【RPG制作講座】町人のセリフ・配置

2013年12月28日

『町人』とはストーリー上、重要な役目を持たない登場人物のことを指す。グラフィックは使い回しで、名前も大抵はない。村人とか市民とかモブとも言われる。呼称は何でもよいが、ここでは『町人』で統一する。

町人は基本的にメインストーリーには関わってこない。プレイヤーが話しかけることで初めてセリフを返してくる。プレイヤーが存在を無視しようとすれば、一切そのセリフを聞くこともない。まさに脇役中の脇役である。

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そんな脇役たる町人の役目は以下の通り。

  • 情報を与える。
  • にぎやかし。

他にも、店などの施設を運営するのも町人の役目と言えなくもないが、この記事にはあまり関係ない。

日の当たらない存在とはいえ、世界を表現するには、そこに住む住人の存在が不可欠だ。住民がまばらにしかない上に、無味乾燥なセリフしか吐かないゴーストタウンのような町ばかりを旅していても、冒険感は得られないというもの。よって今回は、いつも軽視されがちな町人の配置とセリフの内容についてまとめてみる。


町人の人数


先立って、町人の人数について考えておきたい。

セリフを話す町人の人数(店など施設要員を除く)は小さな町で5人。大きな町で20人という程度で十分だろう。町に無駄な空白地帯ができると寂しい感じがするので、そうならないように適度に配置しておきたい。
町人の人数が多くなり過ぎないように注意。多過ぎると制作が大変なのは当然だが、プレイヤーだって話を聞くのが大変になる。それに1人当りの内容が薄れてしまって、重要な情報を見落とすことにも繋がる。

町人の人数はそこそこいるはずなのに、どうにもまばらで寂しい感じがすることもあるかもしれない。その場合は単に町が広すぎる可能性が高いので、見直すことも考えよう。

一つの町で5〜20人程度と書いたが、これが長編RPGともなると町の数も10〜20というように多くなってくる。掛け算して50〜400人。さらに、ストーリー進行で町人のセリフ内容を変化させることも考慮したい。場合によっては、1000を超えるセリフを書かなくてはならないだろう。
一セリフを60文字と考えた場合、1000×60=6万文字となる。大体、小説一冊の3分の1といった分量だろうか。これはなかなか馬鹿にできない作業量だ。

そんなわけで、町人のセリフを考えるのは地味に大変な作業なのだ。

セリフの長さ


『一セリフを60文字と考えた場合』と上で書いたが、実際のところ町人のセリフはどのような長さにすればよいのだろうか? 書き手の好きでよいと言えば、全くその通りなのだが、何か目安が欲しいという方もいるだろう。

そこで参考までに、いくつか市販RPGの町人セリフを引用してみよう。

DQ3

「ここは アリアハンの城下町。」
「北に行くと レーベの村が
 ありますわ。」

約30文字とシンプルなセリフ。

「かつて この国アリアハンは
 すべての世界を おさめて
 いたのじゃ。」
「しかし いろいろな戦争が
 あってな。多くの人々が
 戦いで 命をおとした。」
「それからは 海のむこうに
 通じる 旅のとびらを
 封じこめたと いうことじゃ。」

約100文字のやや長文。改めて見ると結構無茶な設定。アリアハン凄すぎ……。

「オレは 見まわりの兵士さ!
 町に なにか あっても
 オレがいるから だいじょうぶ!」
「安心して 旅を続けて
 くれよな!」

こんな感じでメッセージウインドウ二つ分ぐらいのセリフをしゃべる人物が多い気がする。

FF6

「ここはサウスフィガロの町。」

全体的にDQよりもかなり簡潔だが、これは特に極端な例。体言止めとは、なんてドライな……。

「えらいこっちゃね!
 帝国を敵にまわすとは……」

関西弁を喋る謎の幼女。

「君も見たかい?
 地中を走るフィガロ城の勇姿を。」
「……つってもムダか。
 地中じゃ見えないもんな。」

こういったメッセージウインドウが切り替わるセリフ自体がやや少なめ。


個人的な意見ではFF6だと簡潔過ぎるので、DQ3ぐらいの内容があったほうが好み。ただし、長過ぎるのも読むのが面倒なので、メッセージウインドウが1〜3ページ程度で収まる長さを目安にするとよいだろう。文字数で言うと30〜100文字程度といったところか。

セリフの内容


では、具体的にはどのような内容をセリフに書けばよいのか? よく使われるセリフの種類をパターン別にまとめてみた。

ストーリー進行上重要なセリフ

これがないとゲーム進行もままならないというような重要なセリフ。町人を作成する際は真っ先にここから配置していくとよいだろう。もっとも、このタイプはメインストーリー上の会話に組み込まれることも多い。

目的を示す

「魔王を倒すには伝説の聖剣が必要なのだ」
さすがにここまで重要なセリフはメインイベント上で説明してもいいかも。

目的地・場所を示す

「XXXXを探しているのか? それなら○○○○の町にあるそうだ」

「○○○○の町なら、東の橋を渡った先にあるぞい」

複数人との会話から、より詳細に分かるという風にしてもよい。特にセリフが長くなりすぎた時は分割したほうが分かりやすい。

交通手段を示す

「南の島に渡るには船が必要だ。
 船乗り達と交渉してみるがいい」

定番の乗り物イベント。

攻略上有益なセリフ

次に優先して配置したいのはこのタイプ。攻略上必須ではないが聞いておくと便利というもの。

ゲームシステムの説明

「素早さが高いと敵より先に動けるぜ」
パラメータの説明をしておく。攻撃力のようにそのまんまなパラメータはあえて説明しなくともよいかも。

「レベル20にならないと転職はできない。
 そして、転職した直後はレベルが1に戻ってしまう」

新システムを解禁したら、その説明もやっておこう。序盤から一気に説明を流されると、引かれることもあるので、小出しできるものは小出しでもよいと思う。

道具の情報

「聖水を使うと弱い敵は寄って来なくなる。
 戦いが面倒になったら使ってみな」

特に有効活用して欲しいという道具に関しては、町人に説明させてみるのも手だ。メニュー画面や買い物画面での説明だけでやるよりは印象が深まる。

仲間や職業の特性

「戦士は打たれ強くて、力も強い。
 パーティの先頭で戦える職業だぜ」

特に個性的で取っ付きにくい職業ほど説明は大事となる。

「ウチの子は魔法は得意だけど、HPはあまり高くないんだ。
 無茶させないように、守ってやっておくれ」

仲間キャラクターの家族などに語らせてみるのも、人間関係が浮かび上がって面白い。

特定の場所や敵に関する情報

「砂漠の敵は水の魔法に弱いぞ」
ザコ敵の弱点を伝える。

「バジリスクは石化の攻撃を使ってくるんだ。
 回復手段は用意しておけよ」

即死・石化といったキツい状態異常は、前もって警告しておくと理不尽感は軽減されるかも。

「四天王XXXXは毒魔法の使い手だ。
 奴の毒霧に何人もの仲間が倒れた……」

ボス敵の特徴を前もって知らせてみたり。

施設案内・道案内

「村長の家なら、一番奥にありますよ」
『ストーリー進行上重要なセリフ』との境界は微妙なところだが、対して迷わない場所にも案内を入れてみる。使える機会は多いので、セリフのネタが切れた時には地味に役立つ。

ストーリーや世界設定を深めるセリフ

必ずしも必要なセリフではないが、あると理解が深まる。『情報』と『にぎやかし』の中間的な役目。

イベント

「式典は明日、開催される予定です。
 今年も各国から著名人が集まるらしいので、楽しみですよ」

これから起こるイベントについて、事前情報を出しておく。

「楽しみにしていた式典があんな惨劇になるなんて……。
 ああ、これからどうなってしまうのか……」

もちろん、イベントが終わった後はこんな感じで。

過去・歴史

「千年前、伝説の勇者が魔王を倒したのじゃ。
 それ以来、世界は平和だったのじゃが……」

世界の歴史をオープニングテロップで一気にやるのは鬱陶しい――と思った場合は、こんな風に小出しにするとよいかも。町人じゃなくて、本棚などから情報を得られるようにしてもよい。

「君の父上はこの国で最も優れた剣士だったのだよ。
 全く惜しい人を亡くしたものだ……」

主人公〜主要人物の両親など、過去の設定も同様。


「魔物とは五百年前に突如現れた悪しき生物なのです。
 その生態はいまだ謎に包まれています」

お約束の魔物といった概念にも何か説明を加えてみてもよいかもしれない。

地理

「この世界には四つの大陸があるのです。
 どの大陸も、この島よりはるかに広大ですよ」

先の冒険への期待感をふくらませる。

科学・技術

「この鉱山で採れるミスリルは優れた金属だ。
 銅よりも軽く、鋼よりも丈夫なんだぜ」

こんな説明があると、件のミスリル武器を手に入れた時に、単なる数値以上の嬉しさが得られるというもの。

「飛行船の核には浮遊石を使っています。
 浮遊石は空気に浮かぶ不思議な石なのです」

作品によっては世界独自のエネルギー源が存在しており、ストーリーに深く関わってくる場合も。例えば、FF7の魔晄エネルギーなど。

町・国家

「ここはXXXXの町だ。
 この町は魔物から人々を守るため
 高い壁で囲まれているんだ」

とりあえず、入口に町の説明をしてくれる人を配置するのは基本。何か一言でも、町名以外の特徴を入れるとよいかと思う。

「XXXX帝国と○○○○共和国は
 既に十年間も戦争を続けている」

国際情勢も語らせてみよう。

人物

「大臣のXXXXは汚職まみれの汚い野郎だ。
 どうして陛下はあいつを首にしないんだ!」

ストーリー上の重要人物について、情報を伝えてみる。

「XXXXさんはこの国で一番の槍の達人だよ。
 強いだけじゃなく、性格も優しいんだ」

『仲間キャラクター』の人物評も入れてみよう。パーティにいる時は会話が変化しても面白い。

「あのドラゴンを倒してしまうなんて
 XXXX。お前こそ真の勇者だ!」

もちろん、主人公だって一人の人物。プレイヤーが成し遂げたことをほめてくれると嬉しいかも。

雑談

「今日の晩御飯は何にしようかしら?」
というようにストーリーにも世界設定にも関与しない雑談。純粋なるにぎやかし。
基本的には、ネタに付きた場合の苦し紛れなので、乱用は禁物。できれば『ストーリーや世界設定を深めるセリフ』に近付けたほうが望ましい。

例えば
「今日の晩御飯はXXXX名物の○○○○芋を使ったシチューよ」
という具合にその世界独自の固有名詞を入れて雰囲気作りをする。

あるいは
「今日の晩御飯は抜きよ。この国は貧しいから、
 1日3食というわけにはいかないの……」

というように経済状況を表現してみるのもよい。

もっとも
「今日の晩御飯は何にしようかしら?」
というセリフだって『平和で深刻な悩みを持たずに住める町』であるという設定を遠回しに表現していると言えなくもないけれど。

まとめ


今回の講座は実に地味だった。しかしながら、町人のセリフは地味ながら大事なもの。「町人のセリフを書きたいが思いつかない!」と思った時はこの講座を眺めてみて欲しい。例に挙げたセリフの数々はわざと簡素にしてあるので、色々と肉付けしてみるのがおすすめ。

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【RPG制作講座】自由度

2013年10月26日

一般に自由度が高いRPGは良いRPGであると言われることが多い。逆に自由度が低いRPG――例えばFF13などは「一本道」「ロールプレイングならぬレールプレイングゲームだ」というように、非難を浴びることが多い。ネット上でのレビューや議論を見る限りでは、どうやらみんな『自由度』が大好きなようだ。

そんな自由度であるが、そこに含まれる『自由』の内実は多岐に渡る。

  • 行き先を決める自由
  • 誰を仲間にするか決める自由
  • 村人に話しかける自由
  • 気に入らないイベントに参加しない自由

というようにだ。

そこで、今一度『自由』というものを細分化しまとめる。自由の内実を理解することで、自由の一体何が面白いのかに迫ってみたい。そして、ゲームが面白くなる方向に自由度を調整できるようになりたいところだ。主にシナリオ寄りの内容になっている。

二つの自由


ゲームにおける自由とは、大きく二つに分けることができる。『目的の自由』と『手段の自由』である。

目的の自由

プレイヤーが目的を決めることができるという自由。例えば、マルチエンディングの作品で、どのエンディングを目指すのかを決めるといった自由だ。目的といっても、個別のイベントの目的から、物語の最終目的まで幅広い。洋ゲーなどはこの辺の自由度も高いらしいが、良く知らないので省略。
ポケモンで「ストーリーのクリアはタダの通過点。目的は対戦で勝ちまくることだ!」というのも立派な目的の自由。

ただし、これが全くの自由だと「何をやったら良いのか分からない」という状態になりやすいので注意。かくいう僕も「何でもできる」だけのゲームをやるぐらいなら、リアルで創作活動でもしてたほうがいいんじゃね? とか思っていたりする。やはり、ある程度の方向性は示して欲しいところ。

手段の自由

目的は確定しているものとする。その上で目的を果たすための手段の自由を指す。例えば、敵のボスを「力尽くで倒すか」「トラップを仕掛けてからめ手で倒すか」それとも「交渉して和解するか」といったものだ。

例として……

バンガード(ロマンシングサガ3)

潜水機能を持った要塞バンガードを起動するという目的のために、術師の協力を得ることに。しかし、有力な二人の術師(ウンディーネ&ボルカノ)は仲が悪い上に、タダでは力を貸してくれそうにない。
取りうる選択肢は以下のようになる。

  • ウンディーネを倒して、ボルカノの協力を得る。
  • ボルカノを倒して、ウンディーネの協力を得る。
  • 喧嘩両成敗にして、協力を得る。

フレイムタイラント&アイスソード(ロマンシングサガ)

終盤のダンジョン冥府に向かうためには、火山に住むフレイムタイラントと交渉しなくてはならない。「アイスソードを持ってくれば通してやる」とのことだが、剣を持つ旅の聖戦士ガラハドも簡単には譲ってくれそうにない。
……って、以前の記事(面白いイベントを作るには?)でも書いてるので省略。

手段の自由度が高い作品は工夫の余地も大きく、戦略性が高い作品と言えるかもしれない。シナリオ側だけではなくゲームシステム・バランス側の分担も大事だ。

詳細な自由


以下は上に挙げた2つの自由をより詳細に分類したもの。

選択の自由

掲示された選択肢に対する自由。場合によっては、上に挙げたような目的や手段が変化することもある。
印象的なのはタクティクスオウガ。要所の選択肢に対する決定によって、以降の展開が大きく変化する。特に一章最後の選択肢では、主人公が悪事に加担することもできるという内容で、当時衝撃的だった。このように自分の判断がストーリー展開を大きく左右するということは、プレイヤーの作品への没入感を強く高める。複数の展開を用意するのは、やはり手間が掛かるのだが・・・。

DQによくあるような『はい』だろうが『いいえ』だろうが、会話内容がちょっと変わる程度でしかない選択肢だってもちろん『選択の自由』の一部。結果は変わらないという点で、さほど自由度に寄与しているとは言えないかもしれないが……。

行動範囲の自由

「どれだけ広い範囲を移動できるか」「どれだけ遠くまで移動できるか」「どんな場所に行けるのか」といった自由。ストーリーを進めることで、行動範囲が広がるのが普通だ。特に乗物入手による移動範囲の拡張はワクワクもの。
自由度が高いRPGは序盤から行動範囲の制約がゆるい傾向にある。最初から制約はほとんど無いが、遠出すると敵が強くなるので実質的には制約があるというDQ1型もある。このタイプの場合、ストーリーを進めなくとも、プレイヤーのスキル次第で遠出できるという利点がある。

自由度が低いRPGの場合は、前の町に戻ることも満足にできなかったりする。やはりFF13の一本道などが代表的。それに限らず、ストーリー性重視のRPGならば、一時的に行動範囲が狭まった結果、一本道になりやすい。FF9,10など。

移動手段の便利さも重要。移動魔法ルーラがあるDQや、ワールドマップを開けば一瞬で各地に移動できるロマサガなどは便利。前の町に戻るのに、非常に時間が掛かるような仕様では、わざわざ面倒を掛けてまで戻ることは少ないだろう。これもやはり一本道に近いプレイになりやすい。

施設/システムを利用する自由

「お店を始めとした施設を利用できるか」「どんな道具・装備を購入できるか」「転職などのシステムを利用できるか」「どんな職業に転職できるか」といった自由。

ストーリーの進行によって、利用できる『施設/システム』がぎちぎちに定められている場合、戦略の幅が狭まることになる。かといって、序盤から何でもできてしまうと、中盤・後半にモチベーションとなる要素が無くなる。ここはゲームバランスのセンスが要求される大事な部分だ。

順序の自由

イベント等をどんな順番にこなすかを決定する自由。DQシリーズには大抵、オーブなどの何かを自由な順序で集めるイベントがある。ロマサガ2の七英雄退治、ロマサガ3の四魔貴族退治などもこれ。JRPGにおける自由度が高い作品は、これが充実している場合が多い。
「順番を変えられるだけじゃ大したことない」「所詮は朝三暮四」なんて思われるかもしれないが、これがなかなか侮れない。

例えば、この自由によってどんなことができるかというと……

  • 敵が強いダンジョンにあえて挑んで、パーティを効率良く強化する。
  • 良い武器がある町に優先して向かう。
  • 炎のボスと戦う前に、弱点の氷の武器が手に入るイベントをこなす。ロックマン式。
  • 気に入った仲間が加わるイベントを優先してこなす。
  • 一通り行動できる範囲をブラブラしてみて、面白そうなイベントに挑む。

というように、意外とプレイの幅が広がるものだ。

もっとも初回プレイではどこで望みの物が手に入るかを把握するのは難しいのだが、色んな場所に手探りで行ってみるのも楽しいもの。二周目以降はどうやればプレイ効率を上げられるかを考える楽しみもある。

もちろん『行動範囲の自由』が大きいほど、比例してこちらも大きくなるので、合わせて考えよう。

任意の自由

やってもやらなくても良いという自由。ゲームクリアに必須では無いサブイベントがこれに当たる。話し掛ける必要が無い町人との会話も、これに含むと考えることができる。任意とは言っても重要度の高さに応じてその意味合いも変わってくる。

重要度が高いと……

進行上重要で、こなさないと進行に支障を来たす。「ハッピーエンドのフラグが立たない」「攻略に必要な情報が不足する」など。DQ3に例えると、ラスボス弱体化に必要な『光の玉』の入手イベントがこれに当たる。

重要度が低いと……

別にやらなくても良い。「強力な装備が手に入るが、無くても十分クリアできる」「キャラクターの個別エピソード。本編にはさほど関係無い」など。またまたDQ3に例えると、『ノアニール』や『ムオル』のイベントがこれに当たる。そんなイベント知らね・忘れたって人はごめんなさい。

自由に対する結果・反応


最後に『結果』『反応』の重要性を指摘しておきたい。

自由とは第一にプレイヤーが何をできるかという『入力』である。しかし、入力の方法が豊富なだけでは、十分な自由度が得られるとは言い難い。自由度の高さを実感するには、入力に対する『出力』――つまり『結果』『反応』が必要なのだ。これが充実していないことにはどんなに入力が豊富でも、見せかけの自由でしか無い。

例を挙げてみよう。
「DQ3の勇者は21168通りの装備ができる!
 だからDQ3の装備は自由度が超高い!」
※FC版「武器:21 × 鎧:18 × 盾:8 × 兜:7」で算出。
 装飾品は無視。女性専用装備と素手含む。


恐らく、この主張に納得してくれる人はほとんどいないはず。それは21168の内、意味のある組み合わせ自体がほとんど限られているからである。
DQ9では装備品によって、キャラクターの見た目が変わるのだが、この時点ではそういった要素も見られない。よって、性能に優れた装備だけで固めるのが常となる。「武器は王者の剣――ただし防具は全裸」というような珍妙な組み合わせは最初から選択肢にも入らないというわけだ。

要するに自由度が高いとは「プレイヤーが『取るに値する』行動パターンが豊富にあること」を意味している。そういう意味では『戦略性』『戦術性』にも通じる部分がある。

そのためにも、重要なのはバランス調整だ。
「性能に大差無い仲間キャラが大量にいる自由」「弱い武器を買う自由」「ダルいだけのミニゲームをやる自由」「長いだけのコピペダンジョンを探索する自由」。そんな自由が充実していたところで、それは下手をすれば「壁に向かって走り続ける自由」「同じ村人に100回話しかける自由」と大差無いとプレイヤーに思われているかもしれない。

自由は『結果』『反応』あってこそ実感できると言えるだろう。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(7) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【RPG制作講座】媒体としてのRPGを考えてみる

2013年07月06日

小説や漫画・アニメといったストーリーを持った媒体は数多く存在する。それらとRPG(正確に言えばコンピュータRPG?)に共通する部分は多くあれど、文法が異なる部分もまたある。RPGという媒体の特徴を今一度考えてみるため、その差異に焦点を当ててみたい。

基本的にはRPGを中心に据えて考えるが、アクションなど他ジャンルにも当てはまる部分もあるかと思う。なお、サウンドノベル(特に選択肢を用いないもの)に付いては、性質が極めて小説そのものに近い。

ダンジョンの存在


RPGにおいて、かなりの時間を占めるダンジョン探索。ダンジョン内部での戦闘を含めると、総プレイ時間の大半を占めることも珍しくない。これを活用したストーリーデザインはRPGならではのものといえる。
 小説や漫画といった媒体においては、ダンジョンの存在は省かれることが多い。それらの媒体ではストーリーが重点に置かれることが多く、ダンジョンを長々と探索する描写を面白くすることは難しいからだろう。・・・正確には無いこともないのだが、1ダンジョンの中で何十回と戦闘を繰り返したりはしないし、ましてや1つの物語が完結するまでに数十個のダンジョンに潜るなんてことも無い。

ダンジョンには『長い』『ダルい』『古臭い』という面があるのも事実。ストーリー主導のRPGを作りたいならば、ダンジョンを多用する以外のゲーム進行を考えてみても良いだろう。もちろん、RPGならではのダンジョン探索における面白さを追求するのも良しだ。

戦闘の扱い


漫画等では強敵との戦いは、長々とページを費やして描写することが多い。途中、何度もピンチになったりしながら、流れの中で多くの会話を挟む。自然、敵役のキャラクターも際立つというもの。例え、一度の戦闘しかなくとも強く印象に残った悪役は数多くあげられるだろう。

しかし、RPGではそうはいかない。なんせ、戦うのはプレイヤー自身なので、どんな流れになるかはプレイヤー次第なのだ。それでも無理矢理、漫画のような長い会話を毎ターン挟んだりするとテンポが悪くなってしまうし、どこか茶番じみてしまう懸念もある。
 敵役を印象付けるには漫画と比較して工夫がいることが分かる。印象付けたい敵キャラは、登場シーンや戦闘シーンといった出番を何度か作るのも1つの方法だ。
 逆にRPG特有の表現方法として、戦闘バランスによって敵を印象付けることも可能である。「このボスは敵の大幹部だけあって、今までのボスを凌ぐ強敵だ」とか「このボスは性格通り、嫌らしい状態異常が多い」とか、能力面で感じさせてみよう。

「ボスとの戦い→大ピンチ→覚醒してボスを倒す」といった少年漫画ではお馴染みの燃える展開だが、これもRPGでは使いづらい。例えば、英雄伝説シリーズ等にありがちなこととして・・・

戦闘画面でボスを倒す。ボスが倒れた演出。

イベント画面に戻ると、ボスはまだピンピンしている。そして・・・
「中々やるな。だが、その程度で私を止められん」
とか何とか言って、切り札を出してくる。一転、ピンチに。

誰かが助けに来てくれる or 仲間の誰かが覚醒する

いかにも、それっぽい演出がやりたかったのだろうが、余りスムーズではないように思う。個人的には戦闘画面をそのまま使った方がスムーズではないだろうか?

戦闘画面でボスのHPを0にする。ボスはまだ倒れない。

戦闘画面のまま、ボスとの会話イベント発生。
ボスが必殺技を放ってきて大ダメージ。

ボスと因縁のあるキャラが覚醒してとどめ。

という感じでどうだろう。ただし、編成システムによっては、因縁のあるキャラが戦闘に参加していないなんて可能性もあるのだけれど・・・。

パーティ編成


小説や漫画では、仲間の出入りは比較的自由に行える。仲間の死亡イベントで場を盛り上げるなんて手法は古くから多用されてきた。また、仲間に別行動を取らせることによって、異なる切り口から、それぞれの見せ場を作るなんて手法もとても便利だ。

しかし、RPGではこういう手法は使いづらい。仲間というのは半分はプレイヤーのものであって、制作者の都合でポンポン離脱されたりしてはかなわない。「俺が考えた理想のパーティ編成を作者の都合で壊すでない!」というわけだ。

序盤など、仲間が揃うまでは比較的、別行動を取るようなイベントも許容される傾向にある。能力紹介も兼ねて、色んなキャラクターを使わせるようにしてみよう。また、戦闘を挟まないイベントならば、別行動を取らせてもゲームシステム的な支障は無い。

無口主人公


RPGでしか使われない表現に無口主人公なるものがある。これは主人公のセリフをプレイヤーの想像に任せることで省略するという独特の手法だ。他の媒体ではこのような手法を取ることはまず無い。強いて言えば、一人称小説で主観者の存在を極力薄くしているものが稀に見られるぐらい。

これに付いては他の記事(無口主人公の考察)にまとめてあるので、細かくは書かない。

文章表現


小説では心理描写などを細かく描写されることも多い。しかし、ゲームでは小説のような長々とした描写はテンポを削ぐので嫌われやすい。そもそも地の文に当たるものはないのが普通で、キャラクターの描写はセリフや視覚的な動作から行われる。人物の心理はそこから、読み取れるようにすれば十分というわけだ。

サブイベント(任意のイベント)


RPGの特徴として、プレイヤーが任意に参加できるイベントを作れることが挙げられる。例えば、話の本流には関係が無く冗長になりそうな設定があった場合、町人や本棚を借りて情報を分散させる方法がある。

他にも、イベントの実行順序を自由にできる作品もあるが、これもRPGの特性といえる。

選択肢・分岐


選択肢などによる物語の分岐という要素。ちょっと会話が変わる程度のモノから、一切合切のストーリー展開〜エンディングまでが変わってしまうものもある。
 そこまでやる作品はサウンドノベルが多く、長いRPGでは普通にクリアするだけでも大変なこともあってそれほど多くない。

これはゲーム以外には真似できない要素。大きな分岐を伴うシナリオを長編で作るのは、制作者はもちろん、プレイヤーも大変なので、短編〜中編ぐらいの方が良いかもしれない。長編でやってしまったタクティクスオウガのような例もある。

盛り上がりの期間


小説のシナリオは一冊300ページ(4〜5時間が目安か?)といった長い期間で盛り上がりが最低1つあれば良い。ミステリーならば探偵と犯人との対決は大抵1回だけだろう。

※小説でも「短編集ならどうよ」とか「上手い作家なら途中にも、ある程度の盛り上がりを入れるよ」とかあるが、とりあえず置いておく。

次に漫画の場合、短い期間での盛り上がりが要求される。これは市販の作品はほとんど連載物な上に、何より打ち切りの恐れもあるという大人の事情がある。「1回の放送である程度は盛り上げないと視聴率が〜」というような理由でアニメも同じ。

RPGの場合、連載物ではないことからある程度は自由がきく。長い長いストーリー全体を通した起承転結がしっかりとした作品が評価されることが多い。とはいえ、小説とは異なりクリアまで何十時間と掛かる作品で、盛り上がりが1度きりというのはどう考えても無理がある。ゲームシステムを発揮するためにも、時折ストーリー上の壁となるボスを設けて盛り上げることが望ましい。

結局は、『短い間隔』『長い間隔』両方での盛り上がりが要求される。ただし、RPGではストーリー的な盛り上がりを強く狙わなくとも、ボス戦がゲームシステム側から盛り上がりを担ってくれるのは大きい。

ところで


時々、「プロの小説家にRPGのシナリオを書かせれば良い」なんて意見を見かけるが、実際のところどうなのだろうか?

私見では主に課題となりそうと思うのは2点。

1.『文章表現』の観点から

小説家は良くも悪くも長い文章を書くことに慣れすぎている。サウンドノベルならまだしも、これをそのままRPGに持ってきたところで『ダルい』『冗長』といわれる危険性大。『プレイヤーに読ませる箇所』『行間を読ませる箇所』のバランスをうまく調整できるかどうか。

2.『盛り上がりの期間』の観点から

さっき書いた通り、RPGでは『短い間隔』『長い間隔』両方での盛り上がりが要求される。それをうまくこなしたシナリオを書けるかどうか。

この2点をクリアできるならば、いいんではないだろうか? ファンタジー作家やSF作家ならば壮大な世界設定。ミステリー作家ならば、怒涛の伏線回収とどんでん返し――というように期待できそう。
 『盛り上がりの期間』の観点から見ると、漫画家とかも良さそうな気がする。もっとも、忙しくてそれどころじゃないって感じだろうけれど・・・。5年、10年ぶっ続けで週刊連載とかマジキチ。ぼくにはとてもできない。

ともあれ、他の媒体の長所を取り入れるも良し。あくまでRPG独自の長所にこだわるも良し。そもそも「この話、RPGには向いてないよ」と思ったならば、他のジャンル・媒体で作るのも良し。何を目指すかは制作者次第だ。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(4) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする