【RPG制作講座】作品を完成させる!

2014年02月08日

制作初心者にとっての最大の壁。それは『作品を完成させること』である。

Web上で開発記録を公開しているような作品は多数あれど、その内、完成に漕ぎ着ける例はそれほど多くない。Webで公開なんてことをやっているからには、それなりにやる気もあるのだろうけれど、それでも完成にはなかなか至らない。
はっきり言って、この界隈では制作を中途放棄する人を見ることは珍しくも何ともない。それこそ制作の中途挫折を意味する『エターなる(エターナるが正?)』なんて言葉が定着してしまったほど。
※エターなるの由来は特に説明しませんが、ググれば出てきます。

これを読んでいる方だって、制作経験があるならば、途中で投げ出した経験の一度や二度はあることだろう。この巨大な壁を乗り越えるため『作品を完成させること』を考察していきたい。

※この記事はエターなる経験者にとって、肺腑をえぐるような表現が含まれている可能性がなきにしもあらずです。ご注意ください。

そもそも完成させるべきなのか?


「別に完成しなくてもいいじゃないか。中途半端な作品なんて放り出してしまえ。それでも経験は積んでいるのだから、いずれ何年後かに自分の理想とする一作ができればいい」そんな考え方をする人もあるかもしれない。

だけど、それでもやはり作品は完成させるべきだと思う。

ゲーム制作には、最後まで完成させることで初めて勉強になる部分がある。たとえば「終盤のバランスの取り方」「エンディングによる物語の締め方」などだ。

そして何より、完成作を人にプレイしてもらい、感想をもらうことによる恩恵が大きい。なんせ、初めて完成させた作品というものは、プレイヤーのことを顧みない自己中なものになりがち。
「自分は何十〜何百時間と苦労したのだから、プレイヤーにも多少の面倒はかけてもいいだろう。このダンジョンでは2時間ぐらい迷ってもらおう」
これは凄くありがちな思考パターン。そのくせ自分のテストプレイでは、最短ルートを通って10分で抜けてたりすると始末が悪い。プレイヤーにそっぽを向かれる経験を積んで、こういうのは矯正されていく。

そんなわけで、製作経験は多くあっても、完成経験が乏しいようでは十分な経験があるとは言い難い。『作品を完成させる』というのも大事な技術の一つ。たとえ、何千時間と努力していても、作品を完成させる方法を知らなくては、同じことの繰り返しになりかねないというわけだ。

世間には、作品を途中で放り出すことを繰り返しているプロの作家や漫画家もいるが、そうなるとクリエイターかつ社会人としての信用は大きく落ちてしまう。「どうせ、また投げ出すんだろ?」「こいつに仕事を依頼するのはやめておこう」となってしまう。
アマチュアのゲーム作家にしても、きちんとした完成作があるかないかで、信頼度は段違い。これは特に協力者を募りたい場合に重要となる。

やはり、妥協があってもよいから作品は完成させたい。

で、この記事を書いている当人はどうかというと、エターなる率はかなり低いほうだと思う。RPG以外も含めると、中学生の頃にエターなったのを最後に10作品程度を連続で完成させている。RPGツクールだろうが、SRPGツクールだろうが、3Dシューティングツクールだろうが、デザエモンだろうが、開発に50時間以上かけた作品は全て完成させたと記憶している。たとえ、つまらない作品だろうがとにかく完成させている。

そんな僕なりにエターならない作り方を考えてみた。あくまで完成経験に乏しい人を対象に書いているので、ある程度の完成経験があるという人はこの限りではない。

いきなり大作にしない


いきなり大作を目指さない。もし、長編を作るならば年単位の製作期間を覚悟しなければならないが、簡単にできることではない。

目指すのが短編だろうが長編だろうが、まずは小さな話を作ろう。舞台は世界より大陸。大陸より島。島より町。というように最初は小さな範囲で考えていこう。
小さな話を完成させた後で、まだまだ長くしたいと思えたならば、そこから拡張していくような作り方をすればいい。長編だって、短編の集まりのようなものなのだから。

例えば……

  1. 村娘が魔物にさらわれる。
  2. 魔物を退治して、村娘を助ける。
  3. 村娘と一緒に捕らわれていた謎の少女が実は王女だった。
  4. 王女を城に返しに行くことに。
  5. 城では国王が病に倒れ、不穏な空気が……。

こんな感じでどんどんと繋げていく。やる気がなくなれば「2.」の段階で短編として完成させればよいというわけだ。

骨格を作る


優先して『ストーリー』『マップ』『必要なゲームシステム』といった骨格となる部分を作ろう。これらさえできれば、作品の形はできてくるので、後の部分は何とかなる。それ以外の重要でない要素は後回しにしてもよい。

逆に言えば、骨格ではない部分の制作に逃げてはならない。『逃げる』とは本編のストーリーもマップもロクにできていない段階から、寄り道要素を盛り込んでみたり、ひたすらアイテムや敵のデータばかり作ること。そうやって、いつまでも本編に着手しないような行為を指す。

自分の経験則だが、制作初心者には『隠し要素』や『寄り道要素』といったものをやたらと作りたがる人が多い気がする。どうも市販RPGにはお決まりのようにあるからなのか、真似したくなるらしい。
当然ながら、こういった要素は作品の完成が見えてから盛り込めば十分だ。まともに完成していない作品に対して、寄り道要素やクリア後の隠し要素が充実していたって仕方がない。

とにかく本編を作ろう。

省略できるように作る


『いきなり大作にしない』に書いたのとは別の方法も紹介。やる気をなくした時は省略してでも完成させる。あるいは、省略できるように最初から作っておく。

例えば……
「魔王のしもべである十魔将と戦い、最後に魔王と決着をつける」という壮大なストーリーを考えていたとする。制作途中で飽きた場合は『十魔将』を『四魔将』に減らしてでも完成させてしまおう。

要するに、物語の最初と最後を先に考えておき、間は中抜きできるように作ってしまうという方法だ。

細部にこだわらない


過剰なリアリティなど、細部にこだわって自分の首を絞めない。
例えば……

  • この町は大都市だから、住民を100人配置しよう。
  • 民家は現実と同じように二階建てが当たり前。
    もちろん、寝るところやトイレ・浴槽も必ずなくてはならない。
  • 時刻の概念を導入しよう。
  • 町人は話しかける度にランダムで違う内容を話すようにしよう。
  • 食料と満腹度の概念を導入しよう。
  • 全ての防具には斬打突炎氷……というように超詳細な耐性をつけよう。

ゲームシステムとして面白くできるという自信があるならともかく、単なるこだわりで細部まで作業を増やすのはお勧めできない。こういうのを目指すのは作品を完成できるようになってからでいい。一度、作品を完成させれば「どれぐらいの手間がかかるか?」という現実も見えてくるはず。

複雑なイベントは避ける


複雑になりそうなイベントは無理して作らないようにしよう。実力を大きく越えて複雑なイベントを作ろうとすると、中途挫折の決め手になりやすい。

よく使われるイベントで難易度が高いものの例を挙げてみる。

武闘大会

いわゆる『天下一武道会』など、漫画でもゲームでもおなじみの展開。これをやろうという人も多いと思う。しかし、『大会会場のマップ』『控室などでの他出場者との会話』『大量の観客』『毎戦闘事の会話』『複数回の戦闘』などなど、きっちり作ろうとすると、かなり大変なイベントである。

もっとも、このイベントは手を抜ける部分も多い。例えば、受付で会話後に画面転換して戦闘させるだけなら大して手間はかからない。武闘大会とは少し違うけど、FF6の『竜の首コロシアム』なんて、とってもシンプル。

戦争

物語において、国家同士あるいは人間対魔物のような騒乱を描く必要があることは多い。そこで必要となるのが戦争イベント。けれど、やっぱりこのイベントも大変。なんせ大量の兵隊を扱う必要があるのだ。配置するだけでも一苦労。さらに細かい動きをさせるなら、もっと苦労。

主人公達も参加するイベントの場合は、ゲーム的にどう折り合いをつけるのかというのも難しい。比較的、楽なところでは……

  • 味方の軍を陽動にして、自分達は少数精鋭で敵地に潜入する。
  • 戦場を駆け巡って敵司令官を倒す。
    シンボルエンカウント&ランダムエンカウントで敵が大勢いることを表現。

サガフロンティア2や幻想水滸伝のように、別システムでのシミュレーション型戦闘を用意しようなんて考えると大変だ。


こういったイベントをやろうとして大変さに挫折したという人、いないだろうか? かくいう僕も無理に武闘大会をやろうとして、挫折したことがあったりするのだけど……。

難しそうなイベントは着手する前に、どんなシーンがあって、どんな作業が必要となるかよく考えておこう。手に負えないと思ったならば、他の簡単なイベントにするか、手を抜けるところを探してみよう。

効率の悪いシステムは避ける


効率の悪いシステム設計を避けて、効率の良いシステムを目指す。「効率の悪いシステムってなんぞ?」と思われたかと思うが、具体的にはDQ6のように「制作の手間がかかる割にプレイヤーからの評価が上がらないシステム」のことを指す。

DQ6には『多人数の仲間システム』と『転職システム』という二つのシステムが並立しているが、転職による職業の個性が、仲間の個性を潰してしまっていると言われることが多い。結果的に『仲間の個性に特化したDQ4』『職業の個性に特化したDQ3』などの作品と比較しても、システム評価が高いとは言えない。しかし、DQ6のシステム制作にかかる手間はこの二作を大きく超えているだろうことは想像に難くない。

システムを設計する際はこういった二つの要素が競合しないシンプルな設計にするとよいだろう。その方が少ない手間で作品を面白くしやすい。もちろん完成もしやすい。

無理に自作しない


経験が乏しい状態で、素材やゲームシステムをほぼ自作するというのはかなり厳しい。最初は無理せず、フリーの素材&スクリプトを使用したり、開発ツールのデフォルト素材&システムを中心とするほうが無難だろう。

もしやる場合でも、狭い範囲から挑戦していくとよいかと。

  • 仲間メンバーのキャラグラだけ自作する。
  • 聞く頻度の多いフィールド曲だけ自作してみる。
  • 戦闘はツールのデフォルトだが、成長システムは自作してみる。

などなどだ。

グラフィックや音楽の差し替えは開発途中でも案外できる。開発終盤に余裕ができたのでやってみようという感じでもよいだろう。

モチベーション


制作に対するモチベーションの持ち方についても書いておく。

「モチベーションを高くするにはどうしたらいいか?」というのは多くの人が思うところだろう。けれど、個人的な意見を言えば、そもそも無理に高いモチベーションを保つ必要はないと思っている。

というのも、強いやる気を出して、一気に制作に取り掛かったところで、制作期間が一ヶ月〜二ヶ月〜三ヶ月と伸びていくに連れて、維持が難しくなってくる。『熱しやすく冷めやすい』なんて言葉の通り、冷めた時に挫折スイッチが入るのが関の山。

特にいちいち何かやる度に、成果や反響を求めてしまう性格の人は要注意だ。反響があろうがなかろうが、黙々と地味な作業の連続に耐えられる根気がなければ、長編の完成は難しい。

何でこんなことを書くのかというと、

  1. 制作開始。
  2. 凄くはりきる。
  3. 徐々に制作のキツさが分かってくる。
  4. だんだんクールダウン。
  5. エターなる。

というような制作初心者の必殺コンボを何度も見てきたからである。

そんなわけで、普通のモチベーションで日課のように淡々と制作すれば十分かなと思っている。もっとも、モチベーションの持ち方なんて、個人差があって当たり前なので、あくまで僕の意見ということで。もちろん、短期で制作できるような規模の作品ならば、一気にやるのもよし。

もし、エターなったら?


それでも、エターなってしまった場合も、データを削除するのだけはやめよう。もしかしたら、またいつか作品の制作を再開したくなることもあるかもしれない。その作品は永久凍結するにしても、部分的に流用できることもあるかもしれない。

そして重要なのは、自分が「なぜエターなってしまったのか?」という分析だ。

  • ストーリーをうまく作れなかったため?
  • 書いた脚本が恥ずかしくなったため?
  • マップ制作が面倒になったため?
  • やりたいシステムを実現する技術がなかったため?
  • 満足のいく素材が用意できなかったため?
  • クオリティに自信が持てなかったため?
  • 時間が取れなかったため?

エターなる理由も人それぞれだろうから、その対策も簡単には言えない。それでも、自己の分析こそが『脱エターナラー』の一歩となる。

例えば、僕は「中学生の頃にエターなった」と書いたが、その理由は「ストーリーをうまく作れなかったため」というのが大きい。どうも、当時の僕はストーリーの制作にそこまで興味がなかったのだと思う。なので、ストーリーで無理をしない作品にすることで、次は完成させることができた。

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posted by 砂川赳 at 06:00 | Comment(21) | RPG制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする