【RPG制作講座】快適性の重要性

2011年11月19日

 大抵のクリエイターは作品を作る際に「凄いストーリーを作りたい」「凄いシステムを作りたい」というように何らかの強い欲求を持っているもの。それらの欲求を実現する影で「快適性」はプロアマ問わずにおざなりにされやすい。

 確かにクリエイターが自分のやりたいことを実現する上では、快適性なんてものはどうでもいい部分かもしれない。けれど、プレイヤーにとってもそうとは限らない。プレイヤーに作品の面白さを伝えるためには、快適性の追求は避けては通れない。現実にこれができていなかったばかりに評価・売上を落とした作品は数え切れない。

 具体的な例を挙げてみたい。以下はFFシリーズ7〜10までの売上本数(日本国内)の変遷を示す。前提として、売上本数に影響を与える要素は様々であることを断っておく。主要なものでは「作品の評判」「作品の知名度・宣伝」「前作の評判」「ハードの普及台数」などがある。

タイトル売上本数
FF7390万※
FF8370万
FF9279万
FF10287万※

※インターナショナル版を含む。伝えたい内容には大きく影響しないけれど一応。

 まず、目につくのはFF9での大幅な売上下落だろう。FF8と比較して100万本近くも減っている。理由は色々挙げられるだろうけれど、当のFF9と前作FF8の作品評価が低かったことが主要因であることは間違いない。
※好きな人ごめんなさい。別に僕だって嫌ってるわけじゃないです。

 でもって、各レビューサイトなどで、この2作品が不評を浴びた理由を調べてみると、大体は以下のような理由に集約される。

  • FF8:見てるだけのイベントが長すぎる。システムが独特すぎる。ヒロインがうっとうしい。戦闘テンポが悪い。
  • FF9:見てるだけのイベントが長すぎる。ラスボスが唐突すぎる。キャラの頭身が低くて違和感。戦闘テンポが悪い。

※簡潔にするため、表現が乱暴なのはお許しください。

 両作品に共通して、快適性に属する戦闘テンポの悪さを指摘されていることに注目して欲しい。事実、FF8,9共に戦闘テンポという面では褒められた作品ではない。「戦闘開始までに10数秒もかかるロード時間」「テンポの悪い過剰な戦闘演出」などFF7よりも大きく悪化しているのは、否定できない。

 また、イベントが長過ぎるというのも「ストーリー面に時間を取り過ぎて、ゲームテンポが悪くなっている」という意味では、快適性の問題に含むと考えることもできるかもしれない。もっとも、ストーリー性を重視するプレイヤーも多いので、この辺りは好みの問題かも。

 純粋に快適性がどれだけ売上に影響をしているのかを調べるすべはないので、明確な数値は示せない。「お前の主観じゃね?」と言われても特に反論もなし。それでも、快適性を無視してはならないことを何となくでも分かって頂ければと。

 ちなみに、この辺りの快適性の問題はFF10で随分と改善された。PS2の普及率がそれほどではない状況での発売にしては、売上本数は健闘したように思う。と、FF10が好きな自分がつぶやいてみる。

 もう一つ、快適性を重視すべき理由として外せないことがある。それは、快適性は少ない手間で確実に作品の評価を上げられるということ。正確には「快適性を重視すると作品の評価が上がる」というよりも「快適性を軽視すると作品の評価が下がる」と表現したほうが正しいかも。ともかく快適性が重要だという一点は変わらない。

 例えば、優れた作品といえばどんなものを思い浮かべるだろうか?

  1. ストーリーが優れた作品
  2. システムが優れた作品
  3. ゲームバランスが優れた作品
  4. グラフィックが優れた作品
  5. 音楽が優れた作品

 このように人それぞれに様々なものが思い浮かぶはず。しかし、それらを作るにはそれ相応のセンスや技能が要求される。しかも、それらはプレイヤーによって好みも変わってくるからまた難しい。
 例えば「難易度は低いほうが良いか、高いほうが良いか」「グラフィックは2Dが良いか、3Dが良いか」といった質問への答えは人によって千差万別なはず。

 それに比較して快適性に優れた作品を作ることは実に簡単。
 「ロード時間が短いほうがいいか」「戦闘テンポが速いほうがいいか」といった質問に対しては100人中100人が同じ答えを返すだろう。明確な答えがあるのだから、後はマニュアル的に対処すれば良い。他の部分と比較して、高いセンスは要求されないのだから誰だってできるはず。

 これは商品戦略的に考えれば「費用対効果」「時間対効果」という点で最も確実に成果を挙げられるということ。よって、作品を作る上では「快適性」を第一に重視しておけば間違いない。

 そして、本講座では、どのようにすればプレイヤーにとって快適な作品に仕上げることができるのかを考えてみたい。

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posted by 砂川赳 at 10:00 | Comment(0) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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