【RPG制作講座】ダンジョンバランスB 休憩地点の配置

2011年09月23日

 ※ここで使用する「休憩地点」とは、ダンジョンの途中で「回復」と「セーブ」の両方ができる場所のこと。(「回復」はできるが「セーブ」はできない等のパターンも時々あるが、ここでは話を単純にするため上の様に定義する。)

 ダンジョンの途中――特にボス戦前に休憩地点を「用意するか?」「用意しないか?」というのは悩ましい問題となる。

■休憩地点を用意した場合
 ダンジョン攻略中にザコ敵との戦闘でHPやMPを消耗しても、ボス戦前には、回復することができる。つまり、「ダンジョン&ザコ戦」と「ボス戦」は別物であり、2つに分けて攻略できる。

■休憩地点を用意しない場合
 ダンジョン攻略中にザコ敵との戦闘で消耗した場合、そのままの状態で、ボスに挑まなければならない。つまり、「ダンジョン」「ザコ戦」「ボス戦」の3つを合わせて攻略する必要がある。

 どちらが絶対に良いかとまでは言えないが、一般的には休憩地点を用意する方がお勧め。その理由を以下に細かく「利点(青字)」 「欠点(赤字)」を述べながら説明する。

■休憩地点を用意した場合の「利点」「欠点」

  • プレイヤーが気軽にダンジョン探索ができる。ダンジョンを長めに設定しても安心。
  • ザコ戦で遠慮なく魔法・特技を使用できる。つまり、ザコ敵を強く設定できる。
  • ボス戦でプレイヤーが全力を出せる。つまり、ボス敵を強く設定できる。
  • プレイヤーを消耗させる意味でのザコ戦の意義がなくなる。

■休憩地点を用意しない場合の「利点」「欠点」

  • 「ダンジョン」「ザコ戦」「ボス戦」の3つを考慮する必要があるため、パーティの消耗に配慮した総合的な攻略をプレイヤーに要求できる。
  • 一度でダンジョンをクリアすることが難しいので、複数回に分けて挑戦させたい場合に有効。
  • 気軽にダンジョン探索できない。(せっかく作ったダンジョンが・・・)
  • ザコ戦で消耗を控えるため、地味になりやすい。
  • ザコ戦で消耗を控えるため、町の周囲でパーティを強化し、ダンジョン内の戦闘では「逃げる」を多用するというプレイスタイルを推奨してしまう。(せっかく作ったダンジョン内のザコ敵が・・・)

という具合に「休憩地点を用意した場合」の方が欠点が少なく、利点が多くあると思える。

 また、難易度という観点から見ると、何となく、

  • 休憩地点を用意する → ライトユーザ向け
  • 休憩地点を用意しない → ヘビーユーザ向け

 という印象を持ってしまいそうだけど、こうして見ると「休憩地点を用意する場合」でも、戦闘を激しくできる等、ヘビーユーザが好む要素も備えていることが分かるはず。

 「休憩地点を用意しない場合」の「利点」として 「ダンジョン」「ザコ戦」「ボス戦」の3つを考慮する必要があるため、パーティの消耗に配慮した総合的な攻略をプレイヤーに要求できる。
 と記述したけど、逆に言えば「ダンジョンの長さ」「ザコ敵の強さ」「ボス敵の強さ」といった情報を持たない限り正確な攻略は立てられないということになる。これは「攻略情報を知らないプレイヤー」にとっては厳しい条件。
 ダンジョンをクリアする前に、攻略情報を知るには、

  • 攻略本や攻略サイトに頼る。
  • 一度ダンジョンに挑戦して、途中で引き返す。または全滅してやり直す。

 などの方法が必要となる。
 間違いなくこれはライトユーザにとっては厳しいし、ヘビーユーザでもこの様に時間のかかるバランス調整を好まない人も多いと思う。(※攻略本・攻略サイトは利用しないことを前提にしてます。)

 制作者はプレイヤーが攻略情報を知らないという前提で調整すべきということを考えると、調整がいかに難しいかわかると思う。

 さらに言えば、「休憩地点を用意しない場合」は特にテストプレイ時には「製作者」と「プレイヤー」との間の攻略情報の差に気を付けなければならない。
 というのも「ダンジョンの長さ」などの情報は知っているか知らないかで、ダンジョン攻略時の心理的負担が大きく異なるから。制作者がテストプレイヤーをする時には、無意識の内に攻略情報を前提としたバランス調整をしないように注意しなければならない。

 「休憩地点を用意した場合」ならば、その点の懸念は軽減される。「ダンジョン&ザコ戦」をくぐり抜ければ、「ボス戦」前に一旦、回復できるため、それぞれを別個にバランス調整できることが大きい。

 以上より、

  • 休憩地点を用意する → ライトユーザにもヘビーユーザにもお勧め
  • 休憩地点を用意しない → ヘビーユーザ専用

 「休憩地点を用意する」方がより広い層を取り込めるんじゃないかなと。

 もっとも「休憩地点を用意しない場合」でも、複数回に分けて、ダンジョンを攻略させたい時には有効となることもある。

例えば、ペルソナ4には、
 ・仲間との交友などを楽しむ日常パート
 ・探索や戦闘を楽しむダンジョンパート
の2つのパートがある。

 ダンジョンパートでは、1ダンジョンが長めであるにも関わらず、休憩地点がない、または回復に多額の金が必要。という調整をしているため、パーティが消耗した場合、必然的にダンジョンパートを途中で中断して、日常パートに戻らなくてはならなくなる。
 (※実は後半はたくさんお金が入るので、いつまでもダンジョンに潜れたり……)
 けれど、それによってプレイヤーは自然とダンジョンパートと日常パートを交互に行うという、制作者の意図に沿ったプレイをするようになっている。

 ダンジョンの攻略ぐらいしか、やることが無い一本道のゲームで同じような調整をすると、単にテンポが悪くなるだけで、不評を買いそうだけど、他の要素との兼ね合い次第では、あえて「休憩地点を用意しない場合」のもありだと思う。

 先程、回復に多額の金が必要という文章をさりげなく強調してみたが、このように、ダンジョン内に多額の金などの条件を課した休憩地点を配置するのは、「休憩地点を用意する場合」「休憩地点を用意しない場合」の中間策となる。

 例えば……

 あまりに、回復が簡単すぎると、休憩地点周辺で、経験値稼ぎをする場合に「消費を気にせず全力でザコ戦」→「終了後、即回復」を延々と繰り返す――のような、機械的なプレイを推奨してしまうことになり兼ねない。

 別にそれでも問題ないような気がしないでもないけど、僕個人的には適度に町の宿屋に泊まりながら稼ぐ方が好きです。何となく、その方が温かみが感じられるので……。

・また、「上手に消耗を避けて戦ったプレイヤー」と「下手に消耗して戦ったプレイヤー」とで、回復にかかる料金で待遇を差別化したい。
・回復には何らかの制約を設けたいが、回復が全くできないのは苦しすぎるし、やはり、ボス戦では万全の状態で、戦って欲しい。

 などの場合には、この中間策もお勧め。

 何はともあれ、どの様に休憩地点を「用意する」「用意しない」にしても、なぜ、その作品ではそうしているのか?自分なりに、筋を通して説明できるようにしたい。

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posted by 砂川赳 at 20:30 | Comment(0) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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