ボスの格と強さ
ボスの強さを決めるに当たって、まず考えたいのは『ストーリー上の格』である。シナリオ上、散々もったいぶって登場した主人公の宿敵が弱くては興冷め。盛り上がるべき場面の敵はやはり強くないと――というわけだ。例として、以下のように3段階でボスを格付けしてみる。
- Aランク: ラスボス
- Bランク: ラスボスの側近(四天王等)、主人公のライバル
他シナリオ上の重要ボス
- Cランク: シナリオ上、重要度の薄い普通のボス
※無論、ボスの強さというのは、その時点のプレイヤーが苦戦する度合いのこと。
Cランクは普通に戦えば勝てるようにする。あるいは状態異常を使用してくるなど、クセのある強さを目指してみるのも面白い。
Bランクのボスは、初戦でも勝ち負けができる程度の強さにする。今までCランクのボスとしか戦ったことのないプレイヤーが初めてBランクのボスと戦った時、はっきりと「今までとは違う」と感じる様な強さにしたい。
Aランクのラスボスに関しては、初戦はほとんどのプレイヤーが全滅するくらいでもよい。その上で、しっかりと対策を立てれば何とか勝てるくらいを目指してみる。
ランク毎の強さはあくまでも目安だけど、強さにはっきりと差を付けることで、シナリオを盛り上げることができる。このように、シナリオをゲームバランスで演出するのは、ゲームならではの技法である。有効に活用して欲しい。もちろん、ボスの格に応じて戦闘音楽を変更するのもポイント。
DQ6では、魔王ムドーを倒したばかりのパーティが、その辺の城の兵士に苦戦させられるという屈辱的な展開があった。ボス敵は何でもかんでも強くすればいいというのは間違いだと思う。
時折、ボス毎に音楽をコロコロ変更するRPGがあるけれど、曲数は絞ったほうが変更したときのインパクトは強まると思う。その辺りの演出効果も計算して曲を選んでみたい。ネット上にはフリー素材がたくさんあるけれど、取捨選択も大切。
ボス戦を面白くするには?
ボス戦を面白くするためには、戦闘を単調化させないことが何より重要。基本はザコ戦と同じで、無闇に戦闘を長引かせないこと。特に何十ターンも同じ攻撃と回復を延々と繰り返し続けるような、長いだけの戦闘はつまらないの一言に尽きる。
ボスを強くしたいのならば、HPを増やすのではなく攻撃を激しくするように意識してみよう。また、HPが半分を切ると、攻撃パターンが変わるボスも単調化を防ぐ手段として有効だ。
これはシステムの話だけど、FFシリーズのアイテム共有制の様に、誰でも簡単に回復や蘇生ができてしまうようなシステムは戦闘が長引く原因となる。もっとも、FFシリーズはボスの攻撃が非常に激しいので、何十分も粘り続けるような、つまらないボス戦になることはあまりないけれど……。
同様にDQ6・7の転職システム等、自由度が高い成長システムは誰でも回復・蘇生ができるようになりがちなので注意したい。例えば、類似したシステムのFF5だと、保持できるアビリティに制限を設けることで万能キャラを作り辛くしている。
ボス戦を面白くするためには、手強いボスを作りたい。でも、強すぎるとライトユーザーに敬遠されてしまうかも……。
そんな時は、ボスを強くする代わりに全滅のリスクを軽減する方法がある。
例えば……
- ボス戦前にセーブポイントを配置する。(どこでもセーブもOK)
- 全滅しても、ゲームオーバーにならないようにする。
(DQ方式など。今まで稼いだ経験値や道具が残るようにする)
- ボス戦と直前のセーブポイントの間に長いイベントを挟まない。
あるいはスキップ可能。
このようにしておけば、僕のように1時間を超えるプレイ時間がパーになると、クリアを諦めたくなるような、ゆとりプレイヤーも安心である。失うものが少ないので、ボスに負けても、またがんばろうという気が起こる。
ザコ敵のところでも話したが、もちろんボス敵にも何らかの個性を与えよう。どのボス戦も数値のやり取りだけで終わるようではつまらない。ボスに苦手な属性を付けたり、お供やパーツを付けると、属性攻撃や複数攻撃を使う価値が出るので、色々なキャラクターや職業に活躍の機会を与えることができる。
特に物語の締めとなるラストバトルでは、プレイヤーが今まで育ててきたキャラクターを存分に生かせるようにしたい。
この分野に関しては、サガシリーズの独断場といってもいいので参考にするならお勧め。特に『ロマサガ2(ラスボスは強すぎるかも)』『ロマサガ3』『ミンストレルソング』の3作品のボス戦バランスは見事。
DQシリーズも難易度的な安定感はさすが。ただし、DQ5以降はボス戦が長期化して、戦闘が単調化する傾向もあるので真似するのは注意。参考にするなら、PS版DQ4辺りがお勧めかも。
FFシリーズのボス戦バランスは蘇生が簡単すぎて、大味になっているのが個人的には難点。とはいえ、ボス敵の個性の付け方は素晴らしいので参考にして欲しい。
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