【RPG制作講座】世界設定

2013年03月23日

物語の基礎となる世界設定に付いて考えてみる。実は筆者は余り真面目に考えた事は無いのだが、勉強を兼ねてポイントをまとめてみた。世界設定に悩んでいるという人は各ポイントに分けて考えてみると、良いかもしれない。

時代


物語の舞台は現代なのか? 中世や古代あるいは未来なのか? あるいはクロノトリガーのように各時代を行き来するのか?

最もありがちなのは中世風のRPGだが、それだけに現代劇やSFで差別化を図るのも手だ。ただし、その場合はDQ的な『ベタなRPGのフォーマット』をそのまま適用するのが難しい事に、注意しなければならない。例えば、現代劇において、『そこら辺を歩いていたら魔物とエンカウントする』なんてフォーマットを持ち込んだら、違和感があるだろう。何らかの案を考える必要がある。(↓の『魔物/敵』を参照)

文化


西洋風なのか中華風なのか和風なのか? はたまたアラビアンなのか? 既存の文化に属さない独自のものなのか? また、西洋風1つ取っても、時代も地域も幅広く、古代ローマ帝国からアメリカの西部劇まで様々に分かれる。世界中を旅するRPGならば、手間は掛かるが東洋〜西洋まで地域毎に異なる文化を設ける事も可能だ。

地域が違えば、建築様式や人の容姿・服装も違うというのは当然の事。ただし、そのレベルまでこだわり出すと、グラフィック側の作業量が半端ない。

その地域特有の風習や祭り事を決めて、うまくストーリーに絡めれば深みが出る。かの『指輪物語』は独自の言語まで構築していたなんてのは有名な話。さすがにそこまでやる必要は無いと思うが・・・。

舞台/規模


RPGと言えば、やはり世界を舞台とした大作RPGを思い浮かべるもの。もちろん、それでも良いのだが、それ以外の選択肢だって用意されている。世界全体を舞台としなければならないという決まりは無いのだ。

タクティクスオウガ

舞台は1つの島。民族同士の争いと、周囲の大国の思惑が克明に描かれる。世界設定の深みはそこらの世界を舞台にしたRPGに勝るとも劣らない。

ペルソナシリーズ

学校とその周辺が舞台。舞台が小さいだけに同じ人物が登場する機会も多く、深くキャラクターを掘り下げる事ができる。学校や町という、身近なテーマを使えるのも魅力だ。

このように舞台は小さくとも、立派な大作も存在する。逆にスーパーチャイニ…スターオーシャンのように世界を越えて、宇宙を舞台としたSFだってもちろん可能だ。

とはいえ、制作に慣れない最初の内は、身の丈にあった規模の作品から作り出すのがお勧め。とりあえず、完成させてみて気力が持つようならば、そこから更に舞台や話を広げても良い。

世界


世界のあり方そのものについても、考えてみよう。冒険の舞台となる世界は一体、どのような世界なのだろう? 我々の地球のように宇宙の中にある1つの星なのか? 昔の人が考えたように世界の果てには滝があるのか? はたまた世界は夢の中なのか?

RPGでは、2つ以上の世界が存在する作品も珍しくない。それらの世界がどのように繋がっているかも重要だ。例えば、現代的な現実世界とファンタジー世界を行き来するなんて設定もファンタジー小説では良く見られる。(実はRPGでは余り知らない。) 複数の世界にまたがる物語は非常な大作感があるので、RPG制作者なら、皆が夢に見るはず。

ゼルダの伝説 神々のトライフォース

表と裏の世界が存在し、2つの世界を行き来する事がゲーム進行のカギとなる。裏の世界から表の世界へは『マジカルミラー』によって座標を保持したままワープできる。しかし、裏の世界→表の世界へはワープポイントを見つけなくてはワープできない。このように世界の移動に制約を設ける事で、ゲーム進行を調整する事もできる。

国家/政治


国家という枠組みもストーリーには大きく関わってくる。王政、共和制といった政治形態に加えて、どのような身分制度が取られているのかもポイント。また、国家間の関係も重要だ。強大な帝国に対して、他の国々が同盟を組んで立ち向かうなんてのもよくある構造。

国家に付いては、余り舞台の規模を広げない方が濃密に描きやすい。世界中を旅するようなRPGだと1つ1つの国家に対する描写はどうしても軽くなりがち。普通、1つの国家は多数の町を抱えるものだが、4つも5つも国家が登場するような作品で、それぞれに多数の町を組み込むのは大変だ。

この分野に付いて、知識を深めたいならば現実の日本史・世界史を学ぶのが良いだろう。別に学術的な難しい資料を読む必要は無い。歴史小説マジおすすめ。Wikipedia辺りをハシゴするのもお手軽。

人種/種族


どんな人種や種族が存在しているのか?
ここでいう人種・種族とは・・・

  • 人種:黄色人種、白人、黒人といった人間という枠組みでの違い。
  • 種族:人間、魔族、エルフ、ゴブリンといった生物的に大きな違い。

大半のRPGでは人間やそれに近い種族が物語の中心となる。それは、人間であるプレイヤーが感情移入できるのは、やはり人間的なキャラクターだからだろう。完全な動物を主人公にした場合、感情移入は少し難しくなる。

人間以外の種族には、やはり人間とは異なる特徴が欲しいところ。魚のように泳ぐのが得意だったり、鳥のように空を飛べたりという具合だ。何百年に渡る寿命を持った種族がいるのも定番。この場合、その種族の人物が「主人公の先祖と知り合い」というような設定を付加する事で、都合良くストーリーを深める事もできる。

人種や種族による対立もこれまたRPGではよく使われるテーマ。ファンタジー世界なるもの人間以外の種族が1つや2つあっても良いだろう。もちろん、仲間キャラクターに異種族がいても面白い。

ブレスオブファイアシリーズ

仲間全員が様々な種族から構成されていて、普通の人間は少ない。その割に、世界の住民はほとんど普通の人間だったりするけれど。特にブレスオブファイア2では、カエルが水の中を泳いだりと、各自が種族に合わせた能力を持っている。

歴史/神話


天地創造にまつわる神話。国家の歴史。伝説の英雄と魔王の戦い。それに、主人公やその親・祖先がどのような経歴をたどってきたのかというのも、立派な歴史である。

ここからラスボスの設定を考えていくのも1つの案。実際、RPGでは歴史や神話がラスボスに関わる率が非常に高い。

宗教/神


国家や歴史・文化と密接に関係する。時に神が実在するファンタジー世界では、その重みは現実世界を上回るはず。でもって、RPGでの宗教は現実以上に怪しい役割が多い。

科学


どのような科学レベルを持っているのか? 特に交通手段(馬車→船→飛行機→宇宙船→ワープ装置)や通信手段(伝書鳩→固定電話→携帯電話→インターネット)はストーリー進行にも関わってくるので、都合が良いものを考えよう。

魔法/超能力


魔法は当たり前に存在して、誰もが使える力なのか? それとも公には隠されていて、限られた者にしか使えない力なのか? あるいは存在しないのか?

魔法はどのような体系を持っていて、理論的にどのような力なのか? 呪文を唱える事で発動するのか? 精霊の力を借りる事で発動するのか? 魔石の力で発動するのか?

また、魔法はどのように社会や科学と関わっているのかも重要だ。魔法がその世界の住民に取って、重要なものならば、教育機関や研究機関が造られるのも当然の話。魔法が得意な人間が尊敬を受けて、社会的に高い地位に付くだろうというのも、容易に想像が付く。

生態系


どのような生物が世界に暮らしているか? それらが人とどのように関わってくるか? 例えば、FFシリーズではチョコボを馬の代わる乗物として扱っている。また、飛竜に乗って空を飛んだり、海竜に船を引かせる事で風と帆の代わりとしている。

生態系には魔物が組み込まれる事が多々あるが、それに付いては↓で。

魔物/敵


大概のRPGには、ゲームシステムに戦闘が組み込まれており、敵となる存在がある。もちろん、敵として最もよく使われるのは『魔物』だ。これらを世界設定の中でどのような存在として位置づけるか。もちろん、魔物という言葉を使わずに『妖怪』など他のものを使っても良い。その辺は世界観に合わせて考えれば良いだろう。

最も単純なのは魔物を凶暴な野生生物として設定してしまう事。ファンタジー世界で魔物に襲われるのは、現実世界で熊や狼に襲われるのと同じというわけである。人間同士の戦いを、物語の主軸に置きたい場合はこの設定が便利だ。魔物はザコ敵や中ボスとして、戦闘の相手とはなるが、物語には深く関わってこないという寸法である。

次によく使われるのは、魔物が知能や意思を持って人間と対立をしているという設定だ。この場合、魔物を統率する魔王のような存在が登場し、主人公達の強大な宿敵として立ちはだかる事が多い。

さて、大半のRPGではザコ戦がプレイ時間の多くを占める事になる。そうしないとゲームとして間が持たないし、戦闘システムの面白さを発揮できないからだ。フィールドやダンジョンを歩いているだけで、魔物と戦闘になるというお約束もそのためにある。

このお約束について悩むのは、現代劇などを題材としたい場合だ。例えば、現代日本に似た世界で、そこら辺を歩いていただけでザコ敵とエンカウントするというのは、やはり違和感がある。そんな危険な生物がいたら、自衛隊が駆除してくれるだろ常識的に考えて・・・というわけである。

その違和感を打ち消す何らかの設定が必要となるだろう。
例を挙げると・・・

  • 作風をコミカルにして押し切る。
    (その辺の野良犬が襲い掛かってくるマザーシリーズなど)
  • 主人公は妖怪に狙われやすい体質。
    一般の人間は狙われないし、妖怪が視えない。
  • 現代世界の中に魔物が住む異世界をダンジョンとして用意する。
    (ペルソナシリーズなど)
  • 既に魔物が跋扈していて町が荒廃している。(女神転生シリーズなど)

自然環境


その世界はどのような自然環境なのか。特にこれは視覚的な効果が大きい。

  • 緑あふれる世界
  • 緑が失われた荒れ果てた世界(ワイルドアームズなど)
  • 地表のほとんどが海に覆われた世界
  • 空の上に陸が浮かぶ世界(バハムートラグーンなど)

というように色々と考えられる。1つの世界でも、大陸毎に自然環境をゴロッと変えてしまうのも面白いと思う。もちろん、その作品独自の現実にはありえない光景や自然現象が存在しても良い。災害などの要素も考えてみよう。

まとめ/補足


自然環境の部分でも同じような事を述べたが、科学的・文化的に現実世界の法則に乗っ取る必要は無い。例えば・・・

  • 重力加速度が9.8m/s^2である必要は無い。
    つまり、キャラクターが現実離れした大ジャンプをしても良い。
  • 国を越えて通訳を介さず、同じ言語で会話しても良い。
    さらには、動物が人間の言葉を話しても良い。
  • 天動説が正しくても良い。
  • 水中で窒息死しなくたって良い。(例:FF10)
  • 物質が原子や粒子で構成されている必要は無い。
  • 性別が男と女の2種類である必要も無い。

不必要にいじくると現実離れして、取っつきにくくなるリスクがあるのだが、物語やゲームシステムとして生かせるならば、世界の法則そのものに手を加えてみるのも面白い。

世界設定は重要ではあるのだが、余りそればかり考えて作品を作れないのは困り物。ぶっちゃけ、世界設定を綿密に考えなくとも作品は作れるし、市販RPGの中にも世界設定を大雑把にしている名作はたくさんある。
例えば、DQシリーズでは国家の歴史や国家間の関係が濃密に描かれる事は滅多に無い。かくいう筆者も現状はやや適当気味だ。難しいと思ったなら、気楽かつ適当にすませてしまうのも手だろう。

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【RPG制作講座】序盤A 旅立ち

2013年03月09日

オープニングによって物語が始まり、舞台の基本説明を終えたならば、いよいよ主人公が旅立つことになる。既に物語の開始時点で旅立っている作品もたまにあるが、ほとんどの作品では旅立つまでの流れを作ることになる。

旅立たせる方法は大きく分けて2種類。

  1. 動機を与えて、自ら旅立たせる。
  2. 住む場所を追われるなどして、旅立たざるを得なくする。

最初から主人公が明確に大きな目的を持っているならば、難しく考える必要は無い。そうでない場合(特に2.)は、当面の旅立つきっかけを与えて、大きな目標を得るまでの繋ぎを行う必要がある。2.の場合も結局は1.に繋がるパターンが大半である。

それでは主な旅立ちのパターンを挙げて行きたい。以下のパターンを1つないし、複数経由して旅が始まる事が多い。

旅立ちのパターン


情報

旅立つきっかけとなる情報を得る。情報というと物凄く範囲が広いが、王様・神様あるいは母ちゃんのような偉い人から指示を受けるという形状が最もシンプル。

ドラゴンクエスト1〜3

「勇者よ。魔王を倒すのじゃ!」というように、いきなり最終目的に直結するような指示を受けるパターン。DQ3の場合は一応、父に関わる因縁が語られる。

ドラゴンクエスト5

序盤は大きな目的もなく、父に付属する形で物語が進む。少年期の最後、父の死亡によって、ようやく目的を得る。「実はお前の母さんは生きている。ぬわーーっっ!!」という遺言によって、奴隷時代を経て母を探す事になる。このように劇的な場面で情報を与えると印象深い。

ファイナルファンタジー8

「炎の洞窟で試験を受けろ」というような簡単なお使いイベントから開始。以降も、徐々に大きな課題を与えられていく中で「魔女を倒す」という大目的を得ることになる。こうやって、小さなイベントから徐々に話を広げていくのも定番。

決意

主人公自身が旅立ちを決意する。「俺は勇者になる!」ってな具合。どちらかと言うと喋る主人公向きだが、無口主人公でも他者や仲間のセリフを借りる形で可能。例えば、「お前、勇者を目指すんだって?」あるいは「俺達で世界を救うぞ!」と、主人公の目的を断定してしまうやり方がある。

他のパターンを経由して、最終的に決意に至るというパターンが多い。自発的に旅をしているという時点で、大なり小なり決意しているのは当たり前だけど・・・。

ファイナルファンタジー4

主人公セシルはオープニングの出来事で国王のやり方に疑問を持つ。そして、親友カインと共に最後の任務を終えて、国を出る事を決意する。所属組織からの離反というのも、旅立ちのきっかけとしては中々面白いと思う。

最初から目的を持っている

物語が開始した時点で主人公は既に明確な目的を持って旅をしている。プレイヤーには後を追ってその説明を行う。

ドラゴンクエスト8

主人公は王国の兵士。王と姫の呪いを解く事が旅の目的であり、物語開始時点で既に旅の途中である。呪いを掛けられた経緯は序盤、回想の形で示される。

出会い

出会った誰かが旅の動機をもたらす。偶然、助けた人物が逃亡中のお姫様で、それに協力する形になるだとか。

ファイナルファンタジー5

オープニングで出会った仲間の目的(クリスタルを守る)に主人公が乗っかる。後で、実は主人公自身もその目的に因縁がある事が後で明かされる。FF6,7,9,10,12もおおまかにいって同じような傾向がある。

どこかに飛ばされて

どこかに何らかの要因で飛ばされる。元の場所に戻るために奮闘する内に、世界の情勢を知り、何らかの目的を見つけるといった展開が多い。船や飛行機の事故でどこかにたどり着くというのが多い。タイムトラベルものや異世界ファンタジーは、大抵これが起点となる。

クロノトリガー

祭りの催しにあった装置がヒロインの持つペンダントと反応して、タイムワープを引き起こす。後を追った主人公は中世の時代にたどり着く。やがて、未来に待ち受ける世界崩壊を知った主人公達はそれを阻止する決心を固める。

テイルズオブジアビス

主人公が暮らす屋敷に単身乗り込んでくるヒロイン。が、主人公とヒロインの力が共鳴(超振動)してワープ。主人公は屋敷に戻る過程で、様々な人物と出会う。箱入り息子であった主人公も世界の情勢を知っていくという流れ。

でもこれ、結構強引な導入な気がしないでもない。都合の良い超振動といい、ここだけやたら無鉄砲なヒロインといい・・・。

危機

主人公や家族、仲間、住む町が危機に見舞われるパターン。例えば、主人公の住む国が敵軍に襲われて・・・というのは定番。

そこからの繋げ方としては・・・

  • 主人公は国を脱出。
  • 主人公は敵に捕らわれる。
  • 主人公が覚醒して危機を脱出するが、その力を周囲から白眼視される。
  • 主人公の家族や友人が命を落としたり、さらわれたり。

という具合によりどりみどり。

ごく普通の日常から急激な破綻を迎えるというパターンも多用される。特に平穏な日常と危機のギャップが大きいほど、インパクトが強くなる。そこから、失ったものを取り戻すため、あるいは復讐のために戦うというように、強い動機付けになる。

ドラゴンクエスト4(5章)

平穏な日常が急激な破綻を迎えるパターンの代表。日常部分はかなり短め。住んでいた村が魔族に滅ぼされる。1人生き残った主人公は旅に出ざるを得なくなる。

追放

住んでいた町や所属していた組織から追い出されて、やはり旅に出ざるを得なくなる。そこからいくつかのイベントを経て、旅の目的を得るというパターンが多い。

聖剣伝説2

主人公が聖剣を抜いた事がきっかけとなって、辺りに魔物が現れる。周りに白眼視された主人公は村を追い出される。

脱出

開始時点で既に牢獄など、囚われた身分にいる場合。そこからの脱出や逃亡が最初のイベントとなり得る。脱出してから何を目的とするかは追って決めても良い。意外と例が無いのだが、導入部としては見せ場もできるし悪くないと思う。

聖剣伝説1

奴隷剣闘士として戦いの日々を送っていた主人公は、仲間の死をきっかけに闘技場からの脱出を決意。モンスターの出入口から脱出に成功する。その後は滝から落ちる→ヒロインと出会う→ヒロインさらわれる・・・というような展開。

旅立たない

別に旅立たなくても良いじゃないかという発想。特定の場所を拠点に発生する事件を解決していく方法が主流となる。受け身のストーリー進行になりやすいが、そういう作品があっても悪くは無いだろう。

序盤に限り拠点を中心に行動するが、途中から外へ旅立つアークザラッド2の様なスタイルもある。

ペルソナ4

自宅や学校など、町を中心に物語が進行する。ペルソナの力を手に入れた主人公達は、次々と発生する事件を解決するために尽力していく。

英雄伝説 零の奇跡

警察の捜査官として、町に発生する事件を解決していく中で巨大な陰謀に気づいていく、という筋書き。

まとめ


旅立つきっかけの作り方を思いつく限りで挙げてみた。前回と今回の記事を合わせて、序盤の展開に悩んでいるという方の参考になれば幸い。

なお、『序盤』と書いたが、別に物語中盤に使用しても問題ない展開も多い。飽くまで大雑把なパターン分けなので、細部では様々な手法がある。色々と工夫をしてみて欲しい。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(5) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPG制作講座】序盤@ オープニング

2013年02月23日

物語の構成『起承転結』において、序盤を司る『起』が重要である事は言うまでもない。この講座では『起』を「オープニング」と「主人公が旅立つまで」の2種類に分けて説明する。
RPGのオープニングですべき事は主に・・・

  1. 世界設定の説明。
  2. 主人公を始めとした登場人物の説明。
  3. ゲームシステムの説明。
  4. プレイヤーを作品に引き込ませる。

といった事が挙げられる。

これを踏まえた上で魅力あるオープニングというものを考えていきたい。しかし、ただダラダラと世界設定や人物、ゲームシステムを説明したところで、プレイヤーの興味を引くのは難しい。つまり、説明すると同時に「プレイヤーを作品に引き込ませる」必要もある。面白くなるまでに時間が掛かるようでは、それまでに飽きられてしまう可能性が高い。有名なところでは、DQ7が「最初の戦闘までに数時間掛かる」だなんて非難を受けていた。やはり、物語の早い段階でストーリー的、ゲーム的な面白さをプレイヤーに体験させた方が好ましい。

そんなわけで、既存RPGのオープニングを分類してまとめてみた。どんなオープニングを作れば良いのか迷う、という人は是非とも参考にしてみて欲しい。例に挙げた作品の中には、悪い例も含まれているのだが、それもまた逆に参考になるかと思う。

代表的なオープニングのタイプ(場面編)


どんな場面から始まるかで分類。

ストレートに始まる

小細工なし。物語の冒頭から直球でプレイヤーに目的を伝える場面から開始する。容量などの都合で、余り長い会話を挟めなかった昔の作品に多い。とはいえ、現代の作品でもテンポやゲーム性を重視するなら、この型を取るのもありだろう。

ドラゴンクエスト1〜2

冒頭から王様との会話によって、直球で「魔物の親玉を倒せ」という目的が示される。その後、城の兵士達との会話からゲームシステムや世界観に関する情報を得ていく。とても簡潔。とても無駄が無い。

呼出を受ける

「王様がお呼びだぞ」というような呼出を受けるところから開始。呼び出した相手から物語当初の目的を聞く事になるという流れ。会いに行くまでにある程度自由に行動できるようになっている事が多い。その途中で町人から舞台設定に関わる情報を得たり、主要人物に出会ったりする。

『ストレートに始まる』よりも、段階を置くことで情報を分散して伝えられる。伝えなければならない情報が多い場合はこちらの方が有効。

ドラゴンクエスト3

朝、母親に起こされる場面から開始するが、すぐに王様の元でDQ1,2と同様の目的が与えられる。ちなみに、リメイク版だと、タイトルデモがあって、主人公の父が旅立って、消息を絶つという流れが描かれる。

放り出す

目的すら明示せずに放置して、プレイヤーの操作に任せる。周りの人物に話し掛けるなどしている内に、目的が見えてくるというのが普通。移動できる範囲を絞って、誘導してあげると上下のタイプに近くなる。テンポ重視。

ファイナルファンタジー1

フィールド上に放置された状態でスタート。といってもすぐ側に町と城がある。城で王様の話を聞く事で、さらわれた姫を助けるという最初の目的を知る。一応、ゲーム起動時のテロップでは、主人公達が冒険の末に、そこへたどり着いた事が示されてはいる。

順当に説明

テロップや会話、映像などで、順を追って現在の舞台や状況を説明する。その世界の中で主人公は「どんな立場なのか」が表現され、なすべき事が判明する。場面転換を駆使しながら、複数人物の動静を見せる事も多い。SRPG的なやり方だと地図や年表が表示しながら、色々と情勢を解説すると雰囲気が出る。

要するに最も普通のオープニングの見せ方。プロの小説にも多い手法で分かりやすい。ただし、あまり長々とやると嫌われやすいので注意。

ファイナルファンタジー5

数々のシーンを切り替えながら、プレイヤーに状況説明を行う。

  1. 飛竜に乗ってタイクーン城から風の神殿へ旅立つ王。それを見送る娘のレナ。
  2. 船上にて、風の異変を感じる海賊ファリス。
  3. 同じく、どこかで風の異変を感じる謎の老人ガラフ。
  4. 場面が城に戻って、風の停止に気付くレナ。
  5. 風の神殿にたどり着いた王。しかし、神殿のクリスタルは砕け散る。
  6. 旅の途中の主人公。突如落下してきた隕石に驚き、様子を見に行く事に。

ここまで4〜5分掛かって、ようやく操作が可能に。セリフ自体は非常に簡潔なのだが、ゲーム性重視のFF5にしては、意外と長いオープニングである。

ついでに、その後も・・・

  1. 隕石の側で、魔物に襲われているレナを助ける。
  2. これまた隕石の側に倒れているガラフを助ける。どうやら記憶喪失らしい。
  3. 2人は風の神殿に向かうらしい。主人公はそれを見送るが、結局後を追う。
  4. またも、魔物に襲われている2人を助ける。3人で風の神殿に向かう事に。

という具合に中々忙しい。ご都合主義もあるとはいえ、これだけのイベントを10分程度で消化するFF5はある意味凄いと思う。

ヴァルキリープロファイル

長いオープニングの筆頭。『世界観の説明』『主人公の過去と説明』『初期の仲間の説明』を一気にまとめてやってしまう。途中、イベント戦闘を挟みはするものの、まともに操作できるようになるまで1時間近く掛かる。複雑な設定を説明するために、こうなってしまったのだと思うのだが・・・。

いきなり見せ場

状況説明も程々に、いきなり見せ場に突入する。速攻で事件発生、または既に事件の真っ只中。特にダンジョンや戦闘が絡む事が多い。一連のイベントが終わった後に町に戻って落ち着いた後に、ようやく主人公がどのような暮らしをしているのかを説明したりする。

「何をやるのか?」ではなく「何をやっているのか?」から逆算してストーリーを伝える。FFシリーズがよくやる手法でもある。プレイヤーが操作できるようにする場合と、操作はさせずに一方的にイベントを見せる場合の2種類に分かれる。

基本的には操作できる場合の方が好まれる。プレイヤーの操作を交えながら、スピーディな状況説明が可能なので、ゲームという媒体を活かせる。ストーリー的には順を追っていないため、プレイヤーを置いてけぼりにしないようには注意。

ファイナルファンタジー2

簡素なテロップで、主人公達が帝国の追手から逃げている途中である事が示される。名前入力画面の直後、何のシーンも挟まずに、いきなりの強制敗北戦闘。そして、反乱軍に救命された主人公達が帝国との戦いに立ち上がる、というのが一連の流れ。

ファイナルファンタジー3

いきなり落とし穴から、謎の洞窟に落ちる主人公達4人。その洞窟を探検する中で、発見したクリスタルから世界を救うように言われる。

ファイナルファンタジー7

2分程度のムービー(街の外観など)の後、列車から主人公が敵地に飛び降りるところから操作開始。テロップによる説明は無い。魔晄炉爆破というミッションを通して、仲間との会話を挟みながら、その目的や世界設定が伝わるようになっている。FF6も似たようなタイプなのだが、いずれも秀逸な構成だと思う。

ファイナルファンタジー8

冒頭のムービーで、主人公とライバルの決闘シーンが描かれる。ただし、こちらは操作できないパターン。決闘に敗北、運び込まれた学園の医務室から地味に操作開始。その後の流れは『呼出を受ける』に近く、広い学園内を自由に動き回れる。

日常から始まる

ごく普通の日常から始まる。等身大の視点から、主人公の立場や世界観に付いて、徐々に説明をしていく。ちょっとした冒険から徐々に大きな目標に向かうパターンもあれば、急激な破綻を迎えるパターンもある。

クロノトリガー

朝、母親に起こされて祭りに出かける、というように日常の延長から開始する。住民との会話から、世界設定が分かるようになっている。

ドラゴンクエスト7

主人公と王子キーファが島の遺跡を探検するシーンから開始。長いフラグ立てと謎解きに、数時間掛けた後で別世界にワープ。直後に最初の戦闘もある。前述した通り、前置きが長すぎて不評を浴びた例。個人的にはこういう流れもアリなのだが、それにしてもフラグ立てが多すぎたかなあと。

新天地からスタート

新しい町や島、あるいは組織にやって来るところから物語が開始。主人公にとってもプレイヤーにとっても未知の場所なので、自然と説明をしやすいのが長所。まあ、「久し振りのXXXXだな」というパターンもあるけれど似たようなものかと。

ペルソナ3,4

学園モノらしく新しい学校に転校するところから開始する。教室で自己紹介、隣の席の人物に話し掛けられるといった好例の展開が続く。

代表的なオープニングのタイプ(時系列編)


冒頭シーンの時系列で分類。

過去の出来事

物語開始時点よりも、過去の出来事を冒頭に持ってくる。これも定番のパターン。なお、少し過去の出来事を持ってくるだけなら『順当に説明』と大差ない。

例としては・・・

  • 何百年前の伝説の戦い
  • 主人公の両親など、数十年前の出来事
  • 主人公の出生にまつわるシーン
  • 主人公自身の過去

オープニングが終わった後は現代の主人公に操作が移る。主人公に関わるシーンが扱われる事が多いのは、ストーリーに連続性がある方が、プレイヤーに理解しやすいためだろう。

これも分かりやすいが、やはりテンポが悪くなりやすいのが欠点か。そのためか、過去の出来事をあえて冒頭には持ってこず、少し後から伝えるDQ8のような作品もある。

ブレスオブファイア2

主人公の幼少時代を操作しながら体験する。時間としては10分程度。住んでいた町の様子が一変、親友ボッシュと出会い、共に町を離れる経緯が描かれる。一気に年数が飛んで、現代の主人公に移る。ちなみに、幼少時代の伏線は相当終盤まで引っ張る。

エストポリス伝記

主人公の祖先でもある100年前の英雄達の戦いから物語が始まる。プレイヤーが自分で操作して、ダンジョン探索と戦闘を行うため『いきなり見せ場』とも分類できる。ただし、ここで稼いだアイテムや経験値は、本編開始後には何の意味もなさないのが玉に瑕。

未来の出来事

逆にゲーム開始時点よりも、未来の出来事をオープニングに持ってくる。時系列を逆転させるので、プレイヤーを混乱させないように注意。
未来を見せるという事は作者自らネタバレをしてしまうという事。既に判明した結果に対して、意外性の無い過程を持ってくるなんて構成ならやる意味は無い。作中の見せ場や印象深いシーンを使った上で、「どうしてこうなった!?」というようにプレイヤーへ過程の興味を引くようにしたい。

ファイナルファンタジー10

ネタバレにならない程度に物語の転換点より、少し前を見せている例。物語の目的地ザナルカンドの入口に到着した時点から開始。名曲『ザナルカンドにて』がとても印象深い。そこから、回想という形でゲーム開始時点までさかのぼって、ゲーム後半にようやく冒頭へ繋がる。

ファイナルファンタジータクティクス

全4章構成の物語だが、オープニングとなるのは2章冒頭。操作できる戦闘(といっても、ほとんど自動)の後で、主人公の親友ディリータが王女を誘拐するシーンとなる。この時点ではチンプンカンプンなのだが、さかのぼって1章を経る事で、話が繋がるようになるという構成。

まとめ


やはり、RPGに限らずゲームのオープニングたるもの、「まずは操作をさせなくては始まらない」というのが僕の意見。すぐにダンジョン探索や戦闘を体験させられる『いきなり見せ場』はその点で優れている。
『順当に説明』や『過去の出来事』などを長々とやるのは嫌われやすいのだが、ストーリー面でプレイヤーを引き込む自信があるならば、それも良いかもしれない。ともかく『長い』『つまらない』『意味不明』というのは避けたい。

というところで『序盤を面白くするテクニック』を考えてみたので、これで締めくくりとしたい。

序盤を面白くするテクニック


開発終盤に手直ししよう

物語を進行順序通りに作る制作者は多くいると思う。その際、制作に慣れない段階で作ったがために、中盤や後半に比較して序盤のクオリティが低いという事もあり得る。

アピールすべき序盤が相対的に手薄になるわけだが、これはかなり勿体無い。できるならば、オープニングを始めとした序盤のイベントは、作り直せとは言わないまでも、開発終盤に手直しをしてクオリティアップを図りたい。ついでに後半の展開に対して、後付で伏線を張ったりするのも良い。

最初のダンジョンに凝ってみる

最初のダンジョンと言われると、洞窟や森といった地味なものとなりやすい。しかし、強くアピールすべき最初のダンジョンが地味なのは勿体無い。可能ならば、「曰くありげな遺跡や神殿」「禍々しい大ボスのアジト」「風光明媚な外のダンジョン」などを持ってきてみよう。

構成上の都合、いきなり大ボスのアジトをぶつけたりするのは難しいかもしれない。それでも、少しでも良いダンジョンとなるように出来る範囲で力を入れてみよう。例えば、洞窟にしても水晶の洞窟にして神秘的な雰囲気を出してみるとか。
同じく物語を進行通りに作っていた場合、最初のダンジョンはパッとしないものになりがち。最初のダンジョンは短めなのがほとんどだし、開発終盤に蓄積した技術力で強化しておこう。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(2) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする