【RPGレビュー】アークライズファンタジア

2012年09月15日

発売元マーベラスエンターテイメント(公式)
機種Wii
発売日2009/06/04
質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
80808070608080762012/09/13

質量/物語


 販売:マーベラスエンターテイメント、開発:イメージエポック。中小メーカー製としては、今時珍しい王道かつ大作RPG。

 シナリオライターはテイルズオブシンフォニア&ジアビスと同じ人(実弥島 巧氏)。パーティトーク(テイルズにおけるチャット)を始め、狙ってやってるのかという程、色々とこの2作と同じ臭いがする。

  • ヒロインは教会に所属。歌によって術を行使する。この能力が物語のカギとなる。
  • 国家間の対立の狭間で、主人公達が色々と立ちまわる。
  • 物語中盤のログレス集め。テイルズにおける精霊集めに該当。順序に若干の自由あり。

 といった具合。上2つはジアビス。下はシンフォニアとの共通点。

 新鮮味はないかもしれないけど、元々この2作はシナリオ評価が高い部類なので、一応の安定感がある。中年キャラがカッコいいお陰か、話のノリは若干テイルズよりも落ち着いている感じ。ジアビスに良く似て、各キャラクターが色々な思惑を抱えており、仲間内での対立が多い。物語は一筋縄ではいかず、先の展開が気になる作りになっている。

 ただ、それにしても終盤の展開はちょっとベタ過ぎかも。テイルズオブシリーズを何作かクリアしたというプレイヤーなら、食傷気味に感じる箇所があるかと思う。上記2作以外にも、デスティニー2やラタトスクの騎士(シンフォニアの続編。実弥島氏はシナリオ原案の模様)辺りとも、カブっているせいで激しく既視感が……。

 クエスト等(お使いだけど……)の要素もあって、終盤はサブイベントもそこそこある。『ネームドモンスター』といって、手強い敵との戦いも用意されている。

 戦闘時の声の掛け合いが地味に細かくて面白い。回復を掛けた相手の性別で、反応を変えるサージュとか。攻撃する相手によって、専用セリフがある敵キャラとか。

 筆者のクリアまでは55時間。全滅によるロスがそこそこあるので、実質的にはもう少し多いかも。全体的にダンジョンは短めでも、ボス戦に時間が掛かる。隠しダンジョンもあるけど、後述するボス戦の長さに耐えかねて断念。

システム/バランス/快適性


戦闘

 戦闘システムは、行動するキャラクターを切り替えながら戦うというもの。行動はパーティ全体で共有するAP(毎ターン溜まる行動ポイント)が0になるまで複数回可能。同じキャラクターばかりを行動させることもできる。
 なかなか戦略性は高いが、クラシックコントローラでは、キャラクターの切替にLRボタンを使用するのが、ちょっとやり辛い。個人的には←→キーがよかったと思う。

 術技は少し時間が掛かるものの、使用頻度の高い通常攻撃はスピーディ。オートにすれば、弱いザコ戦は数十秒で決着が付く。しかし、ボス戦は長引くと、何十分と掛かることも。どうも、回復アイテム(1種類99個まで持てる。蘇生も楽々)の使用を前提にバランス調整しているのか、攻め手に掛ける場合は延々と長引きやすい。また、MPの制限は非常に厳しいので、ザコ戦で光召術(魔法)は使い辛い。

 傾向として、ザコ敵と比較してボス敵が非常に強い。シンボルエンカウントだが、道中のザコ敵をひたすら倒して鍛えていても、ボス戦では苦戦させられる。(後半はザコ敵も結構強い)

 勝利するためには、ボスの弱点や攻撃を調べた上で、対策を取らなければ厳しい。それ自体は上等だけど、問題は全滅=ゲームオーバーなのに、ボス戦前にセーブポイントがないのが珍しくないこと。そのため、ボスにとりあえず全滅覚悟で当たってみて、戦略を練って再挑戦するという方法を取り辛い。

 敵の経験値にはレベルによる補正が掛かっており、こちらのレベルより低い敵を倒しても、貰える経験値が下がる。レベル上げによるゴリ押しが難しいので、ライトユーザーには、あんまり優しくなさそう。

 戦闘システム・バランス自体は、それなりに練り込まれており光る所も多い。ただ、問題はボス戦の長さにプレイヤーが耐えられるかどうか。下手を打てば、1戦闘に1時間以上掛かる事もあるので、それで全滅したら心が折れること間違いなし。特にゲーム後半はボス戦の回数が多く、強いボスも多いのでとても疲れた。誇張ではなく、筆者のプレイ時間の半分程度はボス戦と、その準備・経験値稼ぎに費やされた。

強化システム

 武器にピースをはめ込む事で、カスタマイズが可能。FF7のマテリアとFF9の装備アビリティを合わせて複雑化したようなシステムで、ピースがこのゲームにおけるスキルに当たる。新しく手に入った武器は最初、何らかのピースが固定されているが、戦闘を重ねて武器レベルを上げることで、取り外しできるようになる。ピースの組み合わせ次第で、同じキャラクターであっても、『攻撃役』『壁役』『支援役』というように役割を変えることができて面白い。

 ただし、武器を変更する場合、ピースを引き継いでくれないので、手動で付け替える必要がある。また、武器レベルがMAXになると、強力な武器固有スキルを発動できるようになるが、それ以上の成長は望めないので、育成時は別の武器に変えておく必要がある。

 戦闘に参加しなかった仲間について、経験値は手に入るが、武器は成長しない。新しい武器のピースを取り外すには、装備できるキャラを戦闘に出す必要がある。しかし、武器を育てるために、育成用の編成でダンジョン攻略していた場合、そのままボス戦に突入してしまって積むことがある。

 以上より結局、筆者のプレイスタイルは……

  1. 育成用の編成で、レベルと武器レベルを上げる。
  2. 攻略用の編成で、一気にダンジョンを攻略し、ボスを撃破する。

 というものに落ち着いた。

 育成用と攻略用のキャラの切替は手間が掛かる。今時のRPGなら普通はダンジョン攻略しながら、自然にキャラを成長させられる様になっているけれど、それらと比較して、ゲーム進行はスムーズとは言い難い。後半は敵のレベルが跳ね上がるので、それに合わせて長時間のレベル上げを強いられる。

 しかも、攻略用の編成をしていても、ボス戦直前にシナリオの都合で、勝手にパーティ編成が替わってしまう場合がある。せめて、一度メニュー画面を開いてくれればマシなのだけど、そういった配慮はない。正直、攻略情報を見ながらプレイしないと大変。

 ストーリーの都合によって、序盤はメンバーの入れ替わりが激しい。ゲスト参戦のキャラクターを除いて、結局2名の離脱者が出る。一応、離脱者の武器は、後で加入したキャラが同じ種類の武器を使えるという配慮がされている。

その他・快適性関連

 町は移動速度の割にやや広め。広めというよりも、町の構造が意地悪といった方が正確かも。例えば、主人公が住む帝都では『主人公の家』『ギルド』『城』といった何度か立ち寄る施設が奥に配置されている。それ程、何度も何度も行ったり来たりさせられるわけではないけれど。

 ロード時間に付いては、戦闘・マップ切替共に気にならないレベル。メニュー画面も一瞬で開くので快適。

 カメラワークはちょっと微妙。視点は固定なのだが、ダンジョン探索時に手前側に移動する場合の視野が狭く、敵シンボルを回避し辛い。それと、飛光艇(空の乗物)の操作も後退ができないので、細かな調整がやり辛い。

美術


 時代を考えると、パッとしない部類かも。Wiiなので、PS3の作品の様な高水準を期待してはならない。もっとも、個人的にはPS1時代の粗いポリゴンと比較すれば、何の問題もないレベル。戦闘アニメーションなどは結構派手で見応えもある。
 キャラクターイラストもゲーム中で見ると意外と違和感はなかった。どうでもいいけど、主人公はイラストよりも、ゲーム内の通常シーンの方がイケメンな気がする。

音楽


 作曲はクロノトリガーやゼノギアス等と同じ光田康典氏。序盤の曲はちょっと地味に感じたが、後半はダンジョン曲・イベント曲等で話を盛り上げる。飛光艇の曲なども結構良いと思う。

雑感


 現代は新規ブランドの王道RPGが少ないので、こういう作品がもっと増えて欲しいと思う今日この頃。
 しかし、初週売上3万本に届かずと、作品の規模に対して売上に乏しい模様なのが悲しい。Wiiでは任天堂以外の作品が売れ辛いという要因もあったのかと思う。しかし、Wiiの作品にしては、そこらのPS2〜3のRPGよりも、ライトユーザー殺しの要素が多いのは辛い。

 その点をまとめると……

  1. レベル補正による経験値減少によって、レベルを上げてのゴリ押しができない。特にラスボスはきつい。それがなくとも、後半の敵の経験値はさほど高くない。まるでメガテンシリーズの様な調整方。
  2. イベント中のハマリ防止の意味もあるが、ボス戦前にセーブポイントがないことがある。
  3. ボス戦が非常に時間が掛かる。回復アイテムで延々と粘れば、中々全滅しない。下手すれば1時間オーバーも。それで結局、全滅したら気持ちが萎える事請け合い。

 同じ、ヘビーユーザー向けのゲームでも、ミンサガだと……

  1. ガンガン強くなる味方。ラスボスに楽勝できる程度までは余裕で強くなる。
  2. セーブを宿屋限定の『通常セーブ』と、どこでもできる『クイックセーブ』に分けてハマリ防止。
  3. ボス戦は勝つか全滅するかの短期決戦。長くても数十分程度で決着。

 というように配慮されていることを考えると、もう少しやりようがあったんじゃないかと思えてくる。新規ブランドのRPGとしては、中々見所も多いので、ちょっと惜しい。
posted by 砂川赳 at 06:00 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする