タイトル | 機種 | 質量 | 物語 | システム | バランス | 快適性 | 美術 | 音楽 | 平均 | クリア日 |
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英雄伝説 零の軌跡 | PSP | 90 | 90 | 70 | 70 | 60 | 80 | 90 | 79 | 2012/06/01 |
英雄伝説6 空の軌跡(FC・SC・3rd)の続編に当たる作品。
質量/物語
2つの大国に挟まれる『クロスベル自治区』が舞台。クロスベル警察の『特務支援課』に配属された4人はクロスベル市を拠点として、様々な問題に対して立ち向かっていく。
前作『空の奇跡』では『リベール王国』を舞台としていたが、今回はそれよりも舞台は狭い。といっても、量的に劣るわけではなく、恐らく、空の軌跡FC・SCの合計に近い規模はあるかと思う。
プレイ時間は攻略サイトを見ながら、依頼を全てこなすというスタイルで、クリアまで60時間程度。攻略情報を見なければ、もっとかかるはず。
町人の会話はストーリーの進展に伴い細かく変化していく。主人公の幼馴染のパン職人といった顔グラなしのモブキャラですらしっかりと会話が作りこまれている。
ストーリー上の特定期間でしか見れないサブイベントが非常に多く全てのイベントを見尽くそうと思うと、とても大変。
メインメンバーの4人は今回から新規に登場するキャラクター。主人公のロイドを始め頭の良い登場人物が多く、会話内容に感心させられる。多数存在する登場人物を交差させながら、終着点に持っていくシナリオ運びは鮮やか。シナリオライターの頭が良くないことには、こんな風には中々書けないと思う。
物語としては、空の軌跡FCの様なすっきりしない終わり方ではないが、若干の謎を残したまま終わる。恐らく、続編の『碧の軌跡』にて、解決するものと思われるので期待したい。
空の軌跡に登場したキャラクターも出番が多く、終盤には仲間になったりする。前作をプレイしていれば、ニヤリとできる会話が多い。というか、プレイしていないと理解できない会話が多くてモヤモヤするはず。よって、前作のプレイは前提条件かも。
システムとして、本筋とは別に町人からの依頼をこなすことができるが、内容は『魔獣を倒して材料を集めてきてくれ』等、お使い的なものが多い。本筋が良くできているだけに、どうしてもテンポが削がれるのが気になるところ。というか、本筋の中にもお使いっぽいイベントがかなり多い。時間を掛けてまったりとプレイするタイプのゲームなのだと思う。
収集要素も多く存在する。全巻集めると最強武器の素材が貰える書物が存在するが、入手条件は期間が非常に限られている物が多く非常にシビア。その他にも、途中で見逃すと手に入らなくなるアイテムなどが多く存在する。コンプしたければ、攻略情報は必須。
システム/バランス/快適性
強化システムのオーブメントは前作から大きな変更はなく、相変わらずの複雑ぶり。ただし、手に入るクオーツ(マテリアっぽいもの)や覚えられるアーツ(魔法に相当)の種類や効果は調整されており、万能キャラは作りにくくなった。それにより、どのクオーツを装備するか悩む楽しさは増えた。
また、前作と違って上級のアーツはきちんと威力が上がるため使用機会は多い。反面、物理攻撃は頼りない印象。特に今回のクラフト(特技に相当)は威力が高い物が少ないため、余計にそう感じる。
戦闘難易度はノーマルでプレイしたが、かなり簡単。味方が覚えるアーツやクラフトの中には、強力な物が多数存在する。序盤から使用できる複数回復クラフトは非常に便利なので、そうそう全滅することはない。
手応えがないという人のために、ゲーム開始時に難易度設定をすることもできる。ただし、あまり戦闘テンポが良くないゲームなので、難易度を上げると、余計に戦闘が長引いて辛いかもしれない。
当作品はシンボルエンカウント形式だが、今回から『フィールドアクション』が追加されて、敵シンボルに対して、攻撃できるようになった。これにより、敵シンボルの動きを止めて避けたり、背後から攻撃してピヨらせることができるようになった。特にピヨらせた状態で戦闘に突入すると、先手が取れるので非常に有利。ただし、楽ではあるが一方的にボコるだけなので、ザコ戦が単調になりやすい。
戦闘テンポは前作とあまり変わらずゆったり。『移動』『戦闘アニメ』『ダメージ表示』といったそれぞれの動作は遅め。敵のHPも高めなので、ザコ戦でも数分掛かることはざら。
メインイベント・依頼共に強制戦闘が多いのも相変わらず。依頼の中には「ダンジョン内の雑魚敵を全滅させる」「一度クリアしたダンジョンの奥で手配魔獣を倒す」等の達成条件が面倒な物も多い。
移動に関して、クロスベル市内では、スタートボタンによるショートカットが可能。市外の施設についても、バス移動で省略できるといった配慮がされている。
美術
キャラクターデザインは前作から一新。前作キャラクターのイラストも描き直しされているが、歩行時のキャラクターグラフィックは前作の流用だったりする。全体的に当作品より、6年前に発売された空の軌跡FCと比較して、さほど代わり映えはないけれど、街やダンジョンの造形など、地味に綺麗になっている。
FFの様な派手なムービーシーンはないものの、イベントシーンでキャラクターはピョンピョンと良く動く。でも、時々「××はおじぎした」「××は○○の頭をなでた」という様に動作を文章で表現して済ませる手抜きっぽい部分も。
音楽
これについては、安心のファルコムブランド。空の軌跡より若干インパクトで劣るかもしれないが、戦闘曲、ダンジョン曲、イベント曲など良曲が揃っている。