【RPG制作講座】序盤@ オープニング

2013年02月23日

 物語の構成『起承転結』において、序盤を司る『起』が重要である事は言うまでもない。
 この講座では『起』を『オープニング』と『主人公が旅立つまで』の2種類に分けて説明する。この記事ではあくまで冒頭(オープニング)の見せ方について書いているので、旅立ちについてはほとんど触れていない。

 RPGのオープニングですべきことは主に……

  1. 世界設定の説明。
  2. 主人公を始めとした登場人物の説明。
  3. ゲームシステムの説明。
  4. プレイヤーを作品に引き込ませる。

 といったものが挙げられる。
 これらを踏まえた上で魅力あるオープニングというものを考えていきたい。

 しかし、ただダラダラと世界設定や人物、ゲームシステムを説明したところで、プレイヤーの興味を引くのは難しい。
 つまり、説明すると同時に「プレイヤーを作品に引き込ませる」必要もある。面白くなるまでに時間がかかるようでは、それまでに飽きられてしまう可能性が高い。
 有名なところでは、DQ7が「最初の戦闘までに数時間かかる」だなんて非難を受けていた。やはり、物語の早い段階でストーリー的、ゲーム的な面白さをプレイヤーに体験させた方が好ましい。

 そんなわけで、既存RPGのオープニングを分類してまとめてみた。
 どんなオープニングを作れば良いのか迷う――という人はぜひとも参考にしてみて欲しい。例に挙げた作品は、必ずしも良い例とは限らないのだが、それもまた逆に参考になるかと思う。

代表的なオープニングのタイプ(場面編)


 どんな場面から始まるかで分類。

ストレートに始まる

 小細工なし。
 物語の冒頭から直球でプレイヤーに目的を伝える場面から開始する。容量などの都合で、余り長い会話を挟めなかった昔の作品に多い。
 とはいえ、現代の作品でもテンポやゲーム性を重視するなら、この型を取るのもありだろう。

ドラゴンクエスト1〜2

 冒頭から王様との会話によって、直球で「魔物の親玉を倒せ」という目的が示される。
 その後、城の兵士達との会話からゲームシステムや世界観に関する情報を得ていく。とても簡潔。とても無駄がない。

呼出を受ける

 「王様がお呼びだぞ」というような呼出を受けるところから開始。
 呼び出した相手から物語当初の目的を聞くことになるという流れ。会いに行くまでにある程度自由に行動できる場合も多い。その途中で町人から舞台設定に関わる情報を得たり、主要人物に出会ったりする。

 『ストレートに始まる』よりも、段階を置くことで情報を分散して伝えられる。伝えなければならない情報が多い場合は、こちらの方が有効。

ドラゴンクエスト3

 朝、母親に起こされる場面から開始するが、すぐに王様の元でDQ1〜2と同様の目的が与えられる。
 ちなみに、リメイク版だとタイトルデモが存在する。そこでは、主人公の父が旅立って消息を絶つという流れが描かれる。

放り出す

 目的すら明示せずに放置して、プレイヤーの操作に任せる。
 周りの人物に話しかけるなどしているうちに、目的が見えてくるというのが一般的。
 移動できる範囲を絞って、誘導してあげると上下のタイプに近くなる。テンポ重視。

ファイナルファンタジー1

 フィールド上に放置された状態でスタート。
 ……といってもすぐ側に町と城がある。
 城で王様の話を聞くことで、さらわれた姫を助けるという最初の目的を知る。
 一応、ゲーム起動時のテロップでは、主人公達が冒険の末に、そこへたどり着いたことが示されてはいる。

順当に説明

 テロップや会話、映像などで、順を追って現在の舞台や状況を説明する。
 その世界の中で主人公は「どんな立場なのか」が表現され、なすべきことが判明する。
 場面転換を駆使しながら、複数人物の動静を見せることも多い。
 SRPG的なやり方だと地図や年表が表示しながら、色々と情勢を解説すると雰囲気が出る。

 要するに最も普通のオープニングの見せ方。プロの小説にも多い手法で分かりやすい。
 ただし、あまり長々とやると嫌われやすいので注意。

ファイナルファンタジー5

 数々のシーンを切り替えながら、プレイヤーに状況説明を行う。

  1. 飛竜に乗ってタイクーン城から風の神殿へ旅立つ王。それを見送る娘のレナ。
  2. 船上にて、風の異変を感じる海賊ファリス。
  3. 同じく、どこかで風の異変を感じる謎の老人ガラフ。
  4. 場面が城に戻って、風の停止に気付くレナ。
  5. 風の神殿にたどり着いた王。しかし、神殿のクリスタルは砕け散る。
  6. 旅の途中の主人公。突如落下してきた隕石に驚き、様子を見に行く事に。

 ここまで4〜5分かかって、ようやく操作が可能に。
 セリフ自体は非常に簡潔なのだが、ゲーム性重視のFF5にしては、意外と長いオープニングである。

 ついでに、その後も……

  1. 隕石の側で、魔物に襲われているレナを助ける。
  2. これまた隕石の側に倒れているガラフを助ける。どうやら記憶喪失らしい。
  3. 2人は風の神殿に向かうらしい。主人公はそれを見送るが、結局後を追う。
  4. またも、魔物に襲われている2人を助ける。3人で風の神殿に向かう事に。

 という具合に中々忙しい。
 ご都合主義もあるとはいえ、これだけのイベントを10分程度で消化するFF5はある意味凄いと思う。

ヴァルキリープロファイル

 長いオープニングの筆頭。『世界観の説明』『主人公の過去と説明』『初期の仲間の説明』を一気にまとめてやってしまう。
 途中、イベント戦闘を挟みはするものの、まともに操作できるようになるまで1時間近くかかる。
 複雑な設定を説明するために、こうなってしまったのだと思うのだが……。

いきなり見せ場

 状況説明も程々に、いきなり見せ場に突入する。
 速攻で事件発生、または既に事件の真っ只中。
 特にダンジョンや戦闘が絡むことが多い。
 一連のイベントが終わった後に町に戻って落ち着いた後に、ようやく主人公がどのような暮らしをしているのかを説明したりする。

 「何をやるのか?」ではなく「何をやっているのか?」から逆算してストーリーを伝える。
 FFシリーズがよくやる手法でもある。
 プレイヤーが操作できるようにする場合と、操作はさせずに一方的にイベントを見せる場合の2種類に分かれる。

 基本的には操作できる場合の方が好まれる。
 プレイヤーの操作を交えながら、スピーディな状況説明が可能なので、ゲームという媒体を活かせる。
 ストーリー的には順を追っていないため、プレイヤーを置いてけぼりにしないようには注意。

ファイナルファンタジー2

 簡素なテロップで、主人公達が帝国の追手から逃げている途中であることが示される。名前入力画面の直後、何のシーンも挟まずに、いきなりの強制敗北戦闘。
 そして、反乱軍に救命された主人公達が帝国との戦いに立ち上がる――というのが一連の流れ。

ファイナルファンタジー3

 いきなり落とし穴から、謎の洞窟に落ちる主人公達4人。
 その洞窟を探検する中で、発見したクリスタルから世界を救うように言われる。

ファイナルファンタジー7

 2分程度のムービー(街の外観など)の後、列車から主人公が敵地に飛び降りるところから操作開始。
 テロップによる説明はない。
 魔晄炉爆破というミッションを通して、仲間との会話を挟みながら、その目的や世界設定が伝わるようになっている。
 FF6も似たようなタイプなのだが、いずれも秀逸な構成だと思う。

ファイナルファンタジー8

 冒頭のムービーで、主人公とライバルの決闘シーンが描かれる。ただし、こちらは操作できないパターン。
 決闘に敗北、運び込まれた学園の医務室から地味に操作開始。その後の流れは『呼出を受ける』に近く、広い学園内を自由に動き回れる。

日常から始まる

 ごく普通の日常から始まる。等身大の視点から、主人公の立場や世界設定について、徐々に説明をしていく。
 ちょっとした冒険から徐々に大きな目標に向かうパターンもあれば、急激な破綻を迎えるパターンもある。

クロノトリガー

 朝、母親に起こされて祭りに出かける、というように日常の延長から開始する。
 住民との会話から、世界設定が分かるようになっている。

ドラゴンクエスト7

 主人公と王子キーファが島の遺跡を探検するシーンから開始。
 長いフラグ立てと謎解きに、数時間かけた後で別世界にワープ。直後に最初の戦闘もある。
 前述した通り、前置きが長すぎて不評を浴びた例。
 個人的にはこういう流れもアリなのだが、それにしてもフラグ立てが多すぎたかなあと。

新天地からスタート

 新しい町や島、あるいは組織にやって来るところから物語が開始。
 主人公にとってもプレイヤーにとっても未知の場所なので、自然と説明をしやすいのが長所。
 まあ、「久し振りのXXXXだな」というパターンもあるけれど似たようなものかと。

ペルソナ3〜4

 学園モノらしく新しい学校に転校するところから開始する。
 教室で自己紹介、隣の席の人物に話しかけられるといった恒例の展開が続く。

代表的なオープニングのタイプ(時系列編)


 冒頭シーンの時系列で分類。

過去の出来事

 物語開始時点よりも、過去の出来事を冒頭に持ってくる。これも定番のパターン。
 なお、少し過去の出来事を持ってくるだけなら『順当に説明』と大差ない。

 例としては……

  • 何百年前の伝説の戦い
  • 主人公の両親など、数十年前の出来事
  • 主人公の出生にまつわるシーン
  • 主人公自身の過去

 オープニングが終わった後は現代の主人公に操作が移る。
 主人公に関わるシーンが扱われることが多いのは、ストーリーに連続性がある方が、プレイヤーに理解しやすいためだろう。

 これも分かりやすいが、やはりテンポが悪くなりやすいのが欠点か。
 そのためか、過去の出来事をあえて冒頭には持ってこず、少し後から伝えるDQ8のような作品もある。

ブレスオブファイア2

 主人公の幼少時代を操作しながら体験する。時間としては10分程度。
 住んでいた町の様子が一変、後の親友ボッシュと出会い、共に町を離れる経緯が描かれる。
 一気に年数が飛んで、現代の主人公に移る。
 ちなみに、幼少時代の伏線は相当終盤まで引っ張る。

エストポリス伝記

 主人公の祖先でもある100年前の英雄達の戦いから物語が始まる。
 プレイヤーが自分で操作して、ダンジョン探索と戦闘を行うため『いきなり見せ場』とも分類できる。
 ただし、ここで稼いだアイテムや経験値は、本編開始後には何の意味もなさないのが玉に瑕。

未来の出来事

 逆にゲーム開始時点よりも、未来の出来事をオープニングに持ってくる。
 時系列を逆転させるので、プレイヤーを混乱させないように注意。
 未来を見せるという事は作者自らネタバレをしてしまうということ。
 既に判明した結果に対して、意外性のない過程を持ってくるなんて構成ならやる意味はない。作中の見せ場や印象深いシーンを使った上で、「どうしてこうなった!?」というようにプレイヤーへ過程の興味を引くようにしたい。

ファイナルファンタジー10

 ネタバレにならない程度に物語の転換点より、少し前を見せている例。
 物語の目的地ザナルカンドの入口に到着した時点から開始。名曲『ザナルカンドにて』がとても印象深い。
 そこから、回想という形でゲーム開始時点までさかのぼって、ゲーム後半にようやく冒頭へ繋がる。

ファイナルファンタジータクティクス

 全4章構成の物語だが、オープニングとなるのは2章冒頭。
 操作できる戦闘(といっても、ほとんど自動)の後で、主人公の親友ディリータが王女を誘拐するシーンとなる。
 この時点ではチンプンカンプンなのだが、さかのぼって1章を経ることで、話が繋がるという構成。

まとめ


 やはり、RPGに限らずゲームのオープニングたるもの、「まずは操作をさせなくては始まらない」というのが僕の意見。
 すぐにダンジョン探索や戦闘を体験させられる『いきなり見せ場』はその点で優れている。

 『順当に説明』や『過去の出来事』などを長々とやるのは嫌われやすいのだが、ストーリー面でプレイヤーを引き込む自信があるならば、それも良いかもしれない。ともかく『長い』『つまらない』『意味不明』というのは避けたい。

 というところで『序盤を面白くするテクニック』を考えてみたので、これで締めくくりとしたい。

序盤を面白くするテクニック


開発終盤に手直ししよう

 物語を進行順序通りに作る制作者は多くいると思う。
 その際、制作に慣れない段階で作ったがために、中盤や後半に比較して序盤のクオリティが低いということがあり得る。

 アピールすべき序盤が相対的に手薄になるわけだが、これはかなりもったいない。
 できるならば、オープニングを始めとした序盤のイベントは、作り直せとは言わないまでも、開発終盤に手直しをしてクオリティアップを図りたい。ついでに後半の展開に対して、後付で伏線を張ったりするのも良い。

最初のダンジョンに凝ってみる

 最初のダンジョンと言われると、洞窟や森といった地味なものとなりやすい。
 しかし、強くアピールすべき最初のダンジョンが地味なのはもったいない。可能ならば、「曰くありげな遺跡や神殿」「禍々しい大ボスのアジト」「風光明媚な外のダンジョン」などを持ってきてみよう。

 構成上の都合、いきなり大ボスのアジトをぶつけたりするのは難しいかもしれない。それでも、少しでも良いダンジョンとなるように出来る範囲で力を入れてみよう。
 例えば、洞窟にしても水晶の洞窟にして神秘的な雰囲気を出してみるとか。
 同じく物語を進行通りに作っていた場合、最初のダンジョンはパッとしないものになりがち。最初のダンジョンは短めなのがほとんどだし、開発終盤に蓄積した技術力で強化しておこう。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする