今回はそんなラスボスを焦点として、ストーリー制作について考えてみたい。その過程で、既存RPGのラスボスも分析してみた。
ラスボスの役割
ラスボスは最後の壁として、ストーリー的にもゲーム的にも、作品を締める役割を持っている。ラスボスがいないRPGとは『犯人がいない推理小説』のようなものであり、盛り上がりに欠ける。
ちなみに、筆者は『犯人がいない推理小説』を実際に読んだことがあるが、かなりガックリきた記憶がある。300〜400ページ規模の長編で、自殺と見せかけた他殺……と見せかけて、やっぱり自殺というオチだった。動機も宗教じみて意味不明。個人的に、こういう脱力系のオチが許されるのは短編までだと思う。
ラスボスに必要な要素
まず、必要なのは『主人公と戦う理由』だろう。
多くの場合は『世界征服』『人類抹殺』といった大規模な悪事を企んでおり、主人公はそれに立ち向かうという構造になる。
同情できる理由がある場合など、ラスボスは必ずしも悪役とは限らない。それでも、主人公達がその目的を阻止するという点は変わらない。
次に必要となるのは『強大な力』。
最後の敵である以上、これまでの敵を越える力を持っているべきだ。ゲームバランス上は今までのボスよりも、パラメータを高く設定するだけで済むが、物語上もその裏付けがないと説得力を欠いてしまう。
DQ1のように、神や竜など最初から強大な力を持った敵として登場させるなら特に説明不要だ。そうでない場合は物語の途中で力を得る描写をする必要がある。
ラスボスの登場パターン
既存RPGのラスボスがどうやってシナリオ上に姿を表し、どのようにラスボスとして君臨するのかを適当にまとめてみた。
大抵のRPGのラスボスは以下のいずれかに該当するはず。中には複数のパターンを兼ね備えている場合もある。
なお、例としてDQ、FF、サガの各シリーズ作品を例に挙げてみた。それ以外でも、自分がプレイしたことがある作品がどれに該当するのかを考えてみるのも面白いかと。
初期型
序盤から強大な敵として示された相手が、そのままラスボスとなるタイプ。
どのようにして主人公は強大な敵と立ち向かうのかがポイントとなる。最も単純なパターンだが、濃いストーリーを練る余地も十分にある。
例えば、FF7や10ではラスボスの正体や目的について、物語が進む中で徐々に明らかにされていくという構成になっている。
例:DQ1、FF2、FF7、FF10、ロマサガ2
復活型(召喚型)
過去に封印されたはずの魔王や邪神が復活、あるいは召喚されてラスボスに――というパターン。
「どういう経緯で復活するか、召喚されるか」がシナリオ上の見せどころ。
主人公達は阻止しようと努力をするが、結局……というパターンが読めてしまうのが難点。
そのラスボスは「過去に何をして、誰にどうやって封印されたのか」といった歴史も欲しい。
登場時期が遅いので、インパクトも意外性もない場合は影が薄くなりがち。
例:DQ2、DQ7、DQ8、FF3、FF5、FFT、ロマサガ1、サガフロ2
※たぶんFF9もここだと思います。唐突かつ意味不明なので困難ですが……。
大ボス型
倒したボスを裏で操っていた、さらなる大ボスの存在が明かされる。
あるいは、「魔王を倒したが、宇宙人が襲って来た」というように、戦っていた当面の敵とは全く別の第3勢力が現れる場合も。
DQ3のようにインパクトのある登場が有効――とは言っても、あれは過去作を活用した上での補正&当時だから受けた演出であって、今同じことをやって、評価を得るのは難しいかも。
登場時期が遅いので、インパクトも意外性もない場合は影が薄くなりがち――というのは『復活型』と一緒。
以下の例に挙げた作品は、伏線も何もなく登場するというパターンが多い。
作品の世界・歴史設定に関わるような遠大な伏線を張ると良いかも。
例:DQ3、DQ5、DQ6、FF4、FF8
黒幕型
「倒したボスを裏で操っていた」というのは『大ボス型』と同じだが、ストーリーの傾向がかなり変わるので別枠に分類してみた。
既存の登場人物が黒幕だったという衝撃的なパターンを指す。特に今まで味方だと思っていたキャラクターが実は――というのも定番。
定番と言ったが、意外にもDQやFFには該当が少なく、他の作品を見てもわりとRPGでは珍しかったりする。
ミステリ小説的なドンデン返しのセンスが必要だが、インパクトは強いので是非。
これはファルコム作品なんかが上手だと思う。
例:FF1、サガ1
成り上がり型
序盤から登場するライバル格の敵キャラクターが成り上がって敵の頂点に。
『どうやって』成り上がるかがポイント。
『黒幕型』とも近いが、こちらは序盤から敵として認識されているところが差異。
FF6のケフカのように下克上したり、DQ4のデスピサロのように倒れた大ボスの後を引継いだりする。
このタイプのキャラクターは最初から強大な力を持っているわけではなく、大抵は物語の途中に何らかの方法で力を得る描写がある。
例:DQ4、FF6、FF12
その他
数は少なくなるが、上記以外のパターンも存在する。
サガ2、タクティクスオウガ、ヘラクレスの栄光3など。ただし、ラスボスの印象付けとしては、うまくいっていないかも。例に挙げた3作品とも、ストーリーの評価は高い部類だがラスボスのインパクトは弱め。
例えば、上記三作のラスボスは、主人公達とは因縁が薄かったり、そもそも最終目的とも関係性が薄かったりする。
ラストダンジョンにて、襲って来たから倒すという流れである。
※実はヘラクレスの栄光3のラスボスには「とある人物の行為の是否」という明確な対立点があるのだが、セリフ回しのせいで八つ当たりか何かにしか見えない。
上記作品のボスは意外ではあるかもしれないが、それはそれまでのストーリーから乖離していて、プレイヤーに予想がつかないからでもある。
意外だからといって、プレイヤーの期待に応えているとも言い難い。やはり、印象に残るラスボスを作りたいならば、上記5パターンの要素を含める方が無難だと思われる。
ラスボス行動パターン
次にそれらラスボスに取ってありがちな行動・展開をまとめてみた。
以下は色んな作品で多用される展開だが、それだけにラスボスを印象付ける効果があるとも言える。
悪事
『世界征服』や『人類抹殺』を目指して、様々な行動を繰り広げる。
直接的な破壊活動もあれば、政治的な謀略もあったりと様々。組織的に部下へ指示したり、自ら手を汚したりする。
これによって、ラスボスがいかに倒すべき相手であるかを強調するわけである。
動機付け
DQの魔王のように最初から人類と敵対しているような設定なら、特に深く考えることはない。それ以外の場合は、ラスボスがラスボスへと至るまでの動機付けを行う必要がある。
例えば、DQ4のデスピサロは当初から人間に敵対する存在であるが、物語後半のイベントで人間を滅ぼすという動機を強くする。
FF7では物語開始地点より前に動機づけのイベントがあるため、主人公の回想という形で挿入される。
対決(戦闘)
ラスボスが最終的に主人公と対決するのは当たり前だが、ここで言う『対決』とは物語途中での対決イベントのこと。これによって、主人公と敵との因縁を強調する効果がある。
今後の展開をどうしたいかによって勝敗は変わる。
- 主人公が敗北する(強制敗北戦闘)ならば、「勝つためにはどうしたらいいのか?」というように物語を繋げることができる。
- 主人公が勝つならば、その時点ではまだラスボスとして不足ということ。今後のパワーアップイベントが期待される。
直接対決を後半まで焦らしたいという場合は、部下に戦わせるというパターンも存在する。
強化
ラスボスキャラのパワーアップイベントのこと。
『成り上がり型』の様に物語開始時点では十分な力を備えていない敵が、ラスボスに昇格するために行われることが多い。『黒幕型』の場合は自らのパワーアップのため、色々と陰謀を巡らしたりすることも。
【パワーアップイベントの例】
- パワースポットから力を手に入れる。
- パワーアイテムを手に入れる。
- 魔法や科学の力で自らを改造する。
- 他者からエネルギーを吸収する。
- 神など強大な存在から力を得る。
復活
復活型(召喚型)ラスボスが復活するまでの工程のこと。
大抵の場合、ラスボスを復活させるために何らかの条件が課せられており、それを満たすために誰かが頑張ることになる。
候補としては『ラスボスの部下』『ラスボスに操られた誰か』『力を失ったラスボス当人』『ラスボスの力を利用しようとする誰か』などである。
DQ8やFF5では、物語上で長い時間を割いて、その様子を描写している。
【復活条件の例】
- 封印に使用されている『何か』を破壊する。
- 生贄を捧げる。特定の人物だったり、大量の人間だったり。
- 『何か』を集める。
- 依代(人間あるいは物)を見つける。
まとめ
魅力あるラスボスの存在はそれだけで、物語を引き締める効果がある。
『悪のカリスマ』を目指すも良し、『悲劇の宿敵』を目指すも良し。
どのようなラスボスを目指すかで、ストーリーの方向性も変わってくる。
作品によっては、物語の多くの部分をラスボスに関するイベントで占めることもある。その場合、ラスボスの設定を決定すれば、物語の枠組みも決まってくるというわけだ。
ストーリーが思いつかない場合は、ラスボスを起点に物語を考えてみるのも手だろう。
>RPG制作講座目次に戻る




