【RPG制作講座】快適なメニュー @トップ画面

2011年12月17日

 快適なメニュー画面の操作について考察してみる。

 メニュー画面は戦闘と並んでプレイヤーが頻繁に見る画面である。開閉する回数で考えれば、戦闘回数を越える可能性も高い。長編RPGならば、ゲーム開始から終了までにメニューを1000回以上開くこともありえるため、当然その快適性は無視することはできない。

メニューの開閉時間


 まずは、メニュー画面の開閉にかかる時間について考えてみる。もちろん、短いほうがよいのは言わずもがな。個人的には『開』『閉』それぞれが0.5秒以内が理想。ちなみに0.1秒とかだと、一瞬で切り替わりすぎて逆に目が気持ち悪かったりするので、そこまで頑張らなくともよいかも。

 少し厳しいかなと思うけれど、メニュー画面はとにかく開閉する回数が多い。ゲーム開始〜終了までに1000回開閉するとした場合、1秒の差は最終的なプレイ時間にして、1000秒――16〜7分の差となってしまう。『1秒』と言うと大したことない印象を受けるが、繰り返し何度も行う操作については決して軽視できない。
 開閉に4秒かかる作品に至っては、なんとメニューの開閉だけでクリアまでに一時間を越える計算になる。
 ※本当に1000回開くかは測ってないので知りませんが、『開閉に4秒』はグランディアなどに実例があります。

 というわけで、ここは技術の粋を集めてでも短縮を図りたい。もちろん、過剰な開閉エフェクトで時間を喰うなんて論外な話。

トップ画面の情報


menu2.png

 参考に筆者の作品から、メニュー画面の画像を貼り付けてみた。
 ※開発途中の画面なので古いです。しょぼいとか言わない。
 メニュー画面を開いた時に表示されるこの画面をそのまんまのネーミングで「トップ画面」と呼んでおく。どこのRPGにもあるけれど、大抵は似たような機能のはず。

 ここではプレイヤーにとって、重要度が高い情報を表示するようにしたい。必要な情報としては「パーティーメンバー」「現在HP」「現在MP」「最大HP」「最大MP」「所持金」などが挙げられる。
 作品によっては独自のパラメータが存在することもあるけれど、それを表示するかは作者の判断次第。僕の場合「TP」「魔石」なども表示するようにしている。

 ちなみに、DQシリーズでは「最大HP」「最大MP」を表示していなかったりする。DQはメニューが狭いのでレイアウト上、仕方ないのかもしれない。ただ、自分がメニューをデザインする際はスペースに余裕があるなら表示したほうがよいかなと。
 ポケモンBWなど、まれに「HP」や「MP」すらメニューを開いた時に表示しない作品もあるが個人的にはとっても不便。他にもRPGツクール95の作品をプレイした時に「HP」「MP」すら表示されない仕様で弱った。

トップ画面から他画面へのリンク


 トップ画面のもう1つの機能として、アイテム・魔法などの各機能画面にリンクするというものがある。この『リンク』の並び順についても考察してみたい。例だとリンクが9個あるが、カーソルの初期位置は左上にあると考えて頂ければ。

 配置を決めるに当たって、考えることは主に3点。

  1. 使用頻度が高いリンクは初期位置から少ない操作で到達できる場所に置く。
  2. 類似した機能(魔法と特技など)は隣接して配置する。
  3. プレイヤーが持つ経験・知識に沿った配置を行う。

 なお、例ではリンクの配置構成を3×3にしている。これなら、最低でも初期位置から2回方向キーを操作することで、全てのリンクにたどり着くことができるので便利。
 例えば、初期位置の「魔法」から「編成」に移動するには、↓←の順番で入力すればよい。ただし、左端で←を押せば、右端に移動するという機能を実装していることが条件となる。

 少し話はそれるけど、この「左端から右端」「右端から左端」「上端から下端」「下端から上端」に移動できるという機能・ルールは快適な操作を実現するためには、必須だと個人的に思ってます。地味ながらこれほど分かりやすく効果が明確な快適性向上策は他にないので。

 というわけで、リンク位置の配置を考えよう。
 まずは、配置毎に重要度によってランクを付けてみる。

  • A(緑):初期位置
  • B(赤):カーソル操作1回でたどり着く。
  • C(青):カーソル操作2回でたどり着く。

menu2_color.png

 初期位置であるAランクの「左上」には上記3条件に従って、最も優先度が高いリンクを配置する。候補は回復に使用する「道具」「魔法」辺りが有力か。回復手段が有力なのは多くの作品に該当すると思う。当作品では「道具」よりも「魔法」で回復する頻度の方が多いと判断し「魔法」を配置することにしてみた。

 なお、世間一般のRPG(FFシリーズやRPGツクール2000のデフォルトメニューなど)では「道具」がカーソル初期位置にあることが多いので、そのルールに従うのもあり。既存作品と配置を無理に変えるとプレイヤーの経験則に反するために違和感も出るので。

 次に残りの8項目をどう当てはめるか。
 当作品で使用頻度の高い順に挙げると「道具」「装備」「魔珠」「相談」「辞書」「特技」「編成」「他」となる。しかし、機能の類似性も考慮したい。「魔法」と「特技」、「装備」と「魔珠」は類似性が高い。「道具」と「装備」なども類似性があるが、上記2つよりは低い。

  • 結果「上」には「特技」を配置することにした。「特技」は「魔法」と比較して使用頻度は高くないのだが、「魔法」と同じく技能の情報を表示する機能である。類似性を考慮して「魔法」の隣に配置することにした。
  • 「左」には「装備」、「中」には「魔珠」を配置した。比較的使用頻度の高い「魔珠」がCランクになってしまったが、ここは妥協する。
  • 残り2つBランクの椅子を埋めよう。「右上」には「道具」、「左下」には「相談」を配置した。この2つは位置を反対にしても特に問題はないが、「右上」の方が画面中央寄りでプレイヤーの目に付きやすいので、より優先度の高い「道具」を配置した。
  • 「右下」は「他」となる。この様な項目は多くのRPGでカーソル初期位置から離れた場所に配置されるもの。
  • 残った「右」に編成。「下」に「辞書」を当てはめた。これも位置を反対にしても特に問題ない。

 以上の様に決めてみた。あくまでも一例であるが参考にして欲しい。

まとめ


 このように何気ない項目の並び順にも、制作者は工夫を凝らすことができる。ちなみに、店などの画面も、ほぼ同じ理論を適用できるので、応用して頂ければ。

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posted by 砂川赳 at 08:00 | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする