【RPG制作講座】戦闘システム@ 行動順序システム

2012年12月22日

 『戦闘システム』とは、味方と敵が戦って勝負し、勝敗を決めるためのシステムである。RPGにおける最大のウリとなることが多い。一応、戦闘から逃げたりとか、敵と交渉で解決したりする場合もあるが、基本は勝敗である。

 戦闘という要素は単にゲームシステムの一部というだけではなく、ストーリーとの親和性も高い。多くのRPGでストーリー及びシステムの中核として扱われる。「主人公達が戦いの中で成長し、やがて強大なラスボスを死闘の末に倒して、目的を果たす」という大きな流れは、もはや様式美と言ってよいだろう。

 RPGにおいては、命をかけた死闘が表現されることが多いが、もちろん、スポーツや料理、カードゲーム等を題材にしても『勝負』はできる。いずれにしても、勝敗を決めるためのシステムが必要となるのは同じである。

 『戦闘システム』と一言で言っても、その中身はいくつかの要素に分解できる。手始めに、今回は戦闘システムにおける『行動順序システム』をまとめてみたい。つまり、『ターン制』とか『ATB』とか『CTB』とかいう、キャラクターが行動する順番を決定するためのシステムのことである。

 どんなシステムが理想か、というような単純な答えは出せないが、既存RPGの行動順序システムを分類していくことで、何か見えてくるものがあるかもしれない。

大きな括りでの行動順序システム


ターン制

 DQシリーズを初めとした古くから数々のRPGで採用されているシステム。
 1ターンという区切りの中で、味方と敵で素早さが高い順番に1度ずつ行動する。順番には多少のランダム性を持たせる場合も多い。

 ロマンシングサガ・ミンストレルソングの様に味方の行動順序を指定できるタイプもあれば、ポケモンのように1対1のルール上に、入替の要素を加えることで、一味違う戦闘システムを構築している例もある。

 どんなに素早いキャラクターであっても、1ターンには1度しか行動できない。
 そのため、HPや攻撃力のような高ければ高いほど有利になるパラメータと比較すると、素早さの重要性が低くなりがち。ただし、素早さが低いキャラクターが敵より後で行動することを予想して、回復行動を取らせるといったテクニックもある。

 古典的なターン制では、プレイヤーは1ターン分の行動をまとめて入力する。従って、ATBやCTBのように、「敵の攻撃を待ち受けて、即座に回復する」というような柔軟な行動は取り辛い。
 一見、短所と思えるが、これは大きな長所でもある。
 逆に言えば、プレイヤーは1ターン分のまとまった流れを予想する必要があるということである。これはATBやCTBにはない独自の戦略性だと言える。また、回復行動が柔軟に取れないということは、緊張感にもつながるし、戦闘がダラダラと伸びずにも済む。

 ただし、演出時間の長さが目立ちやすい点が短所として挙げられる。
 多人数がまとまって行動するため、長時間に渡ってプレイヤーが何もできない時間が発生する。ATBやCTBなどのキャラが個別に行動するシステムと比較すると、必然的に「思考→入力→演出」の1サイクルが長くなるため退屈を誘いやすい。
 そのため、テンポ面での配慮は他のシステムより必要になってくる。
 ※DQ11(PS4版)やDQ10オフラインでは、1ターンまとめてではなく一人ずつ行動するようになった。地味ながら大きな変更点と言える。

 古臭いと思われがちなターン制だが、意外と捨てたものではないように思う。かくいう筆者も最近はCTBを採用することが多いが、だからこそ、ターン制の長所も再認識している次第だ。

サイドターン制

 味方・敵毎に片方のサイドのキャラ全員の行動が終わるまで、一方的に行動できるターン制。
 順序が固定される場合と、自由に行動順序を決められるパターンがある。
 主にSRPGで使用されるが、ヴァルキリープロファイルや真女神転生3のように一般RPGで使用される例もある。

 味方ターンで敵を叩いて、できるだけ敵戦力を削ることがカギとなる。逆に敵戦力が減ってない状態で敵ターンに回ると一方的にボコられる。やはり、この点が一般RPGで用いるには極端なのか例はやや少ない。
 長所としては相手サイドによる割り込みがないので、連携のようなシステムを組み込みやすいことが挙げられる。

 先手を取ったサイドが非常に有利になる仕様なので、それを決めるルールはプレイヤーにとって、納得行くものにする必要がある。
 例えば、ヴァルキリープロファイルでは、移動時の敵シンボルに攻撃アクションを当てた場合に、先手を取れるというようになっている。素早さの概念はない、あるいは行動順序の決定には関係ないことが多い。

 ちなみに『サイドターン』なる名称は僕が勝手に付けただけ。一般的には単に『ターン制』と言われていて、区別できないので便宜的に付けてみた。

ATB(リアルタイム系)

 ATBとはアクティブタイムバトルの略。
 素早さが高いキャラクターに『多く』『早く』順番が回ってくる。順番が回ってきたキャラクターの行動を入力しないと、敵にも順番が回って攻撃されたりするので、アクション的な緊張感もある。

 ターン制と比較して、素早さの重要性が高いことは言うまでもない。ただし、後述のCTBと比較するとコマンド入力時にタイムロスがあるので、その利点はやや減退する。

 ターン制と異なり、行動に明確な区切りがない。そのため、敵の行動への対処も即座にできる。
 味方の行動順序をリアルタイムで細かく調整できることは戦略性にもつながる。例えば、クロノトリガーでは、「1人で攻撃する」「仲間のターンを待って、合体技を使う」「他の仲間で先に回復を行う」というように細かく選択肢がある。
 また、技によって、次の順番が回るまでの時間を変化させたり、詠唱時間を付けたりといった味付けもできる。

 欠点としては、敵の行動への対処が即座にできてしまう点がそのまま挙げられる。
 例えば、FFシリーズのATBでは「即死攻撃を受ける→蘇生アイテムで即回復」といった対処が可能になる。便利ではあるが、一方でプレイヤー側を崩すのは簡単ではない。「攻撃を受けたら回復」の単調な繰り返しに陥りやすい危険性を秘めている。

 行動の間隔を短くした場合はキングダムハーツなど、ほぼアクションの部類になる。この講座では、アクション的な要素は基本的に扱わないが……。

CTB

 CTBとはカウントタイムバトルの略。
 素早さが高いキャラクターに『多く』『早く』順番が回ってくるのはATBと同じだが、リアルタイム性はなく、ATBと異なり放っておいても、敵に順番は回らない。比較すると、アクション性の代わりに戦略性を重視した形になる。

 例えば、ターン制のRPGだと「HP・守備力などの耐久性能」「力・魔力などの攻撃性能」「回復技・補助技などの支援性能」といった三つの軸でキャラクター性能が決まりがちだ。
 ATB、CTBでは、素早さの重要度が飛躍的に上昇するため、よりキャラクター性能のバリエーションを増やすことが可能となる。

 ATBのようにコマンド入力にもたついてもターンをロスすることはない。この点において、素早さの重要性はATBよりもさらに高くなる。
 ATBほどの柔軟性はないが、CTBでも敵の行動への対処が即座にできる。それゆえの悪い部分も同じ。

 FF10では行動順序を常に画面上に表示することによって、快適性と戦略性を高めた。現在使用されるCTBは、これと同じようなユーザインタフェースになっていることが多い。そもそも、CTBという名称自体がFF10由来である。

小さな括りでの行動順序システム


 以下の行動順序システムは、上記の4システムとは少し括りが異なる。
 全く別のシステムと言うよりは、『大きな括りでの行動順序システム』という枠の中で、さらに『順序に変化をつけるためのオプション』と考えたほうがよいかもしれない。

プレスターン

 真女神転生3以降のアトラス作品で採用されているシステム。作品毎に細かくシステムに違いがあるが、大まかな特徴を挙げると……

  • 相手の弱点属性を突いたり、クリティカルを当てたりすると、攻撃した側の行動回数が1回分増加する。
  • 相手に攻撃を防がれたり、回避されたりすると、攻撃した側の行動回数が1回分減少する。

 真女神転生3は基本的には上でいうサイドターン制になる。
 行動回数をパーティ全体で保有しており、4人パーティで、1→2→3→4という順番で行動し、4人目が敵の弱点を付いた場合は、再び1人目に行動が回ってくる。

 ペルソナ3は基本的にはターン制だが、全員分の行動をまとめて入力するのではなく1人ずつ入力を行う。
 弱点を突いた場合は、そのキャラクター自身が再度行動できる様になる、と同時に敵がダウンして一回行動不能になる。ダウンした敵が起き上がるまでに、再度弱点を突いても行動回数は増えない。

 なお、知らない方のために補足すると、これらのシリーズでは多くのRPGと異なり、味方側のキャラクターであっても大抵何らかの弱点を抱えている。そのため、その対策が必要となることを付け加えておく。

 上手くやれば一方的に攻めることができるシステムだが、逆を言えば、敵の攻撃で一方的にやられることもある。大雑把に言えば、既存RPGにおける『属性相性』と『運の要素』を先鋭化したものと言える。

 緊張感が高まる反面、『初見殺し』や『運ゲー』の要素も大きい所は好みが分かれる。
 特にアトラス作品は主人公が戦闘不能になると、ゲームオーバーになるものが多いのでなおさら。真女神転生3の敵の眼光系スキルの理不尽さは異常。

 ターン制、サイドターン制と合わせて使用されることが多いが、「弱点を突くと行動回数が増える」という中核要素は別にATBやCTBにだって組み込むことが可能だ。

行動コスト制

 各行動にコストが割り振られており、1ターンの間に限界値に達するまで複数回の行動が可能となる。コストの限界は個人で保有する場合と、パーティ全体で保有する場合がある。これも、ターン制、ATB、CTBのいずれにも組み込める。


 アークライズファンタジアでは、1ターンに敵味方合わせて多くの行動を取ることになるため、その行動を予測しながら、入力する戦略性がある。コストの限界はパーティで保有しており、特定のキャラばかり行動させることも可能である。

 FF13では、入力操作が複雑になってしまった結果、操作対象は先頭キャラのみであり、仲間には作戦を与えるだけという仕組みになっていた。どうも大味なプレイになりがちで、正直、ATBとの相性は余り良くないような……。

 欠点は入力操作に時間がかかること。また、攻撃と回復が同時にできるという仕様上、ちまちまとした戦い方になる傾向もある。これらが合わさって、戦闘が長引く可能性も高い。

 例が少なく、まだこれからといったところ。
 2つ挙げた欠点はどちらもかなり重たいので、うまくシステム構築するのは難しいかもしれない。

まとめ


 アクション戦闘を除くと、ほとんどのRPGの行動順序システムはターン制、サイドターン制、ATB、CTBの4つに集約される。プレスターンや行動コスト制も別の分類というよりは、これらに+αしたものといった感じである。

 これ以外の例が余り見当たらない理由は、人間の思考や習慣から考えて、理解が容易な仕組み自体が限られているということがあると思う。なので、これらの枠組みを越えて、他作品との差別化を行うことは困難かもしれない。

 基本的には、何らかの既存の枠組みを選んだ上で、細部でのアイデアを練る方が無難だとは思う。とはいえ、新しいシステムの構築は絶対に不可能という程でも無いので、挑戦してみるのも自由だ。
 参考まで以下に特徴的な行動順序システムを持った例を挙げておく。

 CTBとターン制の夢の融合
 アンリミテッド:サガ(行動参加者の自由選択)
 ベルウィックサーガ(同時ターン制)
 将棋(これもある意味……)

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posted by 砂川赳 at 06:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする