【RPG制作講座】作品を完成させる!

2014年02月08日

制作初心者にとっての最大の壁。それは『作品を完成させること』である。

Web上で開発記録を公開しているような作品は多数あれど、その内、完成に漕ぎ着ける例はそれほど多くない。Webで公開なんてことをやっているからには、それなりにやる気もあるのだろうけれど、それでも完成にはなかなか至らない。
はっきり言って、この界隈では制作を中途放棄する人を見ることは珍しくも何ともない。それこそ制作の中途挫折を意味する『エターなる(エターナるが正?)』なんて言葉が定着してしまったほど。
※エターなるの由来は特に説明しませんが、ググれば出てきます。

これを読んでいる方だって、制作経験があるならば、途中で投げ出した経験の一度や二度はあることだろう。この巨大な壁を乗り越えるため『作品を完成させること』を考察していきたい。

※この記事はエターなる経験者にとって、肺腑をえぐるような表現が含まれている可能性がなきにしもあらずです。ご注意ください。

そもそも完成させるべきなのか?


「別に完成しなくてもいいじゃないか。中途半端な作品なんて放り出してしまえ。それでも経験は積んでいるのだから、いずれ何年後かに自分の理想とする一作ができればいい」そんな考え方をする人もあるかもしれない。

だけど、それでもやはり作品は完成させるべきだと思う。

ゲーム制作には、最後まで完成させることで初めて勉強になる部分がある。たとえば「終盤のバランスの取り方」「エンディングによる物語の締め方」などだ。

そして何より、完成作を人にプレイしてもらい、感想をもらうことによる恩恵が大きい。なんせ、初めて完成させた作品というものは、プレイヤーのことを顧みない自己中なものになりがち。
「自分は何十〜何百時間と苦労したのだから、プレイヤーにも多少の面倒はかけてもいいだろう。このダンジョンでは2時間ぐらい迷ってもらおう」
これは凄くありがちな思考パターン。そのくせ自分のテストプレイでは、最短ルートを通って10分で抜けてたりすると始末が悪い。プレイヤーにそっぽを向かれる経験を積んで、こういうのは矯正されていく。

そんなわけで、製作経験は多くあっても、完成経験が乏しいようでは十分な経験があるとは言い難い。『作品を完成させる』というのも大事な技術の一つ。たとえ、何千時間と努力していても、作品を完成させる方法を知らなくては、同じことの繰り返しになりかねないというわけだ。

世間には、作品を途中で放り出すことを繰り返しているプロの作家や漫画家もいるが、そうなるとクリエイターかつ社会人としての信用は大きく落ちてしまう。「どうせ、また投げ出すんだろ?」「こいつに仕事を依頼するのはやめておこう」となってしまう。
アマチュアのゲーム作家にしても、きちんとした完成作があるかないかで、信頼度は段違い。これは特に協力者を募りたい場合に重要となる。

やはり、妥協があってもよいから作品は完成させたい。

で、この記事を書いている当人はどうかというと、エターなる率はかなり低いほうだと思う。RPG以外も含めると、中学生の頃にエターなったのを最後に10作品程度を連続で完成させている。RPGツクールだろうが、SRPGツクールだろうが、3Dシューティングツクールだろうが、デザエモンだろうが、開発に50時間以上かけた作品は全て完成させたと記憶している。たとえ、つまらない作品だろうがとにかく完成させている。

そんな僕なりにエターならない作り方を考えてみた。あくまで完成経験に乏しい人を対象に書いているので、ある程度の完成経験があるという人はこの限りではない。

いきなり大作にしない


いきなり大作を目指さない。もし、長編を作るならば年単位の製作期間を覚悟しなければならないが、簡単にできることではない。

目指すのが短編だろうが長編だろうが、まずは小さな話を作ろう。舞台は世界より大陸。大陸より島。島より町。というように最初は小さな範囲で考えていこう。
小さな話を完成させた後で、まだまだ長くしたいと思えたならば、そこから拡張していくような作り方をすればいい。長編だって、短編の集まりのようなものなのだから。

例えば……

  1. 村娘が魔物にさらわれる。
  2. 魔物を退治して、村娘を助ける。
  3. 村娘と一緒に捕らわれていた謎の少女が実は王女だった。
  4. 王女を城に返しに行くことに。
  5. 城では国王が病に倒れ、不穏な空気が……。

こんな感じでどんどんと繋げていく。やる気がなくなれば「2.」の段階で短編として完成させればよいというわけだ。

骨格を作る


優先して『ストーリー』『マップ』『必要なゲームシステム』といった骨格となる部分を作ろう。これらさえできれば、作品の形はできてくるので、後の部分は何とかなる。それ以外の重要でない要素は後回しにしてもよい。

逆に言えば、骨格ではない部分の制作に逃げてはならない。『逃げる』とは本編のストーリーもマップもロクにできていない段階から、寄り道要素を盛り込んでみたり、ひたすらアイテムや敵のデータばかり作ること。そうやって、いつまでも本編に着手しないような行為を指す。

自分の経験則だが、制作初心者には『隠し要素』や『寄り道要素』といったものをやたらと作りたがる人が多い気がする。どうも市販RPGにはお決まりのようにあるからなのか、真似したくなるらしい。
当然ながら、こういった要素は作品の完成が見えてから盛り込めば十分だ。まともに完成していない作品に対して、寄り道要素やクリア後の隠し要素が充実していたって仕方がない。

とにかく本編を作ろう。

省略できるように作る


『いきなり大作にしない』に書いたのとは別の方法も紹介。やる気をなくした時は省略してでも完成させる。あるいは、省略できるように最初から作っておく。

例えば……
「魔王のしもべである十魔将と戦い、最後に魔王と決着をつける」という壮大なストーリーを考えていたとする。制作途中で飽きた場合は『十魔将』を『四魔将』に減らしてでも完成させてしまおう。

要するに、物語の最初と最後を先に考えておき、間は中抜きできるように作ってしまうという方法だ。

細部にこだわらない


過剰なリアリティなど、細部にこだわって自分の首を絞めない。
例えば……

  • この町は大都市だから、住民を100人配置しよう。
  • 民家は現実と同じように二階建てが当たり前。
    もちろん、寝るところやトイレ・浴槽も必ずなくてはならない。
  • 時刻の概念を導入しよう。
  • 町人は話しかける度にランダムで違う内容を話すようにしよう。
  • 食料と満腹度の概念を導入しよう。
  • 全ての防具には斬打突炎氷……というように超詳細な耐性をつけよう。

ゲームシステムとして面白くできるという自信があるならともかく、単なるこだわりで細部まで作業を増やすのはお勧めできない。こういうのを目指すのは作品を完成できるようになってからでいい。一度、作品を完成させれば「どれぐらいの手間がかかるか?」という現実も見えてくるはず。

複雑なイベントは避ける


複雑になりそうなイベントは無理して作らないようにしよう。実力を大きく越えて複雑なイベントを作ろうとすると、中途挫折の決め手になりやすい。

よく使われるイベントで難易度が高いものの例を挙げてみる。

武闘大会

いわゆる『天下一武道会』など、漫画でもゲームでもおなじみの展開。これをやろうという人も多いと思う。しかし、『大会会場のマップ』『控室などでの他出場者との会話』『大量の観客』『毎戦闘事の会話』『複数回の戦闘』などなど、きっちり作ろうとすると、かなり大変なイベントである。

もっとも、このイベントは手を抜ける部分も多い。例えば、受付で会話後に画面転換して戦闘させるだけなら大して手間はかからない。武闘大会とは少し違うけど、FF6の『竜の首コロシアム』なんて、とってもシンプル。

戦争

物語において、国家同士あるいは人間対魔物のような騒乱を描く必要があることは多い。そこで必要となるのが戦争イベント。けれど、やっぱりこのイベントも大変。なんせ大量の兵隊を扱う必要があるのだ。配置するだけでも一苦労。さらに細かい動きをさせるなら、もっと苦労。

主人公達も参加するイベントの場合は、ゲーム的にどう折り合いをつけるのかというのも難しい。比較的、楽なところでは……

  • 味方の軍を陽動にして、自分達は少数精鋭で敵地に潜入する。
  • 戦場を駆け巡って敵司令官を倒す。
    シンボルエンカウント&ランダムエンカウントで敵が大勢いることを表現。

サガフロンティア2や幻想水滸伝のように、別システムでのシミュレーション型戦闘を用意しようなんて考えると大変だ。


こういったイベントをやろうとして大変さに挫折したという人、いないだろうか? かくいう僕も無理に武闘大会をやろうとして、挫折したことがあったりするのだけど……。

難しそうなイベントは着手する前に、どんなシーンがあって、どんな作業が必要となるかよく考えておこう。手に負えないと思ったならば、他の簡単なイベントにするか、手を抜けるところを探してみよう。

効率の悪いシステムは避ける


効率の悪いシステム設計を避けて、効率の良いシステムを目指す。「効率の悪いシステムってなんぞ?」と思われたかと思うが、具体的にはDQ6のように「制作の手間がかかる割にプレイヤーからの評価が上がらないシステム」のことを指す。

DQ6には『多人数の仲間システム』と『転職システム』という二つのシステムが並立しているが、転職による職業の個性が、仲間の個性を潰してしまっていると言われることが多い。結果的に『仲間の個性に特化したDQ4』『職業の個性に特化したDQ3』などの作品と比較しても、システム評価が高いとは言えない。しかし、DQ6のシステム制作にかかる手間はこの二作を大きく超えているだろうことは想像に難くない。

システムを設計する際はこういった二つの要素が競合しないシンプルな設計にするとよいだろう。その方が少ない手間で作品を面白くしやすい。もちろん完成もしやすい。

無理に自作しない


経験が乏しい状態で、素材やゲームシステムをほぼ自作するというのはかなり厳しい。最初は無理せず、フリーの素材&スクリプトを使用したり、開発ツールのデフォルト素材&システムを中心とするほうが無難だろう。

もしやる場合でも、狭い範囲から挑戦していくとよいかと。

  • 仲間メンバーのキャラグラだけ自作する。
  • 聞く頻度の多いフィールド曲だけ自作してみる。
  • 戦闘はツールのデフォルトだが、成長システムは自作してみる。

などなどだ。

グラフィックや音楽の差し替えは開発途中でも案外できる。開発終盤に余裕ができたのでやってみようという感じでもよいだろう。

モチベーション


制作に対するモチベーションの持ち方についても書いておく。

「モチベーションを高くするにはどうしたらいいか?」というのは多くの人が思うところだろう。けれど、個人的な意見を言えば、そもそも無理に高いモチベーションを保つ必要はないと思っている。

というのも、強いやる気を出して、一気に制作に取り掛かったところで、制作期間が一ヶ月〜二ヶ月〜三ヶ月と伸びていくに連れて、維持が難しくなってくる。『熱しやすく冷めやすい』なんて言葉の通り、冷めた時に挫折スイッチが入るのが関の山。

特にいちいち何かやる度に、成果や反響を求めてしまう性格の人は要注意だ。反響があろうがなかろうが、黙々と地味な作業の連続に耐えられる根気がなければ、長編の完成は難しい。

何でこんなことを書くのかというと、

  1. 制作開始。
  2. 凄くはりきる。
  3. 徐々に制作のキツさが分かってくる。
  4. だんだんクールダウン。
  5. エターなる。

というような制作初心者の必殺コンボを何度も見てきたからである。

そんなわけで、普通のモチベーションで日課のように淡々と制作すれば十分かなと思っている。もっとも、モチベーションの持ち方なんて、個人差があって当たり前なので、あくまで僕の意見ということで。もちろん、短期で制作できるような規模の作品ならば、一気にやるのもよし。

もし、エターなったら?


それでも、エターなってしまった場合も、データを削除するのだけはやめよう。もしかしたら、またいつか作品の制作を再開したくなることもあるかもしれない。その作品は永久凍結するにしても、部分的に流用できることもあるかもしれない。

そして重要なのは、自分が「なぜエターなってしまったのか?」という分析だ。

  • ストーリーをうまく作れなかったため?
  • 書いた脚本が恥ずかしくなったため?
  • マップ制作が面倒になったため?
  • やりたいシステムを実現する技術がなかったため?
  • 満足のいく素材が用意できなかったため?
  • クオリティに自信が持てなかったため?
  • 時間が取れなかったため?

エターなる理由も人それぞれだろうから、その対策も簡単には言えない。それでも、自己の分析こそが『脱エターナラー』の一歩となる。

例えば、僕は「中学生の頃にエターなった」と書いたが、その理由は「ストーリーをうまく作れなかったため」というのが大きい。どうも、当時の僕はストーリーの制作にそこまで興味がなかったのだと思う。なので、ストーリーで無理をしない作品にすることで、次は完成させることができた。

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【RPG制作講座】町人のセリフ・配置

2013年12月28日

『町人』とはストーリー上、重要な役目を持たない登場人物のことを指す。グラフィックは使い回しで、名前も大抵はない。村人とか市民とかモブとも言われる。呼称は何でもよいが、ここでは『町人』で統一する。

町人は基本的にメインストーリーには関わってこない。プレイヤーが話しかけることで初めてセリフを返してくる。プレイヤーが存在を無視しようとすれば、一切そのセリフを聞くこともない。まさに脇役中の脇役である。

20131228_1png.png

そんな脇役たる町人の役目は以下の通り。

  • 情報を与える。
  • にぎやかし。

他にも、店などの施設を運営するのも町人の役目と言えなくもないが、この記事にはあまり関係ない。

日の当たらない存在とはいえ、世界を表現するには、そこに住む住人の存在が不可欠だ。住民がまばらにしかない上に、無味乾燥なセリフしか吐かないゴーストタウンのような町ばかりを旅していても、冒険感は得られないというもの。よって今回は、いつも軽視されがちな町人の配置とセリフの内容についてまとめてみる。


町人の人数


先立って、町人の人数について考えておきたい。

セリフを話す町人の人数(店など施設要員を除く)は小さな町で5人。大きな町で20人という程度で十分だろう。町に無駄な空白地帯ができると寂しい感じがするので、そうならないように適度に配置しておきたい。
町人の人数が多くなり過ぎないように注意。多過ぎると制作が大変なのは当然だが、プレイヤーだって話を聞くのが大変になる。それに1人当りの内容が薄れてしまって、重要な情報を見落とすことにも繋がる。

町人の人数はそこそこいるはずなのに、どうにもまばらで寂しい感じがすることもあるかもしれない。その場合は単に町が広すぎる可能性が高いので、見直すことも考えよう。

一つの町で5〜20人程度と書いたが、これが長編RPGともなると町の数も10〜20というように多くなってくる。掛け算して50〜400人。さらに、ストーリー進行で町人のセリフ内容を変化させることも考慮したい。場合によっては、1000を超えるセリフを書かなくてはならないだろう。
一セリフを60文字と考えた場合、1000×60=6万文字となる。大体、小説一冊の3分の1といった分量だろうか。これはなかなか馬鹿にできない作業量だ。

そんなわけで、町人のセリフを考えるのは地味に大変な作業なのだ。

セリフの長さ


『一セリフを60文字と考えた場合』と上で書いたが、実際のところ町人のセリフはどのような長さにすればよいのだろうか? 書き手の好きでよいと言えば、全くその通りなのだが、何か目安が欲しいという方もいるだろう。

そこで参考までに、いくつか市販RPGの町人セリフを引用してみよう。

DQ3

「ここは アリアハンの城下町。」
「北に行くと レーベの村が
 ありますわ。」

約30文字とシンプルなセリフ。

「かつて この国アリアハンは
 すべての世界を おさめて
 いたのじゃ。」
「しかし いろいろな戦争が
 あってな。多くの人々が
 戦いで 命をおとした。」
「それからは 海のむこうに
 通じる 旅のとびらを
 封じこめたと いうことじゃ。」

約100文字のやや長文。改めて見ると結構無茶な設定。アリアハン凄すぎ……。

「オレは 見まわりの兵士さ!
 町に なにか あっても
 オレがいるから だいじょうぶ!」
「安心して 旅を続けて
 くれよな!」

こんな感じでメッセージウインドウ二つ分ぐらいのセリフをしゃべる人物が多い気がする。

FF6

「ここはサウスフィガロの町。」

全体的にDQよりもかなり簡潔だが、これは特に極端な例。体言止めとは、なんてドライな……。

「えらいこっちゃね!
 帝国を敵にまわすとは……」

関西弁を喋る謎の幼女。

「君も見たかい?
 地中を走るフィガロ城の勇姿を。」
「……つってもムダか。
 地中じゃ見えないもんな。」

こういったメッセージウインドウが切り替わるセリフ自体がやや少なめ。


個人的な意見ではFF6だと簡潔過ぎるので、DQ3ぐらいの内容があったほうが好み。ただし、長過ぎるのも読むのが面倒なので、メッセージウインドウが1〜3ページ程度で収まる長さを目安にするとよいだろう。文字数で言うと30〜100文字程度といったところか。

セリフの内容


では、具体的にはどのような内容をセリフに書けばよいのか? よく使われるセリフの種類をパターン別にまとめてみた。

ストーリー進行上重要なセリフ

これがないとゲーム進行もままならないというような重要なセリフ。町人を作成する際は真っ先にここから配置していくとよいだろう。もっとも、このタイプはメインストーリー上の会話に組み込まれることも多い。

目的を示す

「魔王を倒すには伝説の聖剣が必要なのだ」
さすがにここまで重要なセリフはメインイベント上で説明してもいいかも。

目的地・場所を示す

「XXXXを探しているのか? それなら○○○○の町にあるそうだ」

「○○○○の町なら、東の橋を渡った先にあるぞい」

複数人との会話から、より詳細に分かるという風にしてもよい。特にセリフが長くなりすぎた時は分割したほうが分かりやすい。

交通手段を示す

「南の島に渡るには船が必要だ。
 船乗り達と交渉してみるがいい」

定番の乗り物イベント。

攻略上有益なセリフ

次に優先して配置したいのはこのタイプ。攻略上必須ではないが聞いておくと便利というもの。

ゲームシステムの説明

「素早さが高いと敵より先に動けるぜ」
パラメータの説明をしておく。攻撃力のようにそのまんまなパラメータはあえて説明しなくともよいかも。

「レベル20にならないと転職はできない。
 そして、転職した直後はレベルが1に戻ってしまう」

新システムを解禁したら、その説明もやっておこう。序盤から一気に説明を流されると、引かれることもあるので、小出しできるものは小出しでもよいと思う。

道具の情報

「聖水を使うと弱い敵は寄って来なくなる。
 戦いが面倒になったら使ってみな」

特に有効活用して欲しいという道具に関しては、町人に説明させてみるのも手だ。メニュー画面や買い物画面での説明だけでやるよりは印象が深まる。

仲間や職業の特性

「戦士は打たれ強くて、力も強い。
 パーティの先頭で戦える職業だぜ」

特に個性的で取っ付きにくい職業ほど説明は大事となる。

「ウチの子は魔法は得意だけど、HPはあまり高くないんだ。
 無茶させないように、守ってやっておくれ」

仲間キャラクターの家族などに語らせてみるのも、人間関係が浮かび上がって面白い。

特定の場所や敵に関する情報

「砂漠の敵は水の魔法に弱いぞ」
ザコ敵の弱点を伝える。

「バジリスクは石化の攻撃を使ってくるんだ。
 回復手段は用意しておけよ」

即死・石化といったキツい状態異常は、前もって警告しておくと理不尽感は軽減されるかも。

「四天王XXXXは毒魔法の使い手だ。
 奴の毒霧に何人もの仲間が倒れた……」

ボス敵の特徴を前もって知らせてみたり。

施設案内・道案内

「村長の家なら、一番奥にありますよ」
『ストーリー進行上重要なセリフ』との境界は微妙なところだが、対して迷わない場所にも案内を入れてみる。使える機会は多いので、セリフのネタが切れた時には地味に役立つ。

ストーリーや世界設定を深めるセリフ

必ずしも必要なセリフではないが、あると理解が深まる。『情報』と『にぎやかし』の中間的な役目。

イベント

「式典は明日、開催される予定です。
 今年も各国から著名人が集まるらしいので、楽しみですよ」

これから起こるイベントについて、事前情報を出しておく。

「楽しみにしていた式典があんな惨劇になるなんて……。
 ああ、これからどうなってしまうのか……」

もちろん、イベントが終わった後はこんな感じで。

過去・歴史

「千年前、伝説の勇者が魔王を倒したのじゃ。
 それ以来、世界は平和だったのじゃが……」

世界の歴史をオープニングテロップで一気にやるのは鬱陶しい――と思った場合は、こんな風に小出しにするとよいかも。町人じゃなくて、本棚などから情報を得られるようにしてもよい。

「君の父上はこの国で最も優れた剣士だったのだよ。
 全く惜しい人を亡くしたものだ……」

主人公〜主要人物の両親など、過去の設定も同様。


「魔物とは五百年前に突如現れた悪しき生物なのです。
 その生態はいまだ謎に包まれています」

お約束の魔物といった概念にも何か説明を加えてみてもよいかもしれない。

地理

「この世界には四つの大陸があるのです。
 どの大陸も、この島よりはるかに広大ですよ」

先の冒険への期待感をふくらませる。

科学・技術

「この鉱山で採れるミスリルは優れた金属だ。
 銅よりも軽く、鋼よりも丈夫なんだぜ」

こんな説明があると、件のミスリル武器を手に入れた時に、単なる数値以上の嬉しさが得られるというもの。

「飛行船の核には浮遊石を使っています。
 浮遊石は空気に浮かぶ不思議な石なのです」

作品によっては世界独自のエネルギー源が存在しており、ストーリーに深く関わってくる場合も。例えば、FF7の魔晄エネルギーなど。

町・国家

「ここはXXXXの町だ。
 この町は魔物から人々を守るため
 高い壁で囲まれているんだ」

とりあえず、入口に町の説明をしてくれる人を配置するのは基本。何か一言でも、町名以外の特徴を入れるとよいかと思う。

「XXXX帝国と○○○○共和国は
 既に十年間も戦争を続けている」

国際情勢も語らせてみよう。

人物

「大臣のXXXXは汚職まみれの汚い野郎だ。
 どうして陛下はあいつを首にしないんだ!」

ストーリー上の重要人物について、情報を伝えてみる。

「XXXXさんはこの国で一番の槍の達人だよ。
 強いだけじゃなく、性格も優しいんだ」

『仲間キャラクター』の人物評も入れてみよう。パーティにいる時は会話が変化しても面白い。

「あのドラゴンを倒してしまうなんて
 XXXX。お前こそ真の勇者だ!」

もちろん、主人公だって一人の人物。プレイヤーが成し遂げたことをほめてくれると嬉しいかも。

雑談

「今日の晩御飯は何にしようかしら?」
というようにストーリーにも世界設定にも関与しない雑談。純粋なるにぎやかし。
基本的には、ネタに付きた場合の苦し紛れなので、乱用は禁物。できれば『ストーリーや世界設定を深めるセリフ』に近付けたほうが望ましい。

例えば
「今日の晩御飯はXXXX名物の○○○○芋を使ったシチューよ」
という具合にその世界独自の固有名詞を入れて雰囲気作りをする。

あるいは
「今日の晩御飯は抜きよ。この国は貧しいから、
 1日3食というわけにはいかないの……」

というように経済状況を表現してみるのもよい。

もっとも
「今日の晩御飯は何にしようかしら?」
というセリフだって『平和で深刻な悩みを持たずに住める町』であるという設定を遠回しに表現していると言えなくもないけれど。

まとめ


今回の講座は実に地味だった。しかしながら、町人のセリフは地味ながら大事なもの。「町人のセリフを書きたいが思いつかない!」と思った時はこの講座を眺めてみて欲しい。例に挙げたセリフの数々はわざと簡素にしてあるので、色々と肉付けしてみるのがおすすめ。

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【RPG制作講座】自由度

2013年10月26日

一般に自由度が高いRPGは良いRPGであると言われることが多い。逆に自由度が低いRPG――例えばFF13などは「一本道」「ロールプレイングならぬレールプレイングゲームだ」というように、非難を浴びることが多い。ネット上でのレビューや議論を見る限りでは、どうやらみんな『自由度』が大好きなようだ。

そんな自由度であるが、そこに含まれる『自由』の内実は多岐に渡る。

  • 行き先を決める自由
  • 誰を仲間にするか決める自由
  • 村人に話しかける自由
  • 気に入らないイベントに参加しない自由

というようにだ。

そこで、今一度『自由』というものを細分化しまとめる。自由の内実を理解することで、自由の一体何が面白いのかに迫ってみたい。そして、ゲームが面白くなる方向に自由度を調整できるようになりたいところだ。主にシナリオ寄りの内容になっている。

二つの自由


ゲームにおける自由とは、大きく二つに分けることができる。『目的の自由』と『手段の自由』である。

目的の自由

プレイヤーが目的を決めることができるという自由。例えば、マルチエンディングの作品で、どのエンディングを目指すのかを決めるといった自由だ。目的といっても、個別のイベントの目的から、物語の最終目的まで幅広い。洋ゲーなどはこの辺の自由度も高いらしいが、良く知らないので省略。
ポケモンで「ストーリーのクリアはタダの通過点。目的は対戦で勝ちまくることだ!」というのも立派な目的の自由。

ただし、これが全くの自由だと「何をやったら良いのか分からない」という状態になりやすいので注意。かくいう僕も「何でもできる」だけのゲームをやるぐらいなら、リアルで創作活動でもしてたほうがいいんじゃね? とか思っていたりする。やはり、ある程度の方向性は示して欲しいところ。

手段の自由

目的は確定しているものとする。その上で目的を果たすための手段の自由を指す。例えば、敵のボスを「力尽くで倒すか」「トラップを仕掛けてからめ手で倒すか」それとも「交渉して和解するか」といったものだ。

例として……

バンガード(ロマンシングサガ3)

潜水機能を持った要塞バンガードを起動するという目的のために、術師の協力を得ることに。しかし、有力な二人の術師(ウンディーネ&ボルカノ)は仲が悪い上に、タダでは力を貸してくれそうにない。
取りうる選択肢は以下のようになる。

  • ウンディーネを倒して、ボルカノの協力を得る。
  • ボルカノを倒して、ウンディーネの協力を得る。
  • 喧嘩両成敗にして、協力を得る。

フレイムタイラント&アイスソード(ロマンシングサガ)

終盤のダンジョン冥府に向かうためには、火山に住むフレイムタイラントと交渉しなくてはならない。「アイスソードを持ってくれば通してやる」とのことだが、剣を持つ旅の聖戦士ガラハドも簡単には譲ってくれそうにない。
……って、以前の記事(面白いイベントを作るには?)でも書いてるので省略。

手段の自由度が高い作品は工夫の余地も大きく、戦略性が高い作品と言えるかもしれない。シナリオ側だけではなくゲームシステム・バランス側の分担も大事だ。

詳細な自由


以下は上に挙げた2つの自由をより詳細に分類したもの。

選択の自由

掲示された選択肢に対する自由。場合によっては、上に挙げたような目的や手段が変化することもある。
印象的なのはタクティクスオウガ。要所の選択肢に対する決定によって、以降の展開が大きく変化する。特に一章最後の選択肢では、主人公が悪事に加担することもできるという内容で、当時衝撃的だった。このように自分の判断がストーリー展開を大きく左右するということは、プレイヤーの作品への没入感を強く高める。複数の展開を用意するのは、やはり手間が掛かるのだが・・・。

DQによくあるような『はい』だろうが『いいえ』だろうが、会話内容がちょっと変わる程度でしかない選択肢だってもちろん『選択の自由』の一部。結果は変わらないという点で、さほど自由度に寄与しているとは言えないかもしれないが……。

行動範囲の自由

「どれだけ広い範囲を移動できるか」「どれだけ遠くまで移動できるか」「どんな場所に行けるのか」といった自由。ストーリーを進めることで、行動範囲が広がるのが普通だ。特に乗物入手による移動範囲の拡張はワクワクもの。
自由度が高いRPGは序盤から行動範囲の制約がゆるい傾向にある。最初から制約はほとんど無いが、遠出すると敵が強くなるので実質的には制約があるというDQ1型もある。このタイプの場合、ストーリーを進めなくとも、プレイヤーのスキル次第で遠出できるという利点がある。

自由度が低いRPGの場合は、前の町に戻ることも満足にできなかったりする。やはりFF13の一本道などが代表的。それに限らず、ストーリー性重視のRPGならば、一時的に行動範囲が狭まった結果、一本道になりやすい。FF9,10など。

移動手段の便利さも重要。移動魔法ルーラがあるDQや、ワールドマップを開けば一瞬で各地に移動できるロマサガなどは便利。前の町に戻るのに、非常に時間が掛かるような仕様では、わざわざ面倒を掛けてまで戻ることは少ないだろう。これもやはり一本道に近いプレイになりやすい。

施設/システムを利用する自由

「お店を始めとした施設を利用できるか」「どんな道具・装備を購入できるか」「転職などのシステムを利用できるか」「どんな職業に転職できるか」といった自由。

ストーリーの進行によって、利用できる『施設/システム』がぎちぎちに定められている場合、戦略の幅が狭まることになる。かといって、序盤から何でもできてしまうと、中盤・後半にモチベーションとなる要素が無くなる。ここはゲームバランスのセンスが要求される大事な部分だ。

順序の自由

イベント等をどんな順番にこなすかを決定する自由。DQシリーズには大抵、オーブなどの何かを自由な順序で集めるイベントがある。ロマサガ2の七英雄退治、ロマサガ3の四魔貴族退治などもこれ。JRPGにおける自由度が高い作品は、これが充実している場合が多い。
「順番を変えられるだけじゃ大したことない」「所詮は朝三暮四」なんて思われるかもしれないが、これがなかなか侮れない。

例えば、この自由によってどんなことができるかというと……

  • 敵が強いダンジョンにあえて挑んで、パーティを効率良く強化する。
  • 良い武器がある町に優先して向かう。
  • 炎のボスと戦う前に、弱点の氷の武器が手に入るイベントをこなす。ロックマン式。
  • 気に入った仲間が加わるイベントを優先してこなす。
  • 一通り行動できる範囲をブラブラしてみて、面白そうなイベントに挑む。

というように、意外とプレイの幅が広がるものだ。

もっとも初回プレイではどこで望みの物が手に入るかを把握するのは難しいのだが、色んな場所に手探りで行ってみるのも楽しいもの。二周目以降はどうやればプレイ効率を上げられるかを考える楽しみもある。

もちろん『行動範囲の自由』が大きいほど、比例してこちらも大きくなるので、合わせて考えよう。

任意の自由

やってもやらなくても良いという自由。ゲームクリアに必須では無いサブイベントがこれに当たる。話し掛ける必要が無い町人との会話も、これに含むと考えることができる。任意とは言っても重要度の高さに応じてその意味合いも変わってくる。

重要度が高いと……

進行上重要で、こなさないと進行に支障を来たす。「ハッピーエンドのフラグが立たない」「攻略に必要な情報が不足する」など。DQ3に例えると、ラスボス弱体化に必要な『光の玉』の入手イベントがこれに当たる。

重要度が低いと……

別にやらなくても良い。「強力な装備が手に入るが、無くても十分クリアできる」「キャラクターの個別エピソード。本編にはさほど関係無い」など。またまたDQ3に例えると、『ノアニール』や『ムオル』のイベントがこれに当たる。そんなイベント知らね・忘れたって人はごめんなさい。

自由に対する結果・反応


最後に『結果』『反応』の重要性を指摘しておきたい。

自由とは第一にプレイヤーが何をできるかという『入力』である。しかし、入力の方法が豊富なだけでは、十分な自由度が得られるとは言い難い。自由度の高さを実感するには、入力に対する『出力』――つまり『結果』『反応』が必要なのだ。これが充実していないことにはどんなに入力が豊富でも、見せかけの自由でしか無い。

例を挙げてみよう。
「DQ3の勇者は21168通りの装備ができる!
 だからDQ3の装備は自由度が超高い!」
※FC版「武器:21 × 鎧:18 × 盾:8 × 兜:7」で算出。
 装飾品は無視。女性専用装備と素手含む。


恐らく、この主張に納得してくれる人はほとんどいないはず。それは21168の内、意味のある組み合わせ自体がほとんど限られているからである。
DQ9では装備品によって、キャラクターの見た目が変わるのだが、この時点ではそういった要素も見られない。よって、性能に優れた装備だけで固めるのが常となる。「武器は王者の剣――ただし防具は全裸」というような珍妙な組み合わせは最初から選択肢にも入らないというわけだ。

要するに自由度が高いとは「プレイヤーが『取るに値する』行動パターンが豊富にあること」を意味している。そういう意味では『戦略性』『戦術性』にも通じる部分がある。

そのためにも、重要なのはバランス調整だ。
「性能に大差無い仲間キャラが大量にいる自由」「弱い武器を買う自由」「ダルいだけのミニゲームをやる自由」「長いだけのコピペダンジョンを探索する自由」。そんな自由が充実していたところで、それは下手をすれば「壁に向かって走り続ける自由」「同じ村人に100回話しかける自由」と大差無いとプレイヤーに思われているかもしれない。

自由は『結果』『反応』あってこそ実感できると言えるだろう。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(7) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする