【RPG制作講座】最近のゲームはつまらない?

2014年08月16日

「最近のゲームはつまらん。昔のゲームは面白かった」

これはネット上なりリアルなり、色んな場所で飽きるほど聞いた意見かもしれない。「これだからゆとりは」「懐古厨、老害乙」みたいに、世代で分かれて罵り合いになることもあるが、こうなると不毛という他ないというもの。
しかし、これを不毛で終わらせるのはもったいない。つまらないと感じるからには、それ相応の理由があるはず。一度、自分なりの視点で検証してみたい。

※ちなみに筆者は見ての通りのSFC世代ですが、最近のRPGもそれなりに好きです。でも、たくさんプレイする時間がないのが悩みです。

というわけで、世間でよくいわれている意見と個人的な主観を織り交ぜながら、色々と原因となる候補を挙げてみた。

  • 思い出補正
  • 簡単すぎる
  • グラフィック偏重によるゲーム性軽視
  • 開発費の高騰
  • テンポの悪化
  • 長すぎるプレイ時間
  • マンネリ
  • 複雑すぎる

以降に詳細を記述してみる。一番に書きたかったのは『複雑すぎる』なので、面倒だったらそこだけでも読んで頂ければ。

思い出補正


筆頭はやはりこれ。「昔のゲームが面白かったのは思い出補正。今のゲームのほうが面白い」という意見。思い出や初見のインパクトに勝てるものはなしというのは、その通り。その通りだけど、こればかりはどうにもならない。

せめて、古い世代としては新しいものの邪魔をしないようにはしたいところ。「最近のゲームはつまらん。昔のゲームは面白かった」と大した理屈もなく唱え続けた上で、新しい作品を全否定してしまうでのは、老害といわれても仕方ない。

『最近のゲーム』といっても色々とある。FFとDQだけではもちろんない。批判は具体的かつ建設的にするように気を付けたい。そうならないためのこの記事でもある。

思い出補正なのか? 本当に面白かったのか? を見極めるには今一度、昔のゲームを改めてプレイしてみるとよいかもしれない。色々と勉強になるのでオススメ。

簡単すぎる


「最近のゲームは簡単過ぎて手応えがない」という意見。「昔のゲームはもっと難しかった」というのは錯覚もあれば、実際に難しかったものまで様々。

昔のゲームが難しかった理由として、今よりプレイヤーが若く未熟だったということも忘れてはならない。RPGなら、防御や補助魔法を有効に使うことを知らず、猪突猛進なプレイをしていた人も多いはず。

また、昔のゲームバランスは洗練されていなかったため、難易度には大きくバラつきがある。例えば、DQ2やFF1〜3を始めファミコンのRPGには今やっても非常に難しいものが多い。
しかし、同じファミコンでもDQ3や4ならそれほどでもない。人によってはPS2のDQ8のほうが難しいと感じる程度だろう。

全体的にはストーリー重視の流れの中で、簡単になったかな〜という印象があるけど、明らかに難しかったといえるのは、ファミコン時代まで。SFC以降、実際はそこまで難易度低下してないのでは、というのが僕の意見。

せっかくなので、新しいほうが難しいんじゃね? な例を挙げてみる。

  • FF5(SFC)→13(PS3)
  • サガ1(GB)→アンリミテッドサガ(PS2)
  • ポケモン赤緑(GB)→ダイヤパール(NDS)
  • 真女神転生2(SFC)→3(PS2)
  • ブレスオブファイア1(SFC)→5(PS2)


グラフィック偏重によるゲーム性軽視


とてもよく聞く意見。個人的にはグラフィックがよいこと事態は悪くないと思うし、ゲーム性が軽視されているという感触もさほどない。

これが言われ始めたのは、FF8の時代だったと記憶している。しかし、FF8に関していえば、ゲームデザインはFF2以来の挑戦的な作りであって、その是非はともかくとして「ゲーム性を軽視している」なんて、単純にいわれる作品とは思わない。
そのFF8にしても今は昔。とはいえ、それ以降の作品にしてもゲーム性軽視という印象はさほどない。むしろ、システム自体は凝ったものが多く、調整にも長く時間をかけているという印象。

もっとも、僕はゲーム性に関して「手抜きはしてない」と言いたかっただけであって、グラフィック重視による問題がないとまではいえない。

  • 開発費の高騰。
  • 演出時間によるテンポの悪化。

なんかは大いに問題かと思う。その詳細は次へ。

開発費の高騰


これで何が一番困るかというと発売される作品自体が減ってしまったこと。特に開発が大変な長編RPGは数が減って寂しい限り。数が少ないということは、単純に良作との出会いも減ってしまう。

この流れを変えるのは、もはや難しいかもしれない。個人的にはアマチュアが少人数で手軽に長編RPGを出す時代が来れば面白いかなと思っている。もっとも、年単位の制作期間が当たり前のものを『手軽』といっていいかは怪しいけれど……。

テンポの悪化


「長いロード時間や演出時間などによるゲームテンポの悪化。これこそが、最近のゲームをつまらなくしている」という意見。これは個人的な実感からも、間違いなくその通り。

制作者としては、見た目にばかりこだわってテンポを犠牲にすることがないようにしたいところだ。というかテンポの良さだって立派に『見た目』の一つなので、見栄えにこだわる人なら、なおさらこだわって欲しい。

もっとも、昔のゲームについても『テンポが良い』とは言い切れない部分がある。なんせファミコンのゲームなんて、ウィンドウを描画するだけで、もっさりだ。ちゃんと比較すると、ファミコン版のDQ3よりも、PS版のDQ4や7のほうがロード時間や戦闘テンポが速かったりする。

新しい作品だって、テンポを改善している例もたくさんあるので、そこは評価されてもよいと思う。

長すぎるプレイ時間


「長すぎるプレイ時間こそが、最近のゲームをつまらなくしている元凶」という意見。個人的にはとても同意したい。

例えば、SFCのRPGには10〜30分程度でダンジョンが攻略できて、次々と新しいイベントへ進めるようになっている作品が多い。プレイが濃密になるので、熱中して冷めることなく進むことができる。ゲームクリアも15〜30時間とお手頃だ。

これが今は1ダンジョン2〜5時間とか、かかるのが当たり前になっている。長くなったぶん、内容が盛り込まれているかといわれると、そこは作品次第だ。コピペダンジョンやお使いクエストで水増ししているだけのこともある。
ダンジョンだけでなく町も広くて、疲れるのなんの。ゲームクリアまで50時間オーバーが当たり前。まさに社会人殺しだ。

ていうか、無駄なところを削ったら開発費も抑えられるだろうに、何でそうしないのかと問い詰めたい。小一時間ほど問い詰めたい。

マンネリ


「メーカーは確実に売れる人気シリーズ作品ばかりを作っている。結果、マンネリになっている」みたいにいわれるアレ。続いて「既存の枠に捕らわれない斬新な作品を作る必要がある」みたいに続く。

一理ないこともないけれど、現実の結果を見る限り、個人的には違和感もある。というのも、どうも実際に売れている(=プレイヤーに求められている)作品は手堅い作りのシリーズ作品が多いように感じるからだ。
例えば、以下のシリーズなんかはマンネリ気味傾向もあるけれど、それでもなかなか安定している。

  • ドラクエシリーズ
  • ポケモンシリーズ
  • ペルソナシリーズ
  • テイルズオブシリーズ
  • 英雄伝説(軌跡シリーズ)

奇をてらって挑戦的なことをしたり、作風のブレがある(=マンネリでない)シリーズほど、衰退しているように思えて仕方ない。また、開発期間が空いてタイトルが長くリリースされてない作品も衰退する傾向にある。

  • FFシリーズ
  • サガシリーズ
  • ブレスオブファイアシリーズ
  • ワイルドアームズシリーズ

単なる品質低下で没落しているだけのような気も……。

人気シリーズというのは、需要があるから人気シリーズなわけで、それを大切に作り続けること事態はユーザの期待に応える意味でも悪くない。(さすがに乱発までは肯定しない。)また、シリーズたるものゲームデザインを急激に変化させると、ユーザも戸惑うというもの。よって手堅い作りで何が悪いのかなと。

  • シリーズものをユーザの期待に応えるようにしっかり作る。→売上を出す。
  • 売れた余力で、新規タイトルにも挑戦する。
  • 結果を出した新規タイトルもシリーズ化する。

って感じでいいと思うのだけど、どうだろう?
いえ、大して面白みのない意見であることは百も承知。ただ、売上という数値を見れば世間は思っているほど『斬新さ』を重視していないのではないかと。

複雑すぎる


個人的に一番力説したかったのがこれ。まず「最近のゲームは複雑すぎて、取っ付きにくいのではないか」というのが一つだが、そこに今回は重点を置かない。

力説したいのは、多くの要素を盛り込んで内容が複雑になった結果「開発者自身が『シンプルな面白さ』を見失ったのではないか」ということ。シンプルな面白さって何ぞやという点については、これから例を挙げて説明してみる。

「ドラクエは『はがねのつるぎ』を買う頃が一番面白い」という説をご存知だろうか? これはドラクエの面白さを語る時によく出る話だ。なぜ、そう感じるのかということを突き詰めてみたい。

とあるプレイヤーのDQ3

  • 新しい町に着いたぞ。早速、店に行こう。
  • 武器にしようか、防具にしようか?
    1000Gしかないけど、はがねのつるぎ(1500G)が欲しいなあ。
  • 魔物を倒してお金を稼ぐぞ。
  • やった! ついに念願のはがねのつるぎを手に入れたぞ!
    攻撃力が一気に9アップ!
    お下がりの『くさりがま』を僧侶に持たせて、さらにパーティ強化!
  • キラービーが一撃だ! これで塔も攻略できる!

何の変哲もないプレイの一形態である。しかし、この中にプレイヤーが面白いと感じる点がいくつも凝縮されていることが分かるだろうか?

  • 新しい町に到着して、店を覗くワクワク感。
  • 武器か防具か。何を買うかを悩む楽しさ。
  • 目標を立ててお金を稼ぐことによる達成感。
  • 戦闘が楽になって、キャラクターが強くなったという実感。
  • 次なるダンジョン攻略に駆り立てる挑戦心。

実にシンプル。各要素が明快に面白さに繋がっている。

振り返ってみて、最近のゲームはどうだろうか? こういったシンプルな面白さを超えているだろうか? 以下のようになっていないだろうか?

  • 強い武器は宝箱から簡単に手に入る。達成感がない。
  • 店の装備は簡単に買える。買い物は装備を全て更新するだけの作業。
    達成感もなければ悩む楽しさもない。新しい店があってもワクワクしない。
  • 宝箱、戦利品、店……というように少し進むと次の装備がすぐ手に入る。
    結果的に装備を変えても一個あたりの変化は小さく、
    キャラクターが強くなった実感に乏しい。
  • 敵も大して強くないので苦戦しない。
    だからやっぱり、キャラクターが強くなった実感に乏しい。
  • 次のダンジョンもどうせ余裕なので、何も考えず突っ込むだけ。

最近はこんなゲームが珍しくないようにも思う。アイテムが大量にあって、宝箱からも魔物からも店からも次々と入手できる。一見、嬉しいのだが結果として、ひとつひとつの事象が軽くなってはいないだろうか?

とても色んな要素が盛り込まれているはずなのに、気づいてみればファミコンのゲームよりも悩む楽しさがない。プレイは単調。しかも、面白さに貢献していない数々の無駄要素によって複雑さと面倒臭さだけは格段にアップ。そんな風にはならないように自戒したい。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(24) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする