【RPG制作講座】戦闘バランスA ザコ敵の設定

2011年07月23日

 敵には、通常のエンカウントで戦う『ザコ敵』と、イベント上で戦う『ボス敵』の2種類が存在する。まずはザコ敵を先に解説する。

 ザコ敵の強さを決める前に、まずボス敵との役割の違いを考えてみよう。
 SFC以降のRPGには、ダンジョンごとにボスが存在する作品が多い。その場合は強敵としての役割はボス敵に任せてしまって、ザコ敵は「狩りの対象」「ストレス解消の対象」として、やや弱めでも問題ない。

 ずばり、クリアまでに一度もザコ敵に全滅させられることがないような強さでも構わないだろう。RPGのプレイ時間の大半を占めるザコ戦が簡単だと、ゲームテンポが速くなるので快適である。その代わりに、ボス敵を強くしておけば「手応えがない」「難易度が低い」という印象もなくなる。テンポの良さと、手応えを両立できるという点で、僕のお勧めのバランスである。

 ボス強ザコ弱ゲームバランスの成功例といえば、ロマンシングサガ3が有名。どこでもセーブが可能であり、戦闘終了後はHPが全快するシステムでありながら、ザコ戦では全滅どころか、HPが0にされることすら珍しい。
 しかし、ボス敵がしっかりと強いため、このゲームに対して手応えがないという不満を聞くことはあまりない。


 もっとも、上記の方法はあくまでもお勧めに過ぎない。少し調整が難しくなるがザコ敵に全滅させられるような、緊張感あるバランスの面白さも否定できない。その場合も「エンカウント率を下げる」「全滅時のリスクを下げる」などして、快適性には気をつけよう。

 ただし、ザコ敵がボス敵の役割を奪わないよう注意したい。
 例えば、FFシリーズのラストダンジョンのザコ敵は凶悪に強い傾向があるが、それに合わせてプレイヤーがパーティを鍛えすぎると、ラスボスが弱くてガッカリする羽目になる。ボスを引き立てるために、ザコの強さを抑えるのも重要なテクニックである。

 DQ1〜3のように行動の自由度が高いRPGならば、ザコ敵の強さで、プレイヤーの行き先を制限することができる。ゲームデザイン次第では、極めて有効な手法となるので、ぜひ覚えておきたい。

 ザコ戦闘の長さは大体1〜3ターン程度で決着が付くことを目安にすると良い。ザコ戦闘があまりに長引くRPGは疲れてしまうからだ。これはエンカウント率を低めにするのと同じで、ゲームの快適性を高めることが目的。
 同様の理由でザコ敵が同時に5〜10体以上の様に、大量に出現するのも戦闘が無意味に長引く要因になる。(変化を付ける意味でたまにやるくらいならば構わない。)ザコ敵を強くしたいのならば、HPを上げて戦闘を長引かせるのではなく、攻撃を激しくすると適度に緊張感が生まれてよい。

 もう一つ、ザコ戦闘でプレイヤーを不快にさせないための注意点として、ザコ敵の素早さを高くし過ぎないことが挙げられる。
 例えば、戦闘システムがCTB(FF10など)の作品にて、敵の中に攻撃力が高くて厄介な相手がいたとする。ここで味方の方が敵より素早さが高い状況なら、以下のような選択肢を取ることができる。

  1. 逃げる。
  2. 集中攻撃して倒す。
  3. 眠らせるなど、状態異常で動きを封じる。
  4. 打たれ弱いキャラに防御させる。あるいは防御を上昇させる魔法をかける。

 逆にザコ敵の素早さが味方側より高い場合、プレイヤーが行動を起こす前に一方的に攻撃されてしまう。こうなると、プレイヤー側は何の戦術も取ることができない。当然プレイヤーに取っては面白くない状況である。
(悪い例:ワイルドアームズAF
※DQを始めとしたターン制ならば、素早さで負けていても大抵は『逃げる』と『防御』の行動は取れるようになっている。それでも、やはり戦略は制限されるけれど……。

 目安としては……

  • 敵の素早さが標準的な場合、パーティ人数の半分より上の人数。(例:3人パーティなら2人)
  • 敵の素早さが高い場合、最低1人。

 の味方が敵より先に動けることが望ましい。装備など、素早さを補強できる手段を設けて、プレイヤー側で対策できる様にするのも有効だ。

 ザコ戦闘を楽しくするためには、敵にわかりやすい個性を付けるのも有効である。例えば……

  • 力が強い敵
  • 固い敵
  • 魔法が得意な敵
  • 状態異常を多用する嫌な敵
  • 1体で出現する巨大モンスター
  • 魔法しか効かない敵
  • 魔法を反射する敵

 これによって、力が強い敵ならば、味方の守備力を上げる魔法を使う。固い敵ならば、敵の守備力を下げる魔法を使う。または魔法で攻撃する。単体で出現する巨大モンスターならば、補助魔法で味方を強化しながら慎重に戦う。――と言うように、敵に合わせて戦略を立てる必要があるため、戦闘に飽きにくくなる。

 市販RPGではDQ4が、面白いザコ敵を用意しているので参考にしてみよう。

  • HPが減ると、目の色が変わり痛恨を繰り出す『大目玉』
  • 戦闘が始まった瞬間から眠っていることがある『暴れ牛鳥』
  • 物理攻撃を当てると、分裂する『メラゴースト』
  • 2体揃うと、強力な特技を繰り出す『マンルースター』
    (PS版では使わなくなった。残念……。)
  • 8体揃ったスライムが合体する『キングスライム』

 ここまで個性を強化すると見ているだけでも退屈しない。

 このように戦闘を楽しくするのは、簡単だとか難しいだとかの難易度面だけではない。あくまで大切なのはプレイヤーを楽しませようという気持ちなのだ。

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posted by 砂川赳 at 12:00 | Comment(0) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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