タイトル | 機種 | 質量 | 物語 | システム | バランス | 快適性 | 美術 | 音楽 | 平均 | クリア日 |
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ファイナルファンタジー9 | PS | 90 | 80 | 70 | 70 | 60 | 80 | 90 | 77 | 2000/07 |
物語
FFシリーズとしては、久々の王道ファンタジーでSF色は弱め。シナリオは珍しく坂口博信氏がメインで書いている。原点回帰がウリで、今までのFFシリーズで出てきた用語などが頻繁に使用されている。
FF7・8同様にストーリー主導型の作品であり、演劇から始まるオープニングなど実に派手。そのまま中盤までは途切れなくイベントが発生する。
王道ファンタジーRPGらしく、広く多様な世界を期待していたのだが、最初の大陸以外は荒れ果てているという設定。せっかく、飛空艇で空を自在に飛べるようになっても、あまり見るべき場所がないのは残念。
なんとなく盛り上がりに乏しい印象があるのだけど、一つにはストーリーとボス戦が噛み合ってないのだと思う。
- 同じ敵との強制敗北戦闘が何度もある。しかも、相手のベアトリクスは凄腕とはいえ単なる人間。シナリオ上、強大な敵というわけでもなく、負けなければならない理由が見当たらない。
- 逆に本当に強大な敵であるはずのクジャやガーランドとの戦いは、イベントバトル同然で普通にやれば負けない。
- 伏線も無く唐突に出現するラスボス。
こうしてみると山場でのガチバトルに乏しいので、印象的なボス戦が欲しかった。強制敗北戦闘ってやらされてる感があるから、多用しちゃいかんなと。
今回の主人公ジタンは熱血タイプ。FF7・8のクール系主人公とは違って好対照。ただ、仲間キャラごとの扱いにわりと差がある。クイナはおまけとしても、フライヤやサラマンダーにも、もう少しいい見せ場が欲しかったところ。
システム/バランス
パーティは仲間8人の中から4人を選んで編成する。FF7〜8と違って、今作はキャラクター毎の戦闘での役割が明確。逆にこういうシンプルな構成のほうが、新鮮に感じる部分もあってよいかも。
ただし、後半までストーリー展開に合わせてコロコロとパーティ編成が変わる。
戦闘は今まで通りのATBだが、戦闘テンポが遅く、上手く機能していないところも。やっぱり、テンポあってのATBだなと認識させられる。
装備に応じて能力を身に着ける成長システムは複雑すぎず、なおかつそれなりに自由度もある。システム面で大きな冒険をしていた前作と違って無難かもしれないが、良くできている。
難易度はシリーズの中でも、若干低め。準備を整えていれば、ボス戦でもあっという間に片付くことも。システムはシンプルな割に、ゲームバランスには大味なところも。極端に武器の威力に依存する戦闘計算式のせいで、武器を変えただけでもバランスが激変する。
このゲームシステムならば、キャラクター毎の能力調整が肝となるはずだが、微妙なところかも。
特にヒロインのガーネットがエーコに優る点がほとんど見当たらないのが悲しい。ヘイスト、エスナ、アレイズ、ホーリーといった重要白魔法に、召喚魔法も聖属性で使いやすいマディーン、全体蘇生のフェニックスとエーコが至れり尽くせりなのに対して、ガーネットはこれといった魔法を覚えない。
リミット技や特殊技に変わる要素として、今回はトランスがある。ただ、強すぎてゲーム中盤からダメージ9999を連発できてしまう。しかも、今回は連続ヒット技がほとんどないため、与えられるダメージはそこで頭打ち。これは今までよりスケールダウンした感があるので、どうにかしてほしかった。
快適性
戦闘開始までの時間がFF8よりもさらに長く、戦闘開始と同時に「とんずら」しただけでも、かなりの時間がかかる。他の戦闘テンポ自体も遅めで、申し訳程度に召喚獣の演出ショートカット機能が付いている。FF8のように通常戦闘を減らす手段がないのも困る。
原点回帰をうたうなら、SFC時代の様なテンポの良さにも、回帰してもらいたかったというのが本音。ここがもっとマシだったなら、万人に勧められるRPGになったと思うけれど……。
美術
ムービーシーンの量は前作FF8から、さらに増加。キャラクターの頭身がFF7・8のリアル路線から、3頭身のコミカル路線に戻っているので、違和感あるかも知れない。
音楽
作曲は全曲がおなじみの植松伸夫氏。戦闘音楽はFF6以前のイントロから始まる。また、過去作品のアレンジ曲もいくつかあるなど、さすがは原点回帰といったところ。その他の曲も多様で高品質だ。