【RPGレビュー】ファイナルファンタジー12

2011年12月24日

タイトル機種質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
ファイナルファンタジー12PS280607060609070702006/03

質量/物語


 強大な帝国との戦いというFF2を思い出すようなストーリー。しかし、演出は当時とは比較にならないほど向上している。

 今までのFFシリーズはゲーム性とストーリー性のバランスが取れた作品が多かったと思うけど、この作品は珍しくゲーム性重視。反面、ストーリーは軽視気味かも。
 本筋は短く、ダンジョンや町はやたら広いので、今までのFF的なテンポのよさを求めると辛い。逆にそういったところを、冒険感があると楽しめる人のほうが向いている。

 中盤はひたすら移動のためにフィールドやダンジョンを進むことになるけれど、10時間近くもストーリーの進行がないのでさすがに辛かった。ストーリーは一応の起承転結はついているけれど、FF7〜10のような盛り上がりは期待できない。

 主人公ヴァンのストーリー上の影の薄さはなかなかのレベル。実質的にはヒロインのアーシェやバルフレアのほうが主人公っぽい。アーシェに邪険に扱われるヴァンの扱いは哀れみを誘う。やっぱりパーティの仲の良さって、大事だと思うんだ。

 モブ退治など寄り道要素が豊富。ただし、アークザラッド2の依頼などと比べるとシナリオ性に乏しい。もう少し数を減らして質を高めたほうが個人的に好みなのだけど。
 クリアに関係ないダンジョンも豊富。ただ、死都ナブディスのようないかにも重要なマップすら、ただ敵を倒すだけで大したイベントもないのはもったいない。

システム


 戦闘システムは今までのFFシリーズとは大きく異なる。ARPGの様にフィールド上でそのまま敵と戦闘を行う形式になっている。といっても、ARPGの様なアクション性があるわけではない。FF9までのATBと同じくゲージが溜まるまで、移動以外の行動はできない。
 操作キャラクターは3人パーティ中1人だけ。他の2人はガンビットによって行動パターンを指定することでオート戦闘をさせることになる。

 新戦闘システムの評価だけど、画面の切り替わりがないためエンカウントのストレスもなく快適。強い敵を避けて、いいアイテムを持っている敵を狙うなど、戦闘前の駆け引きが可能になったことも評価できる。

 ガンビットによるオート戦闘は放っておくだけで終わることもある。回復だけでなく蘇生まで自動でやってくれるので、楽だけど退屈かもしれない。ガンビットの工夫次第で強敵にもオートで勝てたりするらしい。そういった戦略性を高く評価する声も。

 派手なエフェクトの魔法は2人同時に放てないという仕様がなぜかある。そのため、フレアなどの上級魔法をせっかく覚えても使いにくい。処理的な問題かもしれないけど、ここは悲しい。

 成長システムのライセンスは序盤から最後まで個性がつきにくい。やっぱりこういうシステムは悩む楽しさみたいなのが欲しい。FF10のスフィア盤にあった面倒臭さはそのまま。

バランス/快適性


 FFシリーズにしてはお金が貯まりにくい分、お金を貯める面白さがある。同様に買い物なども良く考える必要がある。良い意味で古典的なRPGみたいな感触。

 戦闘バランスはそこそこの水準。しかし、無駄にHPが多く長引くボス戦が多い。特にクリア後は何時間も撃破にかかるボスがいたりして狂気を感じる。こういうのはちょっと……。
 途中の難易度は高めな割りにラスボスは弱め。もうちょっと強くてもよいと思う。

 ダンジョンはかなり長いのでプレイが単調になりやすい。終盤のダンジョンの長さが特に辛い。5時間かかるダンジョンが二連続とか……。
 町も超絶広いので探索は大変。ただ、町人の会話などは作りこまれているので、まったり遊びたい人には良いかもしれない。

 長い寄り道ダンジョンをクリアすると召喚が手に入る。しかし、ミストナック(今作の必殺技)と消費するゲージが同じなのが難点。ミストナックのほうが強いと感じたので、召喚はあまり使わなかった。要素が競合すると、片方が使われないというよくある問題点を露呈。

 マップ切替のロード回数は少なめだが長い。とはいえ、1マップの広さを考えれば納得できるレベル。ミストナックや召喚はテンポが悪く、戦闘の流れを断ち切ってしまうのが気になる。

美術


 ダンジョンの背景が美しく、画面が切り替わらない戦闘システムとの相性もバッチリ。特に砂海の光景をイチオシしてみる。
 演出も、映画的なカメラワークでイベントシーンは素晴らしいデキ。PS2では最高峰かも。

 システムの都合上、戦闘演出はFF10と比べると地味になった感。アングルを固定できない仕様上、それで技を魅せるというのは難しいのかな。大技使用時はいきなり画面が切り替わるのだけど、強引に流れを切るので無理矢理感も。ダメージ表示が見づらい。

音楽


 悪くはないけれど、メインメロディがはっきりしない曲が多いので、どうしても印象が薄い。
 ラスボス曲などは4〜5分も聞けば、いい感じに盛り上がる。けれどゲーム音楽としては長すぎるのかもしれない。なかなかこういう曲は評価されにくいかも。

その他


 今までのFFシリーズのインターナショナル版では、追加要素が少しあるだけだったが、今回はシステム面で大きく手が加えられている。よく知らないんですけどね。
posted by 砂川赳 at 08:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする