  • 既に魔物が跋扈していて町が荒廃している。(女神転生シリーズなど)

自然環境


 その世界はどのような自然環境なのか。特にこれは視覚的な効果が大きい。

  • 緑あふれる世界
  • 緑が失われた荒れ果てた世界(ワイルドアームズなど)
  • 地表のほとんどが海に覆われた世界
  • 空の上に陸が浮かぶ世界(バハムートラグーンなど)

 ……というように色々と考えられる。
 1つの世界でも、大陸毎に自然環境をゴロッと変えてしまうのも面白いと思う。もちろん、その作品独自の現実にはありえない光景や自然現象が存在してもよい。災害などの要素も考えてみよう。

まとめ/補足


 自然環境の部分でも同じようなことを述べたが、科学的・文化的に現実世界の法則に乗っ取る必要は無い。
 例えば……

  • 重力加速度が9.8m/s^2である必要は無い。
    つまり、キャラクターが現実離れした大ジャンプをしてもよい。
  • 国を越えて通訳を介さず、同じ言語で会話してもよい。
    さらには、動物が人間の言葉を話してもよい。
  • 天動説が正しくてもよい。
  • 水中で窒息死しなくたってよい。(例:FF10)
  • 物質が原子や粒子で構成されている必要はない。
  • 性別が男と女の2種類である必要もない。

 不必要にいじくると現実離れして、取っつきにくくなるリスクがあるのだが、物語やゲームシステムとして生かせるならば、世界の法則そのものに手を加えてみるのも面白い。

 世界設定は重要ではあるのだが、余りそればかり考えて作品を作れないのは困り物。ぶっちゃけ、世界設定を綿密に考えなくとも作品は作れるし、市販RPGの中にも世界設定を大雑把にしている名作はたくさんある。
 例えば、DQシリーズでは国家の歴史や国家間の関係が濃密に描かれる事は滅多にない。かくいう筆者も現状はやや適当気味。難しいと思ったなら、気楽かつ適当にすませてしまうのも手だろう。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする