【RPG制作講座】シナリオにおける情報の伝え方

2012年08月11日

 シナリオを進行させるため、制作者はプレイヤーに対して、様々な情報を与える必要がある。また、物語の厚みを増すために、ゲーム進行に必要がない情報でも色々と盛り込んでいきたい所だろう。
 そこで、それら情報をプレイヤーに伝える方法を考える。

情報を元にセリフを作成する。


 例えば、プレイヤーに対して、以下のような情報を与えたいとする。

 @主人公は勇者。王様の命令を受けて魔王を倒すことが目的。
 A魔王は世界を支配しようとしている。
 B実は魔王は王様の弟で、善良な人間だったが、なんか色々あって魔王になった。
 C魔王は『北の洞窟』を抜けた先の『雪の町』から、さらに『東の山』を越えた先の『魔王城』にいる。
 D魔王を倒すには『伝説の剣』が必要である。
 E伝説の剣は『西の神殿』にある。
 F伝説の剣は500年前の英雄が使用していた剣である。
 G100Gを渡す。城下町に装備が売っているので、そこで準備をすべき。


 以上を前提に、各情報を王様が主人公である勇者に伝える形式でセリフを考えてみよう。

王様
「よくぞ来た。勇者XXXXよ。
 今日 お前を呼び出したのは 他でもない。
 魔王が世界を支配しようとしているのだ」
「魔王は実は私の弟で 善良な男だったのだが
 哀れにも ブサメンだったのだ」
「モテなくて 絶望に打ちひしがれていた所を
 暗黒の力に魅入られてしまったのだ」
「頼む 勇者よ。弟……いや魔王を倒し
 この世界を救ってくれ!」
「魔王は『北の洞窟』を抜けた先の『雪の町』から
 さらに『東の山』を越えた先の『魔王城』にいる」
「だが 魔王は強敵。いくらお前が勇敢でも
 安々と勝てる相手ではないだろう。
 そこで 西の神殿にある『伝説の剣』を手にするのだ」
「伝説の剣とは かつて500年前の英雄○○○○が
 当時の魔王を倒す際に用いた剣だ。
 必ずや お前の力となるだろう」
「旅立つに当たって 資金を与えよう。
 城下町で 装備を整えるが良い」
>100Gを手に入れた。
「では 行け! 勇者XXXXよ!」

必要な情報に絞る。


 これで情報を余さず伝えられた。
 ……がしかし、これでは情報が多すぎてプレイヤーが混乱してしまう。
 これは雑にセリフを書いた例であって、実際はストーリー性を付け足すために、もっと冗長な文章になるはず。このままではまずいので、ここは情報を分割するべきだろう。
 まずは、この時点で本当に必要な情報が何であるか整理してみよう。

 @主人公は勇者。王様の命令を受けて魔王を倒すことが目的。
 は物語の大きな目的なので、これが無いと始まらない。

 A魔王は世界を支配しようとしている。
 もついでに付けておいた方が良いだろう。無害な魔王なら倒す必要も無いわけで、悪い魔王を倒すという動機付けのためには必要となる。

 D魔王を倒すには『伝説の剣』が必要である。
 E伝説の剣は『西の神殿』にある。

 は物語の当面の目的となる部分。これがないと次にどこに行けば良いのか分からないので、当然必要となる。

 G100Gを渡す。城下町に装備が売っているので、そこで準備をすべき。
 はゲームシステム上、プレイヤーを補佐するために必要となる。

 必要な情報はこの位か。セリフを再構成してみよう。

王様
「よくぞ来た。勇者XXXXよ。
 今日 お前を呼び出したのは 他でもない。
 魔王が世界を支配しようとしているのだ」
「頼む 勇者よ。奴を倒し
 この世界を救ってくれ!」
「だが 魔王は強敵。いくらお前が勇敢でも
 安々と勝てる相手ではないだろう。
 そこで 西の神殿にある『伝説の剣』を手にするのだ」
「旅立つに当たって 資金を与えよう。
 城下町で 装備を整えるが良い」
>100Gを手に入れた。
「では 行け! 勇者XXXXよ!」

 これで随分とすっきりした。これならば、ストーリー性を付加するために、セリフを増やしたとしても、そこまで冗長な文章にはならずに済むはず。
 F伝説の剣は500年前の英雄が使用していた剣である。
 は残したままでもよいかと思うが、その辺はお好みで。以降の例ではFは削った物として扱う。

情報を分割する。


 次に、上記で不要とした情報を見てみよう。これらの役割は以下のように説明できる。

 B実は魔王は王様の弟で、善良な人間だったが、なんか色々あって魔王になった。
 魔王について、物語的に補強する材料。

 C魔王は『北の洞窟』を抜けた先の『雪の町』から、さらに『東の山』を越えた先の『魔王城』にいる。
 魔王の居場所。今は必要ではないが、後のゲーム進行に必須となる。

 F伝説の剣は500年前の英雄が使用していた剣である。
 伝説の剣について、物語的に補強する材料。

 BFについては、ゲーム進行上は必ずしも必要な情報ではない。ただし、このような情報を付け足すことで物語に対して深みを出すことができる。

 それでは、これら3つの情報をどのようにして、プレイヤーに伝えるかだ。

 Cについては、主人公が伝説の剣を持ち帰った際のイベントで改めて説明するようにしよう。Cはそれ自体、地名が4つも登場する複雑な情報なので、伝え方を考えてみる。

王様
「伝説の剣を持って帰るとは さすがは勇者だ!
 いよいよ 魔王との対決が近付いて来たのだな」
「魔王はここより遥か北東の『魔王城』にいる。
 たどり着くには『北の洞窟』と『東の山』を通らねばならぬ。
 言うまでもなく 険しい道のりとなるだろう」
「まずは 『北の洞窟』を抜けた先にある
 『雪の町』を目指すが良い」

 最後の「」で当面の目的である『北の洞窟』と『雪の町』を強調する所がポイント。ちなみに、ここでは『東の山』についての情報はあえて省略しても良い。その情報は『雪の町』の住民に語らせれば良いだろう。

 B実は魔王は王様の弟で、善良な人間だったが、なんか色々あって魔王になった。
 F伝説の剣は500年前の英雄が使用していた剣である。
についても、タイミングを変えてイベントで語らせても良い。例えば、伝説の剣を手に入れて、魔王討伐に向かう主人公が城を出ようとしたタイミングで……

大臣
「お待ちください 勇者殿!
 王様は 何もおっしゃいませんでしたが
 実は魔王の正体は……
(以下、回想シーン)

 ……のようにしてみる。こうすれば、最初の王との会話で一気に説明されるよりも、よほど印象が深まるだろう。特に重要度が高い情報については、このようにして強調したい。

 また、魔王の正体に関して、意味深なセリフを事前に入れておけば、伏線となる。プレイヤーに謎を投げかけることで焦らし、先の展開への期待を持たせよう。

 重要度が低い情報ならば、城の住民の会話などに入れてしまってもよいだろう。

兵士
「伝説の剣とは かつて500年前の英雄が
 当時の魔王を倒す際に用いた剣です」
「その力 余りにも強大であったために
 悪用を恐れた英雄が
 西の神殿に封じたと言われています」

 仲間キャラクターがいるならば、そちらに語らせるのも手だ。例えば、伝説の剣がある神殿の入口で、イベントを起こし、剣に関する設定を語らせる。そうすれば、そのキャラクターに対して博識というキャラ付けをすることもできる。
 他にも、実はそのキャラクターが英雄の子孫とかいう設定ならば、後に正体を明かす際の伏線にもなる。

まとめ


 言うまでもないけれど、実際にストーリーを制作する場合は、王と主人公の対面のように、1:1の単純な構図ばかりでは済まない。
 特にゲーム序盤は世界設定・人物設定・システム等、プレイヤーに伝えるべき情報であふれている。全てを一気に伝えようとすると、プレイヤーを混乱させかねない。シーンを分割して、少しずつプレイヤーに伝えるようにしていきたい。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする