【RPG制作講座】パーティ編成による分類

2012年11月24日

 RPGの醍醐味の一つに、様々な仲間と冒険し、力を合わせて目的を達成することがある。今回はこの『仲間』に関わるシステムである『パーティ編成』について、まとめてみる。

 パーティ編成とは、戦闘や冒険を行うための仲間を決定するためのシステムである。多数のキャラクターの中から自由に編成できる作品もあれば、最初から最後まで固定された仲間で編成するしかない作品もある。

 パーティ編成は、ゲームシステムやストーリーの方向性にも、大きく影響を与える要素である。
 例えば、多数の仲間がいる作品ならば、それだけ登場人物の多い物語を考える必要があるだろうし、戦闘面でもキャラクターの差別化が必要となる。そのため、戦闘システムや成長システムについて、触れる前にパーティ編成について考えることも有意義であるように思う。

 というわけで、様々な作品で使用されているパーティ編成の型を分類しながら、利点・欠点を挙げていきたい。

パーティ固定型


 DQ2、DQ8など、仲間キャラクターが固定されていて入替が無く、全ての仲間が戦闘に参加する編成タイプ。細かい例外はあるが、大抵の場合は序盤に特定のキャラクターでメンバーが固定されて、それ以降パーティ構成は変化しない。編成システムとしては最もシンプルである。

 3〜4人程度の人数であることが多いが、SRPGなど、ゲームシステムによっては大人数も可能である。

利点

  • シンプルで制作しやすい。
  • メンバーが固定されている分、成長強化システムに力を入れられる。
  • 少数のキャラにじっくり焦点を当てられるため、キャラクター性を高められる。

欠点

  • パーティ編成の自由度はない。嫌いなキャラがいても引っ込めない。
  • たくさんの仲間が登場する賑やかなシナリオには向かない。
  • 新しい仲間の加入イベントで話をつなぐのは基本的手法だが、このタイプの場合は使える弾数が少ない。

作品例

 DQ1、2、8、FF3、5、15、マザー1、2
 ブレスオブファイア5、ワイルドアームズ1、3、4
 ※FF5では、キャラ交代があるが、能力を完全に継承しているため、実質的にはこの型となる。

 無駄な仲間キャラクターが登場しないため、ストーリー的にもシステム的にも、すっきりした作品になりやすい。

パーティ固定+サブキャラ型


 パーティ固定型に近いが、入れ替わりのあるサブキャラ枠が存在する。例えば、FF2(4人パーティ)ではメインの3人はずっとパーティに参加し続けるが、最後の4人目は序盤から終盤まで、ストーリー進行に応じて変動し続ける事になる。(ちなみに全部で6人いるが、その内半分は死亡退場。)

 パーティ固定型に柔軟性を持たせた型だと、思ってもらえれば良い。

利点

  • パーティ固定型とほぼ同じ。
  • ストーリー上、メインメンバー以外に印象付けたいキャラがいる場合、サブキャラ枠として参加させることができる。

欠点

  • やはり、パーティ編成の自由度は低い。
  • サブキャラ枠で参加するキャラに付いては、成長させてもいなくなるので、成長強化システム上、中途半端になりやすい。
  • プレイヤーが気に入ったサブキャラがいても、結局は去ってしまうので寂しい。

作品例

 FF2、サガ3、ペルソナ2罪&罰、エターナルアルカディア

 ペルソナ2については、罪・罰共に、入れ替わりが一度だけなので大人しい。こうなると、かなり上の固定型に近くなる。

 エターナルアルカディアのように、ゲーム終盤にサブキャラ枠のキャラを自由選択できるようになっている作品もある。これならば多少は欠点を抑えられる。

 正直、ゲームシステム的にどっちつかずな印象は拭えないので、上の『パーティ固定型』か、下の『パーティ同行選択型』にしてしまってもよいかも。

パーティ同行選択型


 多数いる仲間の中から、戦闘メンバーを選択する。かつ、仲間キャラクターは全員冒険に同行する形式。戦闘に参加しないメンバーであっても、ストーリー上の会話へは常に参加することがポイント。

利点

  • 適度に多い仲間キャラを物語や戦闘に絡ませる事ができる。7以降のFFシリーズやテイルズオブシリーズを見れば、その長所が分かりやすい。
  • 適度にパーティ編成を考える楽しさがある。

欠点

  • 戦闘メンバーを変更すると、今まで育てていたキャラクターへの投資が無駄になる。

作品例

 DQ11、FF7、8、T、9、10、12、13、サガフロンティア1、テイルズオブシリーズ、ペルソナ3〜5、軌跡シリーズなどなど……非常に多数。

 8人程度のパーティメンバーから3,4人の戦闘メンバーを選ぶというパターンが多い。ストーリー性とゲーム性をバランス良く両立できる。色々と便利なのか、この型に該当する作品は非常に多い。上述の型よりはさすがに手間がかかるとはいえ、目立った欠点はないので僕的にもお勧めの型。

パーティ非同行選択型


 多数の仲間キャラクターから同行するパーティメンバーを選ぶ。選ばれなかったキャラクターは同行しないので、会話イベントにも参加しない。パーティ同行選択型よりも大所帯の場合が多く、108人いる幻想水滸伝などはかなり極端。

 非同行メンバーの扱いは作品によって、大きく異なる。ロマサガシリーズなどは、登場イベントなどの一部を除いて、ストーリーに参加しない。……というか、同行メンバーもロクに会話しない。

 パーティ同行選択型もそうだが、非戦闘メンバーに経験値を割り振るかどうかは重要なポイント。強制的に特定のキャラクターが参加するイベントがあるのに、経験値を割り振らない場合は詰みやすいので注意!(例:ブレスオブファイア2)

利点

  • パーティ同行選択型よりも、更に多い仲間キャラを物語や戦闘に絡ませることができる。
  • パーティ編成を考える楽しさがある。

欠点

  • 同行していない仲間キャラはイベント会話に参加できない等、ストーリー上の制約が大きい。キャラクター1人当たりの個性は薄れやすい。
  • 連れているメンバーによって、イベント会話を変化させる手間がかかる。
  • 同行メンバーを変更すると、今まで育てていたキャラクターへの投資が無駄になる。

作品例

 DQ7、FF6、ロマサガシリーズ、クロノトリガー、ブレスオブファイア1〜3、新桃太郎伝説、幻想水滸伝シリーズ

 イベント時のパーティ編成が制作者にとって不明なので、仲間同士の複雑な会話を作ることは難しい。
 幻想水滸伝では、イベント時に必要なキャラを強制加入させることで対応しているが、その反面に自由なパーティ編成を妨げられる状況になっている。
 そのため、ロマサガシリーズのように、最初から仲間キャラクターが余り喋らないタイプの方が長所を発揮しやすい傾向がある。

 パーティ同行選択型との境界は曖昧な部分も多いので、筆者の主観で決めている。FF6、クロノトリガーは選択しなかったキャラクターは待機状態になるが、イベントによっては絡んでくることもあるので、パーティ同行選択型に近い部分も。

 ところで、1人あぶれるDQ7の中途半端な構成はどうにかならなかったのだろうか……。

パーティ変動型


 ストーリー進行に応じて、次々とパーティメンバーが変化していく。

利点

  • 制作者が比較的自由に物語を組める。仲間の離脱・死亡・再会といったインパクトのあるイベントも多数作れる。
  • プレイヤーによるスタイルの差が小さいのでバランス調整がしやすい。

