【RPGレビュー】ドラゴンクエスト6 幻の大地

2013年06月08日


発売元エニックス
機種SFC
発売日1995/12/09
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
80708080908080801995/12頃

 SFCでは後期のRPG。FF6よりも、さらに1年半も後の作品だったりする。
 DS版のリメイクも存在しており、仲間会話システムが搭載されている。ただし、難易度が低下している他、モンスター仲間システムが削られているらしい。

質量/物語


 本作では、二つの世界を行き来しながら冒険することになる。DQ6のストーリーは比較的地味な印象があるけれど、世界設定は凝っている。あまり、ネタバレも何なので細かくは書かないが、二つの世界の関係性にも一応の意外性がある。

 ストーリー上の難点として、比較的序盤に魔王ムドーとの決戦という山場を終えてしまうため、以降の展開で中弛みしやすいことが挙げられる。ジャミラスとかグラコスとかデュランとか敵側の幹部関連のイベントがあっさりしているのは、ちともったいない。
 また、全体的にプレイヤーに対する動機付けが少々乏しいのも気になるところ。
 『精霊のお告げで旅立て』とか『自分探ししろ』とか、何だか漠然としていて、プレイヤー自身に『〜せねば』と感じさせる要素に乏しい。
 特に『自分探し』については、主人公の正体がほぼ判明してからの展開となる。例えば、記憶喪失の主人公が自分の正体を探す物語は王道だけど、そういったミステリー要素もないので牽引力に欠ける。
 それでいて、明確な目的が示されない割にストーリー進行は一本道が多く、行ける場所に行けば何となく話が進む。もっとも、これはDQ5の時点で徴候があったけれども。

 DQ4や5と比較して、かなり長かった印象があるのだが調べてみると、ダンジョン自体はそれほどでもない。ダンジョン数は27程度と確かに多いのだが、『川の抜け道』『砂漠の抜け道』といった短いものが多く含まれている。長いと感じるのは、手強いボス戦が多いからだろう。

 シナリオ進行による町人のセリフ変化が多いせいか、文章量が非常に多い。セリフ集を見る限りは、30万字以上もあるようだが、これはDQ5の数倍となる。ただし、メインストーリー上では仲間キャラクターはごく限られた場面でしかセリフを話さない。

システム/バランス/快適性


  • DQ3以来となる転職システムを搭載。
  • DQ4のようにストーリー進行に合わせて多数の仲間が登場。
  • DQ5から引き続きモンスター仲間システムを採用。

 というように、それまでのDQシリーズの集大成と言うべき贅沢なシステムとなっている。しかし、それがうまくいっているかというと難しいところ。各システム自体が衝突を起こしてしまって、それぞれの魅力を発揮できていない部分が多く見られる。

 例えば……

  • 呪文・特技の習得が職業にほぼ依存しているため、キャラ毎の特性が薄まっている。
  • 後半、仲間になったキャラは職業熟練度が低く、使いにくい。
  • せっかく、モンスターを仲間にしても人間の仲間で事足りる。

 というように、『色々盛り込んだけど、うまくいかなかったシステム』の代表として挙げられることも多い。

 僕の長年のゲーム制作経験から見て、この種の『ごった煮系システム』の問題を指摘すると、それは制作に掛けた手間に見合った成果を得にくいこと。2年掛けて色々と盛り込んだゲームシステムが、半年で作ったシンプルなゲームシステムと大差ない評判だったり、それどころかむしろ劣る。なんて憂き目を見やすい。これは制作者としては、結構悲しいことなので気をつけたいと常々思う。

 ゲーム序盤、魔王ムドーを倒すまでは転職システム(及びそれに付属するモンスター仲間システム)が解禁されない。それまでは、シンプルな進行となるのだが、ゲームバランスとしては、むしろこの部分を評価する人が多い。特に難関となる魔王ムドーとの戦いの評価が高い。

 で、転職システムが解禁されると同時にゲームバランスも大きく変化する。DQ6の転職システムはDQ3とは異なり、転職してもレベルは下がらない。レベルはそのまま、職業に沿った能力補正が掛かるというもので、FF5のジョブアビリティシステムに酷似している。ただし、DQ6の場合「一度覚えた呪文・特技は他の職業になっても制限なく使用できる」という点で異なる。

 職業間のバランス調整にはかなり難あり。特に武闘家は『まわしげり』『せいけんづき』『ばくれつけん』など、MPを消費しないで使える強力な特技を多く持っている。『まわしげり』など、複数の敵に攻撃できる技はブーメランやムチといった複数攻撃武器や複数攻撃呪文の存在価値を大きく奪ってしまっている。
 このように転職システムの恩恵によって、劇的に強くなる楽しみはあるのだが、戦闘が単調になってしまう傾向がある。
 また、職業による能力補正も問題あり。例えば、魔法使いは最大HPが大きく下がるのだが、バーバラのような元々、HPの低いキャラクターを魔法使いに転職させると、その特徴がさらに際立つ。あまりにもHPが低くなって、まともに戦闘に使えなくなってしまう。

 呪文の弱体化も甚だしい。多くの特技が攻撃力の上昇に比例して、威力も上昇するように設定されているのに対して、呪文は与えられるダメージが固定されている。FFのように弱点を付けば大ダメージを与えるという要素も薄い。特技の多くは消費MPが存在しない。

 職業間のバランスだけではなく、単純にキャラクター間の強さのバランスにも問題あり。呪文・特技はほぼ職業に依存する分、能力値でキャラの個性化を図る必要があるわけだけど、どうもその調整がまずい。
 特によく言われるのは、後半に仲間となるテリーが強くないということ。ストーリー上でさんざん期待させた分、落差が酷い。強くないという以前に、チャモロと能力的な差異に乏しく、今ひとつ差別化ができていないのが難点。
 ゲームシステム上、HPや力の高いキャラが有利で、プレイヤーが使用するキャラも偏りやすい。最終的に主人公、ハッサン、ドランゴ、アモス辺りを一軍に固定した人が多いはず。強いけど、いかつい。

 そんなわけで、この作品こそ、DQ9で導入された『攻撃魔力』『回復魔力』のようなパラメータがあれば、良かったのではないだろうか。

  • バーバラ:攻撃型魔法使い
  • チャモロ:回復型魔法使い
  • ミレーユ:バランス型魔法使い
  • テリー :魔法戦士

 という感じで、差別化できそうだけど、どうでしょう。

美術


 SFC後期だけあってドット絵は綺麗。モンスターが行動の度にアニメーションをするようになったのは、この作品から。これより後にDQ3のリメイクがあって、さすがにそちらには劣るが、それでもDQ5と比較すると一目瞭然でグラフィックの質が向上している。ただし、モンスターデザイン自体の評価はDQ3、4辺りと比較すると劣るかも。

音楽


 曲調が今までの作品と比較すると、地味目かもしれない。特に戦闘やフィールド曲の評価はそれまでの作品と比較して一歩劣る。戦闘曲では、演出もあってムドー戦のものが最も評価が高い。
 なんだかんだ言いながら、町やダンジョンの曲はなかなか多彩。目立つところに良曲は少ないのだけど、全体としては悪くない水準を維持している。

まとめ


 全体的には水準以上だし、SFCのRPGの中では、かなり遊びやすい部類でもある。マイナーRPGの類と比較すれば、完成度には雲泥の差がある。

 その割に、何だか思い付いたことを好きに書いていたら、不満点ばかりが目立ってしまった。僕に限らず、この作品はストーリー・システム・バランスに付いては「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と言われることが多く、つまりはもったいない作品なのかもしれない。

 色々と書いたのは、そんなDQ6に付いて、何が足りないのかを考察することが、ゲーム制作者として有意義だと思った次第。
posted by 砂川赳 at 06:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする