【RPG制作講座】戦闘バランスC ボス敵の設定

2011年08月13日

 RPGの華、ボス敵について説明する。

ボスの格と強さ


 ボスの強さを決めるに当たって、まず考えたいのは『ストーリー上の格』である。シナリオ上、散々もったいぶって登場した主人公の宿敵が弱くては興冷め。盛り上がるべき場面の敵はやはり強くないと――というわけだ。例として、以下のように3段階でボスを格付けしてみる。

  • Aランク: ラスボス
  • Bランク: ラスボスの側近(四天王等)、主人公のライバル
          他シナリオ上の重要ボス
  • Cランク: シナリオ上、重要度の薄い普通のボス

※無論、ボスの強さというのは、その時点のプレイヤーが苦戦する度合いのこと。

 Cランクは普通に戦えば勝てるようにする。あるいは状態異常を使用してくるなど、クセのある強さを目指してみるのも面白い。

 Bランクのボスは、初戦でも勝ち負けができる程度の強さにする。今までCランクのボスとしか戦ったことのないプレイヤーが初めてBランクのボスと戦った時、はっきりと「今までとは違う」と感じる様な強さにしたい。

 Aランクのラスボスに関しては、初戦はほとんどのプレイヤーが全滅するくらいでもよい。その上で、しっかりと対策を立てれば何とか勝てるくらいを目指してみる。

 ランク毎の強さはあくまでも目安だけど、強さにはっきりと差を付けることで、シナリオを盛り上げることができる。このように、シナリオをゲームバランスで演出するのは、ゲームならではの技法である。有効に活用して欲しい。もちろん、ボスの格に応じて戦闘音楽を変更するのもポイント。

 DQ6では、魔王ムドーを倒したばかりのパーティが、その辺の城の兵士に苦戦させられるという屈辱的な展開があった。ボス敵は何でもかんでも強くすればいいというのは間違いだと思う。

 時折、ボス毎に音楽をコロコロ変更するRPGがあるけれど、曲数は絞ったほうが変更したときのインパクトは強まると思う。その辺りの演出効果も計算して曲を選んでみたい。ネット上にはフリー素材がたくさんあるけれど、取捨選択も大切。

ボス戦を面白くするには?


 ボス戦を面白くするためには、戦闘を単調化させないことが何より重要。基本はザコ戦と同じで、無闇に戦闘を長引かせないこと。特に何十ターンも同じ攻撃と回復を延々と繰り返し続けるような、長いだけの戦闘はつまらないの一言に尽きる。
 ボスを強くしたいのならば、HPを増やすのではなく攻撃を激しくするように意識してみよう。また、HPが半分を切ると、攻撃パターンが変わるボスも単調化を防ぐ手段として有効だ。

 これはシステムの話だけど、FFシリーズのアイテム共有制の様に、誰でも簡単に回復や蘇生ができてしまうようなシステムは戦闘が長引く原因となる。もっとも、FFシリーズはボスの攻撃が非常に激しいので、何十分も粘り続けるような、つまらないボス戦になることはあまりないけれど……。

 同様にDQ6・7の転職システム等、自由度が高い成長システムは誰でも回復・蘇生ができるようになりがちなので注意したい。例えば、類似したシステムのFF5だと、保持できるアビリティに制限を設けることで万能キャラを作り辛くしている。

 ボス戦を面白くするためには、手強いボスを作りたい。でも、強すぎるとライトユーザーに敬遠されてしまうかも……。
 そんな時は、ボスを強くする代わりに全滅のリスクを軽減する方法がある。
 例えば……

  • ボス戦前にセーブポイントを配置する。(どこでもセーブもOK)
  • 全滅しても、ゲームオーバーにならないようにする。
    (DQ方式など。今まで稼いだ経験値や道具が残るようにする)
  • ボス戦と直前のセーブポイントの間に長いイベントを挟まない。
    あるいはスキップ可能。

 このようにしておけば、僕のように1時間を超えるプレイ時間がパーになると、クリアを諦めたくなるような、ゆとりプレイヤーも安心である。失うものが少ないので、ボスに負けても、またがんばろうという気が起こる。

 ザコ敵のところでも話したが、もちろんボス敵にも何らかの個性を与えよう。どのボス戦も数値のやり取りだけで終わるようではつまらない。ボスに苦手な属性を付けたり、お供やパーツを付けると、属性攻撃や複数攻撃を使う価値が出るので、色々なキャラクターや職業に活躍の機会を与えることができる。
 特に物語の締めとなるラストバトルでは、プレイヤーが今まで育ててきたキャラクターを存分に生かせるようにしたい。

 この分野に関しては、サガシリーズの独断場といってもいいので参考にするならお勧め。特に『ロマサガ2(ラスボスは強すぎるかも)』『ロマサガ3』『ミンストレルソング』の3作品のボス戦バランスは見事。
 DQシリーズも難易度的な安定感はさすが。ただし、DQ5以降はボス戦が長期化して、戦闘が単調化する傾向もあるので真似するのは注意。参考にするなら、PS版DQ4辺りがお勧めかも。
 FFシリーズのボス戦バランスは蘇生が簡単すぎて、大味になっているのが個人的には難点。とはいえ、ボス敵の個性の付け方は素晴らしいので参考にして欲しい。

>RPG制作講座目次に戻る
posted by 砂川赳 at 12:00 | Comment(4) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. どのゲームもそうですが、このボス戦で難しいのは補助魔法だと思うのです。
    私はいわゆる市販のRPGなるものをあまりプレーしたことがないのでただの知識不足である可能性は否めないわけですが。

    少なくとも私はFFではプロテスやシェルは使ったことはないですし、せいぜい地震を打ってくる連中に浮遊魔法(レビレトでしたっけ?)を使う以外に補助魔法を使ったことがない気がします。魔法しか使わない連中にはリフレクを張っていたことはあったぐらいでしょうか。弱すぎると「使われない」という問題があるわけです。
    一方で補助魔法が永続とすると―RPGツクール2000ではしばしば強化魔法が永続ですから―最初に打つのが「定例作業」でありこれは快適性の観点からすればよくない問題だと思います。
    補助魔法が続くターンに制限を設けるという方法もあるのですが、一度にかけた魔法が全て切れるなどといった事態を想定するなど戦闘中にじっくり考えて行動しなければならないためテンポが悪くなりがちで、これも快適性の観点からすれば良くない気がしてなりません。強化魔法が複数存在すれば切れた/死亡時のかけなおしについては多大な不快感を生みかねません(往々にして強化魔法が一人でしか使えない場合にそういった不快感が生まれやすい傾向にあるかと思われます)。
    はじめから補助魔法は存在しない、という手もなくはないのですが、それだと攻撃だけの応酬となってしまい先に倒れたほうの負け(回復という手は一応あるわけですが)というだけの単調な戦いになるでしょう。

    というわけで補助魔法の存在を考え始めると八方塞がりになる気がするのです。補助魔法については、どうお考えでしょうか。ご回答お待ちしています。
    Posted by 中性洗剤 at 2012年08月26日 21:39

  2. 中々、難しいところを突いてきますね。。。実のところ、僕もあまり良い答えは出せていないので、後回しにしていた点です。やはり、中性洗剤さんと似たような思考をたどった挙句、八方塞がりになりました。

    また、市販RPG&フリーRPGをかれこれ150本程度はクリアしましたが、これだ!というものは少ないです。特に以下2つはかなり疑問に感じました。

    ・DQ、メガテンなど多数:スクルト、バイキルト等の定例作業化。補助の時間切れや凍てつく波動とのイタチごっこ。
    ・俺の屍を越えてゆけ:最初の数ターンで、補助を重ねがけして超強化。以降はラスボスですら、雑魚同然。

    市販RPGだと、何気にポケモンが良い線いってる気がします。基本は1VS1かつ、数ターンで決着が付くバランスなので、攻めるか補助で固めるかの駆け引きがある程度、成立しています。


    でもって、まだ最善と言えないながら、自分がLabyrinth Starでどうしたかというと・・・

    1.単純に強力な補助魔法は「物理防御↑」と「魔法防御↑」のみに限定。また、この2つは両立不可。定例作業が過度に増えないように抑制。特に「物理攻撃↑」「速さ↑」はあえて作らない。

    2.それ以外の補助魔法はいずれも使用機会が限られるものに限定。いずれも、安定した強さは無いので定例作業にはならないが、うまく使えば強力という位置付け。
    ・ホットブラッド:攻撃ダメージが倍になるが、操作できない。
    ・ヒートボディ:数ターン敵の物理攻撃に反撃。
    ・フリーズミラー:魔法を反射。ただし、回復も反射してしまう。
    ・マグネットフォース:物理攻撃の対象を誘導する。
    ・インビンシブル:1ターン全攻撃を回避。

    現状こんな感じです。ボス戦での扱いが難しいという意味では状態異常も同じですが、その辺も含めて、いずれ記事を作る予定です。
    Posted by 砂川赳 at 2012年08月26日 23:49

  3. 言われてみるとポケモンは確かに補助魔法(技)に対して明確なデメリットがあるのに対して他は一撃で死ぬような場合でなければデメリットはない(安定性が最高)ですから、要はデメリットを付加することで考える余地を与えるのが最善策ということになりそうです。
    安定性を避けるという意味では、単純強化魔法もMPを多量に消費させることで(特に便利すぎる場合では定数ではなく比率にさせることで)解決が図れる場合はありそうです。

    「うまく使えば強力」という考えだとそれこそFFの浮遊魔法や魔法しか打ってこない相手のリフレクはこの手のパターンですが、あまりにもその場面が限られるのが難点。。。

    やはり、砂川氏といえども難しい内容でしたか。いずれ記事を作られるのでしたら、その記事を楽しみにしております。
    Posted by 中性洗剤 at 2012年08月28日 14:05

  4. >>3
    >単純強化魔法もMPを多量に消費
    ただ、補助魔法というのは、攻撃や回復ほど有効性に気付きにくいので、消費を多くすると、さらに使われにくいんですよね。。。似たような考えで、FF7のリミット技(というかFF9のトランスがより近い?)の様に、MP消費以外の限定的な発動条件を設けるのもいいかもしれません。気を付けないと、やはり攻撃や回復に埋もれますが・・・。

    >あまりにもその場面が限られるのが難点
    レビテト(浮遊)は微妙かもしれませんが、リフレクは結構いい線言ってるかな〜と思います。
    ・ホワイトウインドなど反射されない回復手段と組み合わせる。
    ・敵に掛けて、補助・回復魔法を妨害。
    ・反射した魔法は再反射できない仕様を利用して、味方に反射させて敵のリフレクを貫通。
    ・味方へ全体リフレク後、更に全体魔法を掛けて、敵へ反射×4で大ダメージ。
    等々、かなりの場面で活躍が可能です。

    でも、この種の「うまく使えば強力」は、本当にうまく使われるとバランスブレイカーになることもあるので、やっぱり難しいですね。ビシッと結論が出せる気はしないので、とりあえず「作品」「魔法・特技」等の類形をまとめて問題点を洗い出してみようと思います。
    Posted by 砂川赳 at 2012年08月29日 01:12