【RPGレビュー】アークザラッド2

2012年12月15日

発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
機種PS
発売日1996/11/01
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
100809060507080761997年

質量/物語


 アークザラッドの続編。データの引継ぎがあるため、今作を十分に楽しむには実質的に前作のクリアが不可欠。前作は10時間もしない内に終わるような作品だが、今作は、なにをトチ狂ったのか、その10倍以上の質と量がある。普通にプレイしても クリア時間は100時間を越える可能性が高い。

 主人公はハンター(何でも屋)のエルク。仕事をこなしていく中で、自分の過去にまつわる大きな事件に関わっていく事になる。シナリオは王道だが、引き込まれるものがある。特に序盤の『白の家』関連のイベントは濃い。

 ギルドからの依頼をサブイベントとして引き受けることができる様になっており、ハンターという設定を活かしたシステムとなっている。内容も豊富でストーリー性もあるので、本筋を忘れてハマってしまうほど。
 というか、この種の依頼要素は、後発作品よりもよほどこのゲームのほうが充実している。豊富過ぎて疲れそうなのは玉に瑕。

 全体のストーリーとしては、比較的序盤に主人公エルクに関わる大きな山場を消化してしまい、それ以降は実質的に前作主人公のアークが引き続き主人公な状態になってしまう。それは良いとしても、中盤〜後半に掛けて中だるみ感がある。決して内容が薄いとは思わないのだが、やはり長過ぎるかも。

 なお、筆者はラストダンジョンまでいって、データ消失により泣く泣くクリアできなかった。しかし、時代が経って、エンディングまでの内容を某所で確認する事ができたので、せっかくだしレビューしてみる。便利な時代になったものです。

システム/バランス/快適性


 前作は町の探索等の要素がほとんどなく狭いマップ上を移動するという程度だったが、今作は普通のRPGの様に町やダンジョン、それにフィールドを探索する事ができる。

 戦闘は前作から引き続き、SRPG風味のシステムを採用しており、マップ上のキャラクターを移動させながら、敵に攻撃を行う方式になっている。この部分は並のSRPGよりも、良く出来ている。

 例えば、普通のSRPG(最近のは知らないけれど……)だと、敵に近付いて攻撃するのに……

  1. 『移動』コマンドを選択する。
  2. 敵の側を指定して移動する。
  3. 『攻撃』コマンドを選択する。
  4. 敵を指定して、確定する。

 といった流れで、大抵はボタンを4回程度押す必要がある。それに対してこれは「敵に近付いて、ボタンを押す」だけで攻撃できる。何気ない事なのだが、決定ボタンを押す回数が1回で済むのは大きく、とてもスピーディ。

 以上のように「システム上」のテンポはかなり良いけれど、問題点も色々。

・背後から攻撃すると、反撃を受けない。
 →Lvが上がると、どのキャラも背後に反撃可能。
・道をふさいで、後ろに回りこめないようにする。
 →Lvが上がると、どのキャラもジャンプで相手の頭上を超えられる。

 というようにシミュレーション戦闘特有の戦略性を打ち消してしまっているところも。

 また、敵と味方にLv差があると、通常攻撃にミスが多くなるためテンポが悪化する。さらに、1つのダンジョンが長め。トラップに引っ掛かると強制戦闘なんて場所まであるけど、通常のRPGよりも1戦闘が長いので辛い。

 システム自体の操作は優秀でテンポがいいはずなのに、それを他の要素が邪魔をしている。後半は難易度が高く、ダンジョンにも時間が掛かるようになる。特にラストダンジョンとラスボスは厳しい。ラスボスには普通に攻撃しても、まともにダメージすら与えられなかった、なんて話も。(一応、救済作は色々あるけれど)

 クリアにはDQ7を超える時間が掛かるが、途中放棄するプレイヤーもDQ7よりも多いはず。

 同じ技でも、3つのレベルに分かれており、使い分ける事ができる。しかし、技によってはMP消費が非常に大きくなるのに、効果にほとんど差が出ないものがある。他にも、剣士であるトッシュの技が魔力依存で、ダメージが通常攻撃以下だったりする。前作は攻撃力依存だったはずなのに……。

 モンスターを仲間にする等のやり込み要素もある。しかし、仲間やアイテムの所持数には厳しめの制限がある。仲間やアイテムを集める事が楽しいゲームなだけに、この辺は残念。

美術


 SFC後期の作品とあまり代わり映えしないけれど、安心のドット絵。キャラクターは味方も敵もよく動く。

音楽


 作曲は前作と同じく、T-SQUAREの安藤まさひろ氏。前作からの曲の使い回しはかなり多いが、曲のクオリティは高い。

まとめ


 優秀なシステムと作り込みの深さを持ちながら、各要素の調整に問題があって、名作になり損ねた惜しいRPG。けれど、内容的には同時期のDQやFFにも負けていないと思う。

 バグが多く、特にディスクに傷が多い場合に読み込み不良を起こしやすいらしい。かくいう僕もこれには泣かされた。中には『退魔光弾』のように使っただけで普通にフリーズする事がある技がある。
 今ならPSPのゲームアーカイブスにて、安値で配信されているらしいので、それを利用した方がよいかも。
posted by 砂川赳 at 06:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする