【RPGレビュー】アンリミテッドサガ

2012年01月07日

タイトル機種質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
アンリミテッドサガPS270606050508090662003年

質量/物語


 7人のキャラクターの中から主人公を選択可能。それぞれに異なるシナリオが存在する。
 七大脅威と呼ばれるダンジョンの存在など、壮大な世界設定を感じさせる。
 ……が、期待したほどのストーリーが展開されるわけでもなかった。各主人公のシナリオは小さくまとまっている。

 1人辺りのプレイ時間は10時間程度。さほどテンポがよくない割りに短い。
 なお、筆者は6人までクリアしたが、マイス編だけはクリアしていない。全員をクリアすると歌付きのエンディングが流れるらしい。

システム/バランス


 『技の使用』『宝の入手』『罠の解除』など、様々な場面でリール(ルーレット)が関わってくる。
 おなじみの閃きシステムは今回も健在。ただし、せっかく覚えた技もリールを止めることができなければ使用できない。とはいえ、戦闘中のリールに限っては慣れれば確実に止めることもできる。

 敵・味方共にHPが0になっても死なない。止めを刺すにはLPを0にする必要がある。HPを減らしてからダメージを与えるとLPが確率で減少するという仕組みになっている。
 これにどういう面白みがあるのかは、ちょっと理解できなかった。LP減少が確率でバラけるので運ゲー臭がするのも不満。ぶっちゃけHPが0になったら倒れるほうが分かりやすいし、テンポも良いような……。

 今までと違い、戦闘に勝利しても、キャラクターの能力はその時点で上がらない。ダンジョンをクリアした際に、戦闘などそれまでの行動によってHPが上昇する。
 また、7つまで保有できるパネル(スキル)を選ぶことができるのだが、これが微妙なランダム性を持っているため非常にやりにくい。望んだパネルが出るとは限らない上に、強制的に交換なので、現状より弱いパネルに泣く泣く交換しなければならないことも。

 『合成術』なるパネルを入手すれば、様々な術が使えるようになる。しかし、普通に一度クリアした程度のプレイでは、お目にかかることすらなかったり、出てきても物理系のキャラクターに出てきて使いようがなかったりとチグハグ。ちゃんと使えれば強力らしいのだが、6周してもまともに使えた試しがない。いくら何でも出し惜しみしすぎだと思う。術好きの僕としては無念過ぎる。

 ダンジョンが長い割りに、セーブポイントが少ないため辛い。数時間、ダンジョンに潜った末に全滅してしまい、何度かやる気を失いかけた。難易度が高いのはいつものこと。だけど、従来のサガシリーズはそれをどこでもセーブなどの親切要素によって補っていたはず。今回はそういった配慮がないのが辛い。
 『全身鎧』という裏技のようなものを使うと一気に難度が落ちるけれど、一気に手応えもなくなる罠。もう少しどうにかならなかったのか……。

 サガシリーズにしては数値のインフレが抑え気味。キャラクターを成長させる快感が得られにくいので、ちと物足りないかも。戦闘に勝利してもすぐにはキャラクターが成長しない仕様のため、戦闘が面倒臭く感じてしまう。

 最初はとっつきにくいだけで、実は慣れれば面白い作品なのではないかと期待していた。
 ……が、慣れてくると単純なアラのほうが目に付いてくる。独特のシステムの多くが、面白さよりも『とっつきにくさ』『テンポの悪さ』につながっているのがなんとも。

快適性


 システムの都合上、戦闘を回避しにくい。やっぱりシンボルエンカウントと比べると、納得行かないことが多い。
 リール等のシステムによって、戦闘テンポが遅く時間がかかる。
 武器に耐久度が存在するが『武器修理』の能力があれば、いくらでも修理できる。でも、それだと回数が減るたびに修理する手間がかかるだけのような……。それだったら耐久度とかいらなくね?

 鍛冶屋で特定の組み合わせで素材を合成した時に、一定確率で良い武器防具を作成することができる。しかし、こういうシステムはリセット作業ゲーを誘発するのも世の定め。そのために、何度もリセットする必要があるのが面倒。

 奇抜なシステムばかりが話題になるゲームだけど、基本的な部分の快適性もかなり微妙。戦闘テンポはシリーズ中では遅めだし、ロード時間は普通に長い。

美術


 独特のグラフィックは味がある。特に戦闘画面は後発のミンストレルソングよりもキレイだと思う。キャラクターの立ち絵だけで進行するイベントなど、随所に手抜き感が漂ってはいるけれど……。

 なお、タイトルデモの完成度が音楽と相まって妙に高く、それだけ見ると非常に面白そうに見える。

音楽


 サガフロンティア2に続いて作曲は浜渦正志が担当。音楽はこのゲームにおいて、最も普通にほめられる点。というか、曲が良すぎて作曲者が不憫なほど。その中でも通常戦闘曲の評価は高い。いいっすよね主旋律がバイオリンの戦闘曲って。

まとめ


 とにかく、変わった作品を作ろうという意欲は感じたのだけど「変わったゲーム=おもしろいゲーム」という訳ではないし、単純に作りこみの甘い部分も多く見られる。
 音楽やグラフィックなどの雰囲気は非常に良いので、変わったシステムが好きで、かつ手応えを求めるゲーマーなら意外と楽しめるかもしれない。

 なお、一般にプレイする際は別売説明書(解体真書)が推奨されているらしい。とはいえ、今の時代はネットにも詳しい攻略情報がたくさんあるし、あえて、自分でいけるところまで攻略法を模索するのも面白いかと思う。
posted by 砂川赳 at 08:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする