この二つの調整については……
- 上手な人はレベルが上がらず、お金が貯まらない。装備も不足する。
- 下手な人はレベルが上がって、お金も貯まる。 装備も充実する。
というように、プレイヤー側で調整できるようにすればよい。要するに、レベルや装備をハンディキャップとして扱うということ。
といっても、難しく考える必要もない。古典的なシステムのRPGなら、無意識の内に自動調整されるようになっている。
例えば、普通のプレイヤーなら……
- 敵が強いと感じれば「レベルを上げよう」「装備を整えよう」となる。
- 敵が弱いと感じれば「このまま次のボスに挑もう」となる。
ただ、それだけのことなので、その当たり前の行動を邪魔しなければ問題ない。
邪魔をするとは……
- レベルが上がるほど、戦闘で得られる経験値が減ってレベルを極端に上がりにくくすること。
(女神転生シリーズなど)
- 大量にボス戦で経験値(ザコ戦闘の10倍とか)を与えて、どんなプレイヤーでも、同じ程度のレベルに均一化したりすること。
(ワイルドアームズシリーズなど)
などである。
また、お金に不足せず、その時点で店で売っている最強装備が簡単に全て買えてしまう調整は問題が起こりやすい。「敵が強いから、装備を強化しよう」と考えてお金を稼いでも、それ以上、買う装備がなく強化のしようがなくなるからである。
普通のRPGではレベルや装備がハンディキャップとして、機能しているのをわざわざ潰していることになる。このような調整をすると、下手なプレイヤーも上手なプレイヤーも同じ条件でプレイしなくてはならなくなる。結果的に、下手なプレイヤーには厳しいバランスとなってしまう。
以上より、同じシナリオ進行状況でも、プレイヤーの実力次第でレベル差・装備差が発生するRPGのほうが、実は万人にとって遊びやすい。そのため、全てのプレイヤーが強制的に戦うイベント戦闘には、経験値やお金を設定しないのも一つの手だ。
※追記:「ある程度ボス戦で経験値があるほうが、稼ぎが不要でスムーズだよ」という意見も、それなりに根強いです。どんな塩梅にするかの判断はお任せします。
パーティの強化を退屈させない方法として、複数の「強化システム」を用意することが有効である。ここで言う「強化システム」とは、その名の通りキャラクターを強くするためのシステムを指す。
最も一般的な「強化システム」とは「レベル(経験値)」「装備(お金)」である。
その他、FF5のジョブアビリティ(経験値とは別のポイント(AP)を稼いで技を習得する。)等のゲーム独自の「強化システム」を持つ場合も多くあるが、話を単純化するためにここでは扱わない。
例えば、DQ1では「レベル」「装備」の2つの「強化システム」を持っている。店で売っている「装備」は値段が高いため、新しい町に到達した時点では、すぐに買うことができないバランスになっている。
そのため「新しい武器が買えるまで、お金を稼ごう。その頃には経験値も溜まってレベルも上がっているはずだ。」というように、装備の購入を目安にして同時にレベルアップも行うこともできる。
このように調整しておけば、プレイヤーに適度な目標ができるので強化が楽しくなる。「レベル」と「装備」2つの「強化システム」がうまく機能していることがわかる。
もしこれが「お金に不足せず、店で売っている装備が簡単に全て買えてしまうバランス」のゲームだったならば、どうなるだろう?
プレイヤーには、経験値を稼いでレベルを上げるしか強化する手段がなくなってしまう。上のパターンと比べると、プレイヤーは退屈してしまうはず。せっかくの「装備」という「強化システム」が機能していないともいえる。
残念ながら、こういった金額調整がされているRPGは珍しくない。……というより、DQシリーズ以外のRPGをやると、こういった金額調整のほうが主流であるとすら感じる。実にもったいない。
お金は不足させてこそ、ありがたみが生まれる。
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