欠点

  • 編成の自由度はない。気に入ったキャラクターがいても最後まで連れていけるとは限らない。
  • キャラクターが去る場合には、今まで育てた投資が無駄になる
  • 育てたキャラがストーリーの都合で去って行く姿を見て、誰を育てればいいのかわからなくなり、プレイヤーが疑心暗鬼に陥る。
  • 最後まで連れて行けないキャラクターに愛着を持ちづらい。

作品例

 FF4、サガフロンティア2(選択型の要素もあり)、グランディア、エストポリス伝記2

 サガフロンティア2の3世代に渡るストーリーはこの型でなければ、実現が難しかったものだと思うが、ゲーム性を大幅に犠牲にしてしまっている。せめて、もう少しゲームシステム的なフォローがあれば……。

 DQ4、FF13等、『パーティ同行選択型』『パーティ非同行選択型』の作品が序盤〜中盤にこの形式を取ることもある。多数のキャラクターをプレイヤーに強制的に使わせることで、変化をつけたり、キャラの紹介を行う意味がある。

 あまり無秩序にパーティ編成を変えるのは、プレイヤーに取ってアンフェア。ゲームとしては欠点が多いので、正直無理にお勧めはしない。
 それでもあえてやるならば、成長システムは、FF7のマテリアやFF8のGFのようにキャラクター自身よりも、物を成長させるタイプの装備系システムをお勧めする。あるいはパーティ全体でコストを管理するような強化システムを考案してもよいかも。

キャラメイク型


 キャラクターの名前・職業・性別といった要素を決めて、プレイヤーの自由にパーティ編成をさせる型。

利点

  • プレイヤーの自由にキャラメイクできる。パーティ編成が楽しい。
  • メンバーが固定されている分、成長強化システムに力を入れられる。

欠点

  • 仲間にベラベラ喋らせることは難しい。キャラクター主導のシナリオは困難。

作品例

 DQ3、DQ9、FF1、サガ1〜2

 どちらかというと、システム重視の作品に向いている。かと言ってストーリーがからっきし駄目というわけでもない。上記の作品の様にうまく冒険感を出していきたい所。

収集型


 モンスターなどの仲間を集めて、自由にパーティ編成を行う。要するにポケモン。
 仲間になる対象が固定したキャラクターではない所が、パーティ非同行選択型との違い。

利点

  • パーティ編成の自由度は非常に高い。
  • 仲間の収集がプレイヤーの強いモチベーションになる。

欠点

  • 仲間にベラベラ喋らせることは難しい。キャラクター主導のシナリオは困難。
  • パーティ編成を変更する場合に、今まで育てていたキャラクターへの投資が無駄になる。

作品例

 DQ5〜6、モンスターズ、ポケモンシリーズ、女神転生シリーズ

 仲間の収集システムをどのように構築するかが肝。
 DQ5〜6は『パーティ非同行選択型』の要素もあり。
 女神転生シリーズは主人公とヒロインの2枠が固定で、後は仲魔で占めるといったパターンが多い。

 喋る仲間キャラクターがいない、あるいは少ないため、基本的にはシステム重視の型である。とはいえ、ポケモンホワイト&ブラックのように、パーティメンバーではないキャラクターとの交流を深く描くことで、ストーリー性を高めた作品も存在する。

まとめ


 飽くまで上記は大雑把な分類である。複数の型を複合しているタイプの作品もあるし、ペルソナ1やスターオーシャンの様に選択次第で、二度と仲間にならないキャラクターがいるパターンもある。
 ただ、プレイヤーの心理を考えると、仲間の入れ替わりのルールは明確にしておいたほうが無難だろう。
 『パーティ変動型』のように頻繁な入れ替わりがある場合でも、システム的な配慮が欲しいところだ。

 システム重視寄りの『収集型』『キャラメイク型』。
 ストーリー重視寄りの『パーティ変動型』。両立の『パーティ同行選択型』。
 ……というように、パーティ編成の型とゲームシステム&ストーリーとの相性は非常に重要となる。作品を作り始めるに当たって、早めに方針を決めておこう。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする