【RPGレビュー】十三機兵防衛圏

2021年02月12日


発売元アトラス(公式)
機種PS4
発売日2019/11/28
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
80908070809070802021/02/11

 十三人の少年少女が機兵と呼ばれるメカに乗って怪獣と戦う。2Dグラフィックで有名な開発元のヴァニラウェア渾身の一作。
 正確なジャンルは『ドラマチックアドベンチャーゲーム』だとか。SRPG的なモノとも分類できるので、せっかくなのでレビュー。

質量/物語


 クリア(トロフィーもコンプリート)までは30時間強。

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 ゲームはSRPG的な戦闘を行う『崩壊編』、ストーリーを進める『追想編』の二つに分かれる。
 この二つを任意に切り替えながら、進行していくことになる。
 もう一つ『究明編』もあるが、これは資料集&回想的なもの

 プレイ時間の多くを占める追想編では、十三人の物語を切り替えながら崩壊編に至るまでの経緯を追っていく。
 タダでさえ十三も主人公がいるのに、難解なSF物語になっているので、非常にややこしい。

  • SFの定番、タイムトラベル要素はもちろんある。
  • 一人の主人公を中心に進めていても突然話が飛ぶ。
    他の主人公の物語で補間しないと理解できない。
  • 過去へと戻る回想が多用される。
  • 主人公毎の時系列もバラバラ。
    とある主人公の冒頭が、他の主人公の後半からつながっていたり。
  • 意図的にミスリードを連発している。

 などなど……。
 特に序盤は訳が分からない。というか、クリアしただけでは全体を把握するのは難しい。
 この辺は必要以上に話を複雑にしている印象を受けた。
 究明編ではキャラクター別に時系列で回想を閲覧できるので、把握の役に立つと思う。

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 ともあれ、十三人(+α)はそれぞれ個性豊かで魅力的。
 SF的な要素をこれでもかというほど詰め込んだ先の気になるストーリー。好きな人にはたまらないはず。
 基本的にはネタバレ厳禁なゲームなので余り語ることはありません。

システム/バランス/快適性


 崩壊編、追想編を任意に切り替えながら進めることになるのだが、これがなかなかの悩みどころ。
 追想編は尋常ではなく話が複雑なので、できれば連続して進めたい。
 かといって、崩壊編もある程度は進めないとロックがかかって進めなくなる。そもそも、後回しにしていると、後でひたすらSRPG戦闘を繰り返すハメになる。
 ……というように、頭の切替が必要となるのはなかなか厄介だと感じた。

追想編

 十三人の主人公を切り替えながら進む2D製ADV。
 キーワードを駆使するなどの多少のゲーム性はあるが、あくまでストーリーを追うことが中心となる。

 一度聞いた会話や演出はR1ボタンで早送りできるなど、快適性にも配慮がされている。
 ほぼ一本道のイベント中でも、頻繁にプレイヤーへ操作を戻すのだけがちょっと気になった。

崩壊編(戦闘)

 SRPG戦闘の難易度は低め。
 十三人とその搭乗する機兵を操って怪獣と戦うことになる。

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 ノーマル(難易度変更可能)ならば、普通にやっていて負けることはほとんどないと思う。ステージ毎にクリア成績がつくのだけれど、2つを除いて初回で最高のSランクを獲得できた。
 基本的には遠距離攻撃だけで敵を圧倒できる。兵装には防御・回復系のものも存在するが、まず世話になることはなかった。
 ただし、第3エリアのラストだけは桁違いに難しい。
 もし、難しいようでも以前のステージに戻って稼ぐこともできる。

 試行錯誤する楽しさは薄いけれど、大量の敵を倒すのは爽快感があって気持ち良い。
 プレイ時間的にも、追想編のほうが作品の中核だという印象は受けた。

美術


 追想編の物語は、ヴァニラウェア製の美麗な2Dグラフィックで描かれる。2Dとしては一種の究極系に近いんじゃないかなと。
 対する崩壊編では、記号的な3Dグラフィックに留まっている。

音楽


 作曲は崎元仁氏らのチーム。

 追想編ではどちらかというと背景的で目立たない。
 崩壊編のバトルパートでは燃える曲なども。印象に残るのは、歌付きの曲が流れるとあるシーンだろう。

 このレビューでは相対的に低めの点数になっているけど、クオリティ自体は高い。プレイ時間の大半を占める追想編で、曲が目立たないので余り評価のしようがないというだけです。

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posted by 砂川赳 at 15:42 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ

2021年02月05日


発売元アトラス(公式)
機種PS4
発売日2020/02/20
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90807080709080802021/02/04

 ペルソナ5の続編に当たる作品だが、なんとコーエーとタッグを組んで無双系システムを搭載したアクションRPGへと変化!

質量/物語


 クリアまで50時間程度。本編よりはさすがに短いけれど、相変わらずの大作。
 完全な続編なので、ペルソナ5本編をクリアしていることが前提。
 ペルソナ5には改良版の『ザ・ロイヤル』もあるけれど、そちらのストーリーには接続していない模様。無印だけのプレイで問題ない。

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 物語の題材にAIを使うなど、ペルソナらしい今時さ。
 アクション化したとはいえ、ストーリー面はかなりしっかりしている。いつものペルソナと同等のクオリティと言ってもよいと思う。

 なお、本編での仲間達は序盤からすぐに加入する。
 仕方ないことではあるが、一人ずつ仲間の掘り下げを行った本編ほどの印象は得られないかも。
 とはいえ、杏、春、祐介のような本編では余りスポットライトが当たらなかったキャラにも、丁寧に出番とセリフを割り振っている。
 また、新規キャラ二名についてはしっかりと魅力的に描けているのは、さすがといったところ。

 終盤の展開は若干の既視感があるかも。
 本編からテーマを一貫しているため、そうなるのも仕方ないところではあるのだけど……。

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 おっさんもいるよ!
 ロン毛の胡散臭いおっさん刑事ということで、P2罰のパオフゥを思い出しました。

システム/バランス/快適性


 全体の構成としては、長いイベントと長いダンジョンという相変わらずの組み合わせになっている。
 ただし、本編のような日数制限はない。ストーリー進行に応じて、日付が進んでいく仕様になっている。コープ(好感度)などの要素はないし、本編にあったような恋愛要素もほぼなし。

 結果として、取り返しのつかない要素はほとんどなくなった。単調になったと言えなくもないけれど、気楽にゲーム面に集中できるので個人的には好ましく思えた。

戦闘

 本編から一変してアクション戦闘に。
 ぞろぞろ現れる敵をバッサバッサと斬り捨てていく。
 操作キャラの変更も可能で、個性豊かな仲間達を自由に扱うことができる。

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 ただし、コマンド戦闘時代の要素も色濃く残っている。アクション式とコマンド式を組み合わせた結果、多少のクセはあるので最初はとまどうかも。

 SPを消費してスキルを使用するといった仕様はそのまま。シリーズ特有の属性相性の重要さも、相変わらずである。
 ターンや待ち時間のような仕組みが存在しないため、ほとんど隙間なくスキルを使えてしまう。アイテムに至っては在庫の許す限り使い放題になっている。

 その結果、ペルソナのスキルで弱点攻撃を連発するなどの単純な戦法が強い。弱点をつくと敵は動きを止める傾向があるので、SPが持つ限りは一方的に攻撃できてしまう。
 その代わり、SPの消耗もシビアなので、アイテムでの補給なしで大ボスを倒し切れるほどではない。その辺りを考慮してか、SPの枯渇を前提にしてバランスを取っているように思えた。

 どうにかこうにかバランスを取っているけれど、色々と大味な印象も。
 システム上、アイテムで回復している限りはそうそう全滅することはない。そのため、強敵と戦う場合は、泥沼の消耗戦となりやすい。
 強敵との戦いは『楽しい』というよりも『しんどい』というのが正直な感想だった。

 難易度ノーマルでも最初のダンジョンのボスから結構強いししぶとい。実のところ、最初のボスが一番苦戦した。
 アクションが苦手なら素直に難易度を落とすのも手。難易度は途中からでも変更できる。

サブクエスト

 サブクエストに当たる『リクエスト』は正直あまり面白くはない。基本的には一度クリアしたダンジョンに再度もぐって、特定の敵を倒すなどの作業をすることになる。

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 本編でも思ったのだけど、アクセサリは複数装備できてもよかった気がする。サブイベントのボス戦で苦労してアクセサリを手に入れても、既に持っているものと代わり映えなくて、使い道のないことが多かった。

快適性

 ダンジョン進入時などのロード時間は若干気になるレベル。特にリクエストをこなす場合は、短時間で何度も出入りすることになるので気になる。

 メニュー画面にいちいち演出が入っていたりする辺り、「快適性よりも演出」という傾向があるのは否定できないかも。

美術


 本編から色々と使い回しの省エネ仕様。
 とはいえ、無双系特有の戦闘演出は新鮮だった。

 各ダンジョンのボスは皆個性的で、見ていて面白いものが多かった。

音楽


 相変わらずのペルソナ5。
 使い回しも多いけれど質は高いというか、いつも通りといったところ。

総評


 戦闘面に多少のクセはあるけれど、ストーリー面は安心のペルソナ。
 アクションが嫌いでなければ、ペルソナ5が好きだった人には安心してオススメできるかなと。

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posted by 砂川赳 at 10:55 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPGレビュー】英雄伝説 閃の軌跡4

2019年09月28日


発売元日本ファルコム(公式)
機種PS4
発売日2018/09/27
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90807060709080772019/09/23

質量/物語


 難易度ノーマルでクリアまで120時間。
 サブイベントはほぼ見ているが、一部のセリフは飛ばし気味に読んでもこの時間。
 閃の軌跡1〜2のレビューを見直したら、クリアまで60〜70時間と書いてあった。プレイスタイルはほぼ同じなので、これがそのまま作品規模の差のはず。

 とにかく大変長かった。恐らくは軌跡シリーズで最長の作品になると思う。

ストーリー

 前作の衝撃のラストから一転、序盤は主人公リィン不在のままゆったりとした展開が続く。この辺は閃の軌跡1に対する2の流れに近い。

 空の軌跡1から閃の軌跡3まで八作にも及ぶ過去作品から数多くのキャラクターが登場。
 個人的に嬉しかったのは、空の軌跡以来となるギルバートの再登場。元市長秘書がこんな息の長いキャラになるなんて……。

 反面、キャラを回すばかりでストーリーに進展がない部分も。閃3は主人公の立ち位置を変えることで一定の新鮮さがあったけど、今回はそれもない。
 序盤から既存キャラの顔見せ的なイベントがダラダラと続く。
 なんせとにかくキャラが多い上に、サブキャラまでまんべんなく拾ってくるのがこの作品。敵も味方も見た顔ばっかり。

 基本的に敵キャラと戦っても決着はつかないし、一部を除いて死人も出ない。
 全体的に「お前達を試す」みたいなノリのボス戦が多め。「全力でやる」「本気でやる」と戦うたびに強調されるけれど、やはり戦いごっこ感が否めない。
 ともあれ、閃2〜3と違って今回は終盤で決着をつけるだけマシだろうか。

 色々と不満はあったのだけど、なんといっても帝国編(リィン編)の完結作。いくつかの山場は、非常に気合が入ったものになっている。
 ラストも大風呂敷をかなり頑張って畳んでおり、個人的にも満足のいく出来だった。
 特に今回は軌跡シリーズの根幹となる謎にも終盤で一部触れられる。もっとも、この辺は軌跡シリーズの完結まで引っ張りそうだけど。

絆イベント

 今作も絆イベントによって、仲間達と仲を深めることができる。
 今回の絆イベントは恋愛色が強い。恐ろしいことに、驚異のリィンハーレムに拍車がかかっている。ルートに入らなくても、大勢の女性から告白される始末。ここまで行くとちょっと怖い。

 女性キャラとの恋愛色が強いけれど、個人的には旧VII男性メンバーとのイベントがわりと好きだったりする。

テキスト

 相変わらず気になるのはテキストの質。ライターのクセが丸出しで、似たような表現のオンパレードである。

◆例
  • あ……。
  • はは、ふふ。
  • 〜というか、ていうか、といいますか。(文末)

 特にキャラを問わず「というか」の文末への多様は気持ち悪いレベルというか。
 普通に「〜だな」とかでよい文末を「〜というか」で締めるから、凄く違和感があるというか。閃3の時にはなかったはずなのに、なんで新たなクセが増えているのというか。


 根本的な問題として「伏線をたくさん張り巡らした先が気になる作風」と「寄り道要素が充実した作風」という二種類の作風の組み合わせが噛み合っていないように思う。

 後者を充実させれば当然展開は遅くなるし、前者を期待するプレイヤーはイライラしてしまう。しかも、それで分作になっているのだからなおさら。
「もっとテンポよく進めたら1〜2作でまとまっただろ」
 なんて批判を受けてしまうのも必然というもの。

システム/バランス/快適性


 システム面は基本的に閃の軌跡3と同じ。そして、3に引き続き、ぶん投げ気味のゲームバランス。

 色々とカスタマイズ性は高いのだけど、行き着く先は単調なゴリ押し。
 オーダーやブレイクが若干弱体しているなど、多少の調整は入っている。……が、所詮は申し訳程度に3よりマシかなという程度。

 難易度ノーマルだと序盤は少し厳しい部分もあるけれど、装備が整う中盤以降はほとんどの戦闘がノーダメージで終わる。
 ボス戦でも最初の数回だけ攻撃を喰らえば、後は完封なんてこともザラ。というか、普通にやっててラスボスはほぼノーダメージでした。
 黙々と一方的に敵を倒すのは、やっていて虚しいものがあった。RPGとしての面白さに疑問を感じる。

 とにかく足すばかりで、引き算のないゲームデザインがどうなるかという一つの例。
 バランスが壊れてるんじゃなくて、ルールが壊れているというべきか。たぶん制作者もよく分かっていない。というか、半ば諦めてるんじゃないかな。

 不満点はたくさんあるけど、閃3で散々突っ込んだので割愛。基本的に3からの進歩はないと思って問題ないです。

ミニゲーム

 3から引き続き登場のカードゲームVMはけっこうよくできていると思う。難しくはないけど、大味な戦闘よりはよほど頭を使うし面白い。
 碧の軌跡以来(たぶん)となる落ちゲーの『ポムっと』もあるけど、こっちはやたら難しい。完全攻略しようと思うと、結構時間を食わされる。

美術


 グラフィックの質は3と変わらない。相変わらずPS4にしてはイベントシーンの演出は物足りないレベル。
 とはいえ、個人的にはこれだけあれば十分だと思っている。FFシリーズみたく、グラフィックに力を入れすぎて開発に時間をかけるよりも全然いい。

 なんといっても、空〜碧の軌跡のキャラが現代のモデリングで見られるのは感動。今回はかなりたくさんのキャラが各作品から再登場する。

 オープニングアニメは1〜3で一番微妙かも。ただエンディングの豊富な一枚絵はかなりよかった。

音楽


 音楽に定評のあるファルコム。
 山場のイベントは音楽でしっかり盛り上げるし、ラストダンジョンなどダンジョン曲の充実も光る。
 反面、戦闘はちょっと印象が薄いかも。特に通常戦闘曲はよく思い出せない。

総評


 全体的に質より量に作品が偏ってしまっている印象。

 『足りない』というよりは、余計なものが多い。一作品としてもシリーズとしても長過ぎる。それによって、結果的に不満点が目立っている部分は間違いなくあるはず。
 まともに調整すれば、ペルソナシリーズなどの名作級に面白くなると思っているのだけど……。実際、閃1の段階ではかなり期待していた。

  • 冗長なイベントは削る。
    それこそサブクエストは全廃でもいいぐらい。
  • システムも単純にしてゲームバランスを取る。
  • ミニゲームや料理などのやりこみ要素もバッサリ切る。
  • プレイ時間は半分ぐらいまで削って品質を高める。
  • そもそも分作しない。

 自分が制作者ならこんな感じにするかなあ……と、妄想してみます。
posted by 砂川赳 at 12:40 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする