【RPGレビュー】ファイナルファンタジー13

2011年09月03日

タイトル機種質量物語システムバランス快適性美術音楽平均クリア日
ファイナルファンタジー13PS3806070605010090732009/12

質量/物語


 40時間程度でクリア。クリア後のやり込みは手付かず。シリーズの中では短いほうだが、それでも正直なところ、内容の割に時間を喰ったと言う印象。

 地上世界「パルス」とその上空に浮かぶ世界「コクーン」という、2つの世界を舞台にした物語。発売前の事前情報からは独自用語が多く複雑な印象を受けたが、実際にプレイしたところ、主な独自用語は上記の「パルス」「コクーン」に加えて……

  • 「ファルシ」:神が作った意思を持った装置の様なもの。
  • 「ルシ」:ファルシに選ばれた(呪われた?)人間。

 の4つくらいのものなので、大したことはない。メニューで用語解説、人物解説、物語解説などがいつでも読めるので、わからなければ見直すこともできる。

 FF12と異なり、キャラクターの描写は仲間6人ともかなり詳細にされている。反面、自らの心情をわざわざ言葉で語るシーンが多く見られるため、少ししつこい印象も受けた。今までのFFだと、言葉にするよりも行動で表すことで、テンポ良く仕上げていたように思う。

 全13章構成だが、大雑把な僕の印象としては、

  • 1〜2章:舞台説明(オープニング)
  • 3〜7章:仲間6人がバラバラに行動。各仲間の心情描写、及び過去の出来事の回想。
  • 8〜9章:6人が集合し、ようやく物語が動き出す。
  • 10〜11章:蛇足。(ゲーム的にはともかく、シナリオ的には大きな意義がない。)
  • 12〜13章:ラストダンジョン。

 という感じ。

 7章まではどちらかというと前置きと言う印象を受けた。そして、8〜9章で仲間が集まり、「ようやく面白くなってきたぞ!」と思ったら、以降、特に大きな展開のないまま、ラストダンジョンに突入して、あっけなく終わってしまう。

 このように物語は世界観に対するこだわりと比較すると、展開に乏しく物足りない。主人公達の目的が何なのかが、はっきりとしない場面が多く、特に終盤の展開は演出の勢いに任せた行き当たりばったりにしか見えなかった。

システム


 今回の戦闘システムは一応はシリーズおなじみのATBとなっているが、今までとは大きく異なる。まず、戦闘では時間で溜まったゲージの量に応じて、キャラクターの行動を複数入力できる。その代わりに、操作できるのは戦闘メンバー3人中、リーダ1人だけとなる。

 残り2人のキャラは「ロール」(攻撃、回復、補助などの役割)が変更できるだけで、具体的な行動は指定できない。そのため、補助のロールを持った仲間に「ヘイスト(素早さアップ)を先に使ってくれ!」と思っても、プロテス(防御アップ)を使ってしまうなど、融通が聞かない場合がある。

 なお、ロールは個別に変更するのではなく「オプティマ」といって、3人分のロールの組み合わせを6パターン登録しておいて、これを戦闘中に場面に応じて切り替えて行くことになる。

 戦闘は「システムとしては」非常にスピーディで、敵味方全員の行動が並行して行われる。ただし、その分、乱戦になりすぎて何をやっているかが、わからなくなることも。

 HPはサガシリーズのように戦闘終了後は全回復する。MPの概念はなく、魔法などの技能はいくらでも使うことができる。

 成長システムのクリスタリウムはFFXのスフィア盤によく似ている。上述のロール毎に別れたボード上を進行させながらCP(経験値)を消費して、能力を上げたり、技能を習得して行く。スフィア盤の様な自由度はないが、キャラクターごとの個性も崩れにくい。しかし、自由度がないなら、もっとシンプルにできたのでは……。

 今回、11章を除くといつものFF以上に一本道になっている。買い物ですら、セーブポイントで済ませてしまえる。町は2つほど存在するが何の施設もなし。町人との会話もあってないようなもの。ひたすら、ダンジョンと戦闘とイベントの繰り返しなのでメリハリに欠ける。

バランス


 ゲームの進行度に応じて、かなり印象が変わる。

 まず、前半は戦闘が非常に単調。特に2章までは使えないシステムが多く、単体攻撃、範囲攻撃と、アイテムによる回復しかすることがない。なんせ、この時点では成長システムすら使えない。

 3章でようやく、「オプティマ」「クリスタリウム」といったシステムが開放される。しかし、しばらくは難易度が低いこともあり、オプティマをたまに変更する以外はさほどやることがない。後は○ボタンを連打しているだけなので、相変わらず退屈極まりない。
 操作キャラのコマンドを自動入力してくれる機能が退屈さに拍車をかけている。なんせ、自動入力では敵の弱点なども(判明していれば)自動的に突いてくれる。入力速度が重要なこの戦闘では、コマンド入力より有利な場合が大半となる。
 しかも、パーティはシナリオ進行に応じてコロコロ変わるため、自分で好きなキャラを選んで編成することすらできない。特に2人パーティの期間が長いけれど、それではシステムの良さを発揮できない。

 9章の途中で仲間6人が集合し、オプティマ構成の自由度が飛躍的に上昇する。この頃には、敵も強くなってくるため、オプティマ構成などの戦闘下準備が重要になる他、戦闘中に素早く適切なオプティマに切り替える判断力が重要になってくる。

 難易度としては、過去のFF(4以降)ではありえないほど、全滅が多く難しい。まるで、メガテンシリーズのごとく、リーダのHPが0になると全滅になるので油断できない。その代わり、戦闘で全滅しても戦闘直前からやり直すことができるし、戦闘中にもいつでもやり直しできる。

 で「面白くなってきた!」と思ったら、今度は敵(ザコ・ボス共に)のHPが無駄に多くなってきて、戦闘に時間がかかる様になってくる。(本当に無駄に多い。HPは半分以下でいいのではと思うこと多々……)
 なんせ、MPがないわけだから、慎重に回復をするような戦い方をすると、延々と時間だけが過ぎていく。この傾向は最後までどんどん酷くなる。

 11章では大きなマップに出るため自由度が上がる。この頃が、ゲーム性という面ではこのゲームの最盛期だと思う。12〜13章で結局エンディングまで一本道になるけど……。

快適性


 ロード時間については、ほとんど問題ない。HDDインストールなしで、この速度は脅威的。また、ムービーについてもスキップ機能が完備されている。

 しかし、戦闘が非常に面倒臭いのは致命的。上述した内容と重なるけれど……

  • 無駄に多い後半の敵のHP
  • 合わせて、回復魔法に制限が無く、いつまでも長引く戦闘。
  • シンボルエンカウントだが、狭い道で避けにくい。
  • 町などの寄り道要素が乏しく、戦闘がゲームに占める割合が大きい。

 また、成長システムの「クリスタリウム」だが、能力アップを行うたびにある演出がわずらわしい。見た目も無駄に立体構造になっており見辛い。

美術


 これについては、紛れもなく期待通り。12章開始時のムービー画面なんて、これでもかというほど魅せてくれる。通常のゲーム画面のグラフィックが向上したのに伴い、ムービー画面との差異もあまり気にならない。

 11章の広大なマップをのし歩く巨大モンスターの描写は非常にわくわくさせてくれるものがあった。

音楽


 これも美術と並んで大方、期待通り。サガフロンティア2やアンリミテッドサガの他、FFXで一部の作曲を担当した浜渦正志氏が全曲を担当している。バイオリンが美しい通常戦闘曲は、発売前から既に話題だった。

 全体的な雰囲気としては、FF12と同様に背景であることを意識してか、印象に残る曲はやや少なめ。ただFF12と比較すると、所々で印象的なメロディが使われている。今までの浜渦氏の曲の印象と違い激しい曲やオーケストラっぽい曲が多いのは意外だった。

 あえて不満点を上げると、通常戦闘曲は素晴らしいのだが、それ以外に印象に残った戦闘曲がなかった。特にラストバトルの曲は色々盛り込もうとしすぎて、返って印象が薄くなっているような……。

まとめ


 「町を廃止」「MPを廃止」「仲間のコマンド入力を廃止」といった既存のゲームシステムから脱却した点がどうにもこうにも、作品をメリハリがなく単調なものにしている。これらに代わる要素が十分ならよかったけれど物足りない。

 以前のFF(特に8、9)ではグラフィックを見せつけたいがために、戦闘テンポが犠牲になっている箇所が見られたが、FF13ではシステム的に各キャラクターの動作を並行して処理することによって、こういった問題はない。

 ……が、敵のHPが無駄に多すぎることによって、大幅にテンポが悪化し、せっかくの技術力の高さが台なしになっている。
 「新しいシステムがどうしてもうまく行かない」とか、「シナリオと演出を見せたいばかりに一本道になる」とか、そういった問題については多少は仕方ないとは思う。しかし、13作目にしてこんな調整不足とはもったいない限り。
posted by 砂川赳 at 07:45 | RPGレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする