【RPGレビュー】ゼノブレイド

2012年09月22日

発売元任天堂(公式)
機種Wii
発売日2010/06/10
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
90808070608090792012/09/20

質量/物語


 ゼノギアス、ゼノサーガに継ぐ、高橋哲哉氏が監督を務めるRPG。筆者のクリアまでの時間は62時間。寄り道は程々にしてプレイ。寄り道要素をしっかりこなすと100時間を越えるらしい。

 巨神、機神と呼ばれる2体の巨大な神の骸の上が物語の舞台。ギアス、サーガと比較して、ファンタジー色がかなり強くなっているが、敵となるのは機神兵と呼ばれる機械の敵達であったりと、SF色も強い。世界観は新しいが、ストーリー展開は王道。主人公シュルクは機神兵を倒す力を持った剣『モナド』を手に戦いの旅に出る。

 マップは広大で自由に動き回れる。いわゆる『見えない壁』の様な物も無く、高い場所からジャンプして、水の中に飛び込んだりと好き勝手に世界を動き回れる。雰囲気はジャンプができて、高低差のあるFF12といった感じ。
さらに……

  • 至る所にアイテムが落ちている。
  • 場所毎に生息する魔物が細かく違う。また、ストーリー進行には関わらない強敵の『ユニークモンスター』と戦う事もできる。
  • 怪しい場所に向かうと『秘境』を発見することがある。(経験値が手に入る)

 という具合に、探索する楽しさが出るように工夫がされている。

 1ダンジョンはかなり長めで、ストーリーのテンポはゆっくり。ただでさえマップが広いのに、お使いイベントでプレイ時間を稼ぐ傾向も見られる。正直、物語中盤はプレイしていて、かなりダレたのだけど、物語後半はスケールの大きな展開で盛り上がる。演出力が高いお陰で、作品独自の世界観をうまく表現できているのが大きい。

 サブイベントとして、クエストが大量に存在する。ただし、大半は「魔物を倒してくれ」「アイテムを集めてきてくれ」等のお使いなので、好みは分かれる。本筋にそこそこ緊迫感があるので、ゆったりクエストなんてやってていいのかという疑問も。ある程度は本筋のついでに可能だけど、時間に余裕がないと辛いかも。
 クエストの報酬も微妙な物が多くて、余りメリットが感じられないことも多かった。普通に本筋を進めていれば、次から次へと敵がアイテムを落としていくので、装備やお金に不足することが少ない。結局、筆者はメリットの大きいものだけ済ませて、さっさと進めるようにした。
 クエストがあるならば、本筋のお使いイベントはもっと削ってもよかったんじゃないかなあと。

 主観が入っているかもしれないけど、気になったのは主人公のシュルク。
 青臭い性格自体が悪いとは思わないけれど、物語中盤に散々悪さをした悪役を土壇場になって、見逃そうとするシーンは、さすがにどうかと思ってしまった。「人間は殺さない」という主張は分かるけれど、拘束ぐらいはしたほうがいいんじゃ……。結局、悪役は『事故』によって都合よく処理される。

 戦闘関連のキャラクターボイスが過剰。特に主人公はザコ戦で普通に技を使っただけで、親の仇に斬りかかるような絶叫をする。戦闘勝利時にキャラ同士の掛け合いが入るけれど、レパートリに乏しい。「勝てたのはみんなのおかげだよ」を何百回と聞くことに……。テイルズオブシリーズでこの種のノリに、慣れているはずの僕でも気になるレベル。

システム/バランス/快適性


戦闘

 戦闘はFF12等と同様のシームレス。マップ上を歩く敵と、画面切り替えなしでそのまま戦闘になるので快適。ただし、戦闘を仕掛けて終了するまでのスムーズさは「敵を1体倒す毎に、戦利品の宝箱を開ける必要がある」「抜刀・納刀に演出が入る」等の点で、FF12と比較すると劣る。特に敵が分散していて、ちまちま1体ずつ倒さなければならない場合はこれが顕著。

 リアルタイム型の戦闘システムで、戦闘メンバーは3人まで。プレイヤーは1人だけを操作し、後の2人はAIにお任せする形式。細かい作戦の指定はできないが、それなりに賢く戦ってくれる。

 仲間キャラクターの中で、まともな回復技を持つキャラは限られる。主人公と回復役を固定すると、選べるメンバーは残り1人となってしまうので、パーティ編成の自由度は実質的に低くなってしまう。ちなみに、主人公は性能的にかなりの特権を持っているので、外しにくい。

 戦闘システムはネトゲ等に、良くあるヘイト管理の要素を取り入れたもの。敵に狙われているキャラは赤い光で表示されるので、うまく盾役に攻撃が集まるように敵を誘導する必要がある。
 主人公の持つ『未来視』という能力によって、敵が危険な攻撃を放つ場合は、事前に警告がされる。これに対して、どうやって防ぐかという判断が要求される。ただし、演出がカットできないので、強敵とのギリギリの戦いでは、ちょっとしつこいかも。

 他にも、色々と細かくあるけれど基本的にオート気味なので、細かな戦術は立てにくい。特に主人公固有の技に重要な物が多いけれど、操作キャラを他に切り替えていた場合は思い通りに使えないのが辛い。この辺は戦闘中にもキャラの切替ができれば、もっと幅が広がったんじゃないかと思う。どちらかというと、戦闘前の準備の方が重要となる。

 大型の敵や複数の敵との戦いでは、何をやっているのか分からなくなりやすい上に、激しく処理落ちするのは気になるところ。中盤以降は大型の敵との戦いが多く、技を使う度に処理落ちするという状況が見られた。背景や敵の作り込みが凄い分、Wiiの限界なのかも……。

 MPに該当する要素は存在せず、一度使った技は時間が経つと、再び使用できるようになる。戦闘が終了すると、HPは高速で回復する。RPGにありがちな回復の手間が省けるので快適。消耗を気にする必要もないため、探索に没頭できる。ただ、このせいで同格以下の敵との戦いはリスクが小さく緊張感に欠ける傾向も。

 このゲーム、かなり妙なレベル補正が設定されているらしく、敵とのレベル差が3以上になると、能力差以上に不利になる仕様がある。特に自分より6以上レベルが高い相手には、対策を取らないと攻撃がほぼ当たらない。僕の場合、サブイベントを程々に進めていたため、レベル不足で経験値稼ぎを強要させられがちだった。
 また、逆にこちらがレベルを上げ過ぎると、ボス戦は楽勝になる。寄り道要素が多くプレイスタイルによるレベル差が大きいこの作品には、何とも不自由で相応しくない調整だと思うけれど……。

快適性

 マップが非常に広大で、移動を大変に感じるところもあるが、一度行った要所(ランドマーク)には地図画面から、瞬時に移動することができる。全滅時も、同じくランドマークから復活できるし、金の減少などのデメリットも一切なし。これは本当にありがたい機能。

 マップの切替に付いても、ロード時間はさほど気にならないし、切替の頻度も少ない。広大なマップを、どうやってこの速度でロードしているのか不思議になるほど。

 ただし、メニュー画面や店などの画面切替では、頻繁にロードを行う。装備やスキル、アイテムなどの種類は多く、メニューを操作する頻度は多いので、とても気になる。
 また、FF7のマテリアの如く装備にジェム(宝石)をはめ込む事で、キャラクターを強化することができるが、これも使い勝手はいまいち。『武器』『頭』『体』『腕』『膝』『足』の6つも装備箇所があるのに、装備を変更する際には、いちいちジェムを外して新しい装備に付け直す必要がある。
 他にも、「アイテムや装備の並び順を保持できない」「アイコンにカーソルを合わせないと、アイテム名が見えない」「持ち数制限があって、適時の整理が必要」「装備画面で装備品の一部説明が見えない」等、メニューの使い勝手は今ひとつ。

 全体的にシステム周りは使うボタンも多く、少々煩雑。クラシックコントローラだと、押しにくいZRボタンに重要なキーを割り当てているのが使い辛い。戦闘やメニューでyボタンがお留守になっているので、これに当てればよかったのに。

美術


 広大なマップの描写がとても美しい。沼地・原生林等、様々な場所を冒険して、世界を堪能することができる。イベントシーンの演出力はかなりの水準。迫力十分で熱い展開を盛り上げる。

 キャラクターの姿はアニメ系ではなくリアル系。姿は装備品によって変化する。イベント中のグラフィックにも装備品のグラフィックはしっかり反映される。そのためにムービーを使わないのも好印象。ただ、装備品のデザインは派手過ぎるものが多く、まるで仮装行列状態。イベントシーンではかなりの違和感がある。

 敵の機神兵のデザインは中々良好。ファンタジー色を持った世界観との異質感が作品独自の雰囲気を形作っている。逆に人物のグラフィックは顔とか指とか、細部まで見ると粗も見られる。

音楽


 フィールド曲のクオリティが特に高く、広大な世界で繰り広げられる冒険を演出する。昼と夜で音楽の雰囲気が変わるのも良い仕事。前半の通常戦闘は地味だが、後半の通常戦闘やイベント戦闘、ユニークモンスターとの戦いが熱い。

雑感


 レビューサイトなどで、非常に高評価だったので、期待しながらプレイ。やってみた感じは、『面白かった点』と『不満を感じた点』が入り交じっており、思ったより人を選ぶゲームという印象。

最も大きな評価の分かれ目は……

  • 広大なマップの探索
  • 豊富なお使いクエスト

 この2点を『楽しい』と思えるか、『面倒臭い』と感じるかだと思う。僕はどちらかというと面倒臭いと感じる側なので、不満点もそれなり。作品の雰囲気が近いFF12等でこういった要素を楽しめたという人ならば、まず、間違いなくこの作品も楽しめるはず。

 特に敵もマップも機械ばかりになる中盤〜後半は『ストーリー』『戦闘』の双方に単調・面倒な部分が多く、中だるみを感じた。とはいえ、後半〜終盤に掛けてはストーリーも盛り上がり、取れる戦略・戦術も増えるので、総合的にはそこそこ満足することができた。
posted by 砂川赳 at 06:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする