【RPGレビュー】エストポリス伝記2

2012年11月17日

発売元タイトー
機種SFC
発売日1995/02/24
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
80709080808080802002年頃

物語


 エストポリス伝記1にて、語られた100年前の英雄マキシム達の物語。時系列上は前作より過去になっており、前作のオープニングが今作のラストダンジョンになるという仕組み。

 となると、前作プレイヤーは既に結末を知っているため、エンディングへの期待感が薄れてしまうのは仕方ないこと。とはいえ、最後の展開には一捻りを加えており見所もある。個人的には「内容が分かりきっているからつまらない」ということにはならずに済んだ。

 前作は超絶お使いゲーだったけれど、今回はそれなりに改善されている。確かにお使いイベントは多いけれど、前作並みの酷いタライ回しはなし。印象に残るサブキャラも増えて1イベントの密度が濃くなっている。何よりも、ゲームシステムが練られていることが大きい。

 急展開な強制結婚イベントがあるせいで、主人公マキシムにはちょっと感情移入しづらかった。前作プレイヤーには予想できる事とはいえ、幼馴染キャラに関心を寄せず、途中出場のメインヒロインに高速でなびく彼に、置いてけぼりを喰らったプレイヤーも多いはず。
 同じく結婚イベントがあるDQ5だと、プレイヤーに一応の選択肢を掲示することで、置いてけぼり感を抑えているのだけど、そういうのはなし。

システム/バランス


戦闘

 前作とは変わって、普通のターン制の戦闘になったが、別の点で既存のRPGとは差別化を行なっている。特徴的なのはIPを消費して装備品固有の技を放つシステム。IPを溜めるには、敵の攻撃を受ける必要がある。FF7のリミット技に似ているが、もちろんこちらが先発。

 難易度はやや低めで、テンポ良く進む。IP技は強力なので、うまく使いこなせば、ボス戦も楽勝できる。
ストーリー上の強制敗北戦闘があるけれど、勝利することで、その時点では強力な武器を得ることができるというヘビーユーザー向けの要素も。

ダンジョン

 戦闘だけでなく、ダンジョンも謎解き要素が豊富に。『ゼルダの伝説』の様に弓や爆弾などの道具を駆使して、謎を解く必要がある。というか、フックショットまである辺りはもろにゼルダ。面倒だったり難しかったりする仕掛けはほどほどでバランスも良好。ただし、本編クリアと関係無いパズルには難しいものも。

 前作はランダムエンカウントだったが、今回はシンボルエンカウント制を採用。前作の高いエンカウント率と比較すると、戦闘の頻度は抑えられている。(※フィールドはランダムエンカウントのまま)こちらが動くとモンスターも動くという『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』であったようなシステム。弓矢で敵の動きを止めて戦闘を避けることもできる。

 難易度は低めでサクサク進む。手応えを求める人にはサブイベントとして『いにしえの洞窟』というランダム生成ダンジョンがある。洞窟に入るとレベル1から開始となるので、なかなか難しい。

 色んな作品のいいとこ取りが多いが、うまくまとまっており完成度は高い。

快適性


 戦闘テンポはまずまずで、レスポンスも良好。ただし、IP関連の表示が分かり辛いのは気になった。

  • メニューのトップ画面でMPは表示されるのにIPは表示されない。確認には、個別のステータス画面を見る必要がある。
  • 装備品が保有するIP技を確認するには、カーソルを合わせて、いちいちXボタンを押す必要がある。
  • IPは100%まで保有できるが、技がどれだけのIPを消耗するかは、使ってみないと分からない。

 どうも、後から付け加えた要素なのか、MPと比較すると、IPの存在を考慮したインターフェースになってないような……。

美術


 SFC後期のRPGらしい美麗なドット絵。ただ、敵は小さくなったので迫力は減少したところも。キャラグラは可愛いけど、主人公の髪型はリーゼント。

音楽


 前作のアレンジになっているラストダンジョン曲が随分と格好良くなっている。3曲ある戦闘曲はどれも良曲で、戦闘を盛り上げる。ラスボスに専用曲がないのだけが、ちょっと残念。

 余談だけど、ラストバトル後のシーンで流れる某曲がスパロボKに丸パクりされていたのには驚愕した。なんてこったい……。

まとめ


 この作品は、SFCの隠れた良作としては真っ先に挙げられるタイトル。

 自分の経験上、マイナーながら良作と呼ばれるような作品をやると、意外と粗が目につくことが多い。
 その中では、この作品はやや小作りながらも『シナリオ』『システム』『快適性』『音楽』などなど。全体的な水準が高く、他の一流所のRPGと比べても引けを取らない。

 惜しいのは、前作の完成度がこれに比較できるレベルではない上に、やたら長いこと。シャドウハーツ1,2もそうだけど、話の繋がった続編を楽しむためには、微妙な前作をクリアしなければならないというのは辛い。
 もっとも、この作品に付いては、時代設定としては1よりも前の話なので、先にこちらをやっても支障ないかも……。

 2010年に『エストポリス』としてDSでリメイクされた模様。なぜか、ARPG形式になっておりシステム的には別物らしい。主にゲームシステムの完成度で評判になった作品なのに、そこを変えたら誰得状態にしかならない気もするのだけど……。
posted by 砂川赳 at 06:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする