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質量/物語
日本の昔話をテーマにした物語。FCの桃太郎伝説の続編。実はPCエンジンの桃太郎伝説2の大幅リメイクらしいけれど、ラスボスが違うなど、別物といって良いレベルに変更されている模様。
物語はかぐや姫が住む月の宮殿に鬼族の魔の手が忍び寄るところから始まる。助けに向かった桃太郎だったが、鬼族のダイダ王子に全く刃が立たない。力を奪われ地上に落とされた桃太郎は、かぐや姫と世界を救うために、再び立ち上がる。……というのがあらすじ。
前作の6年後が舞台。ゲーム開始時点で、既に桃太郎はえんま大王を懲らしめ改心させた英雄となっている。前作に登場した金太郎や浦島太郎も仲間として登場。シリーズおなじみの夜叉姫はここで初登場。父や兄との因縁など、かぐや姫よりもヒロインチックな活躍を見せる。
子供向けと思われがちだが、実はSFCでも屈指のシナリオだと個人的には思っている。キャラクターは個性的で、1つ1つのイベントにも味がある。地上・月・海底を行き来する物語は冒険感にあふれる。後半の展開も意外にシリアスで、何といってもラスボスはRPG屈指の悪役として強烈な印象を残す。
ところで、10年後に発売したDQ8とラストバトルが微妙に似ているけれど、これの影響だろうか。制作者が旧知の友人同士だし、大いにありえそう。
システム/バランス
基本はドラクエ系のオーソドックスなシステムだが、個性も豊か。天気によって状況が変わる戦闘、様々な能力を持った仲間、多彩な特徴を持った敵など、オリジナリティは十分。反面、敵も仲間も個性が強力過ぎて、バランスが崩れている部分も。
全体的に敵は強く難易度は高い。それだけではなく嫌らしい特技を持った敵が多いのも困りもの。中には、こちらの所持金を全額盗む、とんでもない敵まで存在する。ただ、味方側も強力な能力を持っている。桃太郎が覚える『鹿角の術』もその1つ。消費は大きいが、敵全体に会心の一撃を与える効果があり、ほとんどのザコ敵はこれ一発で全滅できる。
段(レベル)が上がると、全回復する便利な仕様も桃太郎伝説から継続。他にも、倒すと味方を全快してくれる敵がいたりして、プレイヤーに対する飴と鞭の構造になっている。総合的には、かなり際どい次元でゲームバランスを取っている。決して万人向けではないのだが、メリハリが効いていてある意味面白い。
快適性
このゲームは「面白いけれど操作性の悪い」作品として有名。ここさえもっとまともならば……。
全般的にキーの操作が非常に悪く反応が遅い。例えば、メニューを開いて、回復アイテムを使うだけの作業に6秒程度かかる。これは、DQやFFなら、2〜3秒程度で完了する作業。しかも、その度にメニューを閉じてしまうので、複数回アイテムを使いたい場合はたまらない。
戦闘テンポも遅く、逐一キー入力してメッセージを送らないと、最速にならないのは辛い。オプションで多少メッセージは省略できるがそれでも遅め。ダメージ表示も小さくて見辛い。
美術
イラストがうまくドット絵に変換できている。歩行キャラクターやマップの書き込みは少し物足りないところもあるけど、フロントビューの戦闘画面は中々見栄えがいい。敵のグラフィックも個性豊か。
音楽
FCの桃太郎伝説と同じく、サザンオールスターズの関口和之氏が担当。
『フィールド曲』『戦闘曲』など、和風のメロディかつ王道RPGといった感じで、作品に良く合っている。浦島の村の曲が例の童謡のアレンジだったりするのも面白い。エンディングでFC桃太郎伝説の懐かしい曲が流れる事に感動。
まとめ
『物語』『システム』『美術』『音楽』については、十分に同時期のDQに張り合える水準。問題は万人向けとは言い難い難易度と困難な操作性。今はネットで攻略が見れるからよいけれど、当時は途中で挫折する人も多かったのではないかと。