作品を完成できない制作者にありがちなのは、負荷が大きい作業を避けて、負荷が小さい作業に逃げてしまうこと。(ソースは僕の少年時代)
特に素材収集に加え、仲間・敵・アイテム等のデータ入力といった簡単な作業をして、制作を進めた気になってしまうのは大きな罠だ。
負荷が大きい作業とは、以下のような傾向が強いものである。
- 作業量が多い。
- 結果を得るまで時間がかかる。
- 創造力が必要。
- 技術力が必要。
- 複雑な計算が必要。
負荷が小さい作業とは、以下のような傾向が強いものである。
- 作業量が少ない。
- 結果が出るのが早い。
- 単純作業。
例えば、『マップデータの作成』は1つのダンジョンや町を完成させるまでに長い時間がかかるため、完成までモチベーションを維持することが難しい。一度、区切りがついた場合に再開するのにも気力を要する。
逆に『町人の配置&セリフ作成』などは、1人当たりのセリフ入力はすぐに終わるので、気軽に手をつけて気軽に中断・再開しやすい。
だからといって、負荷が大きい作業に手を付けないことには、制作はいつまで経っても進んだとは言えないし、終わらない。
負荷が小さい作業というのは、モチベーションが低い時でもできる。平日、仕事帰りの疲れた時でも、惰性で少しずつ進めやすい。ある程度の型を決めたならば、後回しにしてもよいだろう。
制作者の好みによって負荷の大小が変化することは言うまでもないけれど、参考までに僕個人の主観で負荷の大小毎に項目を列挙してみた。
負荷大
ストーリーの作成
全体のストーリーを構想し、さらに、テキストエディタへ個別イベントのセリフや所作といった脚本を打ち込んでいく。RPG制作における醍醐味で、これを一番の楽しみとする制作者も多いが難易度も高い。
言うまでもなく創造力を要する作業となるのだが、同時に物語の整合性を取る論理性も要求される。
脚本を書いていると、色々と気恥ずかしくなってくるのも創作者として、乗り越えねばならない壁。しかし、そこは気にせず行こう。
途中、考えたイベントが気に食わず、戻り作業が発生することも珍しくないので、しっかり構想を固めたい。
ただし、「構想段階で停滞して、いつまでたっても脚本に進まない」なんていうのもありがちなこと。構想がある程度できたのなら、意を決して脚本制作に進もう。
マップデータの作成
地道で時間がかかる作業の代表格。
ストーリーがないRPGはあっても、マップがないRPGは少ないので、個人制作ならば避けては通れない部分。
膨大なマップデータを入力する面倒臭さに挫折した制作者は数知れず。
ストーリーと比べるとそこまでの創造力は要求されず、単調作業寄り。そのため、やる気がなくても、ある程度やれるという点だけはマシだろう。ただし、下にある『マップチップの作成』段階からやる場合はその限りではない。
ストーリーイベントの作成
作成した脚本をイベントとしてエディタのマップ上に乗せると同時に、キャラクターの配置・動作や画面演出といったものを組み込む。
指定した動作で実際に動かしてみると、しっくり来ないことが多く、何度も調整を入れることが多い。
これもストーリーそのものの作成に負けずと大変な作業となる。
自作システム作成
複雑なスクリプトやプログラムによる自作システムの作成を指す。
技術力が必要なのもさることながら、細かいレイアウトの調整も入ってくるので、中々に大変。システムデザインそのものも創造力を要する作業だ。
敵グラフィックの作成
グラフィック素材の中では、サイズが大きめなのが難しい点。画力が必要なので素人(僕含む)には辛い。巨大なボスモンスターは特に厳しい。
あまり大きいと大変なので、最初は50×50ドットぐらいのサイズを目安に描いてみると良いと思う。
※あくまでSFC的な低解像度で作る場合の話です。
1グラフィックに付き×3〜4程度、色変えを駆使して数を水増ししてみよう。ボスまで色変えで済ませるというわけには、さすがにいかないが、長編でも40〜70程度描けば何とかなる。
歩行グラフィックの作成
敵グラと比較すると、フォーマットがあるので描いている内に慣れやすい。素人でも少し頑張れば、そこそこの見栄えのものを作ることができる。キャラクターのデザインを考える楽しさもあるので、ドット絵初心者にもお勧め。
ただし、上下左右それぞれの歩行パターンがいるのが大変。一般人の老若男女を揃えるだけでも一苦労だ。
マップチップの作成
グラフィック素材の中では地味かつ大変。世界観に凝って「単純な西洋ファンタジーとは一線を画したものを作ろう」とか、こだわり出すと死ねる。パターンを使いまわしして、色を変えるだけでも雰囲気は変わるのでうまくやろう。
戦闘アニメーションの作成
自力で素材制作を行わない場合は、負荷中ぐらいになると思う。とにかくパターンが多い。サイドビューならば、キャラクターの動きを作らなければならないのが大変。
ちなみに、FF6やロマサガ3のキャラの戦闘アニメを見ると分かるが、うまく歩行アニメーションを流用して手間を削減していたりする。
作曲
意外かもしれないが、素材制作の中では比較的に負荷は小さい部類だと思う。どの程度こだわるかにもよるが、5〜10時間程度あれば一曲完成できたりする。
※この文章は当初MIDIをそのまま使っていた時代に書いたものです。現代は良質な音源を使ってOGGやMP3を作成するのが大半なのでもっと大変です。
DQシリーズのように長編でも曲の使い所を絞れば、数十曲でも足りる。FFのように町・ダンジョン毎に曲を変える勢いだと大変。他と比べると成果物単体での達成感が大きいので、モチベーションにつながりやすい。
ただし、スランプやマンネリに陥ると、中々脱出できないのがこれの難しいところ。
負荷中
テストプレイ(デバッグ&バランス調整)
長編となると、クリアまで数十時間とかかったりするので、1周通してクリアするだけでもかなりの負担となる。
その上で、『マップの当たり判定』『フラグ管理』『バランス調整』といった細部に気を配る必要がある。
実際は完成までに数周はテストプレイするのが常識。自分のゲームは既に知り尽くしているがために、やっていてもワクワク感が少なく、言わば最初から半分飽きている状態なので、これも中々の苦行。
町人の配置&セリフ作成
長編なら店等の施設を省いた全部の町人を合計すると、何百人という人数になる。
さらにストーリーの進行によって、セリフが切り替わったりする。これら全部のセリフを入力するのは地味に大変だが、1人当たりの作業はそこまで多くない。作業を区切りやすいので、気持ちとしては楽にできる。
ただし、会話のネタ切れに悩まされることも……。
負荷小
素材収集
フリー素材を集めて来ただけで、何だか制作が進んだ気になるのは良くあること。ただそれが錯覚であることも言うまでもない。
人にオーダーメイドする場合は、やり取りによる負荷は大きくなる。
なお、「グラフィック素材の色変え・反転」や「音楽素材のループ処理」など、最低限の編集技術は身に着けておきたい。何でも人頼みで完成できるほど、ゲーム制作は易しくない。
仲間パラメータの入力
各キャラクターに能力を設定し、個性付けを行う。
人数は多くても普通は数十人程度なので、作業量としてはさほど多くない。
敵パラメータの入力&配置
数は多いがザコ一体当たりの作業量は数分〜10分程度といった所か。
ただし、ボス敵については何度もテストプレイを繰り返しながら、調整する必要あり。
アイテム・技データの作成
基本的には名前と数値を入力していくだけの地味で簡単な作業。
戦闘アニメの作成と比較すると、遥かに楽。
ただし、アイテムや技に個性付けするために、スクリプトに手を出したりするとそれなりの手間はかかる。
アイテムデータの配置
いわゆる宝箱。町中のツボやタンスに物を置く場合もある。もちろん、これらの管理はきちんとやろう。
Excel等を使って、どこに何を置いたかはすぐに分かるようにしておく。町/ダンジョン名と配置したアイテムの対応表があれば良い。
まとめ
作品を完成させるため、特に重要となるのは『ストーリー』『ストーリーイベント』『マップデータ』の3点になる。これだけ抑えれば作品としての形はできるので、後は何とかなる。
システムについては、必ずしも自作する必要はもない。ツールのデフォルトでもよいし、プラグインやスクリプト素材のようなものを利用してもよい。素材については、オリジナリティは出ないかもしれないが、フリー素材だけでも完成させる事はできる。
パラメータの入力だとか、ゲームバランスの調整だとか、町人や宝箱の設定だとかは、これらに比べればずっと作業量は少ない。なので、作品を完成させたことがないという方は、この重要な3点を優先して取り組んで見るとよいだろう。
もちろん、作品に対して味付けを行いたいならば、素材や自作システムにもこだわる必要があるのだが、それらはこの3点の形が出来上がってからでも遅くはない。
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