【RPG制作講座】状態異常A 状態異常の分類

2013年05月04日

前回は状態異常の問題点と有効活用方法に付いて記述したが、今回は個別の状態異常を分類しながら掘り下げていく。どんな状態異常を作るか悩んだ時のために、参考となればと。

まず先に、状態異常とは一体どのような要素から構成されているのか考えてみる。

  1. 状態異常の効果
  2. 状態異常の掛け方
  3. 状態異常の発動条件
  4. 状態異常の解除条件

以上4つをどのように組み合わせるかによって、状態異常の性質が決まる。
例えば、『毒』1つ取っても・・・

  1. どれだけの毒ダメージを受けるのか?
    現在HPに対する割合?、最大HPに対する割合?、固定値?
  2. どうやって毒を掛けるのか?
  3. どのタイミングで毒ダメージを受けるのか? 毎ターン? 時間経過でじわじわ?
  4. どうやって解除するのか?
    道具で治療? 魔法で治療? 教会で治療? 戦闘終了後に自動解除?

というように細かく性質を分けることが可能だ。

それでは、それら4つに付いての分類に入る。

状態異常の効果による分類


徐々にダメージを受ける

『毒』を代表とする状態異常。ターンなどの時間が経過する度にHPが少しずつ減っていく。HPではなく、MPなどを減少させるものもある。似たものには『火傷』などがある。

能力値を変化させる

防御力が減少する『防御力低下』、攻撃が回避できなくなる『回避率低下』など。補助技では能力を上昇させることが基本となるが、状態異常の場合は能力を低下させることが基本となる。ゲームシステム上、存在するパラメータはほぼ全て対象とできる。

属性・相性を変化させる

『オイル状態』による炎属性の弱点化、回復魔法で逆にダメージを受ける『ゾンビ』など、属性や相性を変化させる。あまり使われていない分野でもあるが、考えられる範囲は広い。

上の『能力値を変化させる』と併せて、『計算式を変化させる異常』と考えることもできる。

行動を妨害する

『眠り』『マヒ』『スタン』『ディレイ』『石化』『凍結』など。いずれもキャラクターの行動ができなくなるものだが、良くある類型だと・・・

  • 眠り:攻撃を受けると解除される。防御力の低下を伴うことも。
  • マヒ:攻撃を受けても解除されない。時間経過で解除。
  • スタン:一度だけ行動ができなくなる。
  • ディレイ:CTB,ATBのようなシステムの作品において、行動を遅らせる。
  • 石化:最も効果が重く、治療するまで行動できない。治療法が無いと死亡同然となる。
  • 凍結:炎魔法によって解除。

というように設定されている。

一部の行動を妨害する

どのような種類の行動を封じるかで特徴付けられる。最もメジャーなのは、やはり魔法を封印する『沈黙』だろう。その他には『特技封じ』『退却封じ』など。

魔法や技の詠唱中に攻撃を当てることで妨害する、といった技やシステムが存在する作品もある。

意図しない行動をさせる

  • 暴走:通常攻撃を勝手に繰り返す。FFシリーズのバーサクのように攻撃力上昇の効果を持っている場合も。
  • 混乱:敵か味方のどちらを狙うか分からない。
  • 魅了:混乱よりも更に嫌らしく、味方を確実に狙う。性別が反対の相手にしか掛けれないといった設定がされている場合も。

自由な行動ができなくなるため、間接的に『一部の行動を妨害する』と同じ効果も持つ。メジャーなのは、上記の3つだが、他にも色々と考えられる。

ロマンシングサガの敵専用術『アニメート』なども面白い。HPが0になった味方キャラクターを操るという効果で、心理的な嫌らしさがたまらない。

同じ行動をひたすら繰り返すポケモンの『アンコール』なんてものもある。

戦闘不能にする

キャラクターが倒れてしまって戦いに参加できなくなる状態異常。全員がこの状態になると全滅となる。
戦闘不能の他には『気絶』『死亡』といった名称が付けられる。『死亡』といっても、大抵は簡単に蘇生する手段が用意される。その場合
「魔法1つで死んだり、生き返ったりするのはおかしい!」
「ストーリー中の死亡シーンと整合性が取れない」
なんてツッコミをする人もいるので、『戦闘不能』や『気絶』といった名称を選んだほうが無難ではある。もっとも、本当にキャラクターが死亡するファイアーエムブレムのような作品も存在するけれど。

通常攻撃を始めとした大半の攻撃はHPを減らすことによって、戦闘不能にさせる状態異常攻撃と考えることもできる。大多数のRPGにゲームシステムとして、組み込まれた状態異常である。

戦闘不能を直接狙う状態異常として『即死』がある。これは特に敵側が使うものとして脅威であり、DQ2やFF1では猛威を振るう。ロクに対処法が無い場合は理不尽にしかならないので注意だ。

味方が使う即死は、しぶといザコ敵を倒すのに便利。もちろん、普通はボスには効かないのだが、FFシリーズには『レベル5デス』などボスにも効果があることも。

似たようなものとして、一定時間経過後に即死効果を発動する『死の宣告』もある。

複合型

複数の効果を兼ね備えた状態異常も設定可能だ。例えばFF3,5,7に存在する『カエル状態』は・・・

  • 姿がカエルに変化する。
  • 能力が大幅に減少する。
  • 魔法・特技が使用できなくなる。
  • ただし、『トード』『カエルの歌』など一部の技は使用できる。

というような複数の特徴を併せ持つ。

保有する効果は状態異常の名称などから、自然な効果であることが望ましい。例えば、『毒』という名前の状態異常で、「毒ダメージを受ける」と共に「魔法が使えなくなる」という効果を持っていたら、大抵のプレイヤーは違和感を感じるだろう。

状態異常の掛け方による分類


どうやって対象者を状態異常に掛けるのか?

普通に掛ける

普通に魔法・特技によって状態異常を掛ける。最もシンプルな方法。複数の異常を同時に掛けるパターンもある。

ダメージ攻撃に付属して掛ける

ダメージを与える攻撃の付属効果として掛ける。全くの無駄撃ちになりにくいため使いやすい。反面、「ダメージを与えたいのか?」「異常を与えたいのか?」というように、戦術の焦点がぼやけるのは難点。・・・というのは、前回『ダメージ攻撃の追加効果として設定する』の記事で書いた通り。

自分の技で掛かる

例えば、「凄い威力を発揮する代わりに、反動で一定時間マヒしてしまう」という副作用を伴う特技など。「個性的な技・キャラクター・敵を作りたい!」という方はこの路線で考えてみると良いかも。

ダンジョンのトラップで掛ける

ダンジョンのトラップに掛かって状態異常に!というパターン。風来のシレンなど、ローグ系ゲームの印象が強いが、普通のRPGに取り込んでみても良いかと思う。

ストーリー進行で掛ける

ストーリー進行上で仲間が呪いを受けて・・・というようなパターン。その後の進行は下の『状態異常の解除条件による分類:ストーリー進行によって解除』の辺りを見て欲しい。

もちろん敵に掛けても良い。スサノオによるヤマタノオロチ退治(酒を飲ませて眠らせた)の神話の如く、搦手で強大な敵を倒すようなボス戦も面白いのではないだろうか。

状態異常の発動条件による分類


以下のいずれかの条件を満たしたタイミングで、状態異常の効果を発動する。条件を満たしても、確率次第で発動しない設定もできる。

ターンが回ってきた時に発動

最も良くある条件。『毎ターンHPが減る毒』『勝手に攻撃してしまう暴走』などが挙げられる。

時間経過で発動

『ターンが回ってきた時に発動』も時間経過と考えられないことも無いけれど、とりあえず別枠で。ATB、CTBなどで、『時間経過と共にじわじわHPが減っていく毒』など。こちらの方が心理的には焦るかも。

特定の行動時に発動

特定の行動を取ろうとする、あるいは取った時に発動する。『一定確率で攻撃に失敗するマヒ』『攻撃すると自分もダメージを受ける呪い』など。どの行動でも発動するならば『毎ターン発動』とあまり変わらない。

攻撃・回復等の効果を受ける時に発動

『攻撃で受けるダメージを倍増する呪い』『受けた回復を無効化する呪い』など。

常に発動

『魔法が使えなくなる沈黙』『能力値が低下する状態異常全般』など。

状態異常の解除条件による分類


状態異常には複数の解除条件が設定されているものが多い。戦闘終了時にも治るし、治療魔法でも治るといったものが大半だろう。

時間経過で解除

ターンの経過などで、戦闘中あるいは歩行中に自動で解除される。要するにほっといたら治るのだが、ほっとくと致命的な事態になりかねない『混乱』のような状態異常もある。

攻撃を受けると解除

どのような攻撃で解除するかも個性の分かれ目。『物理攻撃で目覚める眠り』『叩くと正気に戻る混乱』『炎攻撃で解ける氷結』などがイメージしやすいだろう。

戦闘終了後に解除

戦闘が終われば解除される。逆に戦闘終了後に解除しない状態異常は厄介なので、こちらの数は絞った方が良い。

治療によって解除

治療魔法や道具によって解除する。あるいは、教会など特定の場所で解除する場合もある。

DQのキアリー(毒の治療)のように対象とする効果を限定するか、FFのエスナ(ほとんどの異常を治療)のように幅広い異常を対象とするかでも、バランスが変化する。

ストーリー進行によって解除

さほど使われる手法では無いのだが、状態異常をストーリーと絡めてみても面白いかも。

  1. 仲間キャラクターが敵キャラクターから呪いを受ける。
  2. 呪われた仲間は、歩いたり、ターンが経過する度に、HPやMPが減っていく。
  3. イベントをこなすと治療法が見つかり、呪いが解ける。

このようにゲームという媒体を活かしてストーリー上の状態を表現する手法もある。例えば、序盤から登場する強い味方キャラに対して、制限を掛けてみるのも面白いのではないだろうか。

市販RPGの例だと、FF9の声が出なくなるガーネットなどがある。この状態だと、戦闘中の行動が確率で失敗するので中々に厄介だ。でも、このイベントって必然性薄くて微妙だよね?

解除されない

解除されないという「まさに絶望」なパターンもあり得る。例えば、ファイアーエムブレムにおけるキャラ死亡によるキャラの永久消滅が挙げられる。

そこまでいかなくとも、キャラクターの特性として状態異常を組み込むパターンもこれに当たる。

  • 毎ターンHPが減る病弱キャラ
  • 命令を受け付けない暴走キャラ
  • 突然、眠りだすナマケキャラ

強烈な個性を持ったキャラが作れそうではある。もっとも、あまり酷い設定にしても使いものにならないので、さじ加減は程々に。

まとめ


ここで挙げた状態異常の中には、バーサクのように補助効果に分類すべき要素が混在している場合もある。とはいえ、制作者は異常なのか補助なのかといった分類にこだわる必要も無い。面白いと思ったならば良い効果と悪い効果が同時に現れるような状態変化を作ってみても良い。枠にとらわれず存分にアイデアを奮って欲しい。

書いていて思ったのだけど、前回記事『状態異常@ 問題点と有効活用』の有効活用の方法は別に記事を作って、まとめた方が良かったような気がしてきた。状態異常@Aで内容が前後しちゃってたり、内容を盛り込みすぎてテーマがボヤけていたりで、難点があるように思う。その内記事を分割・整理するかも・・・。

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【RPG制作講座】状態異常@ 問題点と有効活用

2013年04月20日

状態異常(ステータス異常)とは、対象を不利な状態(異常)に変化させる効果である。代表的なものとして、『毒』があるが、これは大抵、時間経過と共にダメージを与える効果を持つ。掛けた時点では数値によるダメージを伴わないという点で、単なる攻撃とは異なる。

状態異常は補助効果と同じく、戦闘を数値のやり取りだけで終わらせないためには欠かせない。……なのだが、補助効果と同じく、テクニカルかつ玄人向けで、多くのRPGにおいて、持て余し気味になっているのが現実だ。そんな状態異常に関わる主なポイントをまとめながら、有効活用する方法を考えてみたい。

補助効果は多くの場合、味方が味方に掛けることになる。対して状態異常は、敵が味方に仕掛けてくる機会も相当に多い。そのため……

  • 敵が味方に仕掛ける状態異常
  • 味方が敵に仕掛ける状態異常

の2つに分けて考察する。特に『味方が敵に仕掛ける状態異常』に付いては、ザコ戦とボス戦でも勝手が大きく異なるので、その点は特に詳しく掘り下げる。

敵が味方に仕掛ける状態異常


敵が使う状態異常は一般的に、プレイヤーから見て『嫌らしい』として嫌われることも多い。

だが、本当に嫌らしいだけならば、そもそもRPGにこのような要素は必要も無いはず。それでもなお、多くのRPGで採用されるのは、作品を面白くするという観点から見て、以下のような利点があるからだと考えられる。

  • 使用する異常技によって、敵の差別化ができる。
  • 混乱や即死など、ランダム要素によるハラハラ感を演出できる。
  • 異常を受けた際に、どのように対処するかという戦術性を要求できる。
  • 耐性のある装備品を用意するという戦略性を要求できる。
  • 耐性によって、味方キャラクターの差別化ができる。

やはり、敵の状態異常もRPGには欠かせない要素なのだ。

敵が仕掛ける状態異常のやりすぎに注意


とはいえもちろん、敵の状態異常にも限度というものがある。これが余りにも嫌らしいと、プレイヤーがプレイを放り投げる原因にもなる。特に嫌がられる状況を次にまとめた。

治療に手間・費用が掛かる。治療手段が不足しがち

戦闘終了時に自動完治しない状態異常に関しては、ことさら注意が必要だ。プレイヤーが治療手段を持たない場合は、町に引き返す必要に迫られたりする。これを何度も繰り返すようなバランスだと、プレイが停滞するので、大きなストレス要因ともなる。お金やMPに乏しく、魔法の種類も揃っていない序盤は、状態異常への対処が少なくこの状況に陥りやすい。

対処法が無く理不尽

状態異常の中でも、即死や石化のような凶悪なものを使う敵に対しては、対処法が無い状況にならないようにしたい。ここで言う状態異常に対する対処法とは主に二通り。

  1. 装備品などで異常を防止する。
  2. 敵が仕掛けてくる前に倒す。または状態異常で行動を封じる。

つまり、装備品で防止できない上に、こちらよりも素早く行動して異常を放ってくる敵はタチが悪いということだ。素早くなくとも、しぶとかったり、状態異常への耐性が高かったりで、行動の妨害が難しい場合も同様に嫌らしい。

生殺し

眠りなどの行動できなくなる状態異常を掛けられ続けて、何も身動きできない状況が延々と続くことを指す。中々、全滅もしなければ、逃げられもしないので、プレイヤーは終わるのを待つか、リセットするしか手段がなくなる。状態異常を多用するが攻撃力には乏しい敵を、群れで出した場合に陥りやすい。これなら、さっさと全滅させられた方がマシである。

味方が敵に仕掛ける状態異常


『敵が味方に仕掛ける状態異常』とは異なり、『味方が敵に仕掛ける状態異常』には嫌がられる要素は全く無い。この点は安心できるのだが、制作者からすると中々に調整が難しい分野でもある。

それでは、味方が敵に仕掛ける状態異常にはどのような利点があるのだろうか?

  • 成功確率におけるランダム要素によってハラハラ感を演出できる。
  • 敵に応じて、異常を使い分ける戦略性・戦術性を付加できる。
  • 使用できる異常技によって、味方キャラクターの差別化ができる。
  • 耐性によって、敵の差別化ができる。

例えば……

  1. この敵は数が多い上に、物理攻撃が強い。
  2. しかし、敵が行動するまでに倒すのは難しい。
  3. ここは『暗闇』で、命中を下げて攻撃を受ける回数を減らすようにしよう。

……というように判断して戦術を駆使する。うまくハマればニンマリだ。こういう搦手による快感は、単純な攻撃と回復による力押しでは得られないものがある。

味方に状態異常を活用させるには?


そんなわけで、状態異常をうまく使うように設定できれば、戦術の幅が大きく広がる。この場合、第一の関門となるのは、ダメージ攻撃と比較して、状態異常を活用する価値を見い出せるかどうかだ。

  • 敵に毒を掛けてジワジワHPを削るぐらいなら、殴ってHPを減らした方が早い。
  • 敵を眠らせて動きを止めるぐらいなら、殴って永眠させた方が早い。
  • 敵に効くかどうかも分からない即死技を使うぐらいなら、殴って倒した方が確実。

そもそも状態異常とは、ダメージ攻撃と比較すると回りくどい手段なのだ。上記のような状況を脱しない限り、状態異常技に未来は無い。せめて、なんとかする方法は無いのだろうか……。というわけで案を挙げてみる。

MP消費は控えめに

大抵の場合、状態異常技はMP消費を伴うことが多い。そのため、どうせ消費するなら攻撃魔法を使ったほうが良いという状況も多くありえる。更には、消費無しの通常攻撃よりも価値が無いなんてことになると目も当てられない。その点を考慮しても、状態異常技の消費MPは低めを意識しておくと良い。

効果範囲を広めに

範囲が単体への状態異常技というのは、なかなか使いどころが難しい。やはり「たかが一体の動きを止めたいだけならば、集中的に殴って倒す方が早い」というわけだ。そんなわけで、状態異常技の範囲は全体など、複数を対象としたほうが使いやすい。

となると、強力過ぎる複数攻撃技は状態異常技の手強いライバルとなる。「簡単に敵全体を一掃できるような技があるなら、状態異常なんていらない」となるのは当然だろう。以前、『戦闘バランス』の記事でも、全体攻撃技の問題点を書いたが、こちらの意味でも無闇に作らないようにしよう。

異常を弱点とする敵を意識して作る

  • しぶといが、即死魔法なら一撃の敵
  • しぶといが、毒でのHP減少が有効な敵
  • 怪力だが、暗闇は確実に効く敵
  • 硬くて魔法も効かないが、守備力低下が有効な敵

というように、状態異常を弱点とする敵を明確に意識して作る。これならば、使用機会も生まれるはず。ただし、「硬くて魔法も効かないが、守備力低下が有効」というように、倒すのに手数が必要な敵は、多用しすぎて面倒臭がられないようには注意したい。

他にも「鳥は暗闇に弱い」「獣は混乱に弱い」というように、種族などで傾向を付けてみると、プレイヤーが使用機会を測りやすい。

ダメージ攻撃の追加効果として設定する

例えば、『ポイズンアタック』というような技を作成する。効果は通常攻撃と同等のダメージを与えた上で、50%の確率で毒を付加するというもの。これならば、毒が敵に掛からなかったとしても、攻撃のダメージは与えられるため、失敗を恐れずに使いやすい。

ただし、複数の効果を持つということは、戦術としての狙いが絞れず中途半端になりやすいということも指摘できる。「追加の毒が掛かった時には、もう敵は死んでいた」となると、普通に殴った方がMPの無駄が無いだけマシだったなと思われてしまう。

ボス戦で状態異常を有効活用するには?


『味方が使用する状態異常』の中でも、最も難しいのはボス戦での活用だろう。その点をまとめると……

  • 即死、石化などの即死級の異常は当然、ボスには無効にするしかない。
  • HPの1/4を削る毒のような異常も、強すぎるので無効にするしかない。
  • 眠り、マヒなどの動きを止める異常も、簡単に効いてはまずい。
  • かと言って、低確率で効く設定にしても、運に左右されてしまい使い辛い。
    強敵であるボス相手に運試しをしている余裕は無いはず。
  • そもそも、どの状態異常が効くかも分からないなら、
    普通にダメージを与えた方が良いと判断されがち。

こういう難しさがあって、結局のところ、ボスには状態異常が一切効かない設定にしているRPGも多い。こうなると、異常技は役立たず。もし、異常技を中心に戦うテクニカルなキャラクターがいた場合、肝心のボス戦ではお払い箱となってしまうのも悲しい。

そんな不憫な状態異常と、状態異常の使い手に救いの手を差し伸べるべく、ボス戦でなんとか役に立つ方法を考えたい。思いつく限りにアイデアを出してみた。

ボスにお供を付ける

ボスのお供としてザコ敵を用意し、こちらには普通に異常が効くようにする。ボス自体には異常が効かなくとも、お供には効果があるので多少の使い道ができる。『即死』『石化』など、強力過ぎて、ボスへは無効にするしかない異常も、ここでなら日の目を見るかもしれない。

比較的、影響が少ない異常を有効に

『即死』『石化』など、勝負を決してしまう強力な異常がボスに効いてしまうのはまずい。ならば、以下のように、比較的効果が控えめな異常に限り、ボスにも有効となるように設定する。

防御力減少

ボスの攻撃を妨げるわけではないので、バランスが崩れにくい。後述するが、DQシリーズでも多くのボスに有効な状態異常となっている。

魔封じ

魔法をあまり使わないボスになら、効くようにしても問題ないはず。魔法を封じた場合は物理攻撃など、魔法以外の攻撃を使うように調整すれば、これだけで極端に弱体化することもなくなる。

暴走

FFでいういわゆるバーサク。攻撃しかできなくなるが、攻撃力が上昇するという効果もあって、掛けられた方が単純に不利になるとは限らない。

暗闇(命中率減少)

完全に行動を封じられる眠りやマヒのような異常と比較すると、効果は小さい。物理主体のボスには有効である。

ディレイ

ATBやCTBにおいて、行動を遅らせる状態異常のこと。ターン制ならば、1ターン丸々妨害するような技をボスに効くようにすると、ハメ殺しされかねない。だが、ATB,CTBならば微妙な調整が可能だ。0.25〜0.5ターン程度、微妙に行動を遅らせるような調整をすれば良いだろう。

確率や効果を控えめにする

ボスに対して異常が効く確率を低くする。あるいは効いたとしても、眠りなどの効果が持続するターン数を短くなるように設定することで、バランスを崩さないようにする。ただし、消極的な方法なので、結局は状態異常自体が使われない可能性も高く、なかなか調整が難しい。

割合効果を使わない

異常がボス相手に強力過ぎる理由の一つとして、割合効果の問題が挙げられる。割合効果とは「HPの25%を奪う毒」「攻撃力を半減する魔法」といった対象者のパラメータに対して、割合で作用をもたらす効果のことである。

例えば、割合効果の異常がボスに効くと仮定した場合……

  • 最大HPの1/4を奪い取る毒で、どんなにHPが高いボスも4ターンでイチコロ。
  • 素早さを半減させて、ボスの2倍の手数で袋叩きに。
  • 怪力自慢のボスも、攻撃力を半減すればヘナチョコに。

という具合に、大きくゲームバランスが狂ってしまう。

なので『割合』を使わないように設定すればよい。例えば……

毒の例

「毒を掛けた側の魔力」を元に毒ダメージを算出する。魔力50のキャラクターが使用した毒魔法はザコ敵だろうが、ボス敵だろうが、毎ターン50のダメージを与える効果というようになる。

攻撃力減少の例

「魔法を掛けた側の魔力」で攻撃力減少の値を算出する。減少値が20で、味方の防御力が50とすると・・・

ザコの攻撃力:100→ 80 に減少。
    [使用前]100−50= 50ダメージが
    [使用後]80−50 = 30ダメージに。

ボスの攻撃力:200→180 に減少。
    [使用前]200−50=150ダメージが
    [使用後]180−50=130ダメージに。

というように、自然と「ザコ敵には高い効果」「ボスにはそれなりの効果」となるので、ずっとバランスが取りやすくなる。

DQやFFなど、多くのRPGがそうしているせいで「毒のダメージはHPに比例」「ステータス減少技の効果は元の値をXX%減少」というルールがなんとなくできているのだが、そんな慣習をありがたく守る必要はない。もちろん、『魔力』ではなく、状態異常の効果に影響する専用パラメータを用意しても面白い。

確率強化を取り入れる

ボスにも状態異常を効くようにしたい。しかし、ただ単純に技を掛けただけで、異常に掛かってしまうのでは簡単すぎる。かといって、確率を低く設定しても、それはただの運ゲーになってしまう。そこで、プレイヤー側が工夫した場合のみ、状態異常がボス戦で力を発揮するという調整にしてみる。

具体的には……

  • キャラクターや職業毎に状態異常の得意・不得意を定める。
  • 高確率で状態異常を掛けられる技は習得を厳しくする。
  • 状態異常の成功率を上昇させる装備やスキルを作る。

といった設定を行う。

例えば、暗闇魔法の命中率が90%とし、ボスの耐性が70%とする。計算式は単純な引き算として、成功率は20%となる。このままでは確率が低くて安定しない。そこで、プレイヤーが上記にあるような工夫をすることで、命中率を150%に引き上げる。成功率は80%となって、安定して戦術に組み入れられるようになるという寸法だ。

免疫を付けてみる

これはまだ練込途中のアイデアだけど紹介。免疫という概念を設けて、一戦闘中は同じ異常が何度も効かないようにする。例えば、最初の一回は眠りが100%の確率で効くが、再度掛けた時には50%でしか効かないというようにだ。これによって、異常技の連発によるハメ殺しを禁止する。

ただし、これだとボス戦が佳境になってから、異常を掛けて、一気にやっつけるような戦法が有利になりそうな気がする。戦闘終盤のほうが緊張感がなくなる状況になりそうなのは欠点かも……。

市販RPGのボス戦はどうなっているか?


実は意外かもしれないが、DQやFFシリーズでは、ボスにも状態異常が効く設定になっている場合が多い。プレイヤーが気付きさえすればだが、状態異常は既存の市販RPGにおけるボス戦でも案外、役に立つのだ。

参考までに紹介してみる。

DQシリーズ

特に有名なのはDQ3のバラモス。ラリホー(眠り)、ルカニ(守備力低下)、マホトーン(呪文封じ)、マヌーサ(命中率低下)と4つもの状態異常が有効。さすがに、即死や混乱は効かない。

ちなみに、マホトーンで呪文を封じた場合、攻撃呪文を使わなくなるため結果的に、打撃と炎の息の頻度が上がるので、そこまでの弱体化はしなかったりする。

また、ラスボスには守備力低下しか異常は効かない。おまけに凍てつく波動で打ち消してくるため、あまり使う意義は薄い。

シリーズ全体を通して、ボス戦で状態異常を使う機会は少ない。しかし、一貫して守備力低下だけは有効な局面が多い。SFC版DQ2のラスボスに至っては守備力を下げない限り、まず勝ち目はないので、使用が前提となっているように思える。

FFシリーズ

FF5では、数多くのボス敵に状態異常が効く。特に耐性が無い敵にも、必ず効果を与える魔法剣は強力。沈黙や石化で無力化、瞬殺できるボスも多数。極めつけは4つあるラスボスのパーツの中には、即死攻撃が有効なものまであるということ。

他にも、『すべてをしるもの』という魔法しか使わないボスがいるのだが、これにバーサクを掛けて魔法を封じると、高威力の攻撃を仕掛けてくるという罠がある。状態異常を仕掛けても、単純に楽になるのではなく、別の展開になるというのも面白い。

まとめ


今回は状態異常の全般的な問題と、有効活用に付いてまとめた。状態異常というのは、中々に扱いが難しいのだが、これを機能させることで、一段上の戦略・戦術性を目指したいところ。

次回は具体的にどのような状態異常があるかを個別に洗い出し、分類していきたい。

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【RPG制作講座】文章の記述・表示におけるルール

2013年04月06日

 物語の脚本を書く前に、文章を記述・表示するルールを決めておきたい。これを決めないままにシナリオを書いていると、統一感がなく、読み辛い文章になってしまうかもしれない。

 特に経験が浅い制作者は、スタイルがまだ固まっていないと思われるので要注意。ポイントとなる部分を以下にまとめるので、何も考えていなかったという箇所があれば、参考にして頂ければ。

セリフを表記する際のルール


 登場人物にセリフを喋らせる場合、小説でもゲームでも通常は「」(カギ括弧)を使用する。言うまでもない基本事項だけど、たまに『:』もあったりする。ゲームの場合は閉じる側の括弧『」』は省略することも。

 以下にいくつかセリフの書き方の例を挙げてみる。

話し手
「ここはXXXXの町です。
 北に行くと、塔がありますよ。

話し手「ここはXXXXの町です。
    北に行くと、塔がありますよ。

話し手「ここはXXXXの町です。
 北に行くと、塔がありますよ。

【話し手】
「ここはXXXXの町です。北に行くと、塔がありますよ。ついでに言うと、東には森がありますよ。

 話し手の名前を表示した後に、改行するかしないかは、作品によって異なる。僕としては改行する方がお勧め。その方が読みやすいし、話し手の名前が長くても文章のバランスが崩れない。セリフ中のどこに改行を入れるかも重要。メッセージウインドウの端までセリフを改行しないという手法もある。

 小説ではできない、ゲームならではの手法として、話し手の文字色を変えたりもできる。見やすいように工夫してみよう。

その他文章を表記する際のルール


 セリフを「」で表記する事は既に当然のルールとなっている。しかし、セリフ以外――例えば『ナレーション』『書物』『思考』等を表記する場合はどうすれば良いだろうか?

それには、
 ”>『({ 
等の記号を使用する方法がある。

例えば、主人公の思考は……
 >そっとしておこう
書物や看板などの読み物は……
 ”毒の沼地。危険入るな!
というように記述する。あるいは"「"が無い場合はナレーション……という様に記号を用いないこと自体を目印としてもOK。

 また、記号を使用しなくても、メッセージウインドウの形を変えるという手法もある。漫画で吹き出しの形を変えるのは一般的な手法だが、ゲームでもライブアライブ等がやっている。セリフであっても、絶叫や囁き、テレパシーなどを区別して表記することもできる。

【例】
  • ナレーション → 黒背景
  • 絶叫     → ギザギザウインドウ(下の吹き出しみたいなヤツ)
  • 思考     → モコモコウインドウ(。o O ○)

 ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
<くせ者だあッ!!    >
<            >
<            >
 ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
↑環境によってはズレてるかも……。

読点『、』の使い方


 『、』を打つタイミングについて、実は明確なルールは存在しないらしい。適度に打つことで、読みやすい文章にしていこう。
 例えば、『漢字で表記するかひらがなで表記するか』という文のように、ひらがな同士で言葉が繋がってしまう場合は区切りが分かりにくい。なので、筆者は特に意識して『、』を打って文を分けるようにしている。『漢字で表記するか、ひらがなで表記するか』という感じで。

 ゲームの場合『、』ではなく、『半角スペース』や『全角スペース』を使用することも。ちなみに僕は今のところ『半角スペース』派です。

句点『。』の使い方


 もちろん文章の最後に打つ。『、』と違って、こちらに悩むことは少ないはず。ただ意識していないとなかなか気付かないかもしれないけれど、一般小説では「」の末尾には『。』を打たないことが普通になっていたりする。セリフを右括弧で閉じる様にしているのならば、このルールに合わせた方が無難かも。

【例】
「今日はいい天気ですね。
 明日も晴れるといいですね」

三点リーダ『…』と棒ダッシュ『―』の使い方


 一般的な小説のルールでは、『…』『―』共に偶数回連続で繋げて使用する。『……』『…………』『――』『――――』というようにだ。でもゲームや漫画だと『…』単体での使用も見かけたりする。

 この2つの使い道に付いては、分かるようで分からない人も多いと思う。一部使い道が重なる部分があるのが、またややこしい。そんなわけで、使い道をまとめてみた。

『…』のみが使える

  • 語尾を濁す:「たぶん、そうだと思うけど……」
  • 弱々しく :「俺は……もう駄目……だ」
  • 沈黙   :「……」

 『―』と比較すると、使い道が分かりやすいので、特に補足はいらないと思う。

『―』のみが使える

  • 割込:先生「え〜と、何か連絡事項がある方は――」生徒「はい!」
  • 引用:「この古文書によると――玉座の後ろを調べろ――とあるね」
  • 補足:俺は村長の家――それは村中で最も立派な建物だった――に向かった。

 『割込』は唯一『―』の安定した使いどころ。
 『引用』は””や『』で囲ったほうが分かりやすいかも。

 『補足』は文章の中に文章を挟む構造になる。()と使い方が類似している。海外小説の翻訳で良く見かけるけど、これを多用した文章は読み辛い。使うぐらいなら文章構成を考え直したほうがよさそう。といっても、ゲームにはあんまり関係なさそうだけど。

『…』『―』両方で使える

  • 間を置く:「……それで、結局どうしますか?」
  • 文を繋ぐ:「神――いわゆるゴッドの思し召しなのです」

 『間を置く』の例のように文頭に間を作ることもできる。話題を転換したい場合などで有効。個人的には、何でもかんでも『ウェイト処理』で間を作るよりは、『…』や『―』で間を表現してもらった方がテンポが良くなるので好き。

 『文を繋ぐ』は『、』に近い運用方法となる。溜めを作ることで、後の文章をより強調できる効果もある。

 このパターンの場合、『…』『―』どちらでも良いのだけど、個人的な印象では『…』は弱々しく、『―』はスピーディな気がする。『…』と『―』の使い分けは明確に統一されているわけではなく、色々と曖昧。作家によっても用途に差がある。興味があるなら、プロの文章を読む時に気を付けてみるのがオススメ。

感嘆符『!』と疑問符『?』の使い方


 『…』『―』と比較して、こちらの使い道に悩む人は少ないと思うが、ついでに書いてみる。

 『!』は驚きや叫びを現す。「うわっ!」「お〜い!!」など。2つ以上重ねて強調する事もある。『?』は疑問や困惑を現す。「どなたですか?」「はあっ?」など。2つ以上重ねることは少なめ。

 『!?』というように両方を合わせる方法も多用される。「おかしいだろ!?」「マジでっ!?」というように、驚き叫びながら、困惑しているという表現になる。『?!』は余り使わないが、驚きよりも困惑を強調したいとか、独自性を出したいとか、理由があるならどうぞ。

 「図書館では静かに……!」「へっ……?」「信じられない……!?」というように『…』と組み合わせることもできる。意味合いが反対に近い『!』と『…』が共存している事に違和感を持つ人もあるかもしれないが、「声を張り上げてはいないが、強い感情を込めている」といったニュアンスだと思う。たぶん……。

漢字で書くか、書かないか?


 以下のような言葉は特に、人によって漢字で表記するか、ひらがなで表記するか意見が分かれる。なるべく方針は統一しておこう。

  • ある(有る)
  • くらい、ぐらい(位)
  • こと(事)
  • ため(為)
  • つく(付く)
  • できる(出来る)
  • ない(無い)
  • など(等)
  • なに、なん(何)
  • なる(成る)
  • よう(様)
  • よく(良く)
  • わかる(分かる)
  • わけ(訳)

 筆者は『事』や『様』の使い方によく迷う。ひらがなが続く文章の場合は漢字で、漢字が続く文章の場合はひらがなで打ちたくなる。こんな事を書いておいて何だが、統一するのは結構しんどい。いっそ、その場の雰囲気や気分で、あえて統一せずに開き直っても良いかもしれない。

難しい漢字を使うかどうか?


 例えば、『未曾有(みぞう)』『顰蹙(ひんしゅく)』『翻す(ひるがえす)』のような、難しい漢字を使用するかどうか? PCだと、簡単に漢字変換ができてしまうが、なんでもかんでも変換してしまうのは考えもの。プレイヤーの対象年齢次第では、みぞう、ヒンシュクの様に、ひらがな、カタカナで表記する事も検討しよう。ただし、「これはみぞうの事態だ」という具合に、見栄えは悪いので注意したい。

  • 未曾有 → 空前
  • 顰蹙  → 反感
  • 翻す  → 撤回する

 上記の様に、もう少し簡単な言葉に言い換える方法もある。フリガナを打てるならば、理想的なのだけれど、制作ツールの制約や手間の問題がある。

まとめ


 読みやすい文章を書くためには、ルールの策定が不可欠。ウインドウの形状や文字色など、ゲームならではの技法を活用するのも選択肢の一つ。何にせよ、自分なりのルールを決めておこう。制作の終盤で書式・文体の統一をするハメにならないように注意したい。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(0) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